データ利活用でDXを動かす方法

本記事では、DXとデータ利活用について、以下の点をお伝えします。
- DXとは何か
- DX推進におけるデータ活用の役割
- 日本におけるデータ活用状況と人材
DXの成果がなかなか出ず困っている方や、データ活用の状況や人材についてお悩みの方々に、少しでもお役に立てれば幸いです。
執筆者のご紹介
柏木啓良
所属:
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部 データエンジニア
顧客企業に常駐し、アナリストが分析に使用するデータマートの作成・保守や機械学習モデル構築のためのデータ作成・整備を担当しています。
安定的なデータ品質や効率的な処理の実装・改善に奮闘しています。
経歴:
生命保険会社のシステム開発部門にて、保守・運用を担い、2023年3月にメンバーズに入社
目次
01.|DXとは何か。なぜデータ利活用が重要なのか
02.|DX推進におけるデータ利活用の重要性
意思決定の基盤
業務効率化
顧客エンゲージメント
03.|日本のデータ利活用の現状
日本と米国の比較
DXの成果とデータ利活用の関係
日本のデータ利活用の問題点
04.|データ利活用において必要不可欠なデータ人材
データアナリスト
データエンジニア
データサイエンティスト
05.| DXを促進するデータ人材の予測
データ人材の需要動向
必要とされるスキルセット
未来の計画
06.|データアドベンチャー内のデータ活用でのDX推進事例
07.|まとめ
01.| DXとは何か。なぜデータ利活用が重要なのか
DX (デジタルトランスフォーメーション) とは、デジタル技術やデータ利活用を駆使して、企業や社会全体の変革を実現することを指します。
経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」では、DXの目的を次のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデ ルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
*1 出典:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」(2024年8月8日に利用)
02.| DX推進におけるデータ利活用の重要性
DXを推進するためには、データの利活用が必須です。データは、企業の意思決定の基盤となるだけでなく、業務効率の向上や顧客エンゲージメントの戦略においても不可欠な要素です。ここでは、特に重要な三つの視点について解説します。
意思決定の基盤
企業が最適な戦略を決定するためには、データに基づく分析が必要です。
- 投資判断の高度化:システム開発や新規事業において、過去のデータを利用してROIを計算することで、経営リスクを減らして効率的な投資決定が可能になります。
- データドリブンの効用:可視化ツールやBIツールを駆使して、現在のビジネス状況を統合的に抽出することで、指針を満たした意思決定が可能になります。
業務効率化
業務プロセスの流れを数値化し、改善することで効率化が可能になります。
- コスト削減:業務フローを数値で分析することで、不要なプロセスを排除し、体系的な作業効率化を実現できます。
- AIや自動化の活用:RPAやAIツールを利用することで、人的ミスを減らし、必要な業務にリソースを割り当てることができます。
顧客エンゲージメント
データ利活用により、顧客との関係を強化し、長期的な関係構築を行うことができます。
- パーソナライズマーケティング:過去の買い物データや行動データを利用し、個別のニーズに適したプロモーションを実行することで、エンゲージメントの向上が可能になります。
- リアルタイムインサイト提供:顧客の行動を分析することで、その場で最適な情報を提供し、検討中の顧客から購入してもらう確率を高めます。
データ利活用により、企業のDXを大きく進化させることが可能です。
03.| 日本のデータ利活用の現状
DXを推進するうえで、データ利活用は中心的な役割を果たします。では、日本の企業は実際にどのようにデータ利活用を行っているのでしょうか。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)から発行された「DX動向2024」(*2)の調査結果によると、次のようなことが分かっています。
日本と米国の比較
「全社でデータ利活用を行っている」と回答した企業の割合は、日本は米国と比べて約10%低いことが明らかになっています。しかし、「事業部や部署単位でデータ利活用を行っている」企業の割合は大きく違いがなく、部分的なデータ利活用は進んでいることがうかがえます。(*2 「図表 2-1 データの利活用状況(経年変化および米国との比較)」より)
DXの成果とデータ利活用の関係
日本でDXを実行し、成果をあげている企業を調査すると、その約10%は全社でデータ利活用を実施しており、事業部単位でのデータ利活用も含めると約70%に達しています。(*2 「図表 2-2 データの利活用状況(DX 成果別)」より)
これは、データ利活用がDXの成功にとって欠かせない要素であることを示しています。
一方、DXの成果が不実としている企業の場合は、全社または事業部単位でのデータ利活用を実施している割合が約40%にとどまっていることが分かりました。(*2 「図表 2-2 データの利活用状況(DX 成果別)」より)
*2 出典:IPA「DX動向2024」(2024年8月8日に利用)
日本のデータ利活用の問題点
日本では、部署単位でのデータ利活用は進んでいる一方、全社的にデータを最大限に活用している企業はまだ不足しています。この格差が、DXの成果に大きく差を付ける要因になっていると考えられます。
これを解決するためには、全社のデータ利活用ステージを高めること、データを運用できる人材の磨き上げが必要です。
04.| データ利活用において必要不可欠なデータ人材
DXを動かしていくためには、実際にデータを採集し、分析し、実行につなげる人材が必須です。特に、次の3つのロールが重要です。
データアナリスト
データアナリストは、大量のデータを分析し、ビジネスの意思決定の基盤となる情報を提供する専門家です。データビジュアライゼーションやBIツールを活用し、効率的な解析を行います。
主な業務内容
- データの収集と活用計画の編成:統計データ、トランザクションデータ、顧客行動データなどを収集し、業務に活かす方法を検討。
- データの解析と見える化:科学的な分析手法を駆使して、業務改善や集客につなげる。
- 意思決定の支援:グラフ化したデータを用いて、調査結果をレポートし、経営層や関係部署に提供。
データエンジニア
データエンジニアは、データを活用するための基盤を構築し、システム内でデータが流通する仕組みを確立する技術者です。
主な業務内容
- データパイプラインの設計と構築:データの保存、収集、分配を効率的に行うためのシステムを構築。
- データの信頼性の保証:データが一律したフォーマットで保存され、統一された認証が可能な環境を構築。
- データフローの効率化とセキュリティ実現:大量のデータを最適なシステムで変換、送信、処理を行い、セキュリティ保証。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、データを深く分析し、企業の決定を支えるインサイトを提供する専門家です。
主な業務内容
- プレディクションモデルの構築:機械学習やAIを駆使して、未来の動向を予測するモデルを作成。
- 複雑なデータ解析と拡散インサイトの提供:大量のデータを以て、業務改善や企画に有用な解析を実行。
- AIを駆使した高度な検索と検出機能の構築:機械学習や自然言語処理技術(NLP)を用いて、大量のデータから特定の情報を効率的に抽出・分析し、関連性の高い結果を提供する。
これらの人材が大きく組織のDXを前進させていきます。
05.| DXを促進するデータ人材の予測
DXの進行につれ、データ人材の不足が大きな課題となっています。現代のビジネス環境において、データの効果的な利活用は企業の成長に不可欠ですが、データ利活用に十分な技術力を持った人材が足りないのが現状です。
データ人材の需要動向
IPAの調査によると、全社的または部署単位でDXに取り組んでいる企業の約20%が、データサイエンティストの不足を訴えています。これに加え、データエンジニアやデータアナリストといった職種においても人手不足が明らかになっており、これは年々悪化していると報告されています。
必要とされるスキルセット
データ人材の不足は、営業から情報技術まで広いスキルが求められることに起因しています。特に、次のようなスキルが予想されます。
- 統計分析スキル:データを数学的に解析し、どのような戦略が最も効果的であるかを決定する能力。
- ビジネススキル:データを用いたケーススタディーの分析や顧客インサイトを提供する能力。
- データ基盤構築スキル:データを現場で利用するためのプラットフォーム構築やデータパイプラインの設計。
未来の計画
これからのDXを成功させるためには、一体どのような計画が必要でしょうか。次の点が重要となります。
- エスカレーションプランの構築:企業のどのレベルでどのようなデータ人材が必要かを明確にし、求人ストラテジーを定める。
- 内部育成プログラムの実施:データ利活用を効率的に行えるよう、実際の現場で実践的なトレーニングを実施する。
- アウトソーシングの活用:内部で育てるだけでは足りない場合、アウトソーシングを活用し、他の企業や研究機関とのコラボレーションを推進する。
これらの反映を受けて、未来のDXの機会を最大限に生かすためには、データ人材の価値の再認識が必須です。
06.|データアドベンチャー内のデータ活用でのDX推進事例
ここまで述べてきたように、DXの推進においてはデータ利活用が重要な役割を担っています。
最後に、弊社が支援した、データ活用でのDX推進事例を紹介します。
金融業界における機械学習モデル構築の事例です。
データ分析環境がある程度整っている企業においては、次のフェーズとして、サービスの高度化が考えられます。
その一つとして、機械学習モデルを構築することが挙げられますが、顧客企業とメンバーズデータアドベンチャーが協力し、着実に成果を上げている事例として以下を紹介します。
下記は金融業界における機械学習モデル構築の事例です。
クレディセゾンで活躍 本気のビジネス課題解決にデータのプロフェッショナル人材「常駐サービス」の薦め
データ分析環境がある程度整っている企業においては、次のフェーズとして、サービスの高度化が考えられます。
このようにメンバーズデータアドベンチャーでは、データ利活用の観点から顧客のDXの推進に貢献している事例が複数あります。
07.|まとめ
本記事では、DXとデータ利活用について、以下の点をお伝えしてきました。
- DXとは何か
- DX推進におけるデータ活用の役割
- 日本におけるデータ活用状況と人材
DX推進において、データ利活用は重要な要素になっており、データ利活用を推進することでDXを大きく推進できると考えています。
そういったデータ人材にお悩みの方は、メンバーズデータアドベンチャーまでご相談ください。
\ データ活用についてのご相談はメンバーズデータアドベンチャーまで /
▶こちらも要チェック
データアドベンチャーのサービスご紹介