データ活用を推進するプロジェクトのPM(プロジェクトマネージャー)の調達方法
今回はデータ活用プロジェクトなど専門性の高いプロジェクトを推進するPM(プロジェクトマネージャー)をどのように調達するのかを以下4つの観点からお伝えします。
- ・PMに求められるスキル
- ・領域特化型のPM
- ・社内でのPM人材の育成
- ・PMの外部からの調達
執筆者のご紹介
阿曽 良祐
所属:
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部
データエンジニアとして大手小売業のクライアント様に常駐。
データ分析基盤の開発・運用をするチームに所属し、チームリーダーとして技術リードやチームマネジメントを担当。
保有資格:
AWS認定 ソリューションアーキテクト プロフェッショナル
経歴:
事業会社の情報システム部門にて、業務システムの更改やデータ分析基盤構築プロジェクトなどを経験。
その後メンバーズに入社しデータエンジニアとして現職に従事。
目次
01.|PM(プロジェクトマネージャー)とは?
02.|PMが持っているスキルや対応範囲
03.|PMという役割を設置することによるメリット
04.|データ活用ではデータに特化したデータ専門のPMをおくことが望ましい
05.|自社でもPMを育成したい場合の対応方法
06.|まとめ
PM(プロジェクトマネージャー)とは?
PMとは、プロジェクトをマネジメントする人のことを指します。
ここでいうプロジェクトとは「目的・目標を設定し、それを決められた期限までに達成するための活動」を指します。
手順書があり、毎月決まって実施しなければならないような、いわゆる定型業務とは明確に区別されます。
そのプロジェクトを、進めていく際に発生する様々な事象をやりくりし、何とか期限までに目標を達成させることがPMの役割です。
様々な事象は一般的に、成果物の品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の頭文字をとって、QCDといわれます。
これら3つのバランスをとり、プロジェクトを成功に導くことがPMには求められます。
類似している職種には、プロダクトマネージャーやPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)が存在します。
前者は、「プロダクト(=特定の製品やサービス)」のマネジメントに責任を持ちます。
また後者のPMOは、プロジェクトマネジメント業務の支援や、複数のプロジェクトが同時進行しているケースにおける横断的なマネジメントを行います。
PMをサポートする役割を担うことが多いです。
PMが持っているスキルや対応範囲
プロジェクトを進めていくためにPMに求められるスキルとしては以下のようなものが挙げられます。
- ・先を見通す思考力
- ・合理的思考力
- ・臨機応変な対応力
- ・コミュニケーション力
プロジェクトのゴール(目標)は未来にあります。そのためプロジェクトでは、未来から逆算し今後どのように進めていくか計画を立てていきます。
しかし、未来は不確実なもので、プロジェクトを進めていく中で不測の事態は避けては通れません。
その時PMには、今置かれている状況から合理的な判断を下し、臨機応変にプロジェクトの計画を調整していくことが求められます。
また、プロジェクトには、ステークホルダーと呼ばれる社内外のさまざまな関係者がいることがほとんどです。
ステークホルダーの人たちは、プロジェクトに対してそれぞれ関心を持っています。
このステークホルダーたちと適切なコミュニケーションをとることもプロジェクト成功には欠かせないものとなっています。
このようにプロジェクトを成功に導くためには、多くのことを考え、計画し、それを適切に発信することもPMには求められます。
PMという役割を設置することによるメリット
PMという役割をプロジェクトに設置することには、プロジェクト全体を俯瞰して見ることができるようになり適切な意思決定がしやすい、というメリットがあります。
先に述べたようにプロジェクトにはさまざまなステークホルダーが存在し、それぞれ異なる関心事を持っています。
社内にデータ分析基盤システムを構築するプロジェクトを例に挙げると、次のようなことが起こり得ます。
ユーザー部門は自分たちの業務がより効率的になるよう様々な要望を出してきます。
一方、経理部門や経営層は、プロジェクトにかかるコストに関心があることが多く、低コストでのプロジェクト遂行を望んでいます。
またシステム部門は、品質に関心があり、様々なテストを踏まえシステムをリリースしたいと考え、しばしばプロジェクトのスケジュールに影響を及ぼします。
このような状況下でPMは、各ステークホルダーの要望のバランスをとり、総合的な判断を行う役割を持っているので、適切な意思決定につながりやすくなります。
データ活用ではデータに特化したデータ専門のPMをおくことが望ましい
プロジェクトでは、その目的に沿った専門的な知識が必要なケースとなるケースがほとんどです。
目標設定のフェーズや、プロジェクト計画を策定する際など、プロジェクトを進めていく過程における多くの場面で求められます。
例えばデータ活用推進プロジェクトにおいては、統計や一般的なデータ分析手法に加え、データ分析基盤となるクラウドサービスやセキュリティ、ガバナンスなどの領域の知識等が挙げられます。
各領域ごとに社内の有識者をプロジェクトへ参画してもらうことで情報収集できますが、そうでない場合は、有識者を社外から調達するという選択肢も考慮に入れる必要が出てきます。
有識者とのコミュニケーションによって助言を得たり、様々な方法で過去事例の収集を行うなどもPMの重要な役割となります。
しかし、社内の有識者を探し、日々の業務の合間を縫ってプロジェクトに参画してもらうための交渉が難航したり、収集した情報の精査に時間がかかるなど、プロジェクトを進めるうえでのリスクとなる面もあります。
このリスクを回避するために、領域に特化したPMを配置するという手段があります。
前述のデータ活用推進プロジェクトの例では、データ領域専門のPMを設置するというものです。
特にデータ領域では、データ分析の知識だけでなく、データ分析基盤として用いられることの多いクラウドサービスの知識や、セキュリティなど必要な専門知識は多岐に渡ります。
データ領域特化のPMを配置することで、これらを別々のメンバーとして調達するコストを削減することができます。
加えて、コミュニケーションコストの軽減や豊富な専門知識をプロジェクト全体で活かすなどの恩恵を得ることが期待できるでしょう。
自社でもPMを育成したい場合の対応方法
PMは外部から調達することもできますが、自社でPM人材を育成したいと考えている企業も多いのではないでしょうか。
PM人材の育成には以下の2つの要素が重要だと筆者は考えています。
- ・プロジェクトの実務経験
- ・体系的なプロジェクトマネジメントの知識理解
PM人材の育成において何から始めればいいか迷っている場合は、まずは外部からPMを調達し、社内のPM候補となる人材をプロジェクトに参画させ、経験を積んでもらうことをお勧めします。
PMとコミュニケーションをとり、ノウハウを間近で見ることで、プロジェクトの進め方のコツや、PMの思考法などを得ることができます。
その後、比較的小規模なプロジェクト(半年程度の期間のもの)から任せ、次第に規模を大きくしていくことで経験が蓄積し、PM人材として成長することができるでしょう。
加えて、プロジェクトマネジメント研修などで体系的な知識を習得することも重要です。
プロジェクトマネジメントには「ISO21500」という国際標準が定義されており、これに準拠した研修なども豊富に存在します。
プロジェクトの実務経験と研修などによる体系的なプロジェクトマネジメント知識の習得を組み合わせることで、社内でもPM人材の育成をすることができるでしょう。
しかし、そこでも注意しなければならない事項があります。
データ活用プロジェクトなど専門性の高いプロジェクトでは、プロジェクトを進める上で必要な知識が多岐にわたるため、プロジェクトの遂行と人材育成を両立させる難易度が上がります。
こういったケースでも領域特化のPMを外部から調達しプロジェクトの進行を任せることを検討するとよいでしょう。
まとめ
本記事では、PMがプロジェクトを成功に導くために必要なスキルとして、「先を見通す思考力」、「合理的思考力」、「臨機応変な対応力」、「コミュニケーション力」の4つを挙げました。
またこれら4つに加えて、プロジェクトでは専門的な知識が必要になるケースも多く、そういった場合には領域特化のPMを設置することで解決することができることを説明しました。
社内でのPM人材育成の観点では「プロジェクト経験を積ませること」と「体系的なプロジェクトマネジメント知識理解」の2つが重要だと提案しました。
プロジェクトの成功、人材育成、両方の観点でも、初期段階では外部からPMを調達することで、プロジェクトを円滑に進めつつ人材育成を達成できるので検討してみてはいかがでしょうか?
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