アクセス解析とは?実際のデータ活用のステップと実例を紹介します
昨今、自社サイトを持っている企業は増え続けているのではないかと思います。ただ、サイトを作成しただけでは効果が出ることは少ないです。アクセス解析を行うことで自社サイトの効果を何倍にも高めませんか。この記事ではアクセス解析を行うメリットや実際に行う方法、アクセス解析に使用するツールをご紹介します。
執筆者のご紹介
柏谷
所属:株式会社メンバーズメンバーズデータアドベンチャーカンパニーアナリスト事業部
ECプラットフォームでのアクセス解析、ユーザー分析関連企業に常駐中
Data Saber/ウェブ解析士/OSS-DB Silverなど
目次
01.| アクセス解析とは
02.|アクセス解析を行うメリット・重要性
サイトの課題・改善点がわかる
サイト上で効果検証が行えるようになる
03.|アクセス解析のステップ
事前準備
サイトの目的を明確にする
アクセス解析できるツールの導入
正しくデータが収集できる環境のを用意
アクセス解析の実際のステップ
何を調査したいか決める
サイト全体の大枠のデータを理解する
CVまでのカスタマージャーニーを考える
施策に落とし込む
04.|アクセス解析におすすめのツール紹介
05.|筆者のアクセス解析支援事例
06.|まとめ
アクセス解析とは
Webサイトを運営するにあたって、WebサイトのCV(品物の購入や会員登録など成果となるもの)数が思うように伸びない、そもそもどの程度効果が出ているかわからないと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。このようにサイトの課題を発見・改善する際にはアクセス解析が有効です。
アクセス解析とは以下のデータを用いてサイト訪問者の状況を数値によって可視化・分析することです。
- サイトに訪問するユーザーの属性
- サイトに訪問するユーザーの行動
この記事では、アクセス解析を行うことでのメリット、行う際のステップ、アクセス解析に役立つツールについて解説します。定量的なデータを見ながら施策検討や効果測定を行うことへの参考としてください。
アクセス解析を行うメリット・重要性
実際にアクセス解析を行うメリットは何でしょうか。アクセス解析の結果からわかること、できることについて説明していきます。
サイトの課題・改善点がわかる
アクセス解析を行うことにより、データからサイトの課題を見つけることが可能です。アクセス解析をしようと思い立ちこの記事を閲覧しているということは、運営しているサイトについて何かしら改善したい箇所があるのかと思います。ただ、具体的に何を改善すればよいかがわからず悩んでいるのではないでしょうか。その課題を発見し、詳細まで原因を解析する材料としてアクセス解析で得られるデータが必要となります。
例えば、サイト全体でCVが落ち込んでいる際に、どこに原因があるかを考えてみましょう。
仮にCV=サイトでの会員登録と仮定します。
新規ユーザーがサイトを訪問し、会員登録するまでのステップを、アクセス元のデバイスをセグメントとして区切った際にデスクトップではCVRが30%だったのに対し、スマートフォンからではCVRが15%だったということが見えて来たとします。スマートフォンでの会員登録率がデスクトップの登録率と比べ半減していたということは、スマートフォンでの会員登録導線が使いにくいのではないかと仮説を立てることができるでしょう。
サイト上で効果検証が行えるようになる
アクセス解析では、改善点を知るだけでなく実際に改善を行う際の効果検証を行うことができます。
ユーザーのために使いやすくサイトを改修したとしても、実際にユーザーが使いやすくなったかどうかはインタビューをするか、データでユーザーの行動を確認しなければわかりません。
そのため、ABテストや改修前後でユーザーの行動がどう変化したかを数値として分析することが必要です。
アクセス解析のステップ
1.事前準備
a.サイトの目的を明確にする
アクセス解析をする前に、Webサイトの目的や目標を明確にする必要があります。これらが明確でないと誤った分析を行い、改善施策も意味のないものになります。
何をサイトでやりたいのか、対象者は誰なのかを明確にしたうえで先に進むことができます。
サイトを作る際に目的や対象者を決めているはずなので、その内容を深堀りして、目的やKPIに落とし込んでみてください。
b.アクセス解析できるツールの導入
アクセス解析するためには、データ取得をするためのツールが必要になります。
Googleアナリティクスなど無料のツールもあるので、データ取得ができるように準備を進めてください。詳しいツールの紹介はこの後でも紹介しています。
c.正しくデータが収集できる環境の用意
ツール導入するだけでなく、欲しいデータ取得のためのイベントやパラメータの設定(データ計測を行うためのシステム上の設定)が必要となります。マーケティング担当者だけでは難しい場合もあるので、その際には専門家に頼んでみることもおすすめします。
2.アクセス解析の実際のステップ
a.何を調査したいか決める
まずは何を調査したいかを決めていきます。難しく考えず、現時点で困っている内容に目を向けましょう。例えば、会員登録率が下がっている、購入単価が減っているのはなぜか、などです。
b.サイト全体の大枠のデータを理解する
課題を把握した上で、まずはサイト全体のデータを眺めてみましょう。全体を把握することでセグメント別に分けたり、過去のデータを見た際に比較して多いのか、少ないのかなど目安がわかるようになります。
PV(ページビュー)数
UU(ユニークユーザー)数
セッション数
ユーザー数
エンゲージメント率
直帰・離脱率
ほかに、サイトにアクセスしているユーザーデータも確認してみましょう。
c.CVまでのカスタマージャーニーを考える
全体を見たところで本格的にアクセス解析を進めていきます。サイト上でCVとなるまでのステップを考えてみましょう。
自社のCVまでの想像がつかないのであればAIDMA(消費者が商品を初めて知ってから購入にいたるまでのプロセス)で考えてみるとわかりやすいでしょう。
CV=商品の購入と考えた場合、以下のようなステップが考えられます。
Attention(認知):サイト内外で商品を検索する。
Interest(関心):商品を発見、興味を持ちほかの品のページを読んで比較する。
Desire(欲求):商品を欲しいと考える、悩む
Memory(記憶):商品をお気に入り登録したり、カートに入れる。
Action(行動):商品を購入する
このステップの中で極端に数値が低い箇所はないかを探します。例えば、Attentionで商品ページの閲覧が少ない場合にはバナーなどで商品をサイト内でPRするところから始まるでしょうし、カートまで入れているのに購入が少ない場合にはもしかしたら、購入する際のクレジットカードの登録や住所を記載するのが大変で離脱しているということが考えられるかもしれません。
ほかにもユーザーのデバイスや性別、年齢、購入する曜日などで差がないかなどを調査できます。
d.施策に落とし込む
これが原因かもしれないというヒントが見つかったら、施策を行ってみましょう。
施策を行う前後でデータに変動があるか確認してみてもいいですし、もしできるのであればABテストを行って効果があったのかを検証することも有効です。
施策を行って終わりではなく、効果検証を行うことで次のアクセス解析につながっていきます。
アクセス解析におすすめのツール紹介
アクセス解析を進めるにあたり、おすすめのツールをご紹介します。
Googleアナリティクス
ページごと(URLごと)・ユーザー別・期間別など、セグメントに分けたアクセス状況を細かく分析することが可能になります。無料で使用できるため、サイトのアクセス数など基礎的なデータを確認するのにはおすすめです。LookerStudioなどの可視化ツールやGoogleタグマネージャなどGoogleの他のWebマーケティングツールと連携するとより分析が楽になります。無料では使用できることが限られるため、必要に応じて有料プランに移行するのもいいでしょう。
Google Search Console
Google Search Consoleとは、検索エンジンのロボットがSEO観点でどのようにサイトを認識しているかを確認・管理できる、Googleの無料ツールです。自社サイトのクリック数や表示回数といった検索内容や外部リンク、内部リンクの状況など、SEO対策において重要な要素やエラー状況を確認することができます。Googleアナリティクスとは分析できる項目が違うため、併用をおすすめします。
Adobe Analytics
Adobe Analyticsは、アドビ社が提供するアクセス解析ツールとなります。ユーザーの行動データを可視化して、簡単に分析・ボトルネックを発見できるツールです。大まかな内容はGoogleアナリティクスと似ていますが、ユーザーデータをインポートして使用することができるなどの機能が存在します。
SimilarWeb
SimilarWebとは、世界規模でWebサイトの分析ができる、無料のマーケティングツールで、競合他社のアクセス状況が把握できます。上記で紹介したツールは自社のサイトしかアクセス解析ができないので、競合他社と比較したい場合にはSimilarWebを使用してみてください。
User Local
User Localは無料アクセス解析ツールの中でも、ユーザーが利用している端末の情報を取得できるという特徴があります。またPV数やユーザ数は10分ごとの数字を確認できるため、リアルタイム分析に適しています。ヒートマップを使用すればユーザーがページのどこを重点的に閲覧しているのか、クリックしたか、どのくらいスクロールされたのかなども確認ができます。
筆者のアクセス解析支援事例
弊社ではアクセス解析での事例は多々存在しますが、ここではある一例をご紹介します。
私が常駐していた企業が提供するプラットフォームサービスの、サイトでのCV(=無料パンフレット請求)数をより向上できないか、請求依頼の多いパンフレットをまとめて送付できないかと相談を受けたことがありました。
カートまでのユーザー行動の導線や同一ユーザーの長期間の行動を分析していった結果、パンフレットを1回ではなく2〜3回に分けて請求依頼をしていることに気づきました。起きていたユーザー行動としては、元々欲しいと思っていたパンフレットを読んだ結果、ほかの資料も読みたい、確認しておきたいということに気づき、再度似たようなパンフレットを請求しているということでした。
そのため、カートの下に「このパンフレットもまとめて請求しませんか、このパンフレットを請求している方はこちらのパンフレットもよく請求しています」というような文言を掲載し、ユーザーのカートに入れたパンフレットと類似しているパンフレットを追加で請求させる施策を行いました。また、まとめて請求できるというボタンも追加しました。
この施策の結果としてパンフレット請求数を1.8倍ほどに増やすことができました。ユーザーの行動まで分析した結果として上記のような結果を出すことにつながりました。
まとめ
今回はアクセス解析のメリットと重要なポイントを紹介してきました。アクセス解析ができるようになることで、サイトの課題を分析して改善するまでを迅速に行うことができます。これからアクセス解析を実施するなら、まずはデータ収集から始めましょう。ツール導入や選定が難しい場合にはデータアドベンチャーカンパニーをぜひ頼ってくださいね。
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