【導入事例】

より便利で、より豊かな都市生活・顧客体験の実現を目指し、都市OS「ヒルズネットワーク」の構築を推進。

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「都市を創り、都市を育む」を企業理念に掲げ、長期的視野に基づいた街のグランドデザインを描く森ビル株式会社さま。六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズ、表参道ヒルズなどの開発・運営で知られ、 近年では、より便利で豊かな都市生活を実現することを目的とした都市OS「ヒルズネットワーク」の運用で注目される同社に、メンバーズデータアドベンチャーカンパニー(以下、DA)は、2021年10月からデータ人材の常駐サービスを提供しています。

都市のデジタルプラットフォームとして街(ヒルズ)の膨大なデータやサービスを統括し、さらに複数のヒルズを連携させることで新たな顧客体験の創出を目指すこの壮大な取り組みに、DAはどのような形で貢献しているのか。 タウンマネジメント事業部の北尾真哉さま(写真右から2番目)、同・齋藤理栄さま(右端)、同・中嶋俊幸さま(左端)、DA所属のデータアナリスト高橋昭平さん(左から2番目)にお話を伺いました。

(取材日:2022年12月5日 取材:友清 哲)

 

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都市の機能を進化させる「ヒルズネットワーク」

――まずは都市OS「ヒルズネットワーク」とはどのようなものか、簡単にご説明いただけますか?

北尾 より便利で、より豊かな都市生活・顧客体験を実現するためのデジタルプラットフォームです。お客様にヒルズをどれだけ楽しんでいただけるか、どれだけ便利に使っていただけるかという観点を大切に開発しました。

森ビルが手掛ける事業領域は、オフィスや住宅、商業施設、ホテル、文化施設など多岐に渡ります。しかしこれまでは、それぞれの部門ごとに独立した顧客情報を元にサービスを提供していたため、たとえば、ヒルズで住み、働き、商業施設もよく利用されるといった複数の属性をお持ちの方にシームレスなサービスを提供することが難しい状況でした。ヒルズネットワークにより、そのような10年以上前から感じていた課題を解決し、より豊かな都市生活・顧客体験の実現を目指しています。

 

――たとえば六本木ヒルズだけでも、年間に約4000万人もの人流があると言われます。デジタルによってマネジメントすることで、どのようなメリットが生まれるのでしょうか?

北尾 最もわかりやすいのはヒルズネットワークと同時にリリースしたヒルズアプリです。各事業部門がそれぞれ別々のIDで提供していたサービスに、ヒルズIDという共通IDでシームレスにログインできるほか、飲食や購買に応じてポイントを溜めたり、属性に応じたベネフィットを利用したりといった、さまざまなサービスを受けることができます。

また、ヒルズアプリで得た利用者の属性や施設の利用状況といったデータを活用することで、利用者一人ひとりに最適化した情報をお届けできることも、こうしたアプリを運用する大きなメリットでしょう。

さらにヒルズ内の法人企業に対しては、福利厚生をこのアプリひとつで賄うことも可能です。たとえばヒルズ内での飲食代やフィットネスジムの利用料、美術館の入場料の補助を出したりと、自社で福利厚生施設を持たなくてもサービスを運用できるわけです。

中嶋 コロナ禍によるリモートワーク化で、社員間のコミュニケーション不足を課題とする企業も昨今は少なくありません。その点、こうしたサービスがコミュニケーションを促すきっかけになる側面もあると思います。

 

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他部署からも頼りにされる強力な助っ人に

――こうした仕組みを運用する上では当然、膨大なデータが発生します。そこでデータを取り扱える人材の出番ですね。

中嶋 そうですね。各事業領域のデータは当然各部署が扱いやすいように保持されており、これを統合して活用するには、バラバラなデータのフォーマットを整えたり、必要なデータを持ってきて“見える”状態にする作業が必要です。作業量で言うと、これが7~8割方を占め、残るリソースでそれを分析し、仮説や施策に落とし込んで社内にアウトプットする、というイメージだと思います。この最初の7~8割の部分を社員だけで行うのは現実的ではなく、外部リソースの支援を検討していたところ、ご紹介いただいたのがDAさんでした。

 

――多くの事業者がいる中で、DAとの取引に至った決め手は何ですか?

中嶋 端的に言えば、柔軟性です。こちらが求めるオーダー(スキル)に対して、まず複数の候補者と実際に面談をしましたが、決して押し売り的ではなく、「もう少し待てばこういう人材も用意できるかもしれません」「もし契約後にミスマッチがあればまた別の方に変更することも可能です」と、我々の意図に極力寄り添ってくれるスタンスを感じました。

言葉を換えれば、これは意思決定のボールを常にこちらに渡してくれているコミュニケーションでもあって、こちら側の心理としても非常にありがたいんですよ。一度契約したら「3年間は解除できません」みたいなことでミスマッチがあった際には困ってしまいますから(笑)。

それに何より、実際に面談でお会いしてみて、高橋さん(※DA・高橋昭平)が森ビルが目指す世界観と、そのために実際に積み上げていく業務がどのようなものかを、的確に理解していただいていると感じたことも大きいですね。

高橋 私としても、ばらばらに存在していたデータを一元管理することで新たな体験価値を生むというのは、もともとぜひ手掛けてみたかった仕事の1つでした。こうした作業はゴールがあるものではないと思っていますが、ヒルズを訪れる皆さんに少しでも便利に楽しんでもらえるよう、頑張っていきたいですね。

 

――ここまで1年強の期間を経て、高橋に対してどのような評価をされていますか?

齋藤 タイトなスケジュールで無茶なお願いをすることも多いのですが、いつもスピーディーに動いていただき、こちらの期待以上にわかりやすい形にしてアウトプットしてくれるので、本当に助かっています。この1年、膝を突き合わせてコミュニケーションを重ねてきたことで、やり取りはさらにクイックになっているように感じます。

中嶋 たしかに、一緒に働いている私たちからすると、たまに高橋さんが他社の社員であることを忘れてしまうくらい、密なコミュニケーションが取れていますね。今では弊社の他の部署からも頼りにされている、強力な助っ人です。高橋さんも、たぶんそういう感覚ですよね?

高橋 そうですね。たまに、自分の本来の所属先がわからなくなることはあります(笑)。

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ヒルズネットワークのさらなる進化に向けて

――そうした体制で運営されるヒルズネットワークについて、ここまでの成果をどう捉えていますか?

北尾 ヒルズアプリを実際にかなりの方に使っていただけていることが、第一の成果です。年間の商業施設利用額が高いお客様でいえば、すでに大半の方にご活用いただいており、データの活用が進んで適切なマーケティングを実現したことで、お客様はもちろん、商業テナント様にも森ビルにとっても、良い効果をもたらしていると実感しています。

また、弊社の中では、データをメインに取り扱う部門以外でも当たり前のようにBIを見る習慣が生まれてきていることも大きいですね。データの見える化が進んだおかげで、他部署間でも同じ情報をもとに議論することができ、社内のコミュニケーションや意思決定も当然クイックになりますし、社内横断的な取り組みも進めやすくなりました。

 

――ヒルズネットワークは今後、どのように発展していくのでしょうか?

北尾 現在、六本木ヒルズと虎ノ門ヒルズの間に位置するエリアで麻布台ヒルズの開発を進めていて、2023年に竣工・開業する予定です。我々としてはつまり、六本木・虎ノ門・麻布台という連携した1つのエリアが生まれることになります。

そこでは、ヒルズ毎に個別にアプリやサービスが存在するのではなく、ヒルズを超えた新たな経済圏が誕生するため、自ずとヒルズネットワークの適用範囲も拡大されます。その分、これからさらにデータ量は増えますから、データ人材が必要な領域もいっそう大きくなるでしょう。

 

――そうした壮大なビジョンの中で、今後、高橋やDAに期待される役割は何でしょうか?

中嶋 この1年間は、来年開業する新しいヒルズも見据えて、データの活用と施策の実行・フィードバックのサイクルをトライアンドエラーで進めつつ、膨大なデータを社内で見える化するという、環境整備にも注力した期間でした。今後は、新しく開業するヒルズも含めた様々なデータが新たに加わることになるので、今まで以上に施設間、ヒルズ間の連携を促すようなデータの活用も考えていきます。

そこで必要なのは、データだけでなく、各事業のビジネス領域の特性や課題等の正しい認識と、それを元にどのような施策を打ち出すかというアイデアです。ヒルズネットワークを深く理解してくださっている高橋さん、DAさんにはぜひ、今後はそうした活用の部分も含めたさらに広い領域で伴走していただきたいです。結果的にそれが、我々が目指すより豊かな都市生活の実現に繋がると考えています。