データと情報の違いとは?データの価値を最大化させる「情報化」の重要性

ナレッジ
2025.03.10
タイトル:データと情報の違いとは?データの価値を最大化させる「情報化」の重要性

この記事では、「データ」と「情報」の違いに焦点を当て、データを効果的に情報化する重要性を紹介します。

正しく情報化されたデータは、企業の意思決定や業務改善に不可欠な要素です。
具体的な事例を通じて、データを情報として活用するメリットや注意点について触れます。

情報化によってデータの力を引き出し、企業競争力の向上や業務効率化を実現するためのヒントとなれば幸いです。


執筆者のご紹介

續 航平(つづき こうへい)
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部
業務内容:データエンジニアとして、クラウドやSaaSを活用し、データ基盤の設計・構築、データパイプラインの開発など、データ駆動型の意思決定を支援する業務に従事。
経歴:情報系高等専門学校を卒業後、2023年に株式会社メンバーズに入社。
2024年9月までイベントプラットフォーム運用企業にてデータ関連業務の支援を行う。
現在は大手自動車関連メーカーにてマーケティング施策の効果検証に用いるデータ基盤を構築中。
保有資格:情報処理安全確保支援士 など

 

目次
01.|データと情報の違い
   データ(data)とは
   情報(information)とは
   企業における分かりやすい例
02.|データを情報として活用するメリット
   正確な現状把握
   業務効率の向上とコストの削減
   迅速かつ高精度な意思決定
03.|データの情報として活用する際の注意点
   導入目的の明確化
   適切なツールの選定
   社内体制の整備
04.|データを情報化するには?
   生成AIの活用
   分析ツールの導入
   外注サービスの活用
05.|実際の情報化事例
   【大手通信企業】情報化による施策改善とコンバージョン率の向上
   【飲食サービス提供企業】 社員の業務工数削減へ貢献する生成AIの活用

 

01.|データと情報の違い

 01-1.データ(data)とは

「データ」とは、
 「観察や計測によって得られた生の事実を、数値や文字、記号などで表現したもの」
を指します。
例えば、温度、売上金額、顧客の名前などがデータの例です。

データは通常、文脈を持たず、単なる数字や文字列として存在します。
特に、ITの世界では主にコンピューターに適した形式(データベースやスプレッドシートなど)で保存されることが一般的です。


 01-2.情報(information)とは

一方で「情報」とは、
 「データに文脈や意味が付加され、理解可能な形で整理されたもの」
を指します。
データが加工され、分析されることで、特定の目的に応じた知識や洞察を提供するものが情報です。

情報は、データの背後にあるトレンドやパターンを明らかにすることによって、意思決定や戦略の策定において重要な役割を果たします。
また、情報は様々な形式で存在し、報告書やプレゼンテーション、データビジュアライゼーションなどを通じて他者に伝達されることが一般的です。


 01-3.企業における分かりやすい例

企業活動において、データと情報の違いを理解することは非常に重要です。

例えば、ある店舗の売上データが日別に記録されている場合、この「データ」は単なる数値の羅列に過ぎません。しかし、これを分析すると以下のような「情報」を得ることができます。

  • 曜日ごとの売上傾向
  • 特定商品の人気推移
  • 季節ごとの売上パターン

これらの情報を基に、在庫管理や販売戦略を最適化することが可能になります。

データと情報のイメージ図

図:データと情報のイメージ

このように、「データ」を適切に分析・解釈して「情報化」することで、初めて意思決定の有効な材料となります。単に数値を並べるだけでなく、その背後にある意味や傾向を読み解くことが重要です。

 

02.|データを情報として活用するメリット

データを情報として活用することで、以下のようなメリットが得られます。

 02-1.正確な現状把握

データを情報化することで、現状を正確に把握することが可能になります。
例えば、前節で示した通り、売上データを分析することでどの商品がどの時期に売れているのかを明確に理解でき、マーケティングにおける現状の課題や強みを把握する助けとなります。

 02-2.業務効率の向上とコストの削減

情報化されたデータは、業務プロセスの効率化やコスト削減にも寄与します。
例えば、散在している自社内のドキュメントを情報化しておく事で、目的の情報に迅速にアクセスする事が可能になるなど、業務の自動化や効率化を進めるための基盤として活用できます。他にも、在庫データを分析して需要予測を行うことで、過剰在庫や欠品を防ぎ、無駄なコストを削減することなども可能です。

 02-3.迅速かつ高精度な意思決定

情報は、迅速かつ高精度な意思決定も支援します。
例えば、リアルタイムの売上データを基にした情報は、即座に販売戦略を変更するといった迅速な対応を可能にします。これにより、競争の激しい市場環境においても柔軟に対応することができます。

 

03.|データの情報として活用する際の注意点

データを情報として活用する際には、以下の点に注意する必要があります。

 03-1. 導入目的の明確化

データを情報化する際には、まずその目的を明確にすることが重要です。
目的が曖昧なままでは、収集したデータが適切に活用されず、意思決定に関係のないデータを収集してしまうなど、無駄なコストや労力が発生する可能性があります。
例えば、「売上を増加させるためにどの商品の販売を強化すべきか」といった具体的な目的を設定し、それに関連するデータはどれなのかを適切に判断することが重要です。

 03-2. 適切なツールの選定

データを情報化するためには、適切なツールを選定することも必要です。
例えば、データ分析ツールやデータ加工ツールを活用することで、ニーズに合った最適なデータの可視化や分析が効率的に行えます。連携する他ツールとの相性や対応するデータ形式など、ツールによって機能は様々ですので、選定の際には企業の規模や目的に合ったものを選ぶことが重要です。

 03-3. 社内体制の整備

データを情報として活用するためには、社内体制の整備も欠かせません。
データの収集・分析を行う専門チームの設置や、社員への教育を通じて、データ活用の文化を醸成することが求められます。また、データの所在やデータ連携先などのメタデータの管理といった、データの品質を保つための管理体制も重要です。

 

04.|データを情報化するには?

 04-1.生成AIの活用

生成AIを活用することで、迅速に有用な情報を引き出すことが可能です。
例えば、社内に蓄積されたナレッジや資料というデータから、生成AIを活用した検索ツールを導入することで、従業員が迅速かつ効率的に目的の情報にアクセスすることが可能となります。 

 04-2.分析ツールの導入

BI(Business Intelligence)ツールなどの分析ツールを導入することで、データを視覚化し、意思決定に役立つ情報を抽出できます。
これらのツールは、データをグラフやチャート、ダッシュボードといった視覚的に分かりやすい形式で表示し、データの傾向やパターンを簡単に把握することが可能です。また、複数のデータソースを統合して分析することができ、部門間でのデータ共有や連携を強化する役割も果たします。これにより、業務効率の向上やコスト削減にもつながります。

関連記事:BIツール併用でデータ分析を効率化!Tableau×他BIツール併用のメリットとは

 04-3.外注サービスの活用

データ分析の専門知識が社内に不足している場合、外部の専門サービスを活用するのも有効な手段です。データ分析を専門とする企業やコンサルティング会社は、高度な分析技術やノウハウを持っており、複雑なデータ分析を迅速かつ正確に行うことができます。
例えば、顧客データを基にしたセグメンテーション分析やAIを活用した予測分析など、専門的なスキルが求められる作業を外注することで、より精度の高い結果を得ることが可能です。
外注サービスを利用することで、社内リソースを効率的に活用し、従業員が本来の業務に集中できる環境を整えることができます。

 

05.|実際の情報化事例

 05-1.【大手通信企業】情報化による施策改善とコンバージョン率の向上

ある大手通信企業では、WEBサイトにGoogle Analytics(GA)などの分析ツールが導入されていましたが、スキルや時間の不足からデータの活用や情報化が進んでいないという課題がありました。この課題を解決するために、ダッシュボードの構築が行われ、データを活用した施策の効果検証と改善を実施しました。

この取り組みの成果として、GAのデータを活用した施策が実行され、ファネルを可視化することでボトルネックとなるページを特定できました。ページ要素の絞り込みによって、コンバージョン率(CVR)が10ポイント向上しました。また、効果検証が適切に行えるようになり、追加したアンカーリンクによってエンゲージメント率が5ポイント向上したことも確認されました。

このように、正しく収集したデータを活用することで、データドリブンな施策検討が実現され、改善活動が他部署にも波及する結果となりました。
データと情報の違いを理解し、データを効果的に情報化することで、意思決定に必要な材料を整える重要性が示された事例です。

 05-2.【飲食サービス提供企業】社員の業務工数削減へ貢献する生成AIの活用

ある飲食サービス提供企業では、社内に蓄積された膨大なナレッジやドキュメントへのアクセスの効率化を目指し、生成AIを活用した検索ツールの導入プロジェクトが始まりました。このプロジェクトは、従業員が必要な情報に迅速かつ効率的にアクセスできるようにすることを目的としています。
企業内には、Confluence上に多くのドキュメントが存在していましたが、その量が膨大であるため、従業員は「どこに」「どのような」ドキュメントがあるのかを調査するのに多くの時間を費やしていました。

このような課題に対処するため、生成AIを使った検索ツールを開発し、ユーザーからの質問に対してAIが回答と関連ドキュメントを提示するWebアプリを構築しました。このツールは、社内の情報を効率的に検索できる機能を提供し、検索ワードを入力することで自動的に検索結果を生成します。また、従業員がWeb画面から質問できるインターフェースも実装されています。

この取り組みの成果として、ドキュメント調査にかかる工数が大幅に削減されました。これにより、従業員はより迅速に必要な情報にアクセスできるようになり、業務効率が向上しています。

生成AI活用事例のイメージ図

図:生成AI活用事例のイメージ

 

まとめ

データと情報の違いを理解することは、ビジネスにおいて重要です。

「データ」は未加工の数値や記号であり、それを分析・整理することで初めて「情報」として価値を持ちます。情報化されたデータは、現状把握の精度を高め、業務効率の向上や迅速な意思決定を可能にします。

適切に活用するためには、目的を明確にし、分析ツールやAIを導入するなどの手法が有効です。また、データ活用のための社内体制の整備も重要なポイントです。さらに、社内に専門知識が不足している場合は、外部サービスを活用することで高度な分析を実現できます。

データを適切に情報化し、活用することで、より迅速で戦略的なビジネス判断が可能となるでしょう。

 

 

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