マーケティングデータでどんなことができるの?データドリブンマーケティングとは?
- データドリブンマーケティングとは
個人の経験や勘のみに頼らず、蓄積されたデータを基に「客観性」「定量性」「スピード感」をもってマーケティングに取り組む手法です。即時性のある“事実”をみていくことで、課題の早期解決が見込まれます。
- データは重要な資産。その資産を活かすには?
データは保有しているだけでは意味がありません。活用できる状態になって初めて価値を持ちます。データを基にどのようなことができるのか、順を追って解説します。
- データの扱い方は多岐にわたります。可視化~高度な分析・機械学習まで
可視化でみえてくる課題もあると思います。大量にデータがあれば予測モデルのような機械学習もできるでしょう。データがあることで事業の成長につなげる様々な取り組みができます。
執筆者のご紹介
青木
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アナリスト事業部
データアナリストとして、これまでに様々な企業のデータに関わる業務(データ抽出、分析、相談、ダッシュボード実装など)を担当いたしました。特にGCP関連やExcelに強いです。
目次
01.| データドリブンマーケティングとは?
02.|データドリブンマーケティングが浸透した背景
03.|データドリブンマーケティングのメリット
04.|データドリブンな意思決定をするために必要な手順
05.|失敗しないために何が重要か
06.|まとめ
データドリブンマーケティングとは?
データドリブンとは、直訳すると「データ駆動」となります。
ビジネスの文脈での意味は、課題解決策の考案や意思決定の根拠として、売上データやWEB解析データなど、「データに基づいて」判断やアクションを行うことです。
ちなみに「ドリブン(driven)」という言葉には「何かを基にした意思決定」などの意味が含まれています。
つまり、データドリブンマーケティングとは、オンライン・オフラインを問わず取得した売上データ、ユーザー行動データなど複数のマーケティングデータに基づいて、経験や勘のみに頼らず、データ主導で客観的に判断するマーケティング手法をいいます。定量的な評価ができることから、KPIなどの指標を設けて比較できる場合はスピード感のある判断が可能です。
データドリブンマーケティングが浸透した背景
デジタル技術が発達した現代では、企業も個人もデータを通じたコミュニケーションが活発な時代となりました。
- 企業…自社サイトを始めとして、実店舗・ECサイトやSNS、チャットなど意思決定をサポートする様々なデータを保有できるようになりました。
- 個人…スマートフォン・タブレットの普及率も上昇し、サイトへのアクセスやメール、アプリで企業とのタッチポイントが増えたことで、より鮮度の高い、情報を調べることや受け取ることが可能になりました。
このように売上データ、ユーザー行動データ、顧客対応データ、広告データ、Eメール配信データ、会員データ、位置情報など、マーケティングに活かせる可能性がある膨大なデータを蓄積できるようになりました。そして、これらは重要な資産となります。データを蓄積していれば、あらゆる比較や高精度な分析・機械学習モデルの構築などが行えます。
これらを活用し、競争優位性を得るためのデータ活用が不可欠になった点が、データドリブンマーケティングが浸透した背景です。
また、実績データの即時性から費用対効果やKPI進捗についても日々把握できるようになり、データに基づいた判断がしやすくなった点も大きいでしょう。
データドリブンマーケティングのメリット
1.正確な予測ができ(=コスト削減につなげられる)、顧客満足度を向上させることができる
時系列データ、実績データなどの過去データを蓄積できていれば、予測して、消費者のニーズに応えることもできます。データが多ければ予測精度も上げられるでしょう。
より正確な予測ができ、最適な量やニーズが分かれば新商品の開発につなげることもできるかもしれません。また、これらを機械的に行うことで、より意思決定のスピードを上げることができます。
2.属人化を防ぎ、具体的に把握できる
経験や勘のみに頼ることのない、データによる根拠に基づいた意思決定ができるため、属人化を防ぐことができます。また、経験をもとにした仮説が、データによって補完・補正され、より筋の良いものになります。
例えば、あるスーパーマーケットで「13:00~15:00に女性の購買がとても多い」と店長から報告があったとします。「とても多い」は店長の肌感覚ですが、データをみれば実際にその時間帯に店舗にいなくとも、一定期間の「購買客の属性データ・売上時間データ・売上金額データ」からおおよその傾向をつかむことができます。また、データにより他の時間帯との売上の比較もでき「とても多い」を「〇割多い」など店長の主張を客観的に表すことができます。
3.課題や改善策をみつけることができる
課題について、データから以下の状況が判明し、改善策を検討することができます。
課題(例1)…ECサイトでスマートフォンユーザーはカートまで商品を入れるのに、その先の決済が完了されない
データから判明した状況…スマートフォンのカート画面ではキャンペーンバナーが表示され、そちらに誘導されるユーザーが一定数いた。
改善策…スマートフォンのカート画面のキャンペーンバナー表示をやめ、ユーザーの意識が分散しないように画面設計を修正する。
課題(例2)…メールよりもXからの流入が多いようだ
データから判明した状況…メールからの誘導を試みていたが、会員はXをよく利用し、そちらの閲覧が多いようだ。
改善策…会員の行動傾向を再度分析し、どのメディアのアプローチが有効か、メディアのあり方と施策を検討する。
このように、データに基づいて客観的にボトルネックや新たな発見、弱点、課題をみつけることができます。
データドリブンな意思決定をするために必要な手順
1.指標とKPIを設定する
データに基づいた意思決定をするには、基準が必要です。
KPIは組織内で「何を」「いつまでに」のような達成状況を分かりやすく、共通で把握できる基準です。また、KPIから具体的な改善施策などが導き出されますが、進捗により必要に応じて戦略を調整することも可能です。
KGIを踏まえたうえで、指標を決め、KPIを設定しましょう。
2.適切なデータを収集する
データをそのまま使用することもあれば、何かと組み合わせた指標を作ることもあります。
マーケティングデータといっても多種多様です。「粒度が異なるもの」「ある時点での情報のもの」「最近取得を始めた新しい指標のもの」など、なかには「なかなか活用できそうにない」データもあるかもしれません。
データの仕様を理解したうえで、目的に応じた適切なデータを収集しましょう。
3.データを加工する・可視化する
データを加工することで、様々な粒度でみることや、組み合わせて目的に応じた指標を作成することができます。
また、可視化は一目で状況を把握できる大変便利な機能です。時系列や前年同月比較など、現状がどのような位置づけなのか、目標に対しどれくらい近づいているのか、グラフや表に表すだけで視覚でインプットできるため、大変効率のよい手法です。
4.データを分析する、示唆を得る、仮説を立てる
データ分析によって得られた要素について、示唆を得られたり、仮説を立てることができます。
「ECサイトでスマートフォンユーザーはカートまで商品を入れるが、カートのページからキャンペーンページに遷移しているケースがあるようだ」
WEB解析ツールやダッシュボードでは、このような課題が見えてくるかもしれません。ここからさらに高度な分析を必要とするケースもあるかもしれません。
5.施策や計画を策定・実行する
仮説を立てられたら、それを元に改善策や施策(アクションプラン)が見えてくると思います。
仮説:スマートフォン版のサイトではカートのページでキャンペーンバナーが表示されるようになっていた。キャンペーンバナーを表示させないようにすれば決済率が向上するのではないか。
改善策・実行:スマートフォン版のサイトのキャンペーンバナーの表示をやめる。
別の仮説や施策:スマートフォンでは画面の大きさに対し、表示バナーのインパクトが強いかもしれない。もっと効果のある表示場所やタイミングを検討し、表示バナーの効果を検証する。
6.効果測定する
改善策や施策について策定・計画ができたら、引き続きデータ収集を行い、事前事後などで比較し、どれくらい改善できたか、効果があったのかを測定しましょう。
1回限りの効果測定ではなく、時期によってはほかの要因もみえてくるかもしれません。
データ収集・仮説・施策の検証サイクルをもって、改善や施策を繰り返すことで顧客満足度や実績の向上につなげることができます。
データドリブンマーケティングに失敗しないために何が重要か
データを保有しているだけでは何もアクションを起こせません。活用できる状態になってから初めてデータドリブンマーケティングを行える状態になります。また、データをどのように扱ってよいか、そもそもどのようなデータがあるのか把握する必要もあります。
特に重要なポイントは3つです。
1.ゴール地点とアクションプランをしっかりと定める
データから色々なことが見えてくると、当初の目的を見失ったり、方向性が変わりがちです。データドリブンマーケティングでは、目的(ゴール)とアクションプランをしっかりと定めることが重要です。
2.事業部内、自社内にあるデータを整備・把握する
自動でデータを蓄積する仕組みもあれば、事業部内の担当者が保有しているデータがあり、それらを活用したいケースもあるでしょう。無理のない運用方法が定まれば、事業部内の属人化した特殊なデータも自動化や活用につなげることができます。
また、自社ではどのようなデータを保有しているのか、データがない場合は作ることができるのか、自社内のデータを把握することで今後のアクションプランを検討することができます。
3.データ人材のスキルを確保
解析ツールや可視化などのダッシュボードから得られる示唆もありますが、より高度な検証や複雑な定義に則った分析になると、データ分野に特化した人材が必要となります。
誤った方法でデータを操作してしまっては、活用できるデータも意味のないものになってしまいます。
まとめ
今や企業がマーケティングデータを保有しているケースは少なくありません。
しかし、データはただ保有しているだけでは意味がなく、活用できる状態で初めてデータドリブンマーケティングが行えるようになります。そして、データは重要な資産となります。
データを基に状況を把握できたり、課題がみえたり、ボトルネックを見つけることができ、数値を使用して効果を測定・検証することができます。
過去にどのようなことが起きていたか、また、過去データが多ければ予測モデルのような機械学習を行うこともできます。
そこに経験や勘は必要ありません。つまりデータを扱える人材がいれば、様々な課題解決など顧客満足度向上、事業成長につなげることができます。
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