BIツールが強化するマーケティング:重要性から活用方法まで徹底解説

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2025.06.30
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近年、マーケティング環境は急速に変化・複雑化しており、企業にとってはデータを活用した迅速な意思決定が不可欠となっています。
こうした背景の中で注目されているのが「BIツール(ビジネス・インテリジェンスツール)」です。
本記事では、マーケティング分野におけるBIツールの導入メリットや活用方法に焦点をあて、施策の効果を最大化するためのポイントを解説します。

執筆者のご紹介

名前:大塚
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アカウントマネジメント室
業務内容:現在製薬会社に常駐し、数十個あるTableauレポートの保守・運用や新規レポート開発業務を担当。
経歴:新卒で株式会社メンバーズに入社後、ディレクターとしてLP設計、メルマガ作成などのマーケティング業務に従事。
2年目半ばにデータアドベンチャーカンパニーへ異動し、BIツールを中心に学習を実施。スポット案件を経て現在の業務に至る。

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TableauやPower BIは強力なツールですが、
「元のデータ」が整理されていなければ真価を発揮できません。
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01.BIツールがマーケティングを変える?

 01-1.BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールとは

BIとは、「Business Inteligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略で、企業や組織が持つ膨大かつ多様なデータを、収集・蓄積・加工・可視化・分析し、データに基づいた意思決定を行うことを指します。
BIツールとは、このプロセスを支援するために活用されるITツールであり、特にデータの可視化やレポーティング、ダッシュボード化に優れています。マーケティング分野においても、施策の効果を定量的に把握し、迅速な改善に繋げるための基盤として、BIツールの重要性が高まっています。

 01-2.近年のマーケティング環境の変化とBIツールの必要性

  • ・近年のマーケティング環境の変化
    近年、市場の環境は激しく変動しています。
    主な要因としては、①消費者ニーズの多様化・高度化/②社会構造の変化/③IT技術の進化などがあげられます。
  1. 消費者ニーズの多様化・高度化
    多くの市場において製品やサービスが成熟し、消費者は価格や品質だけでなく自身の感性に合うかどうかなど、従来品に更なる価値を求め、多様化・高度化しています。また、年齢・性別・ライフスタイルはもちろんのこと、特定の消費者の中でも生活の場面ごとにニーズは変化します。
    結果として企業間では競争が激化し、価格競争や顧客への対応などにおいてスピード感をもった施策運用と、その結果の可視化・改善がより強く求められています。

  2. 社会構造の変化
    少子高齢化、人口減少、地方格差の拡大、働き方改革、サステナビリティ志向の加速など、社会構造の変化が近年急激に進んでいます。こうした変化の中では、これまでにない課題に直面する機会が増え、こうした変化に柔軟に対応するには、過去の経験だけでなく、データに基づいた予測と即応性が不可欠です。

  3. IT技術の進化
    クラウドやIoTなどの発展により、企業が扱うデータ量は飛躍的に増加しました。
    「ビッグデータ」を処理するための様々なツールやサービスの性能も向上しており、現在・過去における顧客の傾向だけではなく、未来の顧客に対する予測も可能です。「ビッグデータ」の活用によるマーケティング戦略の策定や分析が不可欠と言える時代に突入しています。

  • ・BIツールの必要性・有用性
    前述した通り、近年のマーケティング状況においては、多角的なデータに基づいた、より正確で素早い対応が求められています。
    BIツールは、様々なデータを収集・蓄積し、分かりやすく加工・可視化することに長けています。BIツールを用いることで、膨大なデータに基づいた分析プロセスの効率化を実現し、スピード感のある施策運用を可能とします。

 01-3.参考:MA(マーケティングオートメーション)ツールとの違い

BIツールは、社内外のデータを統合・分析し、ビジネス全体の現状把握や意思決定を支援します。過去のデータから「何が起きたか」を分析し、経営戦略に役立てるツールです。

一方、MA(マーケティングオートメーション)ツールは、見込み客の獲得から育成まで、マーケティング活動を自動化・効率化することに特化しています。「誰に、いつ、何を」送るべきかをデータに基づいて判断し、実行するツールです。

簡単に言えば、BIツールは「分析して判断」、MAツールは「分析結果で自動実行」と役割が異なります。

02.マーケティングにおけるBIツール導入のメリット

 02-1.顧客体験のパーソナライズ高度化

顧客関係システムであるCRMツールやGA4などのアクセス解析ツール、営業関連のSFAツールなど、様々なシステムに散在している顧客関連のデータをBIツールを用いて1か所にまとめることで、より詳細に顧客の動向や興味関心などを分析することができます。
こうすることで、より正確かつ詳細に顧客をセグメンテーションすることができ、各セグメントに合わせたマーケティング施策を実行した際に、顧客体験の向上が見込めます。

例としては、CRMツールが持つ顧客のデモグラフィック情報とアクセス解析ツールが持つサイト上での行動情報を収集し組み合わせることで、顧客の属性と行動パターンの両面からのセグメンテーションが可能になり、顧客ごとの関心や購買意欲に応じたコミュニケーション施策を設計できる、といったことが挙げられます。

 02-2.予測分析によるマーケティング戦略の最適化

BIツールの中には、AIなどを用いた予測分析機能を備えているものも多くあります。こうした機能を用いることで、これまでの傾向から導かれる将来予測を可視化、分析することができます。
また、高度な機能としてBIツールにPythonなどのプログラミング言語を読み込ませることができるものも存在し、機械学習を用いたより複雑で精緻な予測を実行して可視化することも可能です。
こうした機能により、売上の将来予測や顧客のLTV(顧客生涯価値)の算出などが可能となります。
未来を見据えながら事前に様々な戦略や施策を打つことで、マーケティング戦略の成果最大化に寄与します。

 02-3. 意思決定の迅速化

BIツール導入の大きなメリットとして、分析業務の簡略化・効率化による意思決定プロセスの迅速化が挙げられます。
BIツールは様々なデータを収集することができ、従来複数の部署によってそれぞれ管理されていたデータをまとめることで、データが必要なときにすぐアクセスできるようになります。
そして、BIツールで可視化された情報は、直感的に現状を把握し、トレンドや異常値といった情報収集を素早く行うことを可能にします。
さらに、可視化したレポートの更新や共有は自動化することができるため、工数の削減や意思決定者への情報共有も即座に行うことができます。
このように、データの収集~分析・意思決定までのプロセスを効率化することで、マーケティングにおけるPDCAの高速化も可能とし、流れの早いマーケティング環境における柔軟な対応に貢献します。

03.BIツール活用のステップ

 03-1.目的と課題を明確にする

BIツールを活用するにあたっては、まず現状の業務上の課題と目標を整理し、明確にする必要があります。
この部分が曖昧なままでは、適切なBIツールの選定・運用ができず、余分な費用や工数がかかってしまうリスクがあります。
例えば、「BIツールを使ってデータドリブンな戦略策定を行う」といったようなBIツールを使うこと自体が目的化した曖昧な状態のまま導入を進めてしまうと、実際に施策を実行する担当部署へのヒアリングが不十分のままとなってしまい、結果的に課題を解決できなかったり、使われなくなってしまったりといった結末もありえます。
そのため、「〇〇のKPIの確認がいつも遅くなり、次の施策決定に時間がかかってしまうため、この指標をリアルタイムで確認できるようにしたい」といったように、きちんと業務上の課題を定義した上で、BIツールの活用により達成したい目的・目標を設定することが重要です。

 03-2.自社に合ったBIツールを選定する

BIツールによって得意とする部分はそれぞれ異なります。
そのため、BIツールの選定の際には、前述した目標を明確化することに加えて、予算やユーザーとなる担当者の使いやすさ、活用したいデータが現在どのように管理されているかといった現状をしっかりと把握することが重要です。
例えば、現状のデータが主にExcelなどで管理されており、SharepointなどのOffice製品と接続して可視化を行いたい場合には、同じMicrosoft製品であるPowerBIが第一候補になるでしょう。一方、多様なデータソースに接続しつつ、分かりやすく多彩な表現を行いたい場合には、Tableauが候補となるかもしれません。
それぞれのBIツールの強みや活用方法については、下記でも詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

関連:データを可視化!BIツール導入によるデータドリブンの促進

 03-3.データ基盤を整備する

使用したいデータが多岐にわたる場合には、データ基盤の整備も検討することをおすすめします。
BIツール単体でも複数のデータソースからデータを収集することは可能ですが、データソースの種類が多くなるとデータの粒度や定義の違いが出てきてしまい、データの品質を担保することが難しくなります。
そこで、データ基盤を整備して、必要なデータを事前に統合・集約しておくことで、共通の定義の下でデータを扱えるようになり、整合性や品質を担保しやすくなります。
また、必要なデータだけを一元的に管理することで、BIツールのパフォーマンスが安定化するといったメリットもあります。
結果的に分析や意思決定の基盤としての信頼性向上にもつながるので、データ基盤の整備は重要となります。

 03-4.スモールスタートで導入し、徐々に拡大する

BIツール活用の初期段階では、いきなり全社展開するのではなく、特定のプロジェクトなどの小規模単位からスタートするのが効果的です。
BIツールを全社や部門全体でいきなり使い始めると、成功事例が確立されていない中での運用となるため、上手く業務と適合せず使われなかったり、費用対効果が見合わなかったりといった結果になりやすいです。
そのため、まずは特定のプロジェクトでスタートし、仮説ベースで設計を行い、細かく検証と改善を繰り返して完成度を高めつつ、小さな成功・成果を積み重ねます。その後培ったノウハウを展開しながら他のプロジェクトや部門にも拡げていく、というプロセスを取ることをお勧めします。

 03-5.データ分析スキルを持つ人材を育成する

BIツールを用いて可視化するレポートは、誰が見ても分かりやすいものを目指しますが、その構築や活用には、BIツールの操作はもちろんのこと、データの構造やその表現方法について熟知した人材の育成が不可欠となります。
社内全体のリテラシーを向上させたいのであれば、講師となる専門家を招き社内研修を行うことも有効です。
また、特定の担当者を任命してそのスキルを向上させる場合は、外部研修に赴かせたり、書籍や資格取得などを通じたインプットを行い、その後上述したようなスモールスタートでのプロジェクトでアウトプットを行いながら実践的なスキルを養成していくような流れも考えられます。
こうして育成した人材を中心に社内のリテラシーを向上させることで、より自社の環境や文化に寄り添いながら、分析人材を拡充することもできるでしょう。

04.【成功事例】マーケティングにおけるBIツール活用

 04-1.【スポーツ業界】CDPマーケによるデータライフサイクルの仕組み化

  • ・課題:データ活用における人材と知見の不足により、データ基盤の整備や分析がうまくできていない。
  • ・施策:顧客情報を一元化するようなデータ基盤の整備・構築からBIツールによる可視化プロセスの整備を行う。これにより、データ基盤からのリアルタイム連携や既存顧客と新規顧客の行動把握を実現。
  • ・成果:短期間でパーソナライズされた顧客アプローチを可能とする環境を整備し、データ活用における一連の流れを仕組み化し、データ活用の加速に貢献。

 04-2.【サービス提供企業】マーケット分析や販売の方針策定へ貢献するBIツール導入

  • ・課題:競合製品の販売データを集計するために、CSVデータをExcel上で毎月集計・分析する作業が発生しており業務負担となっていたほか、その分析の質も不十分なものだった。
  • ・施策:集計データを蓄積し自動で整形・加工するデータ基盤の整備とTableau上で多角的な視点での分析を可能とするレポートを作成することによる集計業務の自動化を行う。
  • ・成果:今まで負担となっていた集計業務の圧倒的な効率化を実現。分析の質向上やそれに伴うデータドリブンな組織への前進により、マーケット分析や販売にむけた方針策定に大きく貢献。

 04-3. 【小売企業】新規出店のための商圏分析

  • ・課題:新規店舗の出店を検討する際、参考となる指標が道路の環境情報のみのため、売上見込みなどの効果算出ができていない。
  • ・施策:Tableauを用いて郵便番号別の申し込み実績数を可視化し、出店後の集客見込み数を算出したうえで、成約率・平均成約金額などの予測も可能とした。
  • ・成果:新規店舗の検討時に実績と予測データに基づいた状況把握と定量的な判断が可能となった。
弊社事例について詳しく知りたい方はこちら導入事例 | メンバーズデータアドベンチャー

まとめ

データの可視化と多角的な分析を通じて、マーケティング戦略の精度とスピードを高めるBIツールは、変化の激しい市場環境において、企業の競争力と持続的成長を支える重要なインフラです。
ただし、その導入は一朝一夕で成功するというものではありません。現状の課題とボトルネックを整理し、明確な目標を設定したうえで、自社の業務に適したツールを選定し、段階的に展開していくことが、成功への近道です。
今後データ利活用の重要性がますます高まっていく中で、適切なBIツールの活用もまたマーケティングをしていく中で“当たり前の基盤”となっていくことでしょう。確かな準備と運用体制の構築を通じて、データドリブンなマーケティングを着実に実現していくことが求められています。

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