【2025最新版】2024年の生成AI市場の最新動向と2025年の成功に向けたステップ

この記事では、AI活用を始めるには2025年が重要な分岐点であることをお伝えします。
執筆者のご紹介
池田志穂
所属:
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部
PM、データアナリスト、エンジニア業務を担当
経歴:
Webデザイナー、Webディレクター、コンサルティング業務に携わり、2019年3月メンバーズ再入社。顧客企業にてマーケティングに活用できるデータを可視化し、経営戦略の意思決定を支援。大規模データを利活用できる構築を行っています。現在、生成AIを学習中です。
目次
01.|2025年は生成AI活用の分岐点
02.|2024年の生成AI業界振り返り
2024年の主要プレイヤーの動き
各社の動きからわかること
03.|AI活用における現状と課題
AI活用の現状
AI活用の課題
04.|2025年最新業界予測
トレンド予測①AIエージェント
トレンド予測②AIレディなデータ
トレンド予測③AIレディなインフラ
05.|2025年私たちが向き合うべきこと
06.|AIレディなデータを準備するために必要な手順
AI活用ビジョンの共有
AI導入における段階的アプローチの理解
人材、データ、システムの準備
データ倫理と持続的な投資
07.|弊社取り組み事例
01.|2025年は生成AI活用の分岐点
「2025年の崖」とは、経済産業省が警鐘を鳴らした概念で、日本企業がデジタル化や生成AIの導入に遅れを取ると、2025年以降、年間で約12兆円もの経済損失が発生すると予測されています。生成AIの活用には、高度なインフラ整備、データ基盤の構築、そしてAI技術に精通した人材が不可欠です。しかし、現在、多くの企業が従来のシステムに依存しており、生成AI導入に向けた準備が十分ではありません。
このままでは、AI活用に成功する企業とそうでない企業との差が広がり、競争に遅れを取る恐れがあります。また、生成AIの利用にはセキュリティや倫理の課題も伴い、それに対応できない企業はリスクを抱えることになります。2025年時点で、デジタル化やAI導入を進められなかった企業は、業界での競争から取り残される可能性が高いとされています。
02.|2024年の生成AI業界振り返り
02-1.2024年の主要プレイヤーの動き
2024年、生成AI業界は急速に進化し、主要プレイヤーが競い合う中で大きな変革がありました。
・OpenAI
GPT-4を超えるGPT-5やマルチモーダルAI(テキスト、画像、音声の統合)が注目されました。ChatGPTやDALL·Eなどのツールの商業化が進み、多くの企業にAI技術を提供しました。また、生成AIを活用したさまざまな新製品が市場に投入され、OpenAIの企業価値は急成長しました。
・Google
生成AIの進化において重要な役割を果たしました。特に、BardというGoogle独自の生成AIが注目を集め、検索エンジンの新しい体験として提供されました。また、DeepMindによるAI研究の成果も出ており、特に医療分野での活用が進んでいます。
・Meta
生成AIを活用してソーシャルメディアの体験を強化しました。InstagramやFacebookでのコンテンツ生成や、広告ターゲティングにAIが活用されています。さらに、メタバース(仮想空間)の開発にもAI技術が使用されています。
・Amazon
生成AIを自社のサービスやプロダクトに組み込み、特にAWSにおいて、AIインフラを強化しました。AIを活用した物流や小売の効率化が進み、生成AIの商用化で株価は安定的に上昇しました。また、Amazon Prime VideoにおけるAI技術の活用(動画生成、音声合成など)も話題に。
・Apple
iPhoneやApple Watchに搭載されるAI機能が強化され、特に健康管理や生産性向上に役立つ新機能が発表されました。AI搭載のApple Vision Proや、生成AIを活用した音声アシスタントSiriの改良が話題となりました。
・Anthropic
生成AIの倫理と安全性に重点を置くスタートアップ企業として注目を集めました。AIのバイアス軽減や誤情報の防止を目指す研究が進み、AIの安全性を確保しつつ、高品質な生成AIを提供する姿勢が評価されました。
・NVIDIA
GPU(グラフィックス処理ユニット)の需要は急増し、生成AIモデルのトレーニングにはNVIDIAの技術が不可欠です。株価は2024年に大きく上昇し、業界リーダーとしての地位を確立しました。特に、AI専用チップの供給が好調でした。
・Sony
AIを活用してエンターテイメント産業(音楽、映画、ゲーム)の革新を加速しました。生成AIを活用した音楽や映像制作が注目され、AI技術をエンターテイメントコンテンツに統合する動きが強化されました。
・DeNA
生成AIを活用したゲーム開発やエンターテインメントの分野での取り組みを強化しました。AI駆動型のゲーム体験や、AIによるユーザーインタラクションを改善。AIを活用した医療分野や物流の革新にも注力しており、新たな市場開拓を進めています。
・Alibaba
中国国内で生成AIを活用したeコマースやクラウドサービスを強化しました。AI技術を活用した物流管理やデータ分析が効率化され、Alibaba Cloudを中心に企業のデジタルトランスフォーメーションを支援しています。
このように生成AI技術の進展により、各企業は競争力を強化し、業界全体の成長を牽引しました。
02-2.各社の動きからわかること
2024年の主要プレイヤーの動向からは、生成AIの商業化が加速し、競争の激化とともに多様な産業への適用が進んでいることがわかります。また、AIに関する倫理や規制の重要性も増し、企業は技術の進化と社会的責任のバランスを取る必要があることが示唆されています。
03.|AI活用における現状と課題
03-1.AI活用の現状
日本における生成AIの活用は、まだ始まったばかりの段階ですが、徐々に進展しています。特に、製造業やサービス業などで生成AIを活用したデータ解析や業務効率化が進んでいます。例えば、製造業では品質管理や生産ラインの最適化に生成AIが使われ、小売業界では顧客対応やマーケティング分析にAIツールが活用されています。また、言語モデルを活用したコンテンツ生成やカスタマーサポートの自動化も広がりを見せています。
しかし、日本はAIの導入に関して他国と比較して遅れを取っている側面もあり、特に中小企業では生成AIの活用が進んでいないケースが多く見られます。インフラ整備や専門知識を持つ人材の不足も課題となっています。
03-2.AI活用の課題
2025年には、生成AIの技術が成熟し、企業にとって必須のツールとなる一方で、以下に挙げるようないくつかの課題が浮き彫りになると予想されています。これらの課題を解決することが、2025年のテック業界におけるAI活用の鍵となるでしょう。
人材不足:生成AIを効果的に活用するためには、高度なAI技術やデータ解析スキルを持つ人材が不可欠です。しかし、日本ではAI人材の供給が十分でなく、企業が競争力を維持するためには教育と人材採用の強化が求められます。
データ活用とプライバシー問題:生成AIの活用には大量のデータが必要ですが、データの収集と活用におけるプライバシー保護やセキュリティの問題が依然として課題です。特に、個人情報や機密情報の取り扱いに関する法規制が強化される中で、企業は新たな対応策を講じる必要があります。
レガシーシステムとの統合:多くの企業が依然として旧式のITシステムを使い続けており、生成AIを効果的に活用するためにはこれらのシステムを刷新し、AIを統合する必要があります。これには多大なコストと時間がかかります。
04.|2025年最新業界予測
AI活用の分野では、生成AI(例えばGPTシリーズ)や深層学習(ディープラーニング)が急速に進化し、多岐にわたる産業での応用が進んでいます。最近、注目を浴びているディープシーク(DeepSeek)が従来のGPTやBERTなどのモデルを補完し、より高速で精度の高い情報検索や生成を実現する技術となれば、その導入はAI活用の現状を大きく変える可能性があります。
04-1.トレンド予測①AIエージェント
AIエージェントが進化し、個人アシスタントや業務自動化、パーソナライズ体験など多岐にわたる分野で活躍します。現在のSiriやGoogle Assistantよりもより深く文脈を理解し、複雑なタスクを処理できるAIエージェントが登場します。自然な対話能力を持ち、ユーザーのニーズに応じた提案やサポートを提供するでしょう。
04-2.トレンド予測②AIレディなデータ
データの自動化とクレンジングが進み、AIモデルに適した高品質なデータ整備が迅速化します。多様なデータソース(構造化・非構造化データ)の統合、リアルタイム処理、データガバナンス強化が重要な要素となり、プライバシー保護や法規制にも対応します。さらに、業界間でのデータシェアリングが進み、AI活用が加速することが期待されています。
04-3.トレンド予測③AIレディなインフラ
クラウドやエッジコンピューティング、分散型AIインフラが進化し、AI処理の効率化とスケーラビリティが向上します。高速なGPUやTPU、5G/6Gネットワークが活用され、リアルタイムのデータ処理が可能に。さらに、セキュリティやプライバシー保護が強化され、AI活用を支える信頼性の高いインフラが整備されることが予測されます。
05.|2025年私たちが向き合うべきこと
「2025年の崖」を迎える中で、生成AIの台頭により、企業が向き合わなければならない課題は多岐にわたります。まず、AIレディなデータの準備が必須です。データの収集や整備、クレンジングを進め、高品質なデータをAIに提供することが求められます。さらに、紙ベースの情報をデジタル化し、統一フォーマットで整理するデジタライゼーションが進まないと、AI活用が進まない可能性があります。AIを活用するための人材不足やスキルのギャップも大きな課題です。加えて、データのセキュリティやプライバシー保護、法規制への対応も重要です。企業にはこれらの課題をクリアし、迅速に変革を進めるための柔軟な組織文化や対応力が求められます。
06.|AIレディなデータを準備するために必要な手順
企業がAIを活用して業務効率化や価値創造を進めるためには、段階的な取り組みと計画が不可欠です。この点は、経団連が2019年に設定した「AI-Ready化ガイドライン」(*1)からも明らかです。各レベルで必要な行動を取ることで、AIを効果的に活用し、最終的には業界全体をリードする存在になることが可能です。
06-1.AI活用ビジョンの共有
AIやデータ活用は単なる効率化の手段ではなく、企業の価値を向上させ、業界を革新する力を持っています。AI導入に向けた準備を整えることは、企業の競争力に直結するため、経営層と連携し、全社的なAI活用のビジョンを共有することが重要です。
06-2.AI導入における段階的アプローチの理解
レベル1〜2:AI活用の基礎的な理解と環境整備の段階。教育や小規模な導入から始め、全社的な理解を深めます。
レベル3〜4:データ基盤の整備や業務プロセスへのAI活用、システム連携が求められる段階。この段階では、より本格的な導入と運用が始まります。
レベル5:全社的なAI活用を実現し、業界全体に影響を与える段階。AIを企業戦略の中心に据え、業界リーダーとしての地位を確立します。
06-3.人材、データ、システムの準備
人材:経営層や技術者のAIリテラシーを高めるための教育や、適切な人材の採用が求められます。AIに精通した人材が不足している場合、外部専門家と連携することも一つの方法です。
データ:AIを活用するためには、リアルタイム性やデータ品質を重視し、データ基盤を整備する必要があります。データ収集・管理体制を見直し、分析しやすい形に整理します。
システム:業務システムと分析システムを統合し、効率的にデータを活用できる仕組みを作ることが重要です。AIの導入にはシステムの整備が不可欠で、既存のシステムと連携する方法も考慮しなければなりません。
06-4.データ倫理と持続的な投資
AI導入は技術面だけでなく、データ倫理や社会的責任も重要な要素です。また、AI活用は長期的な投資を伴うため、持続的な成長を実現するための戦略的な投資が必要です。
*1 出典:「AI-Ready化ガイドライン」(日本経済団体連合会)https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/013.html(2025年2月13日に利用)
07.|弊社取り組み事例
データアドベンチャーカンパニーは、お客さまの課題解決に向けて常駐サービスをはじめとした伴走支援を行い、データ活用の推進を図っています。その中で生成AIを活用して、コンテンツ制作の効率化、顧客対応のAIチャットボット活用、データ分析や予測モデルによるマーケティング戦略の最適化などを進めています。例えば、ある飲食サービス提供企業では業務工数削減へ貢献する生成AIを活用したナレッジ検索ツールの構築運用をご支援しました。社内WEBアプリを通じて、検索ワードを入力するだけで検索結果・関連ドキュメントを自動生成し回答できるように実装することで、ドキュメント調査にかかる時間の大幅削減を達成しています。その他のプロジェクトにおいてもAIを利用してパーソナライズされた広告や推奨を提供し、顧客体験を向上。また、画像やテキストの自動生成により制作業務の効率化も実現しており、AIの活用によって業務の効率化と顧客満足度の向上を図っています。
まとめ
2025年に向けて、AI活用を成功させるためには、AIレディなデータの準備が不可欠です。まずは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤をしっかりと整えることが大切です。AIを効果的に活用するには、データの整理・整備が必要であり、DXが進んでいない企業では、AI導入が難しくなります。そのため、AI活用を始めるには2025年が重要な分岐点となり、このタイミングを逃さずに準備を進めることが求められています。
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