AIを「入れた会社」と「使える会社」 ―二極化の分かれ目は、モデルから文脈へ―【2026年AIトレンド】

利用者は増えた。業績の数字は動かない。
全社に生成AIを配って1年あまり、経営会議で「それで、効果は」と聞かれ、言葉に詰まる推進担当者は少なくありません。 ライセンスを更新したり、社内の勉強会を開いたり、様々な施策を進めても事業の数字に届いた手応えがない状態です。
これは一社の不運で片付く話ではなさそうです。2026年に公表された国内外の調査を並べると、共通する課題が市場全体で見られます。しかも成果の分かれ目は、多くの企業が気にしている「どのAIを選ぶか」とは別の場所にあります。
この記事で分かること
- ・生成AIの活用・推進9割に対し、期待以上の成果は1割。データから読み解く生成AIの実態と経営課題
- ・2026年トレンド:差がつく場所が、モデルの性能から「AIに渡す文脈」へ
- ・成果を出している企業に共通する3つの状態と、経営が手放してはいけない2つの判断
▶目次
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー
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01. 導入率は日米とも9割、期待を大きく超えたのは日本で1割【市場・全体像】
日本と米国の大企業で比べると、生成AIの導入率はほぼ横並びになりました。差が開いているのは、その先の成果です。
この構図をいちばん鮮明に示しているのが、PwC Japanグループが2026年6月に公開した「生成AIに関する実態調査2026 春 6カ国比較」です。見出しの数字だけが切り取られて広まりやすい調査なので、まず中身を確認しておきます。
調査概要
回答者は、売上高500億円以上の企業に勤める課長職以上で、自社の生成AI導入に何らかの形で関わっている人です。日本は2026年2月に932人、米国は3月に670人が回答し、英国・中国・ドイツ・韓国を加えた6カ国で比べています。
ここに並ぶ数字は、全企業の平均でも決算の実績値でもなく、「大企業で生成AIの推進に関わる管理職が、自社の現状をどう評価しているか」を表します。この前提を押さえておくと、以降の数値を実態と乖離することなく、読み解くことが可能です。
導入率はほぼ横並びに
自社で生成AIを「活用中」または「推進中」と答えた割合は、日本87%、米国90%でした。日本のこの割合は2024年の67%から2年で20ポイント伸び、米国とほぼ並んでいます。
効果の聞き方と日米の差
効果は「当初の期待に対して、現時点の効果はどうか」という形で尋ねています。選択肢は5つ。活用中・推進中の企業に絞った結果は次のとおりです。
| 当初の期待に対する効果 | 日本 | 米国 |
|---|---|---|
| 期待を大きく上回っている | 10% | 42% |
| 期待通りの効果があった | 54% | 48% |
| やや期待を下回る | 20% | 8% |
| 期待とはかけ離れた結果になった | 2% | 2% |
| まだ効果を評価できていない | 14% | 0% |
出典:「生成AIに関する実態調査2026 春 6カ国比較」(PwC Japanグループ)https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/generative-ai-survey2026.html(2026年10月26日に利用)
「期待を大きく上回っている」は日本10%、米国42%。4倍を超える開きがあり、日本は6カ国で最も低い数字でした(英国36%、中国20%、ドイツ19%、韓国12%)。
この表で見ておきたい点が3つあります。
1つ目は、「期待通り」の扱いです。「大きく上回る」と「期待通り」を合わせると、日本でも64%が期待以上と答えています。数字だけ見れば、半数以上はうまくいっているように見えます。ただし、ここでいう期待は各社それぞれの基準です。PwCは、日本企業は他国に比べて効果の程度を具体的に想定していない割合が高く、期待している効果の水準も全体に低いと指摘しています。
2つ目は、「まだ効果を評価できていない」の14%です。米国は0%でした。この中には、まだ案件を推進している段階の会社も含まれます。それでも、活用・推進中と答えた人のおよそ7人に1人が効果を語れずにいます。米国との差は小さくありません。
3つ目は、時間の経過です。日本で「大きく上回る」と答えた割合は、2024年9%、2025年10%、2026年10%と、3年間ほとんど動いていません。同じ期間に、活用・推進中の企業は67%から87%へ増えました。つまり使う会社は増えましたが、大きな成果を出す会社の比率は増えていないと言えます。
世界に目を移すと、景色は少し違います。BCGが2026年9月に公表した調査は、AIから価値を引き出している企業が全体の約半数に達したとし、「ほとんどの企業がAIから何も得ていない」という見方はもはや当たらないと示しました。世界では成果を出す会社の層が見え始めています。
出典:「The Applied AI Index 2026」(Boston Consulting Group)https://www.bcg.com/press/30september2026-ai-starting-to-pay-off-companies-generate-value(2026年10月26日に利用)
一方で、McKinseyの2026年の調査では、営業利益(EBIT)の5%以上がAIによるものだし、かつ大きな価値を得ていると答えた「ハイパフォーマー」は回答者の約6%にとどまり、前年から増えていません。つまり成果を出し始めた会社は増えましたが、利益の水準を変えるほどの成果は、いまも一握りです。
出典:「The state of AI in 2026: On the road to ROI」(McKinsey & Company)https://www.mckinsey.com/~/media/mckinsey/business%20functions/quantumblack/our%20insights/the%20state%20of%20ai/the-state-of-ai-in-2026-on-the-road-to-roi.pdf(2026年10月26日に利用)
入れることは、もう差になりません。差になるのは、入れたあとです。
数字を読むときの注意
- ・PwCのWeb版で紹介されている「日本9%・米国38%」は、全回答者が分母です。本記事では、実際に活用・推進している企業に絞った「10%・42%」を使っています。
- ・本記事で取り上げている調査は、いずれも回答者による評価です。財務データで検証した数字ではありません。
- ・成果の出ている企業に見られる特徴は「同時に見られる傾向」です。それが成果の原因だとまでは、調査からは言えません。
- 生成AIの活用・推進は、日本87%、米国90%でほぼ横並び
- 期待を大きく上回る成果は、日本10%、米国42%。日本の比率は3年間ほぼ横ばい
- 日本では14%が、効果をまだ評価できていない
02. 二極化は、2つの層で起きている【構造】
AIを「入れた会社」と「使える会社」の二極化は、2つの層で起きています。1つ目は会社と会社のあいだ、2つ目は一つの会社の中です。順番に見ていきます。
02-1. 1つ目の層 会社と会社のあいだ:成果の出る会社と、出ない会社
PwCの調査は、効果が期待を「大きく上回る」と答えた日本の回答者(83人)と、「やや期待を下回る」「期待とはかけ離れた結果になった」と答えた回答者(177人、以下「期待未満」)を比べています。差の大きかった項目を抜き出しました。
| 項目 | 期待を大きく上回る | 期待未満 |
|---|---|---|
| 生成AIを業務プロセスに正式に組み込んでいる | 81% | 14% |
| 担当者の判断で任意に使っている | 11% | 46% |
| 社長直轄で推進している | 39% | 9% |
| IT部門が推進している | 29% | 48% |
| 特定の部署に限らず全社的に活用している(予定を含む) | 63% | 34% |
| AIエージェントを導入済み・導入中 | 72% | 21% |
目を引くのは、AIの性能に関わる項目がほとんど並ばないことです。差が出ているのは、AIを業務のどこに、誰の責任で置いているか。成果の出ている会社では、AIが「使ってもよい道具」の位置にとどまらず、業務の手順に組み込まれた工程になっています。
もう一つ、見落とされがちな数字があります。成果の出ている層どうしで日米を比べると、差はほとんどありません。業務プロセスへの正式な組み込みは日本81%、米国83%。AIエージェントの導入は日本72%、米国77%。部門間の連携が円滑だと答えた割合は、どちらも81%でした。
差があるのは、そうした会社が国全体に占める割合のほうです。活用・推進・検討中の回答者全体で見ると、業務プロセスへの正式な組み込みは日本30%、米国65%でした。日本企業だから成果が出ない、という話ではなく、成果の出る構えをとっている会社がまだ少ないと読み取れます。
02-2. 2つ目の層 会社の中:使う人と、使わない人
二極化は、一つの会社の中でも起きています。
総務省の『令和8年版 情報通信白書』によれば、自社の何らかの業務で生成AIを利用していると答えた割合は、日本86.4%でした。米国(90.9%)やドイツ(91.6%)に迫る水準です。
ところが、生成AIによる業務の見直しについて「組織的な取組はない」と答えた割合は、日本が27.0%。米国1.4%、ドイツ4.9%、中国2.6%と比べると、数倍から十数倍の開きがあります。大企業に限っても18.1%ありました。
同じ調査の報告書には、もう一歩踏み込んだ数字があります。社員が生成AIを使える環境を整えた日本企業でも、59.8%が「一部の関心の高い個人のみが活用しているに留まる」と答えました。米国は29.0%です。逆に「多くの社員が活発に利用している」は、日本33.4%に対して米国70.3%でした。
出典:「令和8年版 情報通信白書」(総務省)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/pdf/00zentai.pdf(2026年10月26日に利用)
IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」も同じ傾向を示しています。生成AIを導入・試験利用・検討している企業のうち、「個人で業務利用している」は63.3%。「部署の業務プロセスに組み込まれている」は11.9%にとどまりました。帝国データバンクの2026年3月の調査では、生成AIを活用している企業の18.8%が、「AIを使いこなせる社員と使いこなせない社員の間で、能力や成果の格差が拡大した」と答えています。
出典:「DX動向2026」(独立行政法人情報処理推進機構)https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-2026.pdf(2026年10月26日に利用)
出典:「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(帝国データバンク)https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260514-genai/(2026年10月26日に利用)
個人は使っている。組織としては使えていない。
メンバーズが支援したある物流系のIT企業も、当初はこの状態にありました。全社にCopilotを導入したものの、使っているのは一部の社員だけ。推進リーダーは本業に追われ、推進に割ける工数は実質ゼロでした。「導入はしたが使われない」この構図は、規模や業種を問わず繰り返し現れます。
これらの2つの層の根は同じです。社内で一部の人しか使っていない会社は、AIを業務の手順に組み込めていない会社でもあります。個人の工夫に任せているかぎり、その工夫は組織の成果として積み上がりません。結果として、会社同士の比較でも「入れただけ」の側にとどまります。
- 会社と会社のあいだ:成果の差は、AIを業務の手順に組み込んでいるかどうかで大きく開く
- 成果の出ている層どうしでは、日米の差はほぼ消える
- 会社の中:使える環境があっても、日本では約6割が「一部の個人だけ」の利用にとどまる
03. 差がつく場所が、モデルから文脈へ移った【トレンド】
2026年のAIのトレンドを一言でまとめるなら、性能の競争が収束に向かい、差が「文脈」の側へ移ったことです。
03-1. モデルの差は、見分けがつかない水準へ
スタンフォード大学HAIの「AI Index Report 2026」では、最先端のモデルが「互いにほぼ見分けがつかない(nearly indistinguishable)」水準になったと書かれています。人の評価をもとにしたモデル比較(Arena)では、主要4社の最上位モデルの差が、前年版の約97ポイントから、2026年3月時点で25ポイント未満まで縮みました。報告書は、今後はコスト、応答の速さ、信頼性、特定分野への最適化が選ばれる理由になっていくとみています。
出典:「AI Index Report 2026」(Stanford HAI)https://hai.stanford.edu/ai-index/2026-ai-index-report(2026年10月26日に利用)
どのモデルを選んだかで、業績の差を説明するのは難しくなりつつあります。目まぐるしく入れ替わる性能ランキングを追いかけても、自社の成果には結びつきにくいのが実情です。
03-2. AIに足りないのは、自社の文脈
では、何が差を生むのか。
優秀な中途社員を迎えた初日を思い浮かべてください。地頭も経験も申し分ない。それでも、社内の言葉の定義、過去の判断の経緯、どの数字を信じてよいかを知らなければ、最初の1か月は的外れな提案が続きます。いまのAIは、この中途社員に近い状態にあります。能力は十分にあるのに自社の文脈が不足している状態です。
ここでいう文脈とは、用語の定義、判断の基準、参照すべきデータ、そして過去の経緯のことです。AIの開発元も、同じ点を強調しています。Anthropicは2025年9月の論考で、AIに渡す文脈を「重要だが、有限な資源」と位置づけ、望む成果につながる情報をできるだけ少なく、密度高く渡すことが重要になると示しました。
出典:「Effective context engineering for AI agents」(Anthropic)https://www.anthropic.com/engineering/effective-context-engineering-for-ai-agents(2026年10月26日に利用)
多く渡せば賢くなる、というわけでもありません。長い入力の中ほどに置かれた情報ほど、モデルは拾いにくくなります。2024年に学術誌で発表された研究は、この傾向を「Lost in the Middle」と名づけました。社内文書を丸ごとAIにつないでも、精度は上がらない可能性があると考えられます。かえって下がることもあるかもしれません。
出典:「Lost in the Middle: How Language Models Use Long Contexts」(Transactions of the ACL)https://aclanthology.org/2024.tacl-1.9/(2026年10月26日に利用)
03-3. 日本企業の差は、文脈の側に出ている
この観点で調査を読み直すと、日本企業の弱点がどこにあるかが見えてきます。
総務省の調査(情報通信白書)では、生成AIで組織的な取り組みをしている企業に限っても、社内データを学習させている、または参照用のデータベースを構築していると答えた割合は日本24.5%、米国57.2%、ドイツ54.4%、中国73.0%でした。「特に施策はない・把握していない」は、日本19.9%に対し、米独中はいずれも1%未満です。
IPAの調査(DX動向2026)では、AIの導入効果について答えた企業(1,192社)のうち、学習データを「整備しており、AIに活用している」のは7.0%でした。期待と同等以上の効果が出ている企業では19.4%、効果が出ていない企業では0.8%です。
PwCの調査(生成AIに関する実態調査2026 春 6カ国比較)で、効果が期待未満だった回答者(177人)が挙げた理由の最多は「データ・ナレッジの量・質は十分だが、生成AIが理解しやすい形式で整備されていない」(39%、上位3つまでの合計)でした。「データはあるのにAIが読み取れる形になっていない」現場ではこう受け止められています。
問われているのは、モデルの選定ではありません。何を、どの定義で、どの判断基準とともにAIに渡すか。自社の業務の文脈を、AIが参照できる形で持っているかどうかです。その文脈を社内の誰がどう整えていくのかは、以下の記事で取り上げます。
- 上位モデルの性能差は、ほぼ見分けがつかない水準まで縮んだ
- 差を生むのは、AIに渡す定義・判断基準・データという「文脈」
- 成果の出ない会社では「データはあるが、AIが読める形になっていない」という認識が最も多い
04. 「使える側」に共通する3つの状態【最重要】
成果を出している企業の共通点は、特別なツールでも、大規模な予算でもありません。メンバーズが支援の現場で見てきた「使える側」の企業には、次の3つの状態がそろっています。
04-1. ① 起点の限定
全社展開から始めない。AIで良くしたい意思決定を一つに絞り、そこで成果を出してから広げます。範囲が狭いからこそ、渡すべき文脈がはっきりします。
PwCの調査でも、効果が期待を大きく上回った理由の1位は、日米ともに「ユースケース設定」でした(日本34%、米国49%)。何に使うかを先に決めた会社が成果を出しています。
04-2. ② 文脈の常設化
AIに渡す定義・判断基準・参照データが、特定の担当者の頭の中を離れ、組織の中に置かれている状態です。この状態であれば、担当者が異動してもAIの答えの質は落ちません。メンバーズは、この状態をつくるために「AI-Readyデータの整備」や「業務資産化」を支援しています。03章で見た、データを整備しAIに活用している企業の割合(効果が出ている企業で19.4%、出ていない企業で0.8%)は、この状態と成果が重なって現れていることを示しています。
04-3. ③ 現場の当事者化
AIの出力に違和感を持ったとき、現場がそれを「使えない」で終わらせず、直すべき課題として返す。使う人がAIを育てる側にも回っています。
PwCの調査では、事業部門と、IT・法務・リスク管理などの部門との連携が「概ね円滑」と答えた割合が、効果が期待を大きく上回る層で81%、期待未満の層で7%でした。McKinseyの調査でも、ハイパフォーマーの約4分の3が業務の流れを根本から見直したと答え、それ以外の回答者では約4分の1にとどまっています。AIを既存の業務に足すより先に、業務の側を組み替えているのです。こうした取り組みは、DX(デジタルトランスフォーメーション)になぞらえてAX(AIトランスフォーメーション)と呼ばれるようになりました。
これら3つの状態は、AXが現場に定着した姿と考えられます。
ただし、3つは一度に整えるものではありません。AIを使いながら整え、整えながら使う。準備の完了を待つ企業ほど「入れただけ」の側に長くとどまります。
- 起点の限定/文脈の常設化/現場の当事者化
- 準備の完了を待たず、使いながら整える
05. 経営が手放してはいけない2つの判断【経営判断】
3つの状態は、現場の努力だけではそろいません。調査を読むと、成果の出ている会社では経営が前に出ていることが分かります。
PwCの調査では、生成AIを社長直轄で推進している割合が、効果が期待を大きく上回る層で39%、期待未満の層で9%でした。CAIO(最高AI責任者)を置いている割合は57%と7%です。McKinseyの調査でも、ハイパフォーマーは経営層がAIの取り組みに本気で関与していると答える割合が、その他の回答者の約2倍でした。
社長直轄にすれば成果が出る、という因果までこれらの調査から読み取ることはできません。ただ、成果の出ている会社で経営トップが推進を握っている割合が4倍あるという事実は、偶然では片付けにくい数字です。
では、経営は何を握ればよいのか。ここでは手放してはいけない判断を、2つに絞ってご紹介します。
判断1:どの意思決定から始めるか
全社展開をIT部門に任せると、目標は「利用率」になりがちです。利用率は上がっても、どの意思決定が良くなったのかは、誰にも説明できません。どの意思決定をAIで良くするかは、事業の優先順位そのものです。現場やIT部門に預けてよい判断ではありません。
判断2:何をもって効果とするか
JUASの「企業IT動向調査報告書2026」によれば、言語系の生成AIを導入済み、または試験導入・導入準備中の企業の51.9%が、導入時に効果測定を行っていません。IPAの調査では、AIの導入効果があったと答えた企業のうち、効果の中身として「業務が効率化・迅速化した」を挙げたのが91.6%、「売上や利益が向上した」は3.9%でした。
出典:「企業IT動向調査報告書2026」(一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会)https://juas.or.jp/cms/media/2026/04/JUAS_IT2026.pdf(2026年10月26日に利用)
物差しが「削減できた時間」しかなければ、経営会議の「それで、効果は」に答えられないかもしれません。McKinseyの調査でも、ハイパフォーマーは、AIの効果を数値で把握する手順を定めていると答える割合が、その他の約2倍でした。効果を何で測るかを、導入の前に決めておく必要がありそうです。具体的な効果の測り方は、他の記事で詳しく解説しています。
- 成果の出ている会社では、経営トップが推進を握っている割合が高い
- 経営が手放してはいけないのは、「どの意思決定から始めるか」と「何をもって効果とするか」
06. メンバーズのご支援
メンバーズデータアドベンチャーカンパニーは、自社でAIツールを持たない立場から、企業のデータ・AI活用をご支援しています。特定の製品を売る必要がないため、議論の起点はいつも「どの意思決定を良くするか」にあります。ツールの比較はその後です。
直近のAI活用支援の実例は110件。そこから再現できるユースケースの型を43にまとめ、記録上、実例の約8割が本番運用まで到達しました。AXをPoCで終わらせず、AIが業務の中で使われ続けるところまでをご支援の範囲としています。
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー
AI活用の土台となるデータ整備をはじめとした、データ領域におけるプロフェッショナル常駐サービスを提供しています。まずは情報収集からでも、お気軽にお問い合わせください。
07. 自社はどちら側か。3つの問い【現在地の確認】
最後に、自社の現在地を確認する問いを3つ挙げます。即答できない問いがあれば、そこが自社を「入れただけ」の側に引き留めている場所かもしれません。
問い1|AIを日常的に使っている人を、部署ごとに名前で挙げられますか。
挙がる名前が数人に偏っているなら、企業内の二極化が始まっています。
問い2|AIの答えが外れたとき、何が足りなかったのかを説明できる人はいますか。
「AIの精度が低い」で話が止まっているなら、足りないのはモデルより、文脈のほうかもしれません。
問い3|AIに渡している定義や判断基準は、担当者が異動しても残りますか。
個人のプロンプトやメモの中にしかないなら、文脈はまだ組織のものになっていません。
08. 編集後記:差は、見えない場所で開いている
AIのトレンドを追うと、新しいモデルや機能の話題に目が向きがちです。それ自体は、追う意味のある情報です。ただ、成果の差を生んでいるのは、ニュースになりにくい場所でした。社内の定義、判断の基準、そして違和感を拾い上げる現場の仕組み。
今回いくつもの調査を読み比べて、少し意外だったことがあります。成果を出している日本企業と米国企業は、ほとんど同じ顔をしていました。日米の差は、国の差というより、成果の出る構えをとった会社の数の差です。そう考えると日本企業に残されている余地は小さくありません。
モデルは、誰でも同じものを使える。文脈は、自社にしかない。
二極化の分かれ目は、その文脈を組織として持ち続けられるかどうかにあります。次の記事では、AIの導入後に社内の推進が止まる理由と、実装を前に進める5つの要素を整理します。
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