エクセルのデータ分析のやり方|初心者向けに分析ツールの設定から手法や考え方まで解説

Excelを使ったデータ分析は、特別なツールを導入しなくても始められるため、初心者におすすめです。
この記事では、Excelに標準搭載されている「データ分析」ツールの設定方法から、具体的な分析のやり方までを分かりやすく解説します。
普段の業務で使い慣れたExcelを活用し、データの分析を行うことで、ビジネス上の意思決定に役立つ知見を得ることが可能です。
▶目次
01. Excelのデータ分析で何ができるのか?
Excelのデータ分析とは、Excelに標準搭載されている多様な機能を用いて、蓄積されたデータの中からビジネスに役立つ有益な情報や傾向を見つけ出す作業のことです。具体的に何ができるのかというと、まず統計分析の種類が豊富にあります。例えば、売上データから平均値や中央値といった基本的な統計量を算出し、データの全体像を把握できます。また、広告費と売上の相関関係を調べたり、過去の販売実績を基に将来の売上を予測する回帰分析を行ったりすることも可能です。
これらの機能は、専門的な統計知識がない方でも、メニューから選択するだけで高度な分析を実行できるように設計されています。例えば、t検定や分散分析といった複雑統計」手法も、簡単な操作で実施できるため、キャンペーンの効果測定や複数の施策間の比較など、幅広いビジネスシーンで活用できる機能が提供されています。Excelは、手軽にデータに基づいた意思決定を支援する強力なツールと言えるでしょう。
02. 専門ツール不要!Excelでデータ分析を行う3つのメリット
データ分析を始める際、必ずしも高価な専門ツールは必要ありません。
普段業務で使用しているExcelを活用することには、多くのメリットが存在します。
特に、追加費用が実質無料で始められる手軽さや、使い慣れた操作感で分析を進められる点は大きな魅力です。
また、分析結果をそのままグラフ化して視覚的に分かりやすく表現できるため、報告書作成などにもスムーズに連携できます。
02-1. メリット1:追加コストなしで手軽に始められる
多くの企業でMicrosoft Officeが導入されており、Excelもその一部として利用されている場合があります。この場合、既存のライセンスを活用すれば、データ分析を始めるにあたって新たなソフトウェア購入費用を抑えることが可能です。
データ分析専用のBIツールや統計解析ソフトは高機能である一方、導入にはコストがかかるケースがほとんどです。
その点、Excelであれば、既に利用可能な環境であれば、新たに予算を確保することなく分析に着手できます。データ分析の必要性を感じているものの、初期投資を抑えたい場合や、まずは小規模なデータで効果を試したい場合に、この手軽さは大きな利点となります。
02-2. メリット2:普段の業務で使い慣れた操作感で分析できる
ほとんどのビジネスパーソンは日々の業務でExcelの表計算やデータ入力に慣れ親しんでいます。
そのためデータ分析を行う際も全く新しいツールの使い方を一から学習する必要がありません。
セルの選択、数式の入力、データの並べ替えといった普段通りの操作感の延長で高度な分析機能を利用できます。
新しいソフトウェアの導入に伴う学習コストや操作方法の習得にかかる時間を大幅に削減できるため分析作業そのものに集中することが可能です。
この使い慣れたインターフェースはデータ分析初心者にとって心理的なハードルを下げスムーズな導入を後押しします。
02-3. メリット3:分析結果をグラフ化して視覚的に表現しやすい
Excelは、データ分析機能だけでなく、その結果を可視化するためのグラフ作成機能も非常に充実しています。
分析によって得られた数値の羅列や複雑な表も、わずかな手順で棒グラフや折れ線グラフ、円グラフ、散布図といった多彩な形式のグラフに変換可能です。
数値を視覚的に表現することで、データの傾向、パターン、異常値などを直感的に把握しやすくなります。
分析結果を他者に説明する際にも、グラフを用いることで説得力が増し、円滑なコミュニケーションを促進します。
分析からレポート作成までをExcel内で完結できるため、作業効率が向上する点も魅力です。
03. 【事前準備】Excelのデータ分析ツールを有効にする設定手順
Excelの高度なデータ分析機能は、分析ツールというアドインに含まれており、利用するには事前の設定で有効にする必要があります。
初期状態ではリボンに表示されないため、どこにあるか分からない、使えないと感じることがあります。
WindowsでもMacでも、Excelのオプション画面からアドイン設定を開き、分析ツールにチェックを入れるだけで、データタブにデータ分析コマンドが表示されるようになります。
Excel2016以降のバージョンであれば、この手順で有効化できないことはほとんどありません。
04. Excelの分析ツールを使った代表的なデータ分析手法5選
分析ツールを有効にしたら、早速代表的な分析方法を試してみましょう。
Excelの分析ツールには、データの基本的な特徴を掴むための統計分析から、将来を予測する回帰分析まで、ビジネスシーンで役立つ多様な手法が用意されています。
例えば、ヒストグラムの作成、指定した条件でのデータサンプリング、正規分布に従う乱数発生、時系列データの傾向を掴む移動平均や指数平滑といった分析が可能です。
ここでは、特に利用頻度の高い5つの手法を、具体的な例とともに紹介します。
04-1. 基本統計量:データ全体の平均値や中央値などを把握する
基本統計量とは、手元にあるデータ群がどのような特徴を持っているかを示す要約的な数値のことです。データ分析の第一歩として、まずこの基本統計を把握することが重要です。Excelの分析ツールを使えば、データの平均値、中央値、最頻値、データのばらつき具合を示す標準偏差、最大値、最小値といった基本的な指標を一度の操作でまとめて算出できます。一つひとつの数値を関数で計算する手間が省け、効率的にデータ全体の中心的な傾向や分布の形状を理解することが可能です。
これらの数値を把握することで、例えば営業部門では、各商品の月別売上高の基本統計を算出し、平均的な売上や最も売れた時期、売上のばらつきを把握することで、今後の販売戦略や目標設定に役立てられます。また、製造部門であれば、製品の品質検査データから不良品の発生率や平均的な製品寿命の基本統計を算出し、品質改善のための対策を検討できます。さらに人事部門では、従業員の残業時間の基本統計から、平均残業時間や残業が多い時期を特定し、労働環境改善のための施策立案に活用することも可能です。このように、基本統計量を活用することで、日々の業務における様々な課題の発見や解決に繋げられます。
04-2. 相関分析:売上と広告費など2つのデータの関連性を調べる
相関分析は、二種類のデータ間にどのような関連性があるかを調べるための統計的手法です。例えば、マーケティング施策を考える際、「広告費と売上高」や「商品価格と販売量」など、一方のデータが変化したときにもう一方のデータがどのように変化するか、その関係の強さを数値で示します。この関係の強さを表す指標が「相関係数」で、-1から1の間の値を取ります。1に近いほど強い正の相関(一方が増えればもう一方も増える)、-1に近いほど強い負の相関(一方が増えればもう一方は減る)があることを意味します。相関分析は、2つの変数がどれだけ一緒に変動するかを示す共分散を標準化したものです。Excelの分析ツールでは、複数のデータ項目間の相関や共分散を一覧で簡単に出力でき、要因分析の第一歩として活用できます。例えば、製品の品質管理において、製造ラインの温度と不良品の発生率の相関を調べることで、品質改善のための対策を検討できます。また、顧客満足度調査では、特定のサービス要素と総合的な満足度の相関を分析し、改善すべき優先順位を決定する際にも役立ちます。
04-3. 回帰分析:過去のデータから将来の売上を予測する
回帰分析は、過去のデータから将来の売上を予測するための強力な分析手法です。これは、特定の「売上」という結果に対して、「広告費」や「店舗面積」といった要因がどの程度影響を与えているのかを明らかにし、それらの関係性を数式でモデル化することで、将来の数値を予測することを可能にします。例えば、過去の販売実績とプロモーション費用に関するデータを回帰分析にかけることで、将来のマーケティング予算でどれくらいの売上が期待できるかといった具体的な予測ができます。
この分析は、普段の業務においても様々な場面で活用できます。例えば、営業部門では、顧客の属性データや過去の購買履歴から、どの顧客層が特定の商品を購入しやすいかという「傾向」を分析し、ターゲットを絞った「営業」戦略を立てるのに役立ちます。また、新製品の販売計画を立てる際にも、過去の類似商品の「販売」データと市場投入時の条件を回帰分析することで、初期の「売上」を「予測」し、適切な生産計画や在庫管理に繋げることが可能です。さらに、マーケティング部門では、広告キャンペーンの予算配分を決める際に、どの媒体にどれくらいの費用を投じれば最大の効果が得られるかを「予測」し、「マーケティング」戦略の最適化に活用できます。このように、回帰分析はデータに基づいた意思決定を支援し、業務の効率化と成果向上に大きく貢献するでしょう。
04-4. t検定:キャンペーン前後で効果があったか平均値を比較する
t検定は、2つのデータ群の平均値に統計的に意味のある差があるかどうかを判断するための分析手法です。例えば、新しい販売キャンペーンを実施した前後での売上平均値を比較し、その増加が単なる偶然なのか、キャンペーンによる効果なのかを客観的に評価する際に用います。他にも、2種類の広告デザインのクリック率や、異なる指導法を受けた2つのクラスのテストの平均点などを比較する場面で活用されます。この検定を行うことで、観測された差が誤差の範囲内なのか、それとも明確な違いと結論付けられるのかを判断するための根拠を得ることができます。
例えば、製造部門では、新旧2つの異なる製造方法で生産された製品の不良率の平均値に有意な差があるかを比較することで、新しい製造方法の導入効果を客観的に評価できます。また、人事部門では、異なる研修プログラムを受講した2つのグループの従業員の業務効率スコアの平均値を比較し、どちらの研修がより効果的であったかを検定で判断することが可能です。教育機関においては、異なる指導法を導入した2つのクラスの生徒のテストの平均点を比較し、指導法の優劣を評価する際にt検定が役立ちます。このように、t検定はさまざまな分野で具体的な意思決定をデータに基づいて行うための重要なツールとして機能します。
04-5. 分散分析:3つ以上のデータ群から有意な差を見つけ出す
分散分析は、3つ以上のグループの平均値に統計的に有意な差があるかを検証するための手法です。t検定が2つのグループ間の比較に用いられるのに対し、分散分析では、複数の条件やグループを一度に比較できます。例えば、製造部門で複数の異なる製造ラインから生産される製品の品質データに差があるかを確認したり、医療機関で複数の治療法を適用した患者グループの回復率に違いがあるかを評価したりする場合に活用できます。
Excelの分析ツールでは、比較する要因が1つ(例:店舗の場所)の場合は「一元配置」、要因が2つ(例:店舗の場所と曜日)の場合は「二元配置」といった分析が可能です。一元配置分散分析では、1つの独立変数(要因)が従属変数に与える影響を分析します。例えば、3種類の異なる教育プログラムが学生の学力向上に与える影響を比較する際などに用います。一方、二元配置分散分析では、2つの独立変数が従属変数に与える影響と、それらの独立変数間の交互作用(組み合わせ効果)を分析します。例えば、2種類の教材と3種類の指導方法を組み合わせた際の学習効果を評価する際に活用できます。これにより、どの要因が結果に影響を与えているのか、またどのグループ間に差があるのかを効率的に特定することができます。
05. Excelでのデータ分析を始める前に押さえておきたい注意点
手軽に始められるExcelでのデータ分析ですが、本格的に活用する前に知っておくべき注意点も存在します。
特に、分析手順が属人化しやすい点や、扱うデータ量が大きくなると動作が重くなる可能性があります。
また、専門的な分析手法には対応できない限界もあり、分析前には手作業でのデータ整理が必要になる場面も少なくありません。
これらの特性を事前に理解しておくことで、予期せぬエラーを防ぎ、Excelをより効果的に活用できます。
05-1. 属人化のリスクが高い
Excelファイルは手軽に作成・編集できる一方で、分析プロセスが特定の個人に依存する「属人化」のリスクが高いという側面があります。例えば、担当者が独自の判断でデータを加工したり、集計したり、グラフを作成したりすると、その具体的な手順や意図が他のチームメンバーには共有されず、ブラックボックス化してしまうことがあります。どのような元データが使われたのか、どのような計算式が適用されたのか、あるいは分析ツールの設定がどうなっているのかといった過程がファイル内に記録されにくい点が、この問題を引き起こす主な要因です。
これにより、担当者が異動したり退職したりした際に、その分析作業が適切に引き継げなくなるリスクが生じ、業務の停滞や生産性の低下を招く可能性があります。このような属人化を防ぐためには、分析の手順を詳細に記録に残したり、チーム内で定期的に情報共有の場を設けたりといった運用ルールを確立することが不可欠です。 具体的には、分析に使用したファイルにコメントを残したり、別のドキュメントで手順書を作成したりするなどの工夫が考えられます。
05-2. 大量のデータを扱うと動作が重くなる可能性がある
Excelは非常に汎用性の高いツールですが、本来は大規模なデータを扱うために設計されたものではないため、大量のデータを扱う際に動作が重くなる可能性があります。具体的には、データが数万行を超えるようなデータセットを扱う場合、ファイルの読み込みや計算処理に時間がかかり、動作が著しく重くなることがあります。例えば、10万行を超えるデータを含むファイルを開く際、数分から数十分かかるケースも珍しくありません。
特に、複雑な数式や多くの関数がシートに含まれていると、少し値を変更しただけでも再計算に時間がかかり、作業効率が大きく低下する原因となります。ある調査によると、複雑な数式を含むExcelファイルでは、1つのセルを変更するだけで数秒から数十秒の再計算時間がかかることが報告されています。最悪の場合、アプリケーションがフリーズしたり、強制終了したりするリスクも高まるため、日常的に大量のデータを扱うのであれば、専用のデータベースやBIツールの導入を検討すべきです。例えば、企業で日々発生する膨大なトランザクションデータをExcelで処理しようとすると、システムが応答しなくなり、業務に支障をきたす可能性もあります。
05-3. 複雑な分析や専門的な分析手法には対応できない
Excelの分析ツールは、基本的な統計分析には十分対応できますが、より高度で専門的な手法には限界があります。例えば、機械学習やAIを活用した複雑な予測モデルの構築、大量のテキストデータから知見を抽出するテキストマイニング、最新の統計アルゴリズムを用いた分析などは実行できません。
また、複数のデータベースと連携して動的にデータを処理するような、大規模なデータ基盤としての役割も担えません。直接的なデータベースへのアクセス機能も限定的です。最適化問題を解くソルバー機能も搭載されていますが、ごく単純な問題に限られます。より高度な分析が求められる場合は、Pythonのようなプログラミング言語や、SPSSなどの専門の分析ツールの習得が必要となります。これらのツールは、より複雑なデータ構造の管理や、多様なデータソースとの連携、そして高度な統計モデルやAIアルゴリズムを実装するための柔軟性を提供します。
05-4. 分析を始める前にはデータの整理や加工が必要になる
Excelの分析ツールを正しく機能させるためには、分析対象となるデータが整理された形式になっている必要があります。分析ツールの入力範囲として指定するデータは、1行目に項目名(ラベル)が配置され、データが途切れることなく連続した表形式(テーブル)になっていることが前提です。しかし、実際のデータには表記の揺れ、不要な空白セル、異常値などが含まれていることが多く、これらを事前に手作業や関数、マクロを用いて修正・加工しなければなりません。必要なデータの抽出や、重複の削除といった作業も発生します。
このデータの前処理は分析の精度を左右する重要な工程ですが、非常に手間と時間がかかる場合があることを念頭に置くべきです。例えば、表記の揺れがある「株式会社」と「(株)」を統一したり、誤って入力された数値を修正したりする作業は、データ量が多いほど時間を要します。また、数式やVBAマクロを使って定型的な更新作業を自動化することも可能ですが、これらを構築するにも専門知識と時間が必要です。こうした準備作業は、単にデータを集めるだけでなく、その品質を確保し、分析に適した形に整えるために不可欠であり、分析結果の信頼性を高める上で非常に重要なステップとなります。
06. Excelでのデータ分析から次のレベルに引き上げる
Excelでのデータ分析に慣れてきたら、次のステップとしてより高度な分析手法やツールへの移行を検討できます。Excel内で完結する機能としては、Power QueryとPower Pivotが強力な選択肢となります。Power Queryは、CSVファイルやデータベース、Webサイトなど多様な外部データソースからデータを取得し、整形・変換・結合といった前処理作業を自動化できるツールです。これにより、データ収集と加工の手間を大幅に削減できます。
一方、Power Pivotは、Excelの104万行という行数制限を超えて大量のデータを扱い、データモデルを構築するための機能です。複数のテーブル間のリレーションシップを確立し、DAX(Data Analysis Expressions)関数を用いて複雑な計算や分析を行うことで、より詳細なインサイトを得られます。
また、VBA(Visual Basic for Applications)を活用すれば、Excel内での定型的なデータ分析作業やレポート作成の自動化が可能です。マクロの記録機能で基本的な操作を自動化するだけでなく、VBAコードを記述することで条件分岐や繰り返し処理といった柔軟な自動化も実現できます。
さらに本格的なデータ活用を目指す場合は、専用のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの導入やプログラミング言語の学習が次の目標となります。BIツールとしては、TableauやPower BIが代表的です。これらのツールは、データの抽出・加工・分析、可視化、ダッシュボード作成、他者との共有といった機能を持ち、直感的な操作で高度な分析結果を視覚的に表現するのに優れています。
プログラミング言語では、PythonやRがデータ分析の分野で広く利用されています。Pythonは汎用性が高く、データ分析だけでなくアプリケーション開発や機械学習など幅広い用途に活用できます。 R言語は統計解析に特化しており、豊富な統計関数やデータ可視化ツールが用意されているのが特徴です。
PowerBIについて詳しくはこちらで解説しています。
まとめ
Excelは、データ分析を始める第一歩として非常に有効なツールです。
追加のコストを必要とせず、多くのビジネスパーソンが使い慣れた環境で、データの基本的な特徴把握から相関回帰分析といった予測的な手法までを実践できます。
ただし、扱えるデータ量や分析手法の専門性には限界があるため、その特性を理解した上で活用することが重要です。
まずは本記事で解説した「分析ツール」の設定を行い、手持ちのデータで実際に試してみるのが良いでしょう。
より体系的に知識を深めたい場合は、Excelのデータ分析をテーマにした専門の本を参考に学習を進めるのもおすすめです。
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