【導入事例】

データ領域プロフェッショナル常駐サービスで人材不足を解消し、事業成長の礎をつくる。

GO株式会社さまは、「移動で人を幸せに。」をミッションに、モビリティ領域を軸とする多様な事業・サービスを展開する企業です。同社の代表的なサービスであるタクシーアプリ『GO』は、2024年12月時点で、累計ダウンロード数2,600万を突破しています。タクシー車両のリアルタイムな位置情報と高度な配車ロジックで、タクシーに「早く乗れる」という新たな体験を提供するこのサービスを支えるデータ活用環境の構築や整備には、メンバーズデータアドベンチャー(以下、DA)の常駐サービスが活用されています。その意図について、同社プロダクトマネジメント本部データインテリジェンス部データアーキテクトグループでGMを務める孫 正勲さま(写真中央)にお話を伺いました。また、同社にデータエンジニアとして常駐する高田 明志さん(写真左)と陳 英珉さん(写真右)の2名にも加わってもらい、仕事に対するこだわりや思いについても語っていただきました。

(取材日:2024年12月3日)

 

事業成長と共に必要性が増していくデータエンジニアが見つからない

―― まずは孫さまがGMを務めるプロダクトマネジメント本部データインテリジェンス部データアーキテクトグループのミッションについて教えてください。

孫 正勲さま(以下、敬称略) 弊社は、タクシーアプリ『GO』(以下、『』付きでGOと表記している場合はアプリを指す)のほか、EV充電サービス『GO Charge』や交通事故削減を支援する次世代AIドライブレコーダーサービス『DRIVE CHART』など、様々な事業を展開しています。その中で、私たちのグループが扱っているのは、『GO』に関するデータ。アプリから取得可能なデータはもちろん、タクシー車両に搭載されている端末から発生するデータも含め、このサービスに関する全てのデータを収集し、分析環境にのせることが、私たちのミッションです。

――データエンジニアリングの領域を担当されているということですね。

孫 おっしゃる通りです。データの分析は、私たちと同じ、プロダクトマネジメント本部データインテリジェンス部に所属するデータアナリシスグループが行いますが、このグループと連携して、データ分析基盤を構築していくのです。

――データアーキテクトグループとアナリシスグループに組織を分けてデータを扱っているということを考えると、他社と比べてもかなりデータ活用が進んでいる印象があります。それだけ貴社ではデータに重きを置いているということでしょうか。

 タクシー業界にはどうしても古いイメージが付きまといます。そのようなイメージを払拭することは、弊社のミッションの1つですが、このミッションを実現させるには、データの活用が必須だと考えています。また、私たちは直接タクシーを所有しているわけでなく、あくまで配車プラットフォームを運用しているだけ。ですので、私たちがデータドリブンな環境にあることは間違いありませんが、逆にいえば、もてるものがデータしかないともいえますね。

――データアーキテクトグループでは、2023年からDAの「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」をご活用いただいていますが、サービス導入の経緯を教えてください。

 サービス開始以来、『GO』の事業は順調に成長を続けてきましたが、まだまだ成長途上です。それ故、現在、新サービスの提供なども頻繁に行っています。新サービスがリリースされれば、我々に求められるタスクが増えるのは必然。そこで、メンバーの増員を検討したのですが、必要なスキルを有するデータエンジニアが見つからない。また運よく人材を確保できたとしても、実際に弊社で活躍してもらうには、少なくとも1年程度はオンボーディングの期間が必要です。それでは求められるスピードに追い付くことができません。これらの課題を解消するために、人材の常駐サービスの活用を検討したのが、そもそもの始まりです。

――貴社がデータエンジニアに求める必要なスキルとはどのようなものでしょうか。

 弊社の環境で、データセットを扱うには、「Google Cloud Platform(以下、GCP)」のデータ ウェアハウスである「BigQuery」やデータパイプラインである「Dataform」のほか、「Looker」というBIツールを使うので、これらのツールの知識は当然求められます。さらに弊社の場合、「Looker」でデータを可視化するのに「LooKML」というプログラミング言語を使っていますが、「LookML」を使っているケースは珍しく、十分な知識をもつ方はどうしても少なくなります。そもそもデータサイエンティストなどに比べると、注目されにくいデータエンジニアの仕事に携わる人が少ないので、求める人材を見つけるのは至難の業ですね。

――DAのサービスを採用するに至った決め手について教えてください。

 以前にデータアナリシスグループでDAのサービスを活用した実績があり、とても評価が高かったことが決め手の1つです。また、DA社内で、現場で必要なスキルを補う内部研修を行っていることなども知り、組織としてのサポート体制もしっかりしている点も決定を後押しするポイントになりました。

常にユーザーの使い勝手を考え、ともに歩んでいく

――それで、まずは高田さんが常駐することになったわけですね。

高田明志(以下、高田) はい。2024年2月から常駐しています。

――具体的には、どのような業務に携わってきたのでしょうか。

高田 私が主に取り組んでいる業務は、2023年10月にリリースされた『GO』のインセンティブ機能に関するもの。『GO』で乗車したお客様が、降車後に乗務員にチップを送ることができる機能に対してアナリシスグループがデータ分析を行うために「データモデリング〜ログの設計〜データマートの作成〜ダッシュボードへの実装」という一連の作業を行います。その他、新たな要望にあわせて構築済みのプログラムを修正することもあります。

――仕事をする上で心掛けていることはありますか。

高田 アナリシスグループからのご要望に適切に応え、提供するデータの品質を上げるには、ドメイン知識が求められるのはいうまでもありません。設計やコーディングなど、自分が取り組む作業の目的を1つ1つ理解することが、分析要件とのずれをなくし、より効率的なデータモデリングを実現したりすることにつながるからです。また、この仕事は単に「コードを書いて、プログラムが動けば終わり」ではありません。お客さまと一緒に業務を進めていく気持ちを胸に日々の仕事にのぞんでいます。依頼に対して、ダッシュボードの使い勝手やメンテナンス性を考慮したり、より効率的にデータを集計するために依頼者側で当初想定していなかった方法を提案することもあります。ただ、これは私に限らず、DAのメンバーなら誰でも心がけていることではないでしょうか。

 『GO』は、2020年に前身のJapanTaxi株式会社が提供していた『JapanTaxi』と株式会社ディー・エヌ・エーがサービス展開していた『MOV』というタクシーアプリが統合して誕生しました。そのため、機能によっては複数のツールが使われているなど、システム環境が複雑な部分が残っています。だからこそ、サービスの全体像を把握するのは困難なところがあるのですが、そのような環境でも、高田さんは、PRD(プロダクト要求仕様書)を読みこんで、システムのことをしっかりと理解されている。案件によっては私たちより深く理解している点もあって、とても心強い存在ですね。

有するスキルを総動員して正確性と迅速性を両立

――陳さんが担当している業務内容を教えてください。

陳 英珉(以下、陳) 私はデータアーキテクトグループで活用しているETLツール(散在するデータを収集・加工するツール)を、既存のものからGCPに統合されたサービスである「Dataform」に移行する業務を担当しています。

――陳さんが常駐したのは、高田さんが常駐しはじめて6か月後のことですが、そもそも、なぜETLツールをリプレースする必要があったのでしょうか。

孫 かねてからデータ活用基盤としてGCPを利用していましたが、ETLツールの一部に内製したものを使っていました。ただ、このツールは、つくりが独特かつドキュメントなどもそろっていないので、慣れていない人には扱うのが難しい代物でした。そこで「Dataform」に移行して、メンテナンスなどの業務効率を上げることを検討したのです。そんな折、弊社に常駐いただいていた高田さんの働きぶりを見て、DAの常駐メンバーなら移行作業も安心してお任せできると考えて依頼しました。

――陳さんが、仕事をする上で心掛けていることはありますか。

 正確さが求められる仕事なので、コードや作業手順に問題ないかは特に注意しています。具体的には、元のツールのコードを1つ1つ再現しながら確認して、問題がなければ本番環境に移行するようにしています。

 陳さんには、かなり細かいところまでチェックしてもらっています。既存のツールに潜んでいたバグや使われてないテーブルなどを見つけて、修正や削除の提案をしてもらえるのはとても助かります。また、移行作業を進めていると、移行前と後でデータベースのテーブルの数にズレが生じることがありますが、その状況と対応策を、資料にまとめて報告してもらえることもありがたいですね。これは高田さんも同様ですが、仕事の正確性やスピード感も申し分ありません。移行対象のテーブルは20ほどありましたが、スケジュール通りに作業が進んでいるので、安心してお任せできます。

――作業を効率的に進めるために、工夫していることがありそうですね。

 「Python(データの収集やデータ分析領域でよく利用されるプログラミング言語)」を使って、データの移行作業を自動化しています。かつてイギリスの大学院で「Python」を学んだ経験が役に立ちましたね(笑)。

 移行作業を自動化してしまうのは、お見事でした。陳さんの仕事ぶりを見て、私自身もとても刺激を受けています。

常駐メンバーのスキルアップを実現させるDAのサポート体制も評価

――それぞれ常駐前に準備したことがあれば教えてください。

高田 GCPのツールやSQL(データベースを操作するためのプログラミング言語)については、常駐前に研修や書籍で改めて勉強しました。DA社内には、各ツールの使い方に関する資料が豊富なので、そのような資料も活用しました。私の業務では「Looker」で可視化するためのクエリ(データベースに対する命令文のこと)を「LookML」を使って作成しますが、「LookML」に関する知識も社内研修で得ることができました。

陳 GCPに関しては、DAの社内研修で得た知識がとても役に立っています。ちなみに研修後にはGCPの資格を取得したり、データのパイプラインの構築から可視化まで実装して、DA社内でプレゼンしたりもしました。

 社内で、常駐メンバーの皆さんのスキルを上げるサポート体制が整っていることも、DAの「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」を評価していることの1つです。他の業務委託先と比べると、特に手厚い印象があるので、こちらも安心して仕事をお任せできます。

――高田さんと陳さんが携わっている業務が貴社のビジネスにどのようにつながるか、考えをお聞かせください。

孫 高田さんにお願いしているインセンティブ機能に関するところだと、データを分析することで、顧客満足度の高い乗務員の行動や習慣が明らかになります。この結果はサービスの品質向上につなげることが可能です。また、陳さんが進める業務は、内部作業の効率化を実現し、コスト削減に直結する取り組みなのはいうまでもありません。つまりお二人の仕事は、どちらも経営に与えるインパクトは大きいと考えられます。

――本日は貴重なお話をありがとうございます。それでは最後に今後の展望をお話しいただけますでしょうか。

 現在、『GO』は2,600万ダウンロードを突破していますが、1億2千万という日本の人口を考えればまだまだ伸びしろがあると考えています。さらにインバウンド需要も取り込んでいければ更なる成長が見込めます。今後も、ユーザーを理解し、新たな価値を提供しながら、事業の成長を実現し続けていくためにも、DAとは長期的なお付き合いをお願いしたいところです。

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