クラウドデータプラットフォームでデータを一元管理するメリットと注意点

ナレッジ
2024.06.28
クラウドデータ プラットフォームで データを一元管理する メリットと注意点

この記事では、クラウドデータプラットフォームの理解促進のため以下の点についてお伝えします。

  • クラウドデータプラットフォームとは何か?
  • クラウドデータプラットフォームのメリットについて
  • 導入の際に気を付けるべき点や導入後に躓きやすい点

クラウドデータプラットフォームのメリットをお伝えするのはもちろん、導入時に気を付けるべき点・考えるべき点をお伝えします。

執筆者のご紹介

小野琢也
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニーアナリスト事業部
現在の担当業務:私の現在の職務といたしましては、ホールディングス会社において各事業会社のデータのAWSクラウドデータプラットフォームへの一元化を行っています。
各社の持つデータをAWSに連携し、データの収集から分析・可視化を行える環境作りを行っています。
経歴:小売り事業の需要予測、Webマーケティングのデータ分析など、データ界隈の業務を行ってきました。
現在は、深層学習分野の学習を行っております。

 

 

目次
01.|クラウドデータプラットフォームとは?
  クラウドの役割とデータプラットフォーム
  クラウドデータプラットフォームの特徴
02.|データプラットフォームのメリット
  データの一元管理による効率化
  柔軟なスケーラビリティ
  リアルタイム分析の可能性
  コスト削減
  セキュリティの向上
03.|導入の際に気を付けるべき点
  データ移行の計画
  セキュリティとコンプライアンス
  コスト管理の最適化
  システム統合の課題
04.|導入後に躓きやすい点
  データのガバナンス不足
  社内でのデータリテラシー不足
  自動化とリアルタイム分析の難しさ
  クラウド依存とコスト管理の課題
05.|まとめ

 

 

クラウドデータプラットフォームとは?

クラウドデータプラットフォームとは、企業が持つ膨大なデータを一元管理し、クラウド上で保存、分析、活用するための仕組みです。従来、データは企業のサーバーやローカルシステムに分散して保存されていましたが、クラウドデータプラットフォームを利用することで、これらのデータを安全かつ効率的にクラウド上で集中管理できるようになります。

クラウドの役割とデータプラットフォーム

クラウド技術は、従来のオンプレミス型のデータ管理とは異なり、インターネットを介してどこからでもデータにアクセスできる利便性を提供します。クラウドデータプラットフォームでは、これに加え、データの保存、処理、分析を効率的に行えるさまざまなツールやサービスが一元化されて提供されます。

代表的なクラウドデータプラットフォームには、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などがあります。これらのプラットフォームは、データの保存・管理だけでなく、ビッグデータの処理、機械学習、リアルタイム分析といった高度な機能もサポートしています。

クラウドデータプラットフォームの特徴

クラウドデータプラットフォームには、以下のような主な特徴があります:

  1. スケーラビリティ:必要に応じてリソースを動的に増減できるため、データ量の急増にも対応可能。
  2. セキュリティ:クラウドプロバイダーが提供する最新のセキュリティ対策が適用され、データ保護が強化されます。
  3. 可用性:インターネット接続があれば、どこからでもデータにアクセス可能。
  4. コスト効率:初期投資が不要で、使用した分だけ課金されるため、コスト管理が容易。

 

データプラットフォームのメリット

クラウドデータプラットフォームを導入することで、企業はさまざまなメリットを享受できます。以下に、その主なメリットを説明します。

1. データの一元管理による効率化

クラウドデータプラットフォームを導入する最大の利点は、データを一元管理できる点です。従来、部門ごとやプロジェクトごとに分散して保存されていたデータが、クラウド上で統合され、すべてのデータにアクセスできる環境が整います。これにより、データの検索、取り出し、更新が迅速に行えるようになり、業務の効率が大幅に向上します。

2. 柔軟なスケーラビリティ

企業が成長するにつれてデータ量も急激に増加します。クラウドデータプラットフォームは、スケーラビリティの面で優れており、データ量に応じてストレージや処理能力を柔軟に拡張することができます。これにより、データ量の変動に対して柔軟に対応できるため、将来的な拡張性を確保できます。

3. リアルタイム分析の可能性

クラウドデータプラットフォームを使用することで、リアルタイムでデータを処理し、分析することが可能です。これにより、最新のデータに基づいた意思決定ができるようになります。たとえば、顧客の購買行動をリアルタイムで把握し、それに基づいてパーソナライズされたオファーを即座に提供することが可能になります。

4. コスト削減

クラウドデータプラットフォームは、オンプレミスのシステムとは異なり、初期投資が大きくかかることがありません。クラウドは、使った分だけ課金されるため、リソースの無駄を省きながらコストを最適化できます。また、メンテナンスやハードウェアの管理も不要となるため、総コストの削減に貢献します。

5. セキュリティの向上

クラウドサービスプロバイダーは、最新のセキュリティ技術を提供し、データの保護を強化しています。データの暗号化やアクセス制御、多層的なセキュリティ対策により、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑えます。

 

導入の際に気を付けるべき点

クラウドデータプラットフォームの導入は多くのメリットがありますが、いくつかの注意点もあります。導入時にはこれらの点に留意し、適切な対策を講じることが重要です。

1. データ移行の計画

既存のシステムからクラウドプラットフォームへデータを移行する際には、データの移行計画が不可欠です。大量のデータを移行する際、データの整合性を保ちながら、エラーなく移行するための準備を行う必要があります。また、ダウンタイムを最小限に抑えるために、移行作業は計画的に実施されるべきです。

2. セキュリティとコンプライアンス

クラウドプラットフォームは強力なセキュリティを提供しますが、企業側もデータ保護やコンプライアンスに関して責任を持つ必要があります。特に、GDPRやHIPAAなどの規制に準拠するために、データの保存場所やアクセス権限の管理が厳密に行われるべきです。

3. コスト管理の最適化

クラウドは使った分だけ課金されるため、コストの管理が容易ですが、リソースの過剰利用によって予想以上の費用が発生することもあります。したがって、リソース使用のモニタリングや適切な使用制限を設定し、コストが膨れ上がらないように管理することが重要です。

4. システム統合の課題

既存のシステムやアプリケーションとの統合は、クラウド導入の際に直面する大きな課題の一つです。オンプレミスのシステムとクラウドプラットフォームをスムーズに連携させるためには、APIの整備やデータフォーマットの互換性を確認する必要があります。また、統合がうまくいかない場合、業務プロセスに支障が出る可能性があります。

 

導入後に躓きやすい点

クラウドデータプラットフォームの導入が完了した後も、企業は引き続きさまざまな課題に直面することがあります。以下は、導入後に特に注意すべきポイントです。

 

1. データのガバナンス不足

クラウドデータプラットフォームを導入するだけで、全ての問題が解決するわけではありません。特に、データの管理体制(ガバナンス) に注意が必要です。データの一元管理が可能となるクラウド環境でも、データの品質や整合性が維持されない限り、活用の効果は限られます。

ガバナンス体制の重要性

データが増加するにつれ、データのクレンジング(不要データの削除や重複の整理)が重要になります。企業は、データの管理者を配置し、定期的なデータ整備やガバナンスのプロセスを構築する必要があります。

データの権限管理

さらに、誰がどのデータにアクセスできるかを厳密に制御するために、アクセス権限管理 も徹底しましょう。これにより、データの誤用や漏洩リスクを減らすことが可能になります。

 

2. 社内でのデータリテラシー不足

クラウドデータプラットフォームが導入された後、そのメリットを最大限に活用できるかどうかは、社内のデータリテラシー に大きく依存します。データリテラシーとは、データを読み取り、分析し、活用する能力のことです。

社員のトレーニング

多くの企業では、データの活用を推進しようとする一方で、実際には社員がデータ分析の基本的なスキルを持たないことがあります。このような問題を避けるためには、トレーニングや研修プログラム を通じて社員のデータリテラシーを向上させる取り組みが不可欠です。分析結果をどのように解釈し、意思決定に反映させるかを理解する社員が増えることで、データプラットフォームの効果はより高まります。

データ文化の醸成

データリテラシー向上の取り組みに加え、社内にデータドリブンな文化 を根付かせることが重要です。データに基づいて意思決定を行う文化を醸成することで、部門間の協力やデータの共有が進み、全体の業務効率が向上します。

 

3. 自動化とリアルタイム分析の難しさ

クラウドデータプラットフォームでは、自動化やリアルタイムのデータ分析が強力なツールとなりますが、その導入には特定のハードルがあります。データの自動化 には、適切なインフラやツールの選定が不可欠であり、特に企業のニーズに合ったソリューションを選ぶことが重要です。

自動化の過程での課題

自動化を進める中で、全てのデータフローや業務プロセスが自動化に適しているわけではないということも課題となります。システム間の連携が不十分だと、自動化されたプロセスが停止したり、エラーが頻発するリスクがあります。これを回避するためには、事前に十分なテストと確認 を行い、システム間の互換性を確認する必要があります。

リアルタイム分析の要件

また、リアルタイム分析を実現するには、リアルタイムデータの処理能力 を備えたプラットフォームやツールが必要です。しかし、これには高い計算能力とリソースを必要とし、導入初期にはコストやパフォーマンスに関する調整が必要です。リアルタイム分析を効率的に行うための適切なツール選定やインフラの強化は、長期的な成長を支える重要な要素です。

 

4. クラウド依存とコスト管理の課題

クラウド環境ではリソースの柔軟な拡張が可能ですが、リソースの過剰利用 によるコスト増加には注意が必要です。従量課金制のクラウドサービスでは、無計画なリソース使用が予想外のコスト増加を引き起こす可能性があります。

コスト最適化の必要性

コスト管理のためには、リソースのモニタリング や、リソース使用状況に応じた最適なプランの選択が必要です。定期的にコストパフォーマンスを見直し、無駄なリソースが使用されていないかを確認するプロセスを設けましょう。

 

まとめ

クラウドデータプラットフォームの導入は、データの一元管理や業務の効率化に大きなメリットをもたらします。しかし、導入後には、ガバナンス体制の確立、社内でのデータリテラシーの向上、コスト管理、自動化の適切な運用など、いくつかの課題にも直面します。

成功の鍵は、適切な導入計画と、導入後の継続的な改善プロセスにあります。データのガバナンス体制を強化し、社内全体でデータを活用できる文化を育てることで、クラウドデータプラットフォームの真の価値を引き出すことができます。

今後の企業の競争力を高めるためには、データの一元管理が不可欠です。クラウドデータプラットフォームを活用して、データ活用の効果を最大化し、ビジネスの成功を目指しましょう。


\ データ活用についてのご相談はメンバーズデータアドベンチャーまで /

 お問い合わせはこちら > 

▶こちらも要チェック

データアドベンチャーのサービスご紹介

 

小野琢也

 

自走力が高く、“中の人”目線で動ける
データ活用のプロフェッショナルを提供します

お問い合わせ

データ活用のプロになるための
学習・実践環境を用意します

採用情報