なぜ多くの企業がデータ分析に失敗するのか?成功の鍵とその対策
こんにちは。データアドベンチャーの北島です。
今回は、「企業のデータ分析の失敗理由と、成功と対策」についてお話ししたいと思います。
執筆者のご紹介
北島史徒
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー(以下データアドベンチャー)サービス開発室 所属戦略プランナー
データ活用におけるお客さまの課題に対して高付加価値のサービスを提供する「エキスパートサービス」の開発や、実際にお客さまへ課題のヒアリング〜提案業務を行っています。
経歴:2019年 株式会社メンバーズ入社。顧客専任のデジタルマーケティング運用支援チームのマネージャーとして顧客のデジタルトランスフォーメーション(以下DX)やカスタマーサクセスの推進を支援。2023年からデータアドベンチャーのサービス開発室へジョインし、データをキーに顧客のDX、カスタマーサクセスの推進をサービス開発という立場から後方支援しています。
目次
01.|はじめに
02.|日本のデータ活用が進まない要因
03.|データ活用が失敗してしまう要因
04.|データ活用を成功させるための具体的なステップ
05.|データ活用の実例
06.|まとめ
はじめに
データ分析の重要性と現状
データ活用は企業の競争力を高めるだけでなく、業務効率の向上や意思決定の質を飛躍的に向上させる手段となっています。
しかし現状は、多くの企業がデータ分析の取り組みに課題を抱えています。
国内企業におけるデータの利活用の状況についての調査データによると、「全社で利活用している」「事業部門・部署ごとに利活用している」「現在実証実験を行っている」は 2022 年度と2023年度との間ではほぼ変わらない結果となっています。2022年度米国調査結果と比べると、データ利活用をしている割合は同等ですが、「全社で利活用している」の回答割合は差があることがわかります。
図1
*図1出典:「DX動向2024」(IPA)
https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/eid2eo0000002cs5-att/dx-trend-2024.pdf(2024年11月28日に利用)
日本のデータ活用が進まない要因
一言で伝えますと、「現状のままでも業務がなんとなく回っていること」が根本の要因であると想定していますが、具体的には以下のような背景があるのではないかと考えられます。
①現状維持バイアス
- 多くの企業では、従来の手法で業務が十分に行われ、短期的な問題が特段発生していないため、新しい手法への投資や変革の必要性を感じていない傾向が強いと考えられます。
- 過去の成功体験から従来のプロセスで成果を上げた実績があり、その方法を「正解」として継続していることが考えられます。
②組織文化の保守性
- 日本企業はリスク回避志向の傾向が強く、新しい決断へのリスクを回避する文化が存在すると言われています。
- 社内の意思決定において、経営層がデータ活用の必要性を十分に理解していない場合、推進力が弱まる傾向があります。
③データ活用技術や人材不足
- データ活用を推進するための専門知識スキルや人材が不足しているケースが考えられます。
- データ分析基盤の構築にはコストがかかるため、既存のITシステムを変更することに抵抗があり、IT投資への社内理解が得られにくい状況が発生します。
④現状の業務プロセスの最適化を優先
- 業務プロセスの効率化や改善が重視されており、データ活用がその延長線上でのみ考えられてしまう。
- データ活用が新たなビジネス創出やイノベーションを生む大きな変革点として認識されていない。
データ活用が失敗してしまう要因
一方で、データ活用をいざ進めようとする中で、データ活用の推進プロジェクトを立ち上げたもののプロジェクトが失敗してしまうケースも多くみられます。考えられる原因には以下のようなものが挙げられます。
1.サイロ化の進行
- 事象:IT領域でシステムが部署ごとに分断されてしまいデータが連携されていない = サイロ化が進行してしまった。
- 影響:他の部門とデータ連携しづらくなりデータ分析業務そのものの効率が低下する。
2.重複投資とコスト増加
- 事象:各部門が独自の分析ツールやソリューションを導入すると重複投資が発生し、コストが増加してしまう。
- 影響:ツールやソフトウェアのライセンス管理が複雑で、リソース変更の無駄な行為が発生してしまう。
3.データの整合性・信頼性の低下
- 事象:部門ごとに異なる基準や方法でデータが管理され、データの品質や安定性が低下してしまう。
- 影響:全社的な意思決定に必要な統一データが足りず、データに対する信頼性の低下を招いてしまう。
4.意思決定のスピードと精度の低下
- 事象:必要なデータが分散していると、経営層や管理者が意思決定に必要なデータを取得するまでに時間がかかり、意思決定スピードの低下を招いてしまう。
- 影響:市場機会の逸失や企業の競争力低下につながる可能性があります。
5.分析リソースの偏りと人材の活用不足
- 事象:部門ごとに限定されたデータ活用体制では、データを扱う社員や分析の専門人材が一部の部門に集中してしまい、全社的な分析力の向上が期待しづらい状況が生まれます。
- 影響:全社的な視点からデータを活用する機会が減り、潜在的な価値が活かされにくくなります。
上記に述べた目の前の事象に引っ張られ、データ活用が頓挫することが少なくありません。
これらの事象を引き起こす原因について、正しく向き合い、解決策を講じることが重要と考えます。
データ活用を成功させるための具体的なステップ
①目的や戦略を明確にする
課題
データ分析プロジェクトが明確なビジョンやゴールを持たずに始まることが多く、その結果、期待する成果を得られないケースが見受けられます。データ活用の目的が明確でないと、どのデータを使って何を分析すべきかが定まらず、結果として有効なインサイトが得られません。
解決策
まずは、データ分析の目的を明確に定めることが必要です。例えば「業務の効率化」「顧客満足度の向上」「売上増加」などのビジネスゴールを設定し、そのゴールに基づいてデータを収集し、分析することが成功への鍵となります。
②データの信頼性を高めるための準備を行う
課題
データ分析が失敗する理由の一つに、データの準備不足があります。多くの企業では、データが散在していたり、分析に使われるデータが不正確であったり、必要なフォーマットに整理されてないことが多いため、分析の前段階で時間がかかってしまいがちで、効果的な分析が困難となります。
解決策
データ統合プラットフォームの導入や、データの正規化(データクレンジング)を進めることで、分析に必要なデータを迅速に準備し、効率的に活用できる環境を整えることが重要です。
③ツールの導入はスモールスタートで
課題
分析ツールの選定ミスも、データ分析の進行を妨げる要因です。コストや機能に焦点を当てすぎ、実際の業務ニーズに合わないツールを導入してしまうことがあります。
解決策
高価なツールを導入する以前に、まずは今ある既存のツールでどんなデータを分析し可視化していきたいかを社内で検討し方向性を決めてから、ツールを選定する形でも遅くは無いでしょう。ツール選定の際には、使いやすさ、他システムとの連携、カスタマイズ性など、自社の業務フローに合ったものを選ぶことが重要です。導入前に実際の現場でのテストを行い、適合性を確認することもおすすめです。
④データ活用の専門家を活用する
課題
データ分析の専門スキルを持った人材の不足が、企業のデータ活用を妨げています。また、既存の社員がデータ分析を理解していないと、今行っていることが果たして正しいのか不安になったり、ツールや手法が導入されても効果がなかなか思うように出ないことがあります。
解決策
外部からデータサイエンティストを採用したり、社内でトレーニングプログラムを導入して既存の社員を教育する必要があります。データリテラシーを高めることで、現場レベルでのデータ活用が促進されます。
データ活用の実例
これまでご説明した背景を持つお客様に対して、弊社がご支援したデータ活用の推進実例をご紹介します。
①丸亀製麺様
社内で既にデータ活用は進めているものの、データ分析の人員不足、業務スピードに課題を抱えていたお客様に対し、データのプロフェッショナル人材が効率的なデータ分析~他部署への示唆出しまでデータ運用のPDCAサイクルをスピーディに回せる仕組づくりをご支援しました。
データのプロがジョインすることでチームの機能が高まり、マーケティングがより高速に。
②クレディセゾン様
データのサイロ化や、膨大なデータを蓄積している中で、そのデータを学習モデルに活用したいが何から手を付けるべきか悩んでいたお客様に対し、地道にデータの信頼性を改善し、より高度なビジネスへデータを活用できるようにしていくための分析環境づくりをご支援をした実例です。
クレディセゾンで活躍 本気のビジネス課題解決にデータのプロフェッショナル人材「常駐サービス」の薦め
まとめ
データ活用の信頼性を担保し、PDCAを小さく地道に回し続けることで成果は生まれる
- まずは小さくてもいいからできるところから、スピーディにデータ活用サイクルを回し、施策の示唆出しに活かせるまでの事例創出体験を作っていきましょう
- データがあっても使い道を誤ればデータの信頼性を失うため、まずはデータの信頼性を上げていくための対策を優先していきましょう。
- データ分析の成功は一朝一夕には成し得ませんが、適切なアプローチをとれば確実に効果が見込めます。社内に詳しい人材がいない場合は外部の専門家を頼りにすることも含めて検討していきましょう。
弊社ではデータに特化した専門人材がお客様オフィスへ常駐しご支援を行うことが可能な伴走型の支援サービスを提供しています。
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