【導入事例】

クレディセゾンで活躍 本気のビジネス課題解決にデータのプロフェッショナル人材「常駐サービス」の薦め

クレディセゾンで活躍 本気のビジネス課題解決にデータのプロフェッショナル人材「常駐サービス」の薦め

 

データをビジネスに活用したいと思いつつも「そもそもデータをどう扱えばいいのか」と悩む企業は依然として多い。課題の大きさと自社の現状とのギャップを感じるなら「データプロフェッショナル人材の常駐サービス」という選択肢を知っておいて損はない

(出典:ITmediaエンタープライズ 2024年03月15日 10時00分 公開記事)

 

データ活用に成果を求めるならプロフェッショナルの手を借りるのが近道

 データ活用の重要性が叫ばれて久しいが、データのサイロ化に悩んだり、蓄積されたデータが膨大で何から手を付けるべきか分からず手をこまねいたりしている企業は依然として存在する。分析用のプラットフォームを構築してデータを利用する企業ももちろんあるが、今度は「思ったような成果が出ない」という別の壁が待っている。

 ビジネスにおけるデータ活用の目標は企業の環境や活用フェーズの段階にも左右される。「分析のためにデータを効果的に貯める」「意思決定の根拠となるインサイト(洞察)を導出する」「機械学習(ML)モデルによりサービスの自動化や高度化」などである。それらの課題解決には、分析従事者による基盤の構築やインサイト分析による戦略策定、頑健性のあるMLモデルの構築など、多岐にわたる技術を持つ人材の確保が必要となる。社内で一から始めるのもいいが、プロフェッショナルの手を借りればより迅速に目標を達成できるだろう。

「当部門は知見やノウハウの継承によるMLモデルの内製化を目指していますが、まだデータ活用の初期段階にある企業であれば、なおのことプロフェッショナル人材に常駐してもらうべきです」と語るクレディセゾン クレジット事業部 信用企画部(注)の長谷川 祐介氏に、メンバーズデータアドベンチャーカンパニー(以下、メンバーズデータアドベンチャー)の「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」を選んだ決め手と常駐サービスのメリット、今後このサービスを活用して取り組みたいことなどを聞いた。

注:部署名は取材時点のものです。


クレディセゾンの長谷川 祐介氏

“門外不出のデータ”を扱う業界こそ常駐サービスが向いている

 クレディセゾンはキャッシュレス社会の実現に向けて多様な決済サービスを提供するクレジットカード事業に加え、ファイナンス事業、グローバル事業などを展開している。同社にはデータ基盤をはじめとする分析環境が整備されており、現在はデータ分析専門の部署もある。

 長谷川氏が所属する信用企画部は、クレジットカードの審査基準の作成・企画を担当している。クレジットカード事業では、カード入会時や更新時における与信審査の精度が重要だ。「貸し倒れ」が起きれば少ない件数であっても利益の一部が帳消しになってしまうため、与信審査の精度はビジネス全体の利益に直結する。「与信審査は奥が深く、『学生はお断り』『年収○百万円以上の人はOK』といった単純なものではありません」(長谷川氏)

 長谷川氏はカード入会時や更新時などに実施する審査基準の企画に関わる業務と、それに付随する分析やモデル構築を担当している。当時、信用企画部にはMLモデルをフルスクラッチで自作するスキルを持つ社員は多くはなく、必要とされる分析やMLモデル作成というミッション達成には十分ではない状態だった。

 「与信ロジックの精度向上に必要なMLスキル保有者が足りない」「大規模データの分析によってビジネスインパクトを出せる人材が欲しい」「知識やノウハウを社内に継承したい」という課題を解決するために、高度なスキルを持つデータサイエンティストを外部から招き、MLモデルを構築することになった。そこで選んだのが、メンバーズデータアドベンチャーのサービスだ。

 同社によると、このサービスは高度データ領域のプロフェッショナル人材が「顧客企業のメンバーの一員」として常駐するため、顧客企業の内部でしか見られない情報にアクセスできることが大きな強みだ。受託型がレポートの作成など業務の一部を請け負うのに対し、常駐型はデータ活用プロジェクトの立ち上げ時期から完了まで、パートナーとして同じ目標に向けて伴走するところも特徴だ。

メンバーズデータアドベンチャーの強み

 長谷川氏は「金融サービス業は分析環境をセキュアに保つ必要があります。われわれもデータを外部に出すことは考えられず、他社に協力をお願いするに当たって常駐サービス以外の選択肢はありませんでした。ただし、こうした事情を抜きにしてもデータ分析業務にはそもそも常駐サービスが向いていると思います」と話す。

 事業部門で実施するデータ分析は、アウトプット結果やステークホルダーの意見によって当初の分析要件に細かな修正が発生する。「ここが、仕様書通りに進められる一般的な業務システムの構築とは異なるところだと思います。また、指示書で説明し切れない“データの持つ意味”を共有できなければ、多くの手戻りが発生したり、何も意味のない分析結果やMLモデルを作ってしまったりすることもあります」(長谷川氏)

 MLモデルを通じたアウトプットの精度を高めるためには、入力するデータ項目や使用するモデルの取捨選択で試行錯誤を繰り返し、微調整を重ねる必要がある。与信という専門性の高い業務に関する深い知識も必要だ。

「泥臭い作業ができる人」を探していた

 常駐サービスを念頭に検討を進めたクレディセゾンは、メンバーズデータアドベンチャーともう一社に候補を絞り込んだ。メンバーズデータアドベンチャーを選んだ理由は、「人」によるところが大きい。

 現在、クレディセゾンには同社のデータプロフェッショナル人材が4人常駐している。最初期から常駐しているデータサイエンティストの庄島 学氏について、長谷川氏は「実はメンバーズデータアドベンチャーさんだからというよりも、『この人と一緒に働きたい』と思って決めました」と話す。

 クレディセゾンの信用企画部は、常駐人材に求める条件として「MLモデルを自ら作成した経験があること」「PDCAを自身で回せること」「ビジネスサイドの人間と自発的にコミュニケーションが取れること」を挙げていた。それに加えて、「庄島さんには分析業務で重要な“精神力”が最もありそうだと感じました」(長谷川氏)。データサイエンティストには引く手あまたの高度人材という華やかなイメージがあるが、「実はかなり泥臭い業務」と長谷川氏は強調する。

 データからビジネスインパクトのある価値を導き出すまでには、分析の前後で膨大な作業量を地道にこなす必要がある。「MLのスキルに100%特化した方よりも、どうしても発生してしまうリトライに対して、ひざを突き合わせてビジネス観点、エンジニアリング観点を一緒に議論できる方とやりたいと思っていました」(長谷川氏)

常駐だからこそできたリリース前日のアクシデント克服

 庄島氏がデータサイエンティストとしてクレディセゾンに着任したのは2022年7月だった。庄島氏のミッションの大きな柱は与信審査業務のためのMLモデルを作ることだ。データ整備や分析、データ観点のシステム設計支援なども担当している。

 「着任当初からクレディセゾンのデータ分析環境はかなり整っていました。信用企画部の中にもPythonやSQLなどで分析をしている方が複数いらっしゃいましたし、全社でデジタル人材育成プログラムも動いており、DX推進への積極性を感じました。お客さま企業によっては分析環境を立て直すところから始まるケースもあります。今回は環境が整っていたので逆にプレッシャーがありました。」(庄島氏)

 庄島氏の着任後、MLモデルの構築は順調に進んだが、ある日、想定外の事態が生じた。データ分析の施策を社内でリリースしようとした矢先、システム上で期待通りの値が出ないことが判明したのだ。テスト時にはなかった問題である。システムは動いているものの適切な結果が出ない事態に、長谷川氏と庄島氏は「何とかするしかない」と奮起した。すぐに同じチームのデータエンジニア(メンバーズデータアドベンチャーからの常駐者)に状況を伝え、長谷川氏は業務の観点、庄島氏はMLモデル、データエンジニアは学習データの整合性確認と、手分けして原因を探した。格闘の末、分析環境間のわずかな差が原因であると特定した。表面的にはシステムが稼働しているように見えても、結果がわずかにずれているだけでビジネスインパクトに大きく表れてしまうのがMLモデルの難しさだ。

 長谷川氏は「問題発生はリリース前日の業務終了時間頃でしたが、その日のうちに3人の力を合わせて解決にこぎ着けました。常駐サービスでなければ原因特定に時間がかかり、リリースを遅らせるしかなかったと思います」と振り返る。

 こうして共に危機を乗り越えたエピソードからも分かるように、メンバーズデータアドベンチャーの常駐人材が提供するサービスは単なる技術支援にとどまらない。上記の話はアクシデント対応だったが、同社はサービスのゴールを「ビジネス貢献」としている。

 クレディセゾンは既にデータ活用のための環境がある程度整った段階にあったが、メンバーズデータアドベンチャーは顧客企業のデータ活用の段階に合わせて組織の立ち上げや組織設計にも対応する。

メンバーズの庄島 学氏
メンバーズの庄島 学氏

 データ活用はその段階によって求められるスキルが異なる。初期段階でデータ活用の意義を顧客企業が見いだしたら、次は正しくデータを使うための環境整備や運用管理体制の確立、さらなる高度化を目指すなら、より高いスキルや経験を持つ専門家を投入することになる。どの段階でもスキルを持った人材を柔軟に増減できるのがメンバーズデータアドベンチャーのサービスの特徴だ。

 メンバーズデータアドベンチャーは、技術面の向上を支える教育プログラムや月6回程度開催される社内勉強会を通じて常駐人材の技術向上を図っている。人材を評価する際は、スキルだけでなく仕事に取り組む姿勢などの人間力(コンピテンシー)を対象にしているのもユニークな点だ。


メンバーズのデータプロフェッショナル人材の支援範囲

今後、メンバーズデータアドベンチャーとやりたいこと

 メンバーズデータアドベンチャーのサービスを利用することで、クレディセゾンの信用企画部は現在、高度なMLモデルの構築を順調に進めている。部全体のデータ活用の課題に沿って、現在ではML以外の業務に関する支援も依頼しているが、「当初すり合わせた通り柔軟に対応いただき、目標に合わせて進捗(しんちょく)しています」(長谷川氏)と、パフォーマンスへの評価は高い。

 長谷川氏は、データ活用に取り組む企業に対してデータ活用の初期段階にある企業こそ常駐サービスを検討すべきだとアドバイスする。とりわけ要件定義は初期段階で最も重要なプロセスの一つだが、データ領域はその専門性の高さから要件定義が難しい。不十分な要件定義によるトラブルも発生しがちである。故にプロフェッショナルのスキルが求められるし、常駐サービスならばそれができる。

 「特に、事業部門でアジャイルに分析を進めることに慣れていない企業は、密なコミュニケーションを取れるところがメリットになると思います。データサイエンティストが価値を生み出すためには、どれだけ業務を深く理解できるかが重要です。プロパーの社員と認識を一致させるのに十分な情報を共有できるかどうかがポイントになります」(長谷川氏)

 クレディセゾンの信用企画部は、MLモデル構築や維持向上の技術内製化を目指している。庄島氏をはじめとする高度人材からML構築に関する知見やノウハウをいかに継承していくかが今後のテーマだ。

 内製化支援について庄島氏は、「私たちがいなくなっても持続可能になる仕組みをつくるためには、運用設計はもちろん、業務で得たナレッジの蓄積やスキルトランスファー(技術伝承)が大事です」と語る。

 データ活用に取り組む企業には、高いポテンシャルを持つ従業員に思う存分活躍してもらえる体制が必要だ。これは庄島氏の信念でもある。

 「長谷川さんは『趣味でMLを学んでいるだけ』と謙遜しますが、ビジネスにもテクノロジーにも造詣のある総合力の高い方です。私は自社サービスを通じて、データサイエンス領域の“壁打ち相手”として、こうしたタレント(才能)を持つ人を輝かせられるような存在でありたいと考えています」

 

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