DX推進に不可欠なビッグデータとは?メリットや成功事例を解説

ナレッジ
2025.06.23
タイトルを示した画像:DX推進に不可欠なビッグデータとは?メリットや成功事例を解説

この記事では、企業活動におけるビッグデータを用いたDXがなぜ重要視されているのか、DXとビッグデータの概要も踏まえ、以下のステップで解説します。

  • DXとビッグデータの概要
  • DX×ビッグデータのメリット
  • DX×ビッグデータの成功事例
  • DX×ビッグデータ推進のポイント
  • DX×ビッグデータの未来

執筆者のご紹介

名前:高田 明志
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アカウントマネジメント室
業務内容:大手通信サービス企業に常駐。スマホアプリの新機能評価の為の分析要件に沿った分析ログの設計、データマートの作成やLooker用可視化クエリ(LookML)の作成。
経歴:独立系SIer企業にて損害保険会社の契約管理システムの保守開発業務に従事。2023年7月よりメンバーズ株式会社に入社。

 

 

「データはあるのに、活かせない」を解決しませんか?

多くの企業がDXを掲げる一方、「データをどう事業成果に繋げるか」という最も重要な壁に直面しています。データ基盤を整えても、そこからビジネス価値を生み出せなければ意味がありません。
弊社は、データ領域のプロフェッショナル人材の提供により、お客さまのステージに合ったデータ活用~定着を継続的に支援します。
関連資料:DX×データ活用で組織と事業を推進!

 

01.DXとビッグデータの概要

 

 01-1.DXとは?

「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセス、文化等を変革することを指します。例えば、従来の紙ベースの業務をデジタル化して業務効率を向上させたり、顧客体験を向上させたりします。DXは、単なるITツールや技術の導入にとどまらず、企業全体の価値を高めるための戦略的な取り組みです。今の時代、競争が激化している中で、DXを進めることは企業の成長にとって不可欠です。

 

 01-2.ビッグデータとは?

ビッグデータとは、従来のデータベース管理ソフトウェアやデータ処理ツールでは扱うのが難しい、大規模で多様性に富んだデータの集合を指します。具体的には、企業が日常的に生成する取引データ、顧客の行動データ、SNS上の投稿、IoTデバイスからのセンサー情報、さらには動画や音声データなど、多岐にわたります。
データの形式は多様で、行と列で整理された構造化データに加え、テキスト・画像・動画といった非構造化データも含まれます。特に非構造化データは全体の大半を占めており、これを活用するための技術や体制の整備が、企業にとっての新たな課題となっています。

 

 01-3.ビッグデータの5つのVとは?

ビッグデータにはVolume(量)、Velocity(速度)、Variety(多様性)、Veracity(正確性)、Value(価値)の5つの特性があると言われています。

  1. Volume(量): ビッグデータは膨大な量のデータを扱います。これにより、企業はより多くの情報を分析し、意思決定の質を向上させることができます。
  2. Velocity(速度): データはリアルタイムで生成され、流れています。例えば、SNSの投稿やトランザクションデータは瞬時に生成されるため、迅速な分析が求められます。
  3. Variety(多様性): ビッグデータは多様なソースから集まります。構造化データ、非構造化データ、半構造化データなど、様々な形式のデータを統合して分析する必要があります。
  4. Veracity(正確性): ビッグデータの正確性や品質の管理は簡単ではありません。誤ったデータに基づく判断は、企業にとって重大なリスクをもたらすことがあります。
  5. Value(価値): ビッグデータは分析することで新たな価値を生み出します。顧客のニーズを把握し、マーケティング戦略を最適化することで、ビジネスの成長に貢献します。

 

02.DX×ビッグデータのメリット

 

 02-1.データドリブン経営:データ活用がもたらす意思決定の変革

ビッグデータを用いたデータドリブン経営の実現により、企業はデータに基づいた迅速かつ正確な意思決定が可能になり、競争優位性を高めることができます。例えば、リアルタイムでの売上や顧客の行動データを分析することで、マーケティングキャンペーンの効果を即座に評価し、戦略を見直すことができます。ある小売業者では、データ分析を活用して在庫管理を最適化し、売れ筋商品を迅速に補充することに成功しました。このように、データに基づく意思決定は、企業の運営効率を向上させるだけでなく、変化する市場環境への迅速な適応を可能にします。

 

 02-2.顧客体験の革新:パーソナライズ、CX向上

ビッグデータを活用することで、企業は顧客に対してパーソナライズされた体験を提供できるようになります。顧客の購買履歴や嗜好を分析することで、個々のニーズに応じた商品やサービスを提案することが可能です。例えば、あるECサイトでは、ユーザーの閲覧履歴に基づいてレコメンド商品を提示し、クリック率や購買率の向上につなげています。こうした取り組みは、顧客満足度を高めるだけでなく、リピート率や顧客ロイヤルティの向上にも寄与し、LTV(顧客生涯価値)の最大化に直結します。

 

 02-3.新たな価値提供

ビッグデータ分析によって、新たなビジネス機会を創出することができます。企業は市場のトレンドや顧客のニーズを深く理解することで、新規サービスの開発や既存サービスの改善を行い、競合優位性を確立できます。例えば、あるフィンテック企業は、顧客の取引データを分析して新しい金融商品を開発し、従来の金融機関に対抗することに成功しました。このように、ビッグデータを活用することで、企業は市場の変化に迅速に対応し、革新的なサービスを提供することもできます。

 

 02-4.業務効率化:自動化、最適化

業務プロセスの自動化もビッグデータの活用によって促進することができます。例えば、製造業においては、機械の稼働データや生産データをリアルタイムで監視し、異常を早期に検知することで、メンテナンスのタイミングを最適化できます。これにより、ダウンタイムを最小限に抑え、生産効率を向上させることができます。また人事や財務などの管理部門での例として、従業員のパフォーマンスデータを分析することで、適切な人材配置や育成プランを立てることができ、業務の効率化が進みます。さらに、経費データを分析することで、コスト削減の機会を見出し、無駄を排除する施策を実行することも可能です。

 

03.DX×ビッグデータの成功事例

 

 03-1.【EC事業】事業部全体にデータドリブンな意思決定プロセスの定着を支援

  • ・課題
  1. データ分析基盤を利用する際にデータ基盤チームを間に挟むことが多く、データ活用までのリードタイムが長い。
  2. データ活用需要や事例は高まり続けるも、事業部全体の意思決定をデータドリブンなものとするに至っていない。
  • ・施策
  1. 蓄積したユースケースを分析し、データ分析基盤の見直しと非データ人材がSQLなしにデータ集計・利用を可能にする仕組みを開発する。
  2. 事業部全体のKGI設計、KPI設計を事業企画部と共同で実施。その内容を元に感度分析、予測モデルを開発し注力指標を特定。予算配分や施策優先度決定に利用できるようにする。
  • ・成果
  1. データ基盤チームのリソースに依存せずデータが利用できるため、関係者全ての工数が削減された。また、この成功事例を元にさらなるセルフ化を進めていく方針が定まった。
  2. あらゆるアクションが事業部全体のKPIに紐づくため、施策優先度や予測モデルとの差分による実効性の把握が定量データにより評価することができるようになった。

 

 03-2.【小売業】顧客ロイヤルティの可視化

  • ・課題
    顧客のロイヤルティを可視化したいが定義が定まっていない。データ分析基盤に顧客データや販売データはたまっているがリソース不足により対応できる人材がおらず活用できていない。
  • ・施策
    RFM分析により既存顧客をスコアリングし5つに分類する。その分類を元に部門責任者と合意形成し、ロイヤルティの定義を明確化する。ダッシュボードを作成し可視化を実現。
  • ・成果
    クライアント社内で顧客ロイヤルティについて共通認識が生まれ、施策検討の際に活用できるようになった。

 

04.DX×ビッグデータ推進のポイント

 

 04-1.目的の明確化と仮説設定:データ活用戦略を明確にする

DXを推進するためには、まず目的を明確にし、現状の分析と課題の特定をすることが不可欠です。企業は自社の強みや弱みを把握し、どのようなデータを活用することで課題を解決できるのかを考えます。たとえば、売上が伸び悩んでいる企業であれば、顧客の購買データを分析し、施策を見直すことが考えられます。
次に、データ活用戦略を策定します。この段階では、どのデータを収集し、どのように分析するのか、具体的な仮説を設定します。たとえば、「特定の商品のプロモーションを強化することで、売上が10%増加する」という仮説を立てることができます。これにより、データ収集や分析の方向性が定まります。

 

 04-2.データ基盤構築:データ収集、統合、管理の仕組み

データを活用するには、まずデータ基盤を構築する必要があります。これには、データの収集方法を検討することが含まれます。社内で生成されるデータ(購入履歴や顧客情報など)だけでなく、外部データ(市場データや競合情報など)も活用することで、より豊富な分析が可能になります。
次に、データを効率的に統合・管理するための基盤が必要です。データウェアハウス(DWH)やデータレイクといった技術を使うことで、大量のデータを一元管理し、分析しやすい状態に整えます。また、データセキュリティ対策も重要です。顧客情報などのセキュリティを確保するために、アクセス制御やデータ暗号化などの対策を講じる必要があります。

 

 04-3. 技術選定と導入:最適なツール、システムを選ぶ

データ基盤が整ったら、次はデータ分析に必要なツールやシステムを選定します。ここでは、BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールやデータ分析ツールを検討します。これらのツールを使うことで、視覚的にデータを分析し、意思決定をサポートします。
また、クラウドサービスとオンプレミス(自社サーバーでの運用)など、導入形態についても考慮します。クラウドサービスはスケーラビリティが高く、初期投資を抑えられるため、特に中小企業にとって魅力的です。
加えて、導入前にPoC(概念実証)を実施することで、実環境での有効性やリスクを事前に検証し、より安心して導入を進めることができます。

 

 04-4. 人材育成と組織変革:データ活用人材を育成し、組織文化を変える

ビッグデータを活用するためには、ツールだけではなく、適切な人材が不可欠で、データサイエンティストやデータエンジニア、データアナリストといった専門職人材を育成することが重要です。これらの人材は、データの分析や解釈を行い、ビジネス上の意思決定に貢献します。
また、データ活用を促進するための組織文化の醸成も必要です。全社員がデータを活用する意識を持ち、データに基づく意思決定を行うことができる環境を整えることが求められます。定期的な研修やワークショップを通じて、データ活用の重要性を理解してもらうことが効果的です。

 

 04-5. スモールスタート:段階的に導入を進める

DXとビッグデータの導入は、一度に全てを行うのではなく、スモールスタートで段階的に進めることが推奨されます。まずは一つの部門や業務から始め、成功体験を積むことで、他の部門への横展開を図ります。たとえば、マーケティング部門でのデータ活用を成功させた後、販売や製造部門に展開することができます。
この段階では、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を取り入れることが重要です。データ活用の成果を定期的に評価し、必要に応じて改善策を講じることで、より効果的な分析を行うことができます。

 

05.DX×ビッグデータの未来

 

今後、DXとビッグデータの可能性は、IoT、AI、5Gといった先進技術との連携によってさらに広がっていくと予想されます。たとえば、IoTデバイスがリアルタイムでデータを収集し、さまざまな環境や状況を把握します。これにより、企業は顧客の行動やニーズを的確に捉え、迅速に対応できるようになります。次に、収集されたデータをAIによって解析し、パターンやトレンドを特定することで、迅速かつ精度の高い意思決定が可能になります。AIの分析結果は、マーケティング戦略や製品開発に役立つ情報を提供し、競争力を向上させます。そして、5Gの高速通信により、大量のデータが瞬時に送受信されるため、IoTとAIの連携が一層強化されます。これにより、企業はより多くのデータを活用し、効率的かつ効果的なビジネス運営が可能になります。このように、新たな技術が統合されることで、更なる顧客体験(CX)の向上や新しいビジネスモデルの創出が進むことが期待されます。

 

まとめ

「DX×ビッグデータ」を推進することは、企業が競争力を高めるために不可欠な要素です。データドリブン経営を実現することで、迅速かつ正確な意思決定が可能になり、顧客体験のパーソナライズや業務の効率化が進みます。DX×ビッグデータの推進するにあたり、ポイントとしては目的の明確化、データ基盤の構築、適切な技術選定、人材育成、スモールスタートによる段階的な導入が挙げられます。今後の未来においては、IoT、AI、5G等の新しい技術との連携により、リアルタイムでのデータ収集と解析が強化され、顧客ニーズに迅速に応える新たなビジネスモデルの創出が期待されています。これらの取り組みにより、企業は持続的な成長を遂げ、変化する市場環境に柔軟に対応できるようになります。

 

\ データ活用についてのご相談はメンバーズデータアドベンチャーまで /

 お問い合わせはこちら > 

\ 相談する前に資料を見たいという方はこちら /

 資料ダウンロードはこちら > 

▶こちらも要チェック

ベネッセ、メンバーズ、生成AI活用の先駆者が語るデータマネジメントの重要性と未来

 

高田 明志

 

自走力が高く、“中の人”目線で動ける
データ活用のプロフェッショナルを提供します

お問い合わせ

データ活用のプロになるための
学習・実践環境を用意します

採用情報