データビジネスで成果を出すためのポイントとは?マーケティングから分析活用まで徹底解説

近年、多くの企業が「データを活用したビジネス」、いわゆる“データビジネス”に注目しています。顧客理解や業務効率化、さらには新しいサービス創出など、データが持つ可能性は極めて大きいものの、「何から始めればいいのか分からない」「途中で壁にぶつかって前に進めない」という声も少なくありません。本記事では、データビジネスの基礎から実践までご紹介します。
執筆者のご紹介
名前:佐々木 渉
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー サービス開発室
大手小売企業にて、メタデータ管理やデータセキュリティ管理などのデータマネジメント領域の支援や、データ分析基盤のデータ連携業務を担当。
職歴:サービス業の店舗営業部にて、複数店舗のマネジメントやシステム導入の推進、データ分析から施策策定まで、幅広いビジネス業務を経験。その後メンバーズに入社、データアナリスト・プロジェクトマネージャーとして従事。
目次
01.|データビジネスとは?
02.|データビジネスの種類
マーケティング活用
分析活用
データサービスの提供
データの販売
03.|データのマーケティング・分析活用の基本的なステップ
目的の明確化と仮説設計
データの収集・加工
データの可視化、施策立案
効果検証・PDCA
04.|データのビジネス活用を推進するメリット
正確な現状把握
データに基づく将来予測
戦略的な意思決定
05.|データのビジネス活用においてよくある課題
目的がはっきりしていない
社内データの整備や把握ができていない
スキルのあるデータ人材を確保できていない
06.|データを活用したビジネスの弊社取り組み事例
01.|データビジネスとは?
「データビジネス」とは、その名の通りデータを軸として事業の価値を高めるビジネスモデルの総称です。具体的には、企業が自社内外に存在する膨大な情報(顧客データ・販売データ・生産データなど)を分析・活用することで、新たなサービスや製品を生み出したり、意思決定や業務効率化に役立てたりする取り組みを指します。
データビジネスは、あらゆる業界で注目されており、マーケティングや営業活動の精度向上だけでなく、予測分析による在庫・需要管理の最適化、顧客満足度の向上などにも活かされています。さらに、企業が自社で蓄積したデータを他社に提供・販売することで新たな収益源を得るケースも増えてきました。
いずれにしても、データそのものを“資産”と捉え、価値ある形に変えていくことがデータビジネスの本質と考えられます。
02. |データビジネスの種類
データビジネスと一口に言っても、その形態や目的は多岐にわたります。ここでは代表的な4つのパターンをご紹介します。
02-1. マーケティング活用
企業のマーケティング活動においては、顧客データのセグメント分析やWebアクセスログ解析など、データに基づく意思決定が一般的になりつつあります。ターゲット設定をより精緻に行い、最適な広告出稿やキャンペーン施策を実施することで、費用対効果の高いマーケティングが可能になります。
例えば、過去の購入履歴データと顧客属性情報を掛け合わせることで、リピーターの傾向を明らかにし、効果的なリターゲティング施策を行うといった使い方があります。結果的に顧客満足度の向上や売上拡大につながる点が大きなメリットです。
02-2. 分析活用
社内に蓄積した販売データ、業務プロセスデータ、センサーから取得した稼働データなどを活用して、ビジネス上の課題を洗い出し改善する手法です。データ分析を適切に行うことで、たとえば以下のようなインサイトを得ることができます。
- 販売ピークや在庫回転率の予測
- 不良品の発生原因の特定
- 顧客クレームの傾向把握
こうした分析結果をもとに施策を打つことで、生産性向上やコスト削減、新商品の開発など新たな価値創造を推進することが可能となります。
02-3. データサービスの提供
企業が自社で保有する独自データを整理・分析し、それを外部に向けた「サービス」として提供するモデルです。たとえば交通系データを用いて渋滞予測サービスを提供したり、店舗の混雑状況を可視化するサービスを展開したりする事例が挙げられます。
データを「使う」だけでなく「価値あるサービス」に転換できれば、企業の新たな収益源となり、自社のビジネス領域を広げる大きなチャンスにもなります。
02-4. データの販売
自社で保有するデータ自体を商品として販売し、マネタイズするモデルです。プライバシーやセキュリティ保護の観点で慎重に検討が必要ですが、業界によっては実績を持つ事例も増えてきています。顧客購買データや位置情報データ、産業データなどを分析可能な形にして提供することで、購入側も自社ビジネスに新しい価値を加えやすくなります。
03. |データのマーケティング・分析活用の基本的なステップ
データビジネスを成功させるためには、闇雲にデータを収集・分析するのではなく、明確な目的とステップに基づいて進めることが重要です。ここでは一般的な流れを4つのフェーズに分けてご説明します。
03-1. 目的の明確化と仮説設計
まずは「データを使って何を達成したいのか」をはっきりさせることが出発点です。売上拡大、コスト削減、顧客満足度向上など、目的がぼんやりしていると、収集するデータや分析手法が決まらず、成果も得にくくなります。
目的を明確化したら、「どのような指標で成功を測るか」「どんなデータで検証するか」といった仮説設計を行い、プロジェクトの大枠を固めましょう。
03-2. データの収集・加工
次に、必要なデータを収集し、分析可能な形に加工するステップです。具体的には、下記のような作業が含まれます。
データの取得方法の検討: 既存の顧客データベースやPOSシステム、センサー情報、外部APIなどから収集
データのクレンジング: 重複や欠損値の補完、フォーマットの統一
データの統合: 部門やシステムでバラバラになっているデータを集約
このステップに課題を感じる企業は少なくなく、この段階でシステム間連携やデータの品質に関する問題が顕在化することがあります。
03-3. データの可視化、施策立案
収集・加工したデータを分析し、可視化ツールなどを使って現状を把握します。グラフやダッシュボードを作成することで、パッと見て分かりやすい形にするのがポイントです。
そこから「顧客満足度を上げるにはどう改善するべきか」「在庫ロスを減らすためにはどの時期にどの施策が最適か」など、具体的なアクションプランを立案します。予測分析や機械学習の活用によって、将来の変動を見通した戦略が打ちやすくなるのも大きな利点です。
03-4. 効果検証・PDCA
最後に、施策の実行後は必ず効果検証を行い、PDCAを回して改善を進めます。分析結果と現場の状況が合っているか、どこが想定外だったかを見極めることで、次回以降の施策や分析の精度が上がります。
この一連のサイクルを続けることで、データを起点としたビジネス改善が定着し、最終的には企業文化として根づいていくことが期待できます。
04.|データのビジネス活用を推進するメリット
データをビジネスに活用することには、以下のような大きなメリットがあります。
04-1. 正確な現状把握
定量的な数字に基づくため、社内の感覚や経験則に頼ることなく、客観的に現状を評価できます。たとえば売上データを詳細に分析することで、どの製品がいつ、どんな顧客層に売れているのかが明確になり、改善の余地が見えてきます。
04-2. データに基づく将来予測
過去のデータから傾向をつかむことで、需要予測や顧客行動の先読みが可能となり、在庫管理や人員配置などを最適化できます。機械学習やAIを活用すれば、より高度な予測モデルを構築し、大きな成果を期待できます。
04-3. 戦略的な意思決定
データを根拠とした決定は意思決定のスピードと正確性を高めます。現場の勘と合わせてデータを活用することで、リスクを下げながら大胆な施策を打ち出せるようになります。
「マーケティングデータでどんなことができるの?」「アナリティクスの手法とは?」といった具体的内容を深堀りしたい場合は、外部記事の参照や専門コンサルタントへの相談も有効です。
05.|データのビジネス活用においてよくある課題
多くの企業がデータ活用の重要性を認識する一方で、下記のような課題に直面し、思うように進まないケースも少なくありません。
05-1. 目的がはっきりしていない
「データを活用しなくては」という考えが先行して、具体的に何を達成したいかが曖昧なまま進めてしまうことがあります。結果として集めるデータが散乱し、分析の方向性も定まらず、プロジェクトが迷走してしまうケースも少なくありません。さらに、どのタイミングで成果を判断して次のステップに移すのかといった出口戦略が明確でないと、プロジェクト全体が長期化してしまうリスクも高まります。
05-2. 社内に蓄えるデータの整備や把握ができていない
企業内には販売管理、顧客管理、在庫管理、会計など、多種多様なデータが蓄積されていますが、部署ごと・システムごとにバラバラで一元化が困難なことがあります。また、そもそもデータの品質にばらつきがあって分析に適さないケースもあります。基礎となるデータガバナンスの構築は、データビジネス推進の第一歩です。
05-3. スキルのあるデータ人材を確保できていない
分析者やエンジニアの育成・確保を課題としている企業も少なくありません。外部リソースを活用するか、内部で教育体制を整備するか、いずれにしても専門知識と経験を持った人材がいなければ、本格的なデータ活用は難しくなります。
06. |データを活用したビジネスの弊社取り組み事例
データのマーケティング活用・分析活用の課題に対して、弊社で取り組んだ事例を3つ簡単にご紹介します。
06-1. マーケティング業務の迅速化とデータ基盤の強化
データ抽出作業の負担や意思決定のスピードに課題を抱えていた飲食業界チェーン企業に対して支援を実施。手動で行っていたデータ抽出を自動化し、BIツールを活用したダッシュボードを構築したことにより、必要なデータを迅速に提供できる仕組みを整備しました。タイムリーな情報共有が可能になったことで、施策実行と検証のスピードが向上し、マーケティング業務全体の効率化と精度向上を実現しています。
06-2. 分散したデータの統合と分析基盤の構築
データがブラックボックス化し、情報の抽出や活用が難しい状態にあった小売業の企業に対し、外部ベンダーへの依存を減らすため、BigQueryを用いたデータ統合基盤を構築し、必要な情報を迅速に取り出せる体制を整えました。また、BIツールでのダッシュボード構築や、マーケティングオートメーション(MA)ツールの活用を支援し、顧客データや購買データの分析環境を強化しました。
これにより、データの抽出・分析のスピードが向上し、経営層への提案や施策の改善を支える仕組みが構築されました。
06-3. データ解析によるメディアの成長支援
データを活用しきれず、アクションにつなげることに課題のあった出版社に対して、複数のメディアサイトの解析を担当し、Pythonでのデータ収集の自動化や、Google Analytics(GA)とDMPツールを活用したダッシュボード構築を支援。これにより、データの可視化が進み、より深い議論と的確な施策立案が可能になりました。
まとめ
データビジネスは、どの業界でも大きな可能性を秘めています。一方で、活用のためには目的設定・データの整備・専門人材の確保など、入念な準備が欠かせません。特に「自社にどのようなデータがあるのか」「それをどう活用すれば成果につながるのか」を明確にしないと、膨大な情報の前に意思決定に時間がかかったり、効果的な施策を打ち出せない可能性があります。
もし「どのようにデータ活用を進めていけばよいか分からない」「途中で壁にぶつかってしまった」というお悩みがあれば、ぜひ弊社にご相談ください。ビジネス目標とデータを結びつけ、実践的な成果につなげるための支援を通じて、データビジネスの成功を後押しいたします。
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