【導入事例】
データ活用は、AOKIホールディングスの経営をどう変えたのか?

株式会社AOKIホールディングスさま。「洋服の青木」として1958年に創業され、現在はビジネスウェア専門店「AOKI」「ORIHICA」、ウェディングの「アニヴェルセル」、シェアリングスペース「快活CLUB」、カラオケ「コート・ダジュール」、セルフフィットネス「FiT24」など約1,300の店舗を運営する企業です。

メンバーズデータアドベンチャー(以下、メンバーズDA)は、2019年から同社に常駐サービスの提供を開始。分散していたデータを統合し、マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入支援や購買・顧客満足度データを分析、経営層から現場まで会社全体がデータに注目する文化作りに貢献しました。

経営層や現場への提案・アウトプット事例について、同社デジタル・CRM推進室の吉田亮氏(写真右端)・高木優氏(同右から2番目)、比嘉真鈴氏(同右から3番目)、同社に常駐しているデータアナリストの岩間祐樹さん(左端)・大坂冬子さん(左から2番目)に伺いました。

(取材日:2020年10月23日 取材:澤山モッツァレラ 編集:長谷川翔一)

 

データの重要性を、誰も認識していなかった

――メンバーズDAが入るまで、御社にはどのような課題があったのでしょうか?

AOKIホールディングス・吉田さま(以下、吉田) データがブラックボックス化していたことですね。すでにBIツールに取り込まれている情報は表示できますが、それ以外の出力は外部ベンダーに依頼する必要がありました。データ自体もどんな状態で、どこに保存されているかわからない状況だったんですね。

メンバーズDAさんの岩間さん・大坂さんが来てからは、スピーディーにデータを取り出せるようになり、分析の精度も格段に上がりました。

―― そもそもデータの分析基盤が存在していなかったのですね。以前はどんな体制だったのでしょうか?

吉田 基本的に専任担当がおらず、情報システム部がなんとなく担当している状態でした。データはどこにあるのか、どこに集約して分析するのか、管理できていませんでしたね。

2016年にはSalesforceのMAツール「Salesforce Marketing Cloud」を導入、必要なPOSデータや顧客データなどを集約することになりました。ただ、同サービスはもともとデータ保管を目的としたものではないため、出力に時間がかかっていました。

そこで、岩間さんと大坂さんから「BigQueryを使えば、簡単に出せるようになりますよ」とご提案いただきました。今、ほとんどのデータはBigQueryで管理できています。

―― 専任の担当がいなかった理由はなんだったのしょうか?

吉田 誰もデータの重要性を認識していなかったことですね。「できないからしょうがない」と諦めていた部分もあります。集客施策も基本的にチラシと紙のDMで、分析もシンプルな指標しか注目していませんでした。

 

 

「オールマイティな人がほしい」とリクエスト

―― メンバーズDAとの接点は、いつ頃生まれたのでしょうか?

吉田 MAを回すチームが形になり、データ回りを整理する必要ができたタイミングですね。

加えて、アプリを通したコミュニケーションの改善のために「もっとデータをきれいな状態にして活用しやすくした方がいい」となり、「それなら顧客単位でデータを集約して分析できないか」と相談したのがきっかけです。

―― 当時、どんなリクエストをしたのでしょうか?

吉田 「オールマイティな人がほしい」とリクエストしました。何をどうやっていいかわからない状態でしたので。

データの受け皿を作り、散らばっているデータを集め、構造を整理しながらデータを格納した上で、さらに「こういうデータがある」「こういう施策をした方がいい」という起案までできるオールマイティな人ですね。

―― そうしたリクエストを踏まえて常駐に入った岩間さんは、当時の状況をどう感じましたか?

メンバーズDA・岩間祐樹(以下、岩間) 「想像以上に散らばっていた」という感じですね(笑)。事前面談で「データがない・整備されていない」状況は伺っていたんですが。データがあっても、各ベンダーさんでブラックボックスになっていて。説明すれば最終的には連携してくれるのですが、時間がかかりすぎる状態でした。

 

 

衝撃的だった、経営陣への提案

―― 岩間さんから受けた提案で、印象に残っているものはありますか?

吉田 最初に衝撃的だったのは、経営陣への提案でした。

競合他社が大々的なキャンペーンを始めた時、追随して同じような施策を打ったことがありますが、成果が全く出なくて。売り上げを落とした層を分析すると「ロイヤルカスタマー層がごっそり減っている」と指摘されました。

「実施前に分析しておけば、やらない方がいいとわかっていたはず。何をしているんですか?」と言われて。みな黙り込んでしまいました(苦笑)。

それ以降、競合の動向に一喜一憂せず、データを見つめて適切に対処する体制を取れるようになりました。目の前にいるお客様が大事だと、改めて気づかされましたね。

―― 岩間さんは、必要だと思えば忌憚ない意見を伝えられる人なんですね。

吉田 そうですね。提案資料が出てきた時「どうやって経営陣に説明しよう…」とショックを受けました(苦笑)。しかし新しい施策を打つときの視点の甘さ、「何が問題なのか」「どんな対策を打つのか」「なんでそのKPIなのか」といった部分を追求できていない状況に、一石を投じることができました。

―― 他に、良い変化はありましたか?

岩間 ホールディングス全体で「よりデータに着目しよう」という機運を醸成できたのは、一つの貢献だと思っています。例えば、ダッシュボード構築の依頼は大幅に増えました。デジタル・CRM推進室の方向けに作ったダッシュボードが、部署を超えてひとりでに広まり、30人以上に使われるようになったということがあります。

―― ダッシュボードや分析指標がそろったことで、チームの目指すベクトルが同じになったということはありますか?

吉田 そうですね、皆の目線が同じになってきて、「データを活用して経営を変えていこう」という方向になってきました。これまで「分析できないだろう」と諦めていたデータも、「顧客の声の裏返し」として求めるようになりましたね。「実は分析できるんじゃないか」「分析できたら、新しい施策を打てるんじゃないか」と。

接客や商品のアンケートを誰でも見られるようにダッシュボードで整理してもらい、販促や商品の部署までお客様の意見を取り入れるようにしました。「データをもとに、来期の商品はこうしよう」という取り組みにも繋がっています。

―― 他に、プロダクトに関わるような示唆を受けることはありましたか?

岩間 ご提案したのは、ワイシャツの分析とAOKI・ORIHICAの顧客分析ですね。これまでワイシャツは「ノーアイロン」のような、機能面だけで訴求するプロモーションが多かったんです。しかし、ビジネスエリアのユーザーにアンケートした結果、機能性では差別化できていないとわかりました。

例えば「シワが付かない」といった機能だけではなく、「手入れがラク」といった情緒的な価値のような「お客さまが感じる価値や便益で訴えていかないと、差別化できない」「AOKIは、どんなポジショニングにいたら良いのか?」という部分まで提案させていただきしました。

 

 

メンバーズDAさんを辞めて、ウチに来てほしい(笑)

―― 御社における、岩間さんと大坂さんの評価を教えていただけますでしょうか。

吉田 メンバーズDAさんを辞めて、ウチに来てほしい(笑)。それは冗談ですが、それぐらい無くてはならない存在です。

―― 大坂さんについては、どんな点を評価いただいてますか?

吉田 大坂さんの役割は、分析にあります。岩間さん1人体制の頃はデータ整理だけでリソースが一杯になり、アウトプットまで出せなかったのがジレンマでした。

大坂さんが入ることで、岩間さんがデータ整理、大坂さんが分析という分担が生まれました。大坂さんが切れ味鋭い指標を反映しながら提案してくれるので、良いサイクルができましたね。

 

経営を変えるようなアウトプットが出てきたことで、データの重要性がきちんと理解されるようになりました。以前は「データ活用したい」と思っても外部のベンダーさんにお願いするしかなかったのですが、現在は「デジタル・CRM推進室に相談すればいい」という流れができていますね。

岩間 もっとも、単純に1人増えただけではアウトプットを出せないジレンマは解決しなかったと思います。キャッチアップが素早い大坂さんが入ったからこそ、早いサイクルでアウトプットが出せるようになりました。

メンバーズDA・大坂 ありがたいことに外部データも使いながら、いろいろなデータを扱い、さまざまな種類のレポートを作ることができています。そのおかげで、多くの要素を組み合わせて考える機会が増えましたね。

 

 

アンケートの低評価=ネガティブ ではない。

吉田 顧客満足度の解像度も上がりました。例えばダッシュボード上で、全体の評価を下げている部分が「接客なのか」「品ぞろえなのか」というような細かな違いもわかるようになっています。顧客体験の流れ全体(現場・本社・販促部)を通じた満足度に注目することで、例えば「クーポンを乱発しない販促をしましょう」という考えにも繋がります。

他にも、アンケートの点数が低くても、エンゲージメントが形成できているケースもあり「もっとユーザーの声を聞こう」という姿勢も生まれました。

例えば、ある店舗では「低い評価をつけた方でも、50%以上が半年以内に再来店している」ということがデータからわかりました。低評価は実はネガティブなことばかりでなく、「愛のある言葉をもらえているのだ」という気付きを得られました。

以前はこうした低評価について「現場のモチベーションが下がるので、見たくない」という店舗の反応もあったんです。ですが、「半年後には再来店してくださっている」という事実を示すことで、「きちんと受け止めて接客改善につなげよう」という態度変容に繋がりましたね。

岩間 低評価だったとしても、答えなかった方よりも再来店の見込みがあるというデータでしたね。

AOKIホールディングス・高木さま 私だけでなく、他部署のメンバーも触発されて、データについて学ぶ人が増えてきています。自分でも、データから示唆を導き出さないといけないと思えるようになりました。こうした好循環は、岩間さん、大坂さんに来ていただいたからこそですね。本当に感謝しています。

―― 最後に、今後メンバーズDAに期待することを伺えますでしょうか。

吉田 お二人が来てくださったお陰で、会社全体でデータの重要性に気付けました。今は、データを起点にした経営が徐々にできるようになっています。店舗から本社に異動してきたメンバーからも、SQLを書ける人材が生まれてきました。

現在まだ(お付き合いして)2年目ですが、今後ももっと人をアサインし、データで経営するチームを作りたいと思っています。引き続きご協力のほどよろしくお願いします。

―― お忙しい中、どうもありがとうございました!

 

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