ビジネスに役立つLLM(大規模言語モデル)とは?ChatGPTや生成AIとの違いも詳しく解説

ナレッジ
2024.12.09
ビジネスに役立つLLM(大規模言語モデル)とは?ChatGPTや生成AIとの違いも詳しく解説

本記事では、LLM(大規模言語モデル)と生成AIとの違いや、LLMのビジネス活用方法をご紹介します。

  • LLMとはLLMの仕組み
  • 類似技術との違い
  • LLMで処理すべきタスク
  • LLMの活用状況
  • LLMをビジネス活用をする上での課題

 

執筆者のご紹介

池田志穂
所属:
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部
PM、データアナリスト、エンジニア業務を担当
経歴:
Webデザイナー、Webディレクター、コンサルティング業務に携わり、2019年3月メンバーズ再入社。顧客企業にてマーケティングに活用できるデータを可視化し、経営戦略の意思決定を支援。大規模データを利活用できる構築を行っています。現在、生成AIを学習中です。

目次
01.| LLMとは
02.|LLMの仕組み
03.|類似技術との違い
04.|LLMで処理すべきタスク
05.|LLMの活用状況
06.|LLMをビジネス活用をする上での課題
07.|まとめ

 

LLMとは

 

LLM(Large Language Model)は、大規模なデータセットを基にトレーニングされた自然言語処理(NLP)モデルです。
質問応答、文章生成、翻訳など、多様な自然言語処理タスクに活用され、高精度な結果を提供します。

LLMの種類

代表的なLLMを紹介します。各モデルは異なるアプローチや用途に特化しており、適用されるタスクや目的に応じて選ばれます。

・BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)

BERTは、Googleによって開発された自然言語理解のためのモデルです。特徴的なのは、文脈を双方向(前後の単語)で理解する点です。従来のモデルは一方向で文脈を処理していたのに対し、BERTは文全体を同時に解析し、単語の意味をより正確に捉えます。この特性により、質問応答や文脈に基づいた情報抽出など、様々なNLPタスクで高い性能を発揮します。

・GPT-4(Generative Pre-trained Transformer 4)

GPT-4は、OpenAIによって開発された大規模な生成系言語モデルです。Transformerアーキテクチャを基盤にしており、主に文章生成に強みを持ちます。大量のテキストデータを事前学習し、生成タスク(文章生成、要約、質問応答など)で優れた性能を発揮します。GPT-4は、前バージョンに比べて大規模で高度な推論能力を持ち、自然で流暢な文章を生成する能力が向上しています。

・LaMDA(Language Model for Dialogue Applications)

LaMDAは、Googleが開発した対話型の大規模言語モデルで、特に自然な会話生成に焦点を当てています。LaMDAは従来のモデルよりも、トピックに沿った柔軟で意味のある対話が可能で、長期的なコンテキストを保ちながらユーザーとの対話を続けられる能力があります。例えば、オープンドメインの会話(雑談など)でも、意図をしっかりと理解して応答します。

・Claude

Claudeは、Anthropicによって開発された言語モデルで、倫理的かつ安全なAIの使用を重視しています。Claudeの目標は、安全性と信頼性の高い対話型AIを提供することです。Anthropicは、AIによるリスクを最小限に抑え、透明で説明可能なAIを目指してClaudeを開発しました。Claudeは、複雑な質問応答や会話をこなす能力に加えて、利用者の安全性を確保するためのフィルタリング機能や制御機構が強化されています。

 

LLMの仕組み

 

LLMは、自然言語を理解し生成するために、さまざまな仕組みを利用しています。主なプロセスとして、トークン化文脈理解エンコードデコード確率出力があります。

・トークン化

トークン化は、テキストを機械が処理しやすい単位に分割する工程です。テキストはそのままではモデルに入力できないため、まず単語やサブワード、さらには文字単位に分割します。例えば、「今日は天気がいい」という文は、「今日」「は」「天気」「が」「いい」といったトークンに分けられます。これにより、モデルはテキストの内容を細かく解析できるようになります。

・文脈理解

LLMは、入力されたテキストの文脈を理解するために、前後の単語やフレーズを考慮します。例えば、「リンゴを食べるのが好き」と「リンゴは赤い」という文があれば、「赤い」がリンゴの色を指していることを理解します。この文脈理解は、モデルが次に来る単語を予測する際に重要な役割を果たし、適切な反応を生み出します。

・エンコード

エンコードは、トークン化された単語やフレーズを数値データに変換する処理です。テキストそのものは機械学習モデルで扱えないため、トークンは「埋め込みベクトル」と呼ばれる数値に変換され、モデルが計算しやすい形になります。この過程を通じて、モデルはテキストの意味や文脈を理解するための特徴量を抽出します。

・デコード

デコードは、モデルが生成した数値データを、人間が理解できるテキストに戻す処理です。エンコードによって得られた数値ベクトルは、最終的に実際の言葉に変換されます。例えば、モデルが「今日は天気がいい」という文章を予測した場合、その数値データが「今日は天気がいい」というテキストに変換され、ユーザーに表示されます。

・確率出力

LLMは、次に出力する単語を確率的に選びます。モデルは、文脈に基づいて各単語に確率を割り当て、最も適切な単語を予測します。例えば、「今日は天気がいい」の後に続く単語として「晴れ」「曇り」「雨」などが考えられる場合、モデルはそれぞれに確率を割り当て、最も確率が高い単語(例えば「晴れ」)を選んで出力します。このように、確率的な予測を使って自然なテキストを生成します。

これらのプロセスを通じて、LLMはテキストを効果的に理解し、適切な応答や生成を行います。

 

類似技術との違い

 

LLMはテキスト生成に特化した技術で、生成AI、AI、RAG、機械学習とは異なる目的に対応するため、使い分けが重要です。

技術

概要

主な違い

生成AI

テキスト、画像、音声などのコンテンツを生成するAI技術全般。

生成AIは、テキスト、画像、音声など多様なコンテンツを生成する技術全般。LLMはその中でも「テキスト生成」に特化。

AI(人口知能)

人間の知能を模倣するコンピュータシステム全般。機械学習や深層学習も含む。

AIは広範な技術で、LLMはその一部。
LLMは「言語処理」に特化したAIの一形態。

RAG(Retrieval-Augmented Generation)

外部データベースや検索を利用して、生成内容を強化する技術。

RAGは情報検索を組み合わせて生成を行う。
LLMは事前学習したデータのみを基に生成。

機械学習(ML)

データからパターンを学び、予測や分類を行う技術。

機械学習はテキストだけでなく、画像、音声、数値など多様なデータに対応。LLMはテキストデータに特化した機械学習モデル。

 

LLMで処理すべきタスク

 

LLMは、自然言語を理解し生成する能力を持ち、さまざまなタスクに利用できます。
主な用途としては、文章生成、質問応答、要約、翻訳などが挙げられます。例えば、与えられた入力から意味を理解し、適切な応答を返したり、長文を要約したりすることができます。また、LLMは、対話型AIとしての役割も果たし、ユーザーと自然に会話を行うことが可能です。さらに、文法チェックや文章のリライト、感情分析なども得意としています。複雑なテキストや専門的な内容にも対応できるため、企業のカスタマーサポートや教育、コンテンツ生成など、多岐にわたる分野で活用されています。

 

 

LLMの活用状況

 

メルカリはLLMを活用し、商品説明の自動生成を実現。ベネッセもLLMでキャッチコピーや教材説明文を作成しており、これにより商品やサービスの魅力を効率的に伝える説明文がAIによって自動生成され、企業の負担軽減に寄与しています。生成AI(特にLLM)は商品説明や広告制作、学習支援など多方面で効率化と新しい価値創造に貢献しています。企業が競争力を高めるためには、経営層のビジョン、適切な投資、社員のスキル向上が重要であり、今後、生成AIによる業務変革が進み、企業の競争優位性を高める技術となると予想されています。

 

 

LLMをビジネス活用をする上での課題

 

LLMをビジネスで活用する際には、いくつかの重要な課題があります。

 

誤った出力のリスク:LLMは高精度な自然言語生成を実現していますが、必ずしも正確な情報を提供するわけではありません。誤った情報を提供すると、顧客の信頼を損ねたり、法的な問題を引き起こす可能性があります。

データ依存性:LLMのアウトプットは学習データの多様性や品質に依存します。不完全または偏ったデータで学習すると、出力結果も不正確でバイアスがかかる恐れがあり、ビジネスの意思決定に悪影響を与えることがあります。

著作権問題:LLMは膨大なデータを学習する際、著作権で保護されたコンテンツを無断で使用してしまうリスクがあります。ビジネスで生成されたコンテンツが著作権侵害にあたる場合、法的な問題が発生する可能性があります。

セキュリティ:LLMが機密情報や個人データを含む場合、その情報が不正に出力されるリスクがあります。セキュリティ対策を十分に講じないと、プライバシー侵害やデータ漏洩が発生する恐れがあります。

人材不足:LLMの運用には高度な技術が必要であり、適切なスキルを持つ人材が不足しています。企業は専門的な人材の採用や育成を進める必要があります。

 

これらの課題を解決するためには、データの整備やセキュリティ対策、適切な人材の確保が不可欠です。データアドベンチャーでは、これらの課題に対し、データアナリストやデータエンジニアを中心にプロフェッショナル人材が在籍しているため、包括したご支援が可能です。

▶関連プレスリリース

データ活用における生成AI導入・活用支援サービスを提供開始 データ抽出・集計・本番移行の作業時間を8割削減

 

 

まとめ

 

LLMは、自然言語処理の精度向上により、ビジネスや技術革新に大きな影響を与えると予想されます。特に、商品説明の自動生成やカスタマーサポートの効率化、コンテンツ作成支援などでの活用が進み、業務の自動化とコスト削減を実現します。今後は、医療や法律など専門分野にも応用が広がり、複雑な問題解決をサポートするツールとなるでしょう。また、生成AIの進化により、より自然な対話型AIの実現が期待されます。技術の信頼性向上とセキュリティ対策が課題ですが、LLMは企業の競争力強化に貢献する重要な技術となります。


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池田志穂

 

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