データ活用人材の育成方法とは?組織の人材不足は育成で解決できる

この記事では、データ活用人材の採用と育成プログラムの設計に必要なポイントをお伝えします。
執筆者のご紹介
名前:工藤佳奈子
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アナリスト事業部HRグループ
担当:データアナリストの採用業務および育成業務を担当。入社~常駐開始までの期間のチームメンバーマネジメントも兼任にて担当。
経歴:非IT業界にて営業事務や総務を経験。2019年にメンバーズに入社。メンバーズに入社時からデータ活用人材の採用に関する業務全般を担当。
目次
01. |データ活用と人材不足
データ活用が企業に与える影響
人材不足に直面する企業の現状
02. |データ活用人材とは?
データ活用人材の定義
必要なスキルと役割
03. |データ活用人材を確保するときのよくある失敗
自社採用しようとしたがうまくいかなかった
担当社員を育成・採用したがワークしない
04. |データ活用人材育成の必要性
採用だけでは解決できない理由
育成が企業の競争力向上に寄与する
05. |データ活用人材育成のポイント
データ活用の目的を明確化
必要なスキルセットの定義
効果的な育成プログラムの設計
06. |データアドベンチャーの研修体制
データアドベンチャーが実施している研修の内容
毎年数十名をデータプロフェッショナルに育成する実績
01.|データ活用と人材不足
01-1. データ活用が企業に与える影響
<そもそも、データ活用とは?>
データ活用とは、企業が業務で発生するデータを収集・蓄積・分析することで、ビジネス戦略や意思決定に役立てる取り組みです。
データを適切に活用することで、社内の業務効率化やコスト削減、顧客満足度の向上、売上の向上を図ることができます。
01-2. 人材不足に直面する企業の現状
<深刻な人材不足>
データ活用を含む専門的なデジタル人材は現在市場全体で不足しています。
増え続ける需要に対し、供給が追い付かない状況となっているためです。
総務省令和6年版「情報通信白書」(*1)には以下のような記載があります。
「デジタル化に関して現在認識している、もしくは今後想定される課題や障壁として、日本企業は「人材不足(42.1%)」の回答割合が最も大きく、他国企業と比較して圧倒的に高い割合となった。」
「日本企業においては特にUI・UXに係るデザイナーや、AI・デジタル解析の専門家が他国に比べて少ない点が顕著である。UI・UXに係るデザイナーが「在籍している」と回答した割合は、日本企業では18.3%に対して他国企業では約60%から約70%であり、AI・デジタル解析の専門家が「在籍している」と回答した割合は、日本企業では18.8%に対して他国企業では約60%から約80%であった」
*1 出典:「令和6年版 情報通信白書」(総務省)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd21b210.html(2025年2月14日に利用)
図1 専門的なデジタル人材の在籍状況
図1 出典:「令和6年版 情報通信白書」(総務省)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd21b210.html(2025年2月14日に利用)
<人材の不足による課題>
デジタル人材の不足により、社内のDX化が進められない・DX化を進めたものの思うような成果が得られないなどが課題になっていると考えられます。
関連記事:データ分析・活用で採用に関するお悩みを解決するには?
02.|データ活用人材とは?
02-1. データ活用人材の定義
データ活用人材とは大量のデータを収集・分析し、仮説立案から戦略設計・意志決定までを行うことができる人材のことです。
簡単に言えば、データをビジネスに活かせる人材です。
02-2. 必要なスキルと役割
<データ活用における代表的な職種>
データ活用人材には、様々な職種があります。
その中でも代表的な3つの職種における必要なスキルと役割をご紹介します。
・データアナリスト
データアナリストは、主にデータの収集、処理、分析、解釈、可視化など、データを用いてビジネス課題を特定し施策につながる示唆を出し、施策を評価するというPDCAサイクルを回して、ビジネス成果に貢献します。
・データエンジニア
データエンジニアは、データパイプラインの設計と構築などデータを活用するためのインフラを設計・構築し、データの収集・加工・分析を行うための基盤を作る専門家です。
・データサイエンティスト
データサイエンティストは、「高度に情報化された社会において、日々複雑化及び増大化(ビッグデータ化)するデータを、利用者の利用目的に応じて情報を収集・分析する技術を有し、ビジネスにおいて実行可能な情報を作ることができる者」(*2)を指します。
*2 出典:「定款」(一般社団法人データサイエンティスト協会)
https://www.datascientist.or.jp/aboutus/statute/(2025年2月14日に利用)
関連記事:データ活用人材ってどうやって育成するの?
03.|データ活用人材を確保するときのよくある失敗
03-1. 自社採用しようとしたがうまくいかなかった
データ活用人材は、デジタル化の需要にともない今後ますます需要が高まると予想されます。その流れに合わせて、データ活用人材の自社採用を考える企業も多いのではないでしょうか。
しかし、いざ求人を掲載しても応募者の中に条件に当てはまる人材がいないという話をよく聞きます。結果として、求人掲載はしたものの求めていた人材からの応募がなく採用ができなかったというケースです。
03-2. 担当社員を育成・採用したがワークしない
データ活用推進部署を新設するため、担当者が必要になり急いで採用したが、想定していた成果が出なかったという話を聞くことがあります。社内で事前に十分なヒアリングができておらず、採用した人材のスキルと任せたい業務がマッチしていないという例です。
データ活用と一言で言っても、社内の状況やデータ活用の目的、出したい成果が明らかになっていないと本当に必要な人材を採用できず、結果として失敗してしまう可能性が高いと言えます。
また、育成のノウハウがなければその失敗をリカバリーすることも難しくなってしまいます。
関連記事:データ活用人材が必要な企業必見!~データアナリスト・データエンジニアを採用する時のポイント
04.|データ活用人材育成の必要性
04-1. 採用だけでは解決できない理由
データ活用人材の採用がうまくいかない理由としては、企業が求める人材と、市場にいる人材にギャップがあることが考えられます。そもそも、企業が求める条件には「データ分析経験〇年以上」など経験者を想定したものが多くあります。
市場全体でデータ活用人材が不足していることを踏まえると、データ活用経験のある即戦力人材を採用するのは容易ではありません。
また、企業での採用においてはスキルだけではなく企業文化に合った人材を採用する必要があります。少ない人材の中から、ビジネスモデルやカルチャーに合った人材を探すのはさらに困難です。
04-2. 育成が企業の競争力向上に寄与する
先述の通り、スキルやカルチャーマッチなど、求めるすべてに当てはまる人材を採用するのは厳しいというのが現状です。
そこで、必要になるのがデータ活用人材を育成する体制です。
市場には求めるスキルや経験に当てはまる人材が少ないことを前提とし、社内にてスキル育成のカリキュラムを確立させます。それにより、採用数を増やすことができ人材の不足を補えるため、企業の競争力向上につながります。
また、育成の取り組みのひとつとして、社員同士のナレッジシェアなど学びあう文化を醸成することにより社内全体のスキルレベルが上がり、企業の長期的な成長につながります。
05.|データ活用人材育成のポイント
05-1. データ活用の目的を明確化
人材育成プログラムを設計するにあたり、データ活用の目的や業務に沿った内容にする必要があります。
<データ活用の目的とは?>
データ活用の目的は、「データをビジネスに活かす」ことです。
社内の業務効率化や売上向上などの目的や課題に対し、何を解決し何を達成したいのかを明確にしておくことが大切です。
その内容によって、求められるスキルやアプローチが異なるため、必要とされるスキルに特化した人材育成に焦点をあてるのがよいでしょう。
05-2. 必要なスキルセットの定義
次に、データ活用の目的を達成するために必要なスキルを定義していきます。
<データ活用人材に求められる3つのスキル>
データ活用を実現するために必要な、3つのスキルをご紹介します。
・ビジネス力
データ活用人材には、一般的なビジネススキルが求められます。データ分析の結果を元にしてプロジェクトを推進するためのコミュニケーション能力や、進捗管理能力など、データ活用実現のために関係者を巻き込みながら業務に取り組む必要があるためです。
また、ビジネス課題の解決や目的の達成など、成果を生み出すためのフローや方法を考える力も必要です。
・データエンジニア力
データやデータベースに関する基礎知識、分析を行うためのデータ基盤構築や整備、収集・分析に必要なExcel、SQL、Pythonなどのスキルが求められます。
また、BIツールなどのツールを用いたダッシュボードの構築・可視化といったデータを展開する力も必要です。
・データサイエンス力
データサイエンス力とは、大量のデータを分析し、企業のビジネス課題に対する適切なアクションを情報科学理論に基づいて導く力です。
統計学の知識、近年では生成AIに関する知識・経験も求められています。
参考:「2023年度版データサイエンティスト スキルチェックリストver.5」(データサイエンティスト協会)https://www.datascientist.or.jp/news/n-pressrelease/post-1757/(2025年2月14日に利用)を参考に作成
<目的に合わせたスキルセットの定義>
1つのスキルではデータ活用の実現はできません。
一方で、達成したい目標や解決したい課題によっては、アプローチ方法が変わります。状況により、先述した3つのスキルのすべてを必要としない可能性もあります。
どのような目的でデータを活用したいのかを十分に整理したうえで、業務に合わせたスキルセットを定義することが大切です。
05-3. 効果的な育成プログラムの設計
ここまで、育成のポイントとしてデータ活用の目的と必要なスキルセットを明らかにしてきました。
より効果的な育成のポイントとして、採用した人材のスキルレベルに合わせた学習計画を立てることができる育成プログラムの設計をするのがよいでしょう。
人材のスキルレベルに合わせた学習計画ではない場合、習得に時間がかかってしまったり、途中で挫折してしまう可能性があります。
それぞれに必要な学習内容を洗い出し、学習計画のゴール設計をしていきましょう。
関連記事:データ活用人材ってどうやって育成するの?
06.|弊社の研修体制
弊社(メンバーズデータアドベンチャーカンパニー)では毎年数十名のデータ活用人材を育成し輩出しています。そこで実際に実施している研修の内容を簡単にご紹介します。ご参考になれば幸いです。
06-1. 弊社が実施している研修の内容
<研修の流れ>
育成したい人材のスキルを洗い出し、学習計画を立てていきます。
職種やお任せするデータ活用業務を踏まえてゴールを設定し、必要なスキルを優先して学べるようにスケジュールを調整します。
また、ここまでの流れは研修担当が一方的に進めるのではなく、本人が自分でゴール設定できるようサポートしていきます。目的に対してどのようなスキルが必要かを考え、計画を立て自ら進捗管理する力も、データ活用業務において欠かせないスキルのひとつです。
<研修の内容>
弊社では、以下のプログラムを用意しています。
この中から、職種やお任せするデータ活用業務に合わせて必要なスキルを4つ程度組み合わせて学んでいただきます。
・データプロフェッショナルスキル
ビジネスにおける論理とデータの重要性を理解したデータプロフェッショナルとして業務遂行できるレベル
・SQL
SQLのクエリ操作とBigQueryの機能理解・ツール操作が可能なレベル
・アクセス解析
Googleアナリティクスの機能・用語を理解し、要件に対して分析レポートが作成可能なレベル
・BIツール
BIツールの機能・必要性を理解し、ツール操作が可能なレベル
・GCP
データエンジニアリングに関連するリソースの理解と基本的な操作が可能なレベル
・AWS
データエンジニアリングに関連するリソースの理解と基本的な操作が可能なレベル
・データ分析基盤構築
データ収集・ETL・データ基盤構築・可視化のプロセスを含む初歩的なシステム構築ができるレベル
06-2. 毎年数十名をデータプロフェッショナルに育成する実績
弊社では、毎年数十名のデータ活用人材を育成し輩出しています。
新卒社員だけではなく、中途社員も多く所属しています。その中には前職がデータ活用やデータ分析の専門職ではない社員も多くいます。
実務の経験がなくても、学ぶ意欲があればデータ活用のプロフェッショナルとして活躍していただくことが可能になる環境をご用意しております。
まとめ
この記事では不足するデータ活用人材を採用し育成するときのポイントをお伝えしてきました。
人材が不足している現状を踏まえ、社内で育成プログラムを用意することが競争力向上につながります。
育成プログラムを用意するには、データ活用の目的に沿った研修内容を用意し、個人のスキルレベルに合わせた育成プログラムの設計をするのがよいでしょう。
また、データ活用人材を初めて採用する企業や、時間をかけずに人材を確保したい企業では、弊社のようなデータ活用専門の人材事業会社から外部調達することを検討してはいかがでしょうか?
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