データ活用・DX推進を推進する分析組織の立上げ方法

ナレッジ
2024.06.28
データ活用・DX推進 を推進する分析組織の 立上げ方法

本記事では以下の3点について実際の事例を元にお伝えします。

  • データ活用は事業全体での取り組みであること
  • データ活用はビジネスの実情に合わせつつ成長・変革を先導していくこと
  • データチームはその中心で活躍し周囲を巻き込むこと

執筆者のご紹介

吉川寛
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー サービス開発室 室長
企業のデータ活用を強力に進めるために不可欠なスキルやジョブを定義しそれらを提供するためのサービスの開発を担当
データサイエンティストとして顧客企業に常駐し、現在はWebサイト訪問時の購入予測モデルの構築や、サービスの需要予測モデルのチューニングを担当
経歴
人事コンサルタント、事業会社での経営企画を経て2020年2月にメンバーズ入社
顧客企業にデータサイエンティストとして常駐しデータチームの立上げとグロース、施策効果検証や需要予測分析、社内データ活用レベルの向上を狙った勉強会を開催してきました。2023年から現職。

目次
01.| 組織編制において留意すべき前提条件
02.| 今回のポイント
03.| 黎明期
04.| 成長期
05.| 成熟期
06.|まとめ

組織編制において留意すべき前提条件

企業には多くの部署があり人がおり、そしてその相互の関係性から組織が構築されています。そのためデータ活用・DXを進めたい時に他社事例をマネして組織を作ってもうまく行かないことがしばしばあります。経営陣はどの程度の投資を決めているのか、経営陣のリテラシーはどの程度なのかといった意思決定者の状況も違えば、データ活用で実際に施策を動かすマーケティングチームやセールスチームのモチベーションも違います。またデータ活用のための環境や既に利用しているツールも違います。最初に取り組むべきはこれらの診断です。そのためこの記事では「どのような組織を作ったのか」ではなく「どのように組織を作ったのか」にフォーカスします。

 

今回のポイント

今回ご紹介する事例の企業様は次のような状態でした。データはサービスを動かすためのサーバ上にのみ存在し、ビジネスチームがデータを利用する際はシステム開発部に依頼していました。システム開発部はサービスの保守運用業務があるためデータ抽出などは後回しになりやすく、ビジネスチームは社内報告に必要な最低限のデータ利用に閉じていました。またそれを解決するための知見をもった社員がいなかったため状況改善は成されませんでした。そのためデータ活用の意欲は低くいわゆる「勘と経験」に頼った施策展開が行われていました。
これを問題視した経営陣の判断で弊社にお声がけをいただきました。経営陣は投資意欲は高いが何をしていいかわからない状態であったため、どのようなプロセスであるべき姿に辿り着くかを提示する必要があり、なおかつ現実にビジネスの変化に合わせて柔軟な対応を求められました。
また最終的にはデータユーザーを企業内全員にする、いわゆるデータの民主化を目指します。データはそれだけでは価値がなく使われて初めて価値が生まれます。そのために多くの人がデータを使えるようにすることを目指しました。しかし既存業務で多忙な中、学習することが難しいためビジネスチームがデータを利用するコストを極限まで下げることも必要でした。
そこで今回はまずビジネスチームのデータ需要を喚起しユースケースを回収、それに見合った最低限のデータ分析基盤を構築し、実際の活用度合いやビジネス変化に合わせてデータ分析基盤を成長させ、その後にデータ利用コストを下げていくという大まかな方針をたてました。


※当社セミナー資料より引用

 

黎明期

今回は初期に「ビジネスチームのデータ需要を喚起しユースケースを回収」という目標があるためこれを実現する活動を行いました。企業に新しくできた部署は周囲から見ると何をする役割なのかわからないことがしばしばです。そして当然ですがそのような部署に情報は回ってきません。
そこで立ち上げ当初はデータチームのできることを提示しその存在価値と利用方法を周知することに努めました。最低限の環境とデータ利用による需要予測モデルの作成、そこから得られる示唆と施策への提言やデータ集計の依頼喚起のためのヒアリングや依頼対応、相談に対応しました。このフェーズではとにかくデータの可視化が重要です。そもそもどのようなデータがあるのか社内に周知されていませんし、どのようにデータを集計したり読めばいいのかわからないという状態であるため、可視化されたデータはそれだけで強力なコミュニケーションツールとなります。複雑な需要予測であっても最終的なわかりやすい可視化を表示し説明する、売上集計では興味のありそうなセグメント別の結果をビジネスチームがインタラクティブに操作できるような可視化を行います。
こうした取り組みの結果、データチームの存在価値が周囲に認められ、企業内の様々なデータ需要が集まる部署に変貌させることができました。

このように黎明期はとにかく周囲を巻き込み主体的に推進できるアナリストやサイエンティストの活躍が重要です。いかに事業に資する分析やデータ活用のパターンを収集できるかによってその後のデータチームの在り方が変わってきます。


※当社セミナー資料より引用

 

 

成長期

続く成長期では徐々にリソース不足が顕在化します。効率化されていないデータ分析基盤と存在価値が増えたからこそ起きる依頼過多が要因です。これらは顕在化したと同時に直ちに取り掛かることをお勧めします。というのもデータ分析基盤の要件定義や人員確保はそれなりに工数がかかり、なおかつ不可逆性がそれなりに高いため慎重な計画が必要になるからです。データユーザーの顕在ニーズを迅速に叶えられその先の要望を先回りして提案できるデータアナリストやデータ分析基盤の設計や運用ができるデータエンジニアを優先的にアサインします。
ユースケースが収集・蓄積され理想的なデータ分析基盤を構築したくなりますが、このフェーズでは必要最小限に留めることをお勧めします。理想的なデータ分析基盤を作るには収集・蓄積されたユースケースを抽象化しそれを実現する要件定義を行う必要がありますが、この段階ではそれを完全に近い状態で行う情報もリソースも無いことが普通です。またビジネスの変化もあるため成長・拡張を前提とした必要最小限のデータ分析基盤を構築します。クラウドサービスを使うことでこの実現が容易となりますので活用しましょう。
加えて引き続き経営層との信頼関係を構築するため事業におけるデータ分析・データ活用の有効性や展望を発信することも忘れないようにします。ビジネスチームに対しては受け身の姿勢から攻めに転じます。具体的には分析上有用なデータが生成できるように施策実施や収集データの再設計などを提案します。ABテストはその代表例です。施策設計段階からデータ分析の設計をすることでよりビジネスの意思決定に利用しやすい、尚且つ有用なデータとなることを提案していきます。
同時にデータチームへの要望を受け取れる環境も作っておきます。データ活用が進むと徐々にビジネスチームから他社事例などを参考に「このような分析はできないのか?」と言った要望が得られるようになります。これらはユースケースとして大変貴重なので会議体を設けるなどして情報収集できるように仕組みを作っておくと良いでしょう。

このような「健全な領空侵犯」が実を結ぶと、ビジネスチーム側にも成功体験が蓄積され社内でのデータ利活用が一気に加速します。


※当社セミナー資料より引用

 

成熟期

最後の成熟期では、データ活用に関するトラブルを未然に防ぐため、守りを固めていきます。よくある例としては売上の定義です。消費税は含むのか、事業ポートフォリオ上のどの範囲の集計なのかなど事業によって様々な定義がありチームやその時々によって必要なデータが異なります。このようなデータ品質への要求が高まっていくと人力ではリソース上対応不可能になるため、データの要件定義を再精査して統一して管理することで品質を高めていくデータマネジメントが必要となります。
これまでアサインしてきたデータアナリストやデータエンジニア、データサイエンティストに加えデータマネジメント(データ活用全体を統括管理)を担うデータスチュワードを追加する。メンバーが整えば、属人化していたデータ分析の工程をマニュアル化することで品質を高めたり、可視化したデータを一覧にまとめたダッシュボードを構築して視認性を高めたり、といったデータを正確に迅速に取り扱う環境が構築できます。


※当社セミナー資料より引用

 

まとめ

このようにデータ活用の各領域の専任化をビジネスの成長に合わせて必要最低限のコストとその時々で必要十分なデータ活用環境を用意することで、事業のデータ活用を進めることができます。あまりに大きな計画はスタート時点でビジネスチームが理解しにくい状態になりますし、無計画ではデータチームの疲弊が顕著になってしまいます。このバランスは事業によって異なるため、一般的に必要だと言われているデータ活用の要素をどのようなステップでどの程度導入していくか、拡張性をどの程度持たせるかを決定していく必要があります。また必要な人材が都合の良いタイミングで採用できるとは限らないので専門人材の外部調達やツールの導入も視野に入れておくと良いでしょう。
また事業でデータ活用を進めるためには上記の通りデータチームからの働きかけが非常に重要です、データ活用の知識以上にそういった周囲を巻き込み変革していく姿勢が必要なので社内でそのような動きができる人材をデータチームにアサインする方法もあります。その場合もやはり実働部隊が手薄になりやすいので専門人材の外部調達を視野に入れておくと良いでしょう。


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吉川寛

 

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