2025年7月16日(水)に開催された、ソフトバンク株式会社主催『SoftBank World 2025』にて白井が登壇した講演のオンデマンド配信が開始しました。

オンデマンド講演の視聴はこちら(SoftBank World 2025 オンライン)

※参加登録(無料)が必要です

2025年8月4日:講演リポート記事が公開されました。

講演リポート記事はこちら(SoftBankビジネスブログ)

 

登壇概要

■登壇セッション:AXはじめの一歩:社内データ×自律思考型AIによる業務変革
■セッション概要:AIエージェントやAGI、ASIのビジョンには共感する一方、具体的な進め方が分からず現在のAI施策に悩みや不安を抱える方も多いのではないでしょうか。多くの企業が抱える課題を乗り越えるヒントとして、社内の蓄積データ×自律思考型AIによる業務変革のロードマップを示すとともに、Gen-AX株式会社がご支援させていただいたお客様の事例を交えて進め方を解説します。お客さまから選ばれ続けるための"AXはじめの一歩"を共に踏み出しましょう。

登壇者紹介

白井 恵里(しらい えり)

株式会社メンバーズ 執行役員
兼 メンバーズデータアドベンチャーカンパニー社長

東京大学を卒業後、株式会社メンバーズへ入社。
大手企業のオウンドメディア運用、UXデザイン手法での制作や、デジタル広告の企画運用に従事したのち、2018年11月に社内公募にてメンバーズの子会社(現、社内カンパニー)社長として株式会社メンバーズデータアドベンチャーを立ち上げ。
データアナリスト、データサイエンティスト、データエンジニアなどデータ領域のプロフェッショナルの常駐により企業のデータ活用を支援し、顧客ビジネス成果に貢献するサービスを提供。
2020年10月から株式会社メンバーズ執行役員兼務。現在カンパニーに所属するデータ分析のプロフェッショナルは約150名。
2024年、一般社団法人Generative AI Japan立ち上げに伴い、理事就任。
X @EriShirai

登壇・審査員歴

登壇歴

2025年3月5日:【GenAI理事対談】マイクロソフト×メンバーズ 生成AI2025最新トレンドと成否をわける要因とは
2024年11月28日:Generative AI Japan理事が語る!ベネッセ 生成AI×ビジネス活用へ必要な組織体制と技術課題
2024年9月13日:『DX & AI Forum 2024 東京 Summer 夏』大手企業のDX(変革)の壁と、それを打破する "組織"、"人"とは?
2024年8月30日:『AI博覧会 Summer 2024』生成AI社会実装の現在と展望
2024年7月23日:『Marketing Native Fes 2024 Summer』データから事業上の成果を生むためにデータ分析の前にやるべきこと
2024年7月4日:『IVS2024 KYOTO』データから探る日本の勝ち筋 ~国産生成AI基盤とプライベートデータ活用の今~
2024年5月29日:DX CAMP 2024 for Enterprise』新規事業創出、顧客接点強化にも効く〜DXを牽引するデータ組織の立ち上げ方

審査員歴

・2025年
GENIAC-PRIZE
生成AI大賞2025
GenAI HR Award2025

・2024年
生成AI大賞2024

2025年3月11日(火)から2025年6月6日(金)にかけて開催されたKaggleコンペティション「BirdCLEF+ 2025」にて、弊社のデータサイエンティスト柴田光希がチームの一員として参加し、2025チーム中13位となり金メダルを受賞しました。

 

本コンペティション概要

Kaggleは企業や研究者がデータを投稿し、世界中の統計家やデータ分析家がその最適モデルを競い合う、予測モデリング及び分析手法関連プラットフォームです。

「Cornell Lab of Ornithology」主催の「BirdCLEF+ 2025」コンペティションでは、与えられたサウンドスケープ(音風景)から206種類の鳥種+その他の鳴き声を検知し、分類する精度を競いました。

 

受賞社員について

柴田 光希(しばた こうき)

株式会社メンバーズ
メンバーズデータアドベンチャーカンパニー
サービス開発室 データサイエンスG
データサイエンティスト

理学部を卒業後、2022年にメンバーズへ新卒入社。データサイエンティストとして、動画やテキストといった多様なデータの分析や、データを活用したプロダクト開発を担当してきた。現在はR&D領域において医用画像処理や建築データ等に関する新技術の研究開発に従事している。

 

受賞者コメント

本コンペティションは学習データと評価に使われるテストデータの性質が乖離しており、そのギャップを埋めることが1つの大きな課題でした。3ヶ月間、チームメンバーと共に多くの試行錯誤を繰り返しながら、貪欲に有効な手法を見出していきました。最終的に、テストデータに類似したラベル無しデータをモデルの学習に追加する手法や、ある特定のクラスに適合させたモデルを加えるなどのいくつかの工夫が精度を大きく向上させることができ、金メダル圏内に入ることができました。
私自身とっては初めての金メダル獲得なので、大変嬉しく思っております。今回得られた知見を普段の業務での成果創出に活かしつつ、引き続き精進してまいります。

本記事では、企業におけるデータ活用の高度化に不可欠な「AIデータ分析」について解説します。その多岐にわたるメリットに加え、導入の具体的なステップと留意点、さらに自然言語処理を用いた顧客分析の自動化事例を紹介します。

執筆者のご紹介

執筆者:石田
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アカウントマネジメント室所属 データアナリスト
現在は教育業界企業様にてデータ分析業務に携わっています。主にPythonを用いた統計解析や機械学習モデリング、最近では外部サイトからのデータ収集、自然言語処理からモデル作成などを行っています。

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01.AIデータ分析とは?

 01-1.AIデータ分析とは?

近年、ビジネスを取り巻くデータ量は増加の一途をたどり、その活用は企業の成長における重要な鍵となっています。しかし、大量のデータの中から有益な情報を抽出し、ビジネスの意思決定に繋げるには、高度な分析技術と多大な労力が必要とされます。そこで注目されているのが「AIデータ分析」です。

AIデータ分析とは、人工知能(AI)の技術を活用して、大量のデータからパターンや相関関係、潜在的なトレンドなどを自動的に発見し、分析する手法です。人間が行うには困難な複雑な分析や、見落としがちな微細な変化を捉えることが可能になります。

具体的には、機械学習や深層学習といったAIアルゴリズムを用いて、過去のデータから学習し、未来の予測を行ったり、データを特定のグループに分類したり、異常値を検出したりすることができます。SNSの投稿や顧客レビューといったテキストデータを分析することで、最新の顧客ニーズや市場のトレンド、需要の流行をリアルタイムに把握することも可能です。これにより、企業はより迅速かつ精度の高い意思決定を行い、競争優位性を確立することが期待できます。

 01-2.人の手による分析との違い

従来の人手によるデータ分析と比較して、AIデータ分析にはいくつかの明確な違いとメリットがあります。

①処理量の違い
まず、処理できるデータ量が圧倒的に異なります。人間が手作業で分析できるデータ量には限界がありますが、AIは膨大なデータを高速かつ効率的に処理することができます。これにより、これまで見過ごされてきたデータの中に潜む重要なインサイトを発見できる可能性が広がります。

②客観性の高さ
次に、客観性の高さが挙げられます。人間の分析には、どうしても主観や経験によるバイアスが入り込む可能性があります。一方、AIはデータに基づいて客観的に分析を行うため、より公平で信頼性の高い結果を得ることができます。

③スピードとリアルタイム性
さらに、分析のスピードも大きく異なります。AIは複雑な分析を瞬時に行うことができるため、最新データを用いたリアルタイムでの意思決定や迅速な問題解決に貢献します。

 01-3.AIデータ分析の種類

AIデータ分析には、様々な種類があり、ビジネスの目的やデータの特性に応じて適切な手法を選択する必要があります。代表的なものとしては、以下のようなものがあります。

これらの種類は、分析の目的やデータの特性に応じて組み合わせて利用されることもあります。

02.AIデータ分析のメリット

データ活用の高度化が求められる現代において、AIデータ分析は、企業の成長と競争力強化に不可欠なツールとして注目されています。属人化やリソース不足の解消、正確な現状把握と予測、そして新たな洞察の発見など、導入によって得られるメリットは多岐に渡ります。

 02-1.属人化の解消

従来のデータ分析は、特定のスキルを持つ担当者に依存する「属人化」が課題でした。担当者の異動や不在によって分析精度やスピードに影響が出てしまうケースも少なくありません。AIデータ分析を導入することで、分析プロセスが標準化・自動化され、専門スキルを持たない担当者でも扱いやすいインターフェースを通じて、データに基づいた意思決定が可能になります。

 02-2.リソース不足解消

ビッグデータ時代において、手作業でのデータ分析は限界があり、時間や労力の増大、人的リソースの不足が課題です。AIデータ分析は、大量のデータを高速かつ効率的に処理できるため、人的リソースの負担が大幅に軽減されます。分析に費やしていた時間をより戦略的な業務に充てることができ、組織全体の生産性向上に貢献します。また、24時間稼働可能なAIは、人間では対応しきれない量の分析タスクをこなし、リソース不足による機会損失を防ぎます。

 02-3.正確な現状把握と迅速かつ高精度な予測

AIデータ分析は、過去のデータだけでなく、リアルタイムで更新される最新のデータも迅速に分析し、常に変化する市場や顧客の動向を正確に把握することを可能にします。高度なAIアルゴリズムを用いることで、人間では気づきにくい複雑なパターンや相関関係を発見し、高精度な将来予測を行うことができます。

例えば、以下のような予測に活用できます:

こうした予測は、在庫管理の最適化、プロモーション施策の精緻化、リスクヘッジなど、経営判断のスピードと質を大きく引き上げます。

 02-4.新たな洞察の発見

AIデータ分析の大きなメリットの一つは、人間では思いつかないような新たな洞察を発見できる可能性を秘めていることです。大量のデータを様々な角度から分析することで、これまで見過ごされてきたデータ間の関係性や潜在的なトレンドが明らかになることがあります。これらの新たな洞察は、新商品やサービスの開発、新たなターゲット顧客の発見、ビジネスプロセスの改善など、革新的なアイデアを生み出すきっかけとなります。

特に近年注目されているのが、自然言語処理(NLP)を用いた顧客の潜在ニーズを探る分析です。レビューデータ等の大量のテキストデータから、顧客の潜在的なニーズや不満を把握し、製品開発やサービス改善に活かすことで、企業はこれまで以上に顧客ニーズに合致した価値を提供し、持続的な成長を実現することができます。

03.AIデータ分析×自然言語処理:顧客分析事例

 03-1.自然言語処理とは?テキストデータ分析の可能性

自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)とは、人間が日常的に使用する言葉(自然言語)をコンピュータが理解・分析・生成するための技術の総称です。AIの一分野であり、言語の文法構造や意味、文脈などを解析し、コンピュータが情報を抽出したり、質問に答えたり、翻訳したりすることを可能にします。

自然言語処理(NLP)は、主に以下の特徴と利用目的があります。

NLPの特徴と利用目的をまとめた図図1:NLPの特徴と利用目的をまとめた図

インターネットやSNSの利用が日常となった現代において、テキストデータは増大の一途を辿っています。自然言語処理を活用することで、こうした膨大なテキストデータから、顧客の意見や感情、市場のトレンド、潜在的なニーズといった有益な情報を効率的に抽出し、分析することが可能になります。

例えば、顧客レビューの分析を通じて製品改善の糸口を見つけたり、SNSの投稿分析によって流行を把握したり、アンケート回答の分析から顧客満足度を深く理解したりすることができます。このように、自然言語処理は、蓄積され続けるテキストデータという宝の山をビジネスの成長に繋げるための強力な武器となります。

 03-2.自然言語処理で分析業務をほぼゼロに自動化

次に、自然言語処理を活用して分析業務を自動化し、大幅な作業工数削減と最新データからの迅速な顧客ニーズの把握を実現した事例をご紹介します。

ある企業では、ホットトピックを商品内容に反映するため、サイト内検索ワードの分析を実施していましたが、その一部をExcelでの手作業で行っていました。この作業は担当者に大きな負担を与え、工数短縮と効率化が求められていました。検索データなどのテキストデータは、重要な情報を含む一方で、単語表記や日本語・英語表記のばらつきが多く自動化の壁が高いために、なかなか自動化に着手できずにいるケースが少なくありません。

そこで、背景課題である「類似検索語の手作業による集約」を自動化し、効率的な検索ワード分析を実現するため、自然言語処理技術を用いた分析業務自動化を実装しました。具体的には、深層学習とNLPを活用したホットトピック分析モデルを構築し、その結果をダッシュボード化することで、誰もが定期的に最新の検索ワードの動向を容易に把握できる環境を構築しました。

実装の流れは以下の通りです。

  1. ディープラーニングモデルを用いて、抽出した検索クエリをベクトル化
  2. 単語ベクトル間の類似度を、コサイン類似度を用いて算出(ベクトル検索)
  3. 設定した閾値以上の類似度を持つ単語を、類似語としてまとめ集計
  4. 集計データをPower BIでダッシュボード化し、分析結果を可視化
  5. 集計データの定期更新設定により、ダッシュボードを自動的に最新の状態に維持

深層学習とNLPを活用したホットトピック分析モデルの実装フローを示す図図2:深層学習とNLPを活用したホットトピック分析モデルの実装フローを示す図

この事例の成果として、月間40時間の作業工数をほぼゼロに削減。さらに、ダッシュボードの導入により、専門的な分析スキルを持たない担当者でも最新の検索ワードからホットトピックを容易に把握できるようになりました。このように、自然言語処理を用いて業務効率化を実現し、最新の検索データに基づいた顧客ニーズに関するインサイトの迅速なビジネス活用を推進することができます。

04.AIデータ分析の導入ステップと注意点

AIデータ分析を効果的に導入し、その恩恵を最大限に引き出すためには、計画的なステップと検討が不可欠です。ここでは、導入前の準備、分析環境の構築、導入時の注意点の3つのフェーズに分け、それぞれのポイントと注意点を詳しく解説します。

 04-1.導入前の準備

例えば、「顧客満足度を10%向上させる」というビジネス目的に対し、「過去1年間のレビューデータから、低評価レビューに共通するキーワードと頻出パターンを特定する」という分析目的を設定します。

次に、そのビジネス目的を達成するために、どのようなデータ分析が有効であるかの仮説を立てます。「顧客のレビューにおいて、製品の特定機能の操作性の悪さが低評価の主要因ではないか」といった具体的な仮説を持つことで、データ分析の方向性が定まります。

そして、分析結果に基づき、「低評価レビューで指摘された機能の改善優先度を上げ、改善案を一部の顧客にプロトタイプとして提供し、A/Bテストを実施する」といった具体的なネクストアクション(分析の活用方法)を定義します。このように、ビジネス目的、分析目的、具体的な仮説、そして活用方法までを明確にすることで、分析結果が具体的なアクションに繋がらず、活用されないという事態を防ぐことができます。

収集するデータの形式(構造化データ、非構造化データ)、量、鮮度、信頼性などを十分に確認することが重要です。データの品質が分析結果の精度を大きく左右するため、データのクレンジング(欠損値の処理、ノイズの除去、形式の統一など)や前処理を適切に行う必要があります。

 04-2.分析環境の構築

収集したデータを実際に分析するための環境を構築するフェーズです。適切なツールを選定し、分析に必要な人材を育成または確保することが重要になります。

ツールの選定にあたっては、以下の点を考慮する必要があります。

高機能なツールが必ずしも自社に適しているとは限りません。オーバースペックなツールを導入しても、機能を十分に活用できない可能性があります。まずは、現状の分析ニーズを正確に把握し、必要な機能に絞ってツールを比較検討することが重要です。

社内での育成に力を入れる場合は、研修プログラムの実施やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)などを検討します。外部からの採用も視野に入れる場合は、求めるスキルや経験を明確にし、適切な人材を探す必要があります。また、データ分析の結果をビジネスの意思決定に繋げるためには、データサイエンティストと現場の担当者が連携し、円滑なコミュニケーションを図れる体制を構築することが重要です。

AIデータ分析は高度な専門知識を必要とするため、人材育成には時間とコストがかかります。また、市場におけるデータサイエンティストなどの人材は不足傾向にあります。自社の状況に合わせて、内製と外部リソースの活用をバランス良く検討することが重要です。

 04-3.導入時の注意点

実際にAIデータ分析を導入し、運用していく上で注意すべき点について解説します。

データの収集段階から利用目的を明確にし、必要最小限のデータのみを収集するように努めます。分析結果の公開範囲についても慎重に検討し、個人の特定に繋がるような情報の取り扱いには細心の注意を払う必要があります。

分析のプロセスや結果の透明性を確保し、バイアスを低減するための取り組みを行うことや、AIの判断が人間の意思決定に大きな影響を与える可能性がある場合は、その影響範囲や責任の所在を明確にしておくことが重要です。

まとめ

本記事では、企業のデータ活用を高度化する手段としてAIデータ分析の基本と活用方法を解説しました。

AIデータ分析は、属人化やリソース不足を解消し、大量のデータを高速かつ客観的に分析することで、正確な現状把握と高精度な予測を可能にします。さらに、人間では気づきにくい新たな洞察をもたらし、企業の革新を支援します。

特に、自然言語処理(NLP)を活用した顧客分析事例では、手作業で行われていた検索ワード分析を自動化し、大幅な工数削減とデータに基づいた迅速な意思決定の推進を実現しました。

また、AIデータ分析の導入には、目的の明確化、適切なデータ収集、分析環境の構築といった準備や、そしてプライバシー保護や倫理的配慮が不可欠です。これらのステップと注意点を踏まえ、自社の課題や目標に合わせてAIデータ分析を導入・活用することで、競争優位性の確立と持続的な成長が期待できます。

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ベネッセ、メンバーズ、生成AI活用の先駆者が語るデータマネジメントの重要性と未来

現代ビジネスにおいて、データ分析は企業成長に欠かせません。しかし、「何から始めればいいか分からない」「社内に専門人材がいない」と悩む企業も多いでしょう。そんなとき、有効な選択肢となるのがデータ分析の外注です。この記事では、外注のメリット・デメリットから、成功するパートナー選び、費用相場まで、データ分析外注のすべてを解説します。

01.データ分析の重要性

 01-1.データ分析とは

データ分析とは、蓄積されたデータに対して統計学や機械学習などの手法を用いて、傾向やパターン、因果関係などを明らかにすることです。得られた分析結果は、業務改善や戦略立案など、組織の意思決定を支える重要な要素となります。

データ分析とデータ活用は混同されがちですが、厳密には異なります。データ活用は、データを収集・蓄積・分析し、その結果を業務プロセスや意思決定に反映させる一連の取り組み全体を指します。つまり、データ分析はデータ活用における重要なプロセスの一つといえます。

データ活用によって、企業は「現状の正確な把握」「業務効率の改善」「精度の高い判断」といった成果を得ることができます。しかし、実際には「データの整備」「分析環境の構築」「人材の確保」など、さまざまなハードルが存在します。そこで注目されているのが、「データ分析の外注」という選択肢です。社内リソースだけでは対応しきれない分析業務を、外部の専門家に任せることで、よりスムーズかつ効果的にデータ活用を進めることが可能になります。そのため、データ分析の外注を柔軟に利用することで、より効率的にデータ活用を進めることが可能です。

 01-2.データ分析の外注という選択肢

企業がデータ分析を行うには、「内製」と「外注」という2つの手段があります:

データ分析の外注先としては、以下のような外注先が存在します:

それぞれ得意分野や料金体系が異なるため、自社の目的や予算に合わせて柔軟に検討することが重要です。また、分析を外注する際には、「ノウハウを自社に残せるか」という視点も不可欠です。単なる丸投げではなく、社内での活用力を高める「伴走型」「内製化支援型」の外注スタイルを選ぶことで、将来的には自社内での分析力強化=筋肉質な組織づくりにもつながります。

02.データ分析外注のメリット・デメリット

 02-1.データ分析外注のメリット

 02-2.データ分析外注のデメリット

03.成功するパートナーの選び方

 03-1.実績・専門性

まず注目すべきは、過去の実績と得意領域です。特に、自社と同じ業種や類似の課題に取り組んだ経験があるかを確認しましょう。たとえば以下のようなチェックポイントが有効です:

経験値の高いパートナーは、分析の精度が高いだけでなく、業界特有の課題に対する理解も深いため、より実効性のある提案が期待できます。

 03-2.セキュリティ体制

外注において最大のリスクは機密情報の漏洩です。安心してデータを共有するためには、以下のようなセキュリティ対策が取られているかを確認しましょう:

また、契約時に秘密保持契約(NDA)を締結することも必須です。万が一に備え、契約書面での取り決めを怠らないようにしましょう。

 03-3.コミュニケーション能力

分析の成否を左右するのは、パートナーとの連携の質です。以下の点をチェックすることで、信頼できるコミュニケーションパートナーかを見極められます:

初期打ち合わせや見積もりの段階で相手の姿勢を見極めましょう。

 03-4.費用対効果

単に「安いから」「高いから」ではなく、費用と成果のバランスを見極めることが重要です。複数の候補から見積もりを取り、以下を総合的に比較しましょう:

費用対効果の高い企業は、単に分析を行うだけでなく、その成果の「使い道」まで考えてくれるパートナーであることが多いです。

 03-5.内製化支援の有無

長期的には、自社で分析できる体制を構築したいという企業も多いはずです。その場合、以下のような支援が可能な外注先を選ぶことで、将来的な内製化がスムーズになります:

こうした「伴走型パートナー」を選べば、一時的なアウトソースではなく、ナレッジを蓄積しながら中長期的な分析力強化が実現できます。

04.外注先とのプロジェクトの進め方

データ分析プロジェクトを外注する際は、「依頼して終わり」ではありません。外注先と協力して成果を最大化するためには、プロジェクトの進め方にも工夫が必要です。ここでは、外注プロジェクトをスムーズに進めるための3つの重要ステップを紹介します。

 04-1.目的を明確化しプロジェクトの背景を伝える

なぜデータ分析を行うのか、何を明らかにしたいのかという目的を明確にすることが、プロジェクト成功の第一歩です。目的が曖昧なままプロジェクトを進めると、期待した成果が得られない可能性があります。

また、データ分析プロジェクトの背景を外注先に伝えることも重要です。課題の背景や関連する情報も共有することで、外注先はより深い理解を持って分析に取り組むことができます。

 04-2.要件を明示し、ドキュメント化する

分析の対象となるデータ、必要な分析手法、求める成果物の形式や納期など、具体的な要件を外注先に明示することが重要です。要件が曖昧だと、外注先との認識のズレが生じ、手戻りが発生する可能性があります。

主な要件の例:

また、過去に同じようなプロジェクトに取り組んだケースがあれば、その事例を共有することも重要です。過去の取り組みにおける分析手法や成功、失敗を共有しておくことで、期待する結果をより得やすくなるでしょう。

 04-3.データの提供とセキュリティ対策

分析に必要なデータを外注先に提供します。スムーズに受け渡しができるよう、データの形式や提供方法、セキュリティ対策などについて、事前に外注先と協議しておくことが重要です。

データ提供時の留意点:

加えて、個人情報保護法や業界特有のガイドラインに沿ったデータ取り扱いができるか、外注先との事前確認・契約(NDA含む)を必ず行いましょう。

05.データ分析外注、費用相場と契約形態

データ分析を外部に委託する際は、費用の相場感や契約形態の違い、トラブルを防ぐための留意点を理解しておくことが重要です。この章では、発注前に押さえておきたいポイントを解説します。

 05-1.データ分析外注の費用相場

データ分析の外注費用は、依頼先、分析の複雑さ、データ量、期間などによって大きく変動します。

データ分析を外注する際の費用相場をまとめた表

 05-2.代表的な契約形態

企業への依頼においては以下のような契約形態があります。それぞれ業務範囲や指示系統に違いがあるため注意が必要です。

 05-3.契約時の注意点

06.データ分析の最適な外注先を見つける

データ分析を外注しようとしたとき、「どの会社に依頼すればいいのか分からない」と感じる方は少なくありません。実際、データ分析を支援する会社は、それぞれ得意なことや提供するサービスが大きく異なります。自社の課題や目的に合わせて、最適なパートナーを見つけることが成功の鍵となります。

 06-1.データ分析の「頭脳」となるコンサルティング会社

データ分析を通じて、経営戦略や事業課題そのものの解決をサポートしてくれるのが、コンサルティング会社です。彼らは、単にデータを分析するだけでなく、「なぜその分析が必要なのか」「分析結果をどうビジネスに活かすか」といった、より上流の戦略立案から実行までを伴走してくれます。

大手では、アクセンチュアやデロイトトーマツコンサルティングなどが有名です。特定の業界や専門分野に特化したコンサルティングを提供する会社もあり、複雑なビジネス課題をデータドリブンで解決したい場合に頼りになるでしょう。

 06-2.データ分析の「実務」を担う専門会社・ベンダー

データ分析の具体的な作業や、それを可能にするシステム・ツールの構築を得意とするのが、こちらのタイプです。データ活用の現場を支えるプロ集団といえます。

 06-3.データ分析の「人材」を強化するパートナー

データ分析の内製化を進めたい、あるいは一時的に専門人材を確保したい場合に力になってくれるのが、人材の提供や育成に強みを持つ企業です。

弊社メンバーズデータアドベンチャーカンパニーなどがこれに該当し、データサイエンティストやアナリストを顧客企業に常駐の形で提供するサービスを提供しています。これにより、自社内に分析ノウハウを蓄積しながら、継続的にデータ活用能力を高めることが可能です。また、データリテラシー研修や社員向けのデータ分析トレーニングを提供し、企業のデータドリブン文化醸成を支援する企業もあります。

後悔しない、データ分析の外注先


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✔️採用にコストをかけず実現するプロの伴走支援
✔️データ整備から内製化までの一貫サポート

サービスの詳細、支援内容、導入事例は下記ページで公開しています。
▶︎サービス内容:データ領域 プロフェッショナル常駐サービス
▶︎導入事例:導入事例 | メンバーズデータアドベンチャー

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まとめ

データ分析の外注は、専門知識の活用やコスト効率の向上といった大きなメリットがある一方で、情報漏洩リスクやノウハウが社内に残りにくいといった注意点も伴います。
成功のポイントは、以下の観点で信頼できる外注先を見極めることです。

外注先には、戦略を支えるコンサルティング会社、実行を担う分析専門会社・システムベンダー、組織力を高める人材強化型の支援会社など、多様な選択肢があります。
まずは自社の目的や課題を整理し、それに最適なパートナーと連携することが、データ活用による成果創出、ひいてはビジネスの成長加速につながります。

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ベネッセ、メンバーズ、生成AI活用の先駆者が語るデータマネジメントの重要性と未来

ビジネスのDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、いろいろな場面でデータ分析が行われるようになっています。データ分析は上手く使えば大きな武器になりますが、明確な目的がないままデータ分析に着手してしまったり、選んだ分析手法が目的に対して適切ではなかったりするとその効果を最大限発揮できなくなってしまいます。

この記事では、数多く存在するデータ分析手法の中で、ビジネスの現場で頻繁に使われる主要な手法の概要と、それぞれの分析手法がどのような目的で使われるものなのかをご紹介します。

執筆者のご紹介

名前:長山大貴
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アカウントマネジメント室
現在は外食企業に常駐し、データ可視化や商品や顧客の分析、施策の効果検証などのデータ分析を主に担当。ただ数字を扱うのではなく、ビジネスの状況を深く理解してより良い意思決定に貢献できるように意識しています。

BIツールがうまくいかない原因、実は「データ」そのものかも

【マネージャー・リーダー向け】"業務に活きる"BIツール活用術-データ分析の全体像-

TableauやPower BIは強力なツールですが、
「元のデータ」が整理されていなければ真価を発揮できません。
✔️綺麗なグラフが作れない」
✔️「分析が次に繋がらない」
といった課題の根本原因と解決策を、
本動画で現役データサイエンティストが体系的に解説します。

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01.データ分析の定義とビジネスにおける役割

データ分析とは、蓄積された情報から傾向や関係性、洞察を導き出すプロセスです。ビジネスでは日々さまざまな意思決定が行われていますが、主観や過去の経験だけに頼ると、判断にブレや再現性の欠如が生じがちです。そこで活躍するのが、客観的なデータを基にした「分析」です。データという客観的な根拠を活用することでより正確で、再現性のある意思決定を行うことができるようになります。

データ分析の取り組みをビジネス成果に結びつけるためには、ビジネスインパクトの大きい課題に取り組むこと、その課題に対する意思決定を行う中でデータ分析を行う目的を明確にすることが重要です。「データの活用」や「特定の分析手法を使うこと」自体を目的にするのではなく、まずは取り組むべき課題を明確にし、その課題に取り組むために最適な手段を検討します。

明確な目的がないままデータ分析を行うと、「勉強にはなったが、分析結果をどのように行動に移したらいいか分からない」という状況に陥ってしまいがちです。そのため、まずは課題解決のための道筋を立てて、その中で目的に沿ったデータ分析手法を選んで使っていくことが重要です。

02.データの種類

データ分析を行う前に、まず理解しておきたいのが「データの種類」です。一般的には、量的データ(数値)と質的データ(カテゴリ)といった分類が知られていますが、ビジネス実務の現場ではそれに加えて、「集めたデータ」と「集まったデータ」という視点も非常に重要です。

「集めたデータ」とは、特定の目的のために自社でアンケートを作成したり、調査会社に依頼したりして収集したデータのことです。これらのデータは調査対象や回収方法を適切に設計することで、データの偏りを抑制することができます。例えば、日本の人口構成比に合わせてインタビュー対象者数を設定することによって、市場全体に近い集団をもとにデータ分析を行えるようになります。

一方、「集まったデータ」は、企業の日常的な事業活動に伴い、自然に蓄積されるデータを指します。例えばECサイトの購買履歴や、Webサイトやアプリ上での行動を記録したアクセスログなどです。この「集まったデータ」を扱う際は、データに意図しない偏りが生じていないか気を付ける必要があります。例えば、自社サイトのアクセス履歴は、自社のことを元々知っている人、もしくは検索ブラウザや広告を通して自社に興味を持った人のデータなので、そのデータを分析した結果は、自社のことを一切知らない人たちには当てはまらない可能性があります。他にも、ヘビーユーザーの方がキャンペーンに参加しやすい傾向がある、店舗の立地や形式によって顧客の行動傾向が異なるなど、各ビジネス/サービス特有の偏りは数多く存在するため、分析者はビジネスやサービスのことを深く理解する必要があります。

03.主要なデータ分析手法

ここからは主要なデータ分析の手法をご紹介します。

 03-1.データ可視化

<目的>

<詳細>
そもそもビジネス上関心がある情報を数字として見たことがない場合、まずはデータを抽出・集計して可視化することは非常に有効です。テーブルやグラフとしてデータを可視化することで、データの推移や規則性、大小関係など多くのことが明らかになります。また、可視化したデータをチーム内外で共有することで、共通認識を持って業務を進められるようになります。

データを可視化する際は、適切な形式を選ぶことが重要です。例えば棒グラフと線グラフは両方時系列のデータを表現するときによく使われますが、棒グラフのほうが数値の大小比較がしやすく、線グラフのほうが数値の上下が分かりやすいという特徴があります。このように、各可視化手法の得意分野を理解し、適切に使い分けることでより効果的に可視化したデータを使えるようになります。

 03-2.基本統計量の算出

<目的>

<詳細>
データはそのままだと情報量が多くて扱いにくいことが多いので基本統計量を算出して取り回しをよくすることが有効です。基本統計量はデータ全体を表す代表値と、データのばらつきを表す散布度に大きく分けられます。

代表値は平均値が有名ですが、他にも中央値や最頻値などがあります。平均値は非常によく使われる代表値ですが、極端に大きい/小さい外れ値に影響を受けやすいという特徴があり、注意する必要があります。例えば、1人あたりの購買額などほぼ上限がないといえる値は外れ値の影響を受けて平均が高くなりやすいので、データの分布を確認したうえで外れ値を除外したり、中央値を使うなどの対策を検討します。

散布度はあまり耳にする機会が多くないかもしれませんが、データの散らばりを表す「標準偏差」や、最大値と最小値の差である「範囲」などがあります。データのばらつきも非常に重要な指標で、例えば1日あたりの平均売上額が同じでも、標準偏差が大きければ日によって売上の上下が激しく、逆に標準偏差が小さければ毎日安定した売上を出している店舗と言えます。これは平均値だけを見ていては抜け落ちてしまう情報です。

基本統計量を算出することでデータの取り回しがしやすくなり、効率的に情報を伝えたり、比較がしやすくなるなどのメリットがありますが、同時に抜け落ちてしまう情報もあるので注意して使う必要があります。

 03-3.クロス集計

<目的>

<詳細>
年代や性別などの属性や特定の行動の有無などで分けて度数や興味のある指標を算出することで、傾向や特徴を見つけることができます。例えば、キャンペーンへの参加率を性別や年代、過去の購買傾向などの条件ごとに算出することで、キャンペーンに興味を持ちやすいセグメントを特定するなどの分析を行うことができます。

クロス集計は取り組みやすい分析ですが、「集まったデータ」など、その分析のために収集したのではないデータを使う場合、データにバイアスがかかっている可能性があるので注意する必要があります。

 03-4.検定

<目的>

<詳細>
ある商品をプロモーションするメールを2パターン作り、送信先をランダムに割り当てて送ったとき、メールAを受け取ったユーザーの方がメールBを受け取ったユーザーよりも多く商品を購入したとします。この場合、ただちにメールAのほうが効果的だったということができるでしょうか。このようなケースでは検定を行うことで、差が偶然によるものかそうでないかを判断することができます。それにより、実際には偶然ではないと言い切れない不明確な差に対して投資してしまうことを避けることができます。検定の手法は数多く存在するため、扱うデータや状況にあった検定手法を選定して使用します。

ただし、検定の結果統計的な有意性があったとしても、その差にビジネス上の意味があるかはまた別の問題です。統計的な有意性だけでなく、ビジネスインパクトも考えたうえで意思決定を行う必要があります。

 03-5.クラスター分析

<目的>

<詳細>
多くの異なるデータの中から、似た性質を持つものを集めてグループ(クラスター)を作るのがクラスター分析です。例えば、顧客の購買履歴や行動パターン、デモグラフィック情報など、様々なデータを使って「似たような顧客」を分類することができます。これにより、漠然とした顧客層を具体的なセグメントとして捉え、それぞれに合わせたマーケティング戦略や商品開発を行うことが可能になります。

クラスター分析は、明確な正解がない「教師なし学習」の手法の一つです。そのため、クラスター分析によって導き出された分類にどのような意味を見出すのか、分析者の専門知識や解釈力が重要になります。また、クラスタリング手法の選定やクラスターの数、クラスター同士の距離の測り方の定義など、設定によって得られる結果や示唆が変わるため、目的に合った手法や設定を選ぶ必要があります。

 03-6.主成分分析

<目的>

<詳細>
主成分分析は、多数の変数を持つデータセットから、それらの変数に共通する「主要な情報(主成分)」を抽出する統計手法です。例えば、顧客アンケートで「商品デザイン」「品質」「価格」「サポート」など多くの評価項目がある場合、相関が高い変数を一つの「主成分」としてまとめることで、次元を削減することができます(例えば、「品質」と「安心感」の相関が高い場合、1つの主成分に集約するなど)。

この分析の主なメリットは、データの次元を削減し、複雑な情報をシンプルな、かつ分かりやすい形に変換できる点です。多くの変数を持つデータでも、数個の主成分に集約することで、データ全体の構造や変数間の関係性を把握しやすくなります。これにより、顧客アンケートのデータから顧客が商品を評価するときの軸を発見したり、作成した主成分を次の分析に活用したりすることができます。

注意点としては、次元を削減することにより情報量が失われるため、複数の変数を主成分に集約したことによりどの程度の情報が失われたのかを把握しておく必要があります。

 03-7.因果推論

<目的>

<詳細>
「集まったデータ」を使うときはデータの持つ偏りに注意する必要があると繰り返しご説明していますが、偏りがあるデータを使って出来るだけ純粋な効果を捉えようとする因果推論という考え方があります。因果推論の代表的な分析手法として、差分の差分法、傾向スコアマッチング法などがあります。

差分の差分法では、例えばある施策を行った場合、その施策の影響を受けたグループと施策の影響を受けていない比較対象のグループそれぞれで時系列のデータを準備し、各グループにおける施策前後での数値の差分を算出して、さらにその差分のグループ間での差分を求めることで純粋な因果関係を知ろうとします。施策の影響を受けていないグループの施策前後の変化を見ることで、「施策を行っていなかった場合でも起こっていたと考えられる変化」を加味して純粋な施策による効果を知ることができます。ただし、これは施策の影響を受けたグループと受けていないグループでは施策の影響以外の差がないという仮定のもと分析を行っているため、比較対象のグループをどう設定するかが重要になります。

実務では偏りのあるデータしか手に入らないことも多いため、因果推論を使うことで施策の効果などをより正確に計測し、ビジネスに活用することができます。

 03-8.アソシエーション分析

<目的>

<詳細>
よく一緒に買われている商品の組み合わせを発見し、販売方法などを工夫したり、レコメンデーションに活かしたい場合にはアソシエーション分析を使うことができます。アソシエーション分析では以下の3つの指標を算出し、一緒に買われやすい組み合わせや、他商品の販売促進効果を分析します。

仮に信頼度が高かったとしても、商品Aがあまり買われておらず、全体に対する影響度が小さい(=支持度が低い)可能性もあります。また、商品Bが人気商品の場合他の商品と一緒に買われる確率は自然と高くなるため、リフト値も重要な指標です。そのため、それぞれの指標をバランスよく見て判断することが重要です。

例えば支持度が一定以上あり、信頼度も高い場合、商品Aと商品Bを近くに陳列することでセットでの購入を促進する、などの意思決定につなげることが考えられます。

 03-9.回帰分析

<目的>

<詳細>
回帰分析は将来の予測や実績の解釈などに使うことができ、非常に汎用性の高い分析手法です。過去の傾向から将来を予測したい場合、予測したい数値(被説明変数と呼びます)と、被説明変数に関係のある変数(説明変数と呼びます)を学習させることで、説明変数をもとに被説明変数を予測するモデルを作成することができます。

また、作成したモデルに着目し、被説明変数に対して与える影響が大きい/小さい説明変数を特定することで、実績の解釈に役立てることもできます。

回帰分析を用いた予測では、例えば過去の実績をもとにあるユーザーがキャンペーンに参加する確率を予測するモデルを作成し、参加率が高いユーザーに対してメールを送信するなどの施策に移すことができます。

回帰分析を解釈に役立てたい場合、先述のモデルにおいて被説明変数に対して影響度合いが大きい説明変数を探し、どのような特徴を持ったユーザーがキャンペーンに参加しやすいかを解釈することができます。

 03-10.決定木分析

<目的>

<詳細>
決定木分析は、ある結果(例えば「顧客が商品を購入するかしないか」)が、どのような条件の組み合わせで起こるのかを、樹形図(決定木)を使って分析・予測する手法です。データの規則性やパターンをツリー状に分岐させながら可視化するため、予測に至るプロセスが非常に分かりやすいという特徴があります。

例えば、Webサイトの訪問者が商品を購入するかどうかを予測したい場合、決定木分析を使うと、「訪問経路が〇〇で、滞在時間が△△分以上なら購入する確率が高い」といった具体的なルールを発見できます。これにより、顧客がなぜその行動を取るのか、その理由を直感的に理解し、ビジネス戦略に活かすことができます。

ただし、決定木分析は、データに過剰に適合(過学習)しやすいというデメリットもあります。複雑な木を作りすぎると、学習データにはフィットしても、未知のデータへの予測精度が落ちる可能性があるため、適切な木の深さや枝の剪定が重要になります。

 03-11.時系列分析

<目的>

<詳細>
時系列分析は、時間とともに変化するデータ(時系列データ)のパターンを分析し、将来の動向を予測する手法です。売上、株価、気温、アクセス数など、時間の経過とともに変動するデータに適用できます。この分析では、データの「トレンド(長期的な傾向)」「季節性(周期的な変動)」「不規則変動(ランダムな動き)」といった要素を分解して捉えることで、より正確な予測を可能にします。

例えば、過去数年間の商品の売上データから、季節ごとの需要の変動パターンや、長期的な売上の成長傾向を把握し、来月の売上を予測することができます。これにより、在庫管理の最適化、生産計画の立案、マーケティング施策のタイミング決定など、多くのビジネスシーンで役立ちます。

時系列分析の課題は、予測が過去のデータパターンに依存するため、予測期間が長くなるほど不確実性が増す点や、予測不能な突発的なイベント(自然災害や経済危機など)には対応しにくい点です。また、データの収集間隔や粒度によって分析結果が大きく変わるため、適切なデータ準備が不可欠です。

まとめ

この記事では、データ分析をビジネス成果につなげるために重要な視点と、主要な分析手法、その使用目的や特徴をご紹介しました。

データ分析をビジネス成果につなげるためには、目的が明確でないままデータ分析を始めるのではなく、まずは取り組むべきビジネス上の課題を決め、その課題に対して取り組む中で目的に合ったデータ分析手法を選んで使う必要があります。また、自然に蓄積した「集まったデータ」を使う場合、データの中に存在する偏りに注意して分析を進める必要があります。これにはビジネスやサービスのドメイン知識が必要なため、分析者もビジネスへの理解を深めることが重要です。

データ分析には数多くの手法が存在しますが、それぞれの目的や注意すべきポイントを正しく理解したうえで活用することで、その効果を最大限発揮させることができます。データ分析を活用することで、経験や直感だけに頼るよりもより質、再現性が高い意思決定が行えるようになります。

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データを可視化!BIツール導入によるデータドリブンの促進

物流業界では、「2024年問題」や人手不足、燃料費や人件費などのコスト高騰といった構造的課題が顕在化しています。効率化と競争力維持の両立が求められる中で、今、改めて注目されているのが「データ活用」です。本記事では、物流現場やサプライチェーン全体の最適化を目指す企業・担当者向けに、今回は以下をお伝えします。

執筆者のご紹介

名前:川口翔太

「データはあるのに、活かせない」を解決しませんか?

多くの企業がDXを掲げる一方、「データをどう事業成果に繋げるか」という最も重要な壁に直面しています。データ基盤を整えても、そこからビジネス価値を生み出せなければ意味がありません。
弊社は、データ領域のプロフェッショナル人材の提供により、お客さまのステージに合ったデータ活用~定着を継続的に支援します。
関連資料:DX×データ活用で組織と事業を推進!

01.物流業界におけるDX推進

 01-1.物流業界が直面する課題

物流業界は現在、「2024年問題」をはじめとする多くの構造的課題に直面しています。2024年4月より施行された働き方改革関連法により、トラックドライバーの時間外労働が制限され、輸送力不足が深刻化することが予想されています。加えて、ドライバーの高齢化と新規人材の不足による慢性的な人手不足が続いており、EC市場拡大に伴う配送需要の増加が需給ギャップを拡大させています。

さらに燃料費の高騰や物価上昇もコストを押し上げており、従来の非効率な業務フローのままでは企業収益を圧迫しかねません。これらの課題は、単なる現場の工夫ではもはや解決が難しく、構造的な改革が求められています。

また、サプライチェーン全体の透明性や柔軟性の不足も、突発的な需給変動や災害対応の遅れにつながっており、業界全体の競争力を下げる要因となっています。

 01-2.DX推進の必要性とデータ活用の役割

こうした状況において注目されているのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進とデータ活用です。業務の可視化やボトルネックの把握、将来予測といった領域において、データに基づく意思決定と業務の最適化が強く求められています。

たとえば、業務プロセスのどこに時間がかかっているのか、どの配送ルートが非効率なのかといった課題を可視化し、AIやIoT、ロボティクスを使って効率化することで、少ないリソースでも高い生産性を発揮できる体制が整います。

このように、物流業界が持続的に発展していくためには、業務のデジタル化を通じて、より柔軟で強靭なサプライチェーンを構築していくことが不可欠なのです。

02.データ活用がもたらすメリット

物流領域でのデータ活用は、目に見える効果を短期間で生み出せることから、DX推進の初期段階の取り組みとして最適です。ここでは、物流業務における特に効果が表れやすい3つの代表的なメリットを紹介します。

 02-1.配送リードタイム短縮

配送リードタイムの短縮は、顧客満足度向上だけでなく、業務効率化や車両稼働率向上にも大きく貢献します。実現の鍵となるのが、過去の配送実績、道路状況、交通量、天候など多様なデータを活用したルート最適化です。AIを活用すれば、曜日や時間帯別の最適ルートを自動で算出することも可能です。

実際に、日本郵便ではAIを用いて配達順序の最適化を行った結果、

といった成果を実現。新人ドライバーでも熟練者と同等の効率で配送できるようになり、教育負担の軽減にもつながります。

 02-2.在庫最適化

在庫管理の最適化は、欠品による機会損失と過剰在庫によるコスト増の両方を防ぐ重要な施策です。過去の販売実績やシーズン要因、地域ごとの需要傾向などをもとに、AIで需要予測を行い、それに基づいて適正在庫を維持することが可能になります。

たとえば、IoTを活用した在庫センサーによってリアルタイムな在庫情報を収集し、WMS(倉庫管理システム)と連携することで、在庫の過不足を自動検知・自動補充する仕組みも構築できます。これにより、無駄な在庫スペースの削減や在庫回転率の向上が期待され、さらにはキャッシュフローの改善にも寄与します。

 02-3.コスト削減

物流業務における主要コストである輸送費・人件費・保管費の削減にも、データ活用は大きく寄与します。輸送費については、前述の配送ルート最適化による燃費向上や積載率の向上によって、1回あたりの配送効率が改善します。

人件費については、倉庫作業の自動化やスマートグラスなどの支援ツールを導入することで作業の精度と速度が向上し、少人数でも高い生産性を確保できます。また、作業ログや実績データを収集・分析することで、無駄な動線や重複作業を洗い出し、オペレーション全体の見直しにもつながります。

このように、データ活用は単なる部分最適に留まらず、物流全体の収益構造そのものを変革する力を持っています。企業が持続的に成長するための競争優位性としても、今後ますますその重要性は高まっていくでしょう。

03.データ活用によるサプライチェーン最適化戦略と4PL

物流におけるデータ活用では、単一のプロセスにとどまらず、サプライチェーン全体を俯瞰して最適化する視点が求められます。原材料の調達から、製造、保管、配送、最終顧客への到着まで、すべての工程をデジタルで連携・統合・最適化することが企業競争力に直結します。

 03-1.需要予測

需要予測は、サプライチェーン最適化の出発点です。過去の販売実績データに加え、気象情報、経済指標、プロモーション日程、地域イベントなどの外部要因も取り入れたAI分析により、より高精度な予測が可能になります。

これにより、仕入れや製造計画の最適化、販促戦略との連動が可能となり、需給ギャップによる在庫ロスや欠品を防ぐことができます。また、繁忙期や閑散期の人員配置や輸送リソース確保の計画も立てやすくなり、コストと品質のバランスを取ることができます。

 03-2.在庫管理

需要予測に基づいた在庫管理は、無駄な在庫を抑えつつ機会損失を防ぐ鍵です。IoT機器を通じて庫内の在庫をリアルタイムで可視化することで、倉庫間の在庫バランス調整や、適正在庫の自動補充が可能になります。

また、ABC分析や回転率評価などのデータ分析を行うことで、商品特性ごとの管理レベルを最適化することも可能です。これにより、保管スペースの有効活用、作業効率の向上、廃棄リスクの軽減といったメリットが得られます。

 03-3.配送ルート最適化

配送の最終段階では、TMS(輸配送管理システム)や車載デバイスから得られるリアルタイムデータを活用することで、ルート最適化が図れます。たとえば交通渋滞や天候の変化、積載率、配送先の受け入れ可能時間などを加味して、動的に最適ルートを再計算する技術も登場しています。

この最適化により、配送リードタイムの短縮はもちろん、CO2排出量削減、燃料費の削減、ドライバーの拘束時間短縮にもつながり、SDGsやESG対応としても注目されています。配送の効率化は顧客満足度向上に直結するため、物流企業にとっても重要な差別化要素です。

 03-4.4PL(Fourth Party Logistics)

4PL(Fourth Party Logistics)は、3PL(Third Party Logistics)よりも一歩進んだ戦略的アウトソーシングの形態です。3PLが実際の倉庫作業や輸配送を担うのに対し、4PLは物流全体の統括・設計・最適化を担います。

4PL事業者は、WMSやTMSなど複数のITシステム、複数の物流業者(3PL)を統合的に管理し、サプライチェーン全体を横断的に最適化します。企業にとっては、物流を単なる「機能」ではなく「戦略」として設計・運用できるという大きなメリットがあります。

また、物流領域におけるKPI管理、コスト分析、需要予測なども担い、リアルタイムのデータ連携に基づいた迅速な意思決定支援が可能です。企業にとっては自社のコア業務に集中しつつ、専門家による高度な物流戦略の立案・実行を任せられることから、近年注目を集めています。

日本国内では、EC事業者や製造業などを中心に、複雑化するサプライチェーンの管理をアウトソースする形で4PL活用が広がっており、特にDXとの親和性が高いモデルとして今後も成長が期待されています。

このように、サプライチェーン全体を対象としたデータ活用は、単なる部分的な効率化を超え、経営レベルでの意思決定や顧客価値の創出につながります。物流の役割が「コストセンター」から「プロフィットセンター」へと変化しつつある今、データを軸とした最適化戦略の重要性はますます高まっているのです。

04.実際に物流業界で利用されているシステム

物流DXの基盤として、多くの企業で導入が進んでいるのが WMS(倉庫管理システム) と TMS(輸配送管理システム) です。これらのシステムは、業務の標準化・効率化だけでなく、データ活用による現場の可視化と最適化を可能にし、サプライチェーン全体の高度化を支えています。

 04-1.WMS(倉庫管理システム)

WMSは、在庫情報や入出庫情報、棚卸し作業など倉庫内の業務を一元的に管理するためのシステムです。バーコードやRFIDと連携させることで、在庫の位置や数量をリアルタイムで把握することが可能になります。

主なメリット:

従来の倉庫業務は熟練者の経験に依存しており、属人化によるばらつきが課題でした。しかしWMSの導入により、業務の標準化・品質の均一化が実現し、教育コストや労働環境の改善にもつながります。

 04-2.TMS(輸配送管理システム)

TMSは、配送計画の立案から配車、運行管理、配送状況の可視化、実績分析までを一貫して行うことができるシステムです。輸配送に関するデータを集約・分析し、より効率的なルートや積載計画を自動で提案する機能も備えています。

主な機能とメリット:

さらに、TMSを導入することでドライバーの負荷軽減や顧客満足度向上にもつながり、持続可能な物流運用を支援します。

 04-3.WMS × TMS連携で実現する「全体最適」

WMSとTMSを連携させることで、倉庫内と輸配送の情報がシームレスに結びつき、全体最適化が可能になります。さらに、BIツールやダッシュボードと組み合わせれば、経営層へのレポーティングや意思決定にも有効に活用できます。

物流システムの導入は単なる業務効率化にとどまらず、サプライチェーン全体の可視化・最適化の基盤となるものです。自社に合ったシステムを選定・運用することで、DX推進のスピードと成果を大きく高めることができるでしょう。

05.データ活用を推進する具体的なステップ

 05-1.目的の明確化と仮説設定

最初のステップは、現場や経営レベルでの課題の明確化と仮説設定です。

配送遅延の原因は何か、在庫の偏りはなぜ生じるのかといった現象を、データで検証可能な形に言語化します。

このフェーズでは、現場の声を丁寧に拾いながら、経営層と現場の認識をすり合わせ、解決すべきテーマを明確にすることが重要です。課題の本質が明確になれば、KPI設計や導入すべき技術の方向性も見えてきます。

たとえば、「リードタイムを20%短縮したい」というKPIを掲げた場合、それを実現するには何のデータが必要か、どの工程を改善すべきか、といった仮説を立て、それに基づく検証と施策に展開していきます。

 05-2.データ基盤構築

次に、必要なデータを収集・統合し、分析・可視化可能な状態にする「基盤」を整備します。これはDXの心臓部ともいえる重要なプロセスです。

収集対象となるデータは多岐にわたります。社内システム(WMS、TMS、ERPなど)から取得できる定量データに加え、IoT機器やセンサーによるリアルタイムデータ、外部の交通・天候・市場動向データなども組み合わせることで、より精緻な分析が可能になります。

構築にはDWH(データウェアハウス)やデータレイク、ETL(抽出・変換・格納)ツールの導入が求められ、加えてデータの正確性・一貫性・更新頻度の管理体制(データガバナンス)や、アクセス権・情報漏洩対策といったセキュリティ設計も不可欠です。

将来的な拡張性や他システムとの連携性も考慮し、スモールスタートであっても堅牢なデータ基盤を構築することが、後の投資効果を最大化する鍵となります。

 05-3.技術選定と導入

データ基盤が整えば、次は実際に分析・活用するためのツールやソリューションの選定です。ここで重要なのは、自社の課題・目的に合致した技術を選ぶことであり、「流行っているから」「高機能だから」だけで導入しないよう注意が必要です。

BIツール(Tableau、Power BI など)によるダッシュボード化、AIによる需要予測・配車最適化、ロボットやスマートグラスによる現場作業支援など、適用範囲は多岐にわたります。クラウドかオンプレミスか、既存システムとの親和性、スキル習得のしやすさなども判断材料となります。

また、PoC(概念実証)を行い、実運用前に「導入効果があるか」「現場が使いこなせるか」を検証することで、リスクを最小限に抑えることができます。この段階で社内教育や操作マニュアルの整備も並行して進めておくと、スムーズな展開につながります。

 05-4.スモールスタート

いきなり全社規模で導入するのではなく、小規模な範囲から始める「スモールスタート」は、DXを定着させるうえで非常に有効な手法です。

たとえば、1拠点の倉庫業務からWMSを導入したり、特定のエリア配送にTMSを適用するなど、限定的な導入により、現場の反応・効果・課題を確認します。ここで得られた成果と学びをもとに、次の対象部署や拠点へと展開していく「横展開」へとつなげます。

また、改善効果の可視化や、現場担当者のフィードバックを積極的に取り入れることで、現場との信頼関係を構築し、現場主導型のDX文化が根付きやすくなります。

さらに、PDCAサイクルを回しながら改善を積み重ねることで、施策の精度と成果の確度を高めることができます。最終的には、スモールスタートを足がかりに企業全体のDX推進につなげていくことが理想です。

このように、明確なステップを踏んでデータ活用を推進することは、単なる一過性の施策ではなく、企業の競争力を持続的に高める基盤づくりでもあります。着実に、そして柔軟に進めることが、物流DX成功の鍵となります。

まとめ

本記事では、物流業界が直面する2024年問題や人手不足、コスト増加といった課題に対し、データ活用を通じたDXの必要性とその進め方を紹介しました。配送リードタイムの短縮、在庫の適正化、コスト削減といった成果を実現するためには、業務の可視化と分析、そして段階的な実行が鍵となります。サプライチェーン全体の最適化や4PLの活用も視野に入れながら、自社にとって最適なDX戦略を描くことが、今後の競争力確保と持続的成長に直結します。まずは自社の課題を洗い出し、できる範囲からデータ活用を始めてみることが、物流DXの第一歩となるでしょう。

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なぜ多くの企業がデータ分析に失敗するのか?成功の鍵とその対策

一般社団法人生成 AI 活用普及協会(GUGA)主催の「GenAI HR Awards 2025」にて、カンパニー社長の白井恵里が一般社団法人 Generative AI Japanの理事として会場審査員を務めます。

【「GenAI HR Awards 2025」概要】

<エントリー概要>

■エントリー対象:各部⾨の要件を満たす企業や教育機関、公共機関
■エントリー費⽤:無料
■エントリー期間:2025年7⽉1⽇(⽕)〜7⽉31⽇(⽊)
■詳細:GenAI HR Awards 2025 公式Webサイト

<会場審査概要>

■開催日時:2025 年 10月 9日(木)12:00-18:00
■会場 :幕張メッセ(NexTech Week 2025【秋】第 6 回 AI・人工知能 EXPO 内)

審査員紹介

白井 恵里(しらい えり)

株式会社メンバーズ 執行役員
兼 メンバーズデータアドベンチャーカンパニー社長

東京大学を卒業後、株式会社メンバーズへ入社。
大手企業のオウンドメディア運用、UXデザイン手法での制作や、デジタル広告の企画運用に従事したのち、2018年11月に社内公募にてメンバーズの子会社(現、社内カンパニー)社長として株式会社メンバーズデータアドベンチャーを立ち上げ。
データアナリスト、データサイエンティスト、データエンジニアなどデータ領域のプロフェッショナルの常駐により企業のデータ活用を支援し、顧客ビジネス成果に貢献するサービスを提供。
2020年10月から株式会社メンバーズ執行役員兼務。現在カンパニーに所属するデータ分析のプロフェッショナルは約150名。
2024年、一般社団法人Generative AI Japan立ち上げに伴い、理事就任。
X @EriShirai

DXを推進する企業にとって「内製化」は避けて通れないテーマです。本記事では、DX内製化のメリット・デメリット、具体的な実践ステップ、成功のための戦略、そして実例を通じて、競争力強化のための道筋を示します。特に、弊社(メンバーズデータアドベンチャー)での社内DX推進の取り組みをベースとした事例を紹介しています。

執筆者のご紹介

名前:山本 和音
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャー サービス開発室
業務内容:データストラテジストとして、データ基盤の開発や生成AIの業務適用に注力。ビッグデータ解析、レポーティング、自動化ツールの開発を担当。最近は生成AIを活用した業務効率化とデータ利活用の新たな可能性を探求中。

「データはあるのに、活かせない」を解決しませんか?

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弊社は、データ領域のプロフェッショナル人材の提供により、お客さまのステージに合ったデータ活用~定着を継続的に支援します。
関連資料:DX×データ活用で組織と事業を推進!

01.なぜ今、DXの内製化が重要なのか?

 01-1.DXの内製化とは?

DX内製化とは、外部ベンダーに依存せず、企業自らがデジタル技術を活用して業務やサービスを変革する体制を築くことです。これにより迅速な意思決定と柔軟な対応が可能になります。

 01-2.ベンダーロックインの課題とDXの内製化の必要性

ベンダーロックインとは、一度導入した外部システムやサービスに依存し、抜け出せなくなる状態です。このような状況では、追加開発や仕様変更にコストや時間がかかるうえ、柔軟な改善ができず、競争環境の変化に対応しきれなくなるリスクも生じます。内製化を進めることにより、技術や運用ノウハウを社内に蓄積し、外部依存から脱却することが競争力の維持・強化に直結します。

02.DXの内製化のメリット・デメリット

 02-1.メリット

 02-2.デメリット

03.DXの内製化を成功させるための実践ステップ

 03-1.目的の明確化と仮説設定

まず最初に行うべきは、内製化を進める「目的」と「背景」の明確化です。単なるコスト削減だけでなく、業務効率化、スピードの向上、データ活用力の強化など、企業ごとの課題に即した動機付けが必要です。
次に、経営層の合意形成を図るため、目的に基づく仮説を立て、成果目標やKPIを設計します。ここで重要なのは、業務プロセスや組織構造を俯瞰した上で、内製化によってどのような変化が起きるのかを見通すことです。これがプロジェクトの道しるべとなります。

 03-2.スモールスタートと成功事例の積み重ね

いきなり全社展開を目指すのではなく、小さく始めてスピーディに成果を出す「スモールスタート」が鉄則です。たとえば、社内に散在するExcel業務の自動化、定型レポートのBI化といった、インパクトが大きく実現可能性の高い領域から着手します。
初期フェーズでは、「早く・小さく・効果的に」結果を出し、社内の信頼を得ることが大切です。その上で、得られた成功事例を社内へ展開し、ナレッジとして共有します。これが組織的な内製文化の醸成に寄与します。

 03-3.外部パートナーとの連携

内製化とはいえ、すべてを社内で完結する必要はありません。むしろ、初期段階では外部の知見を取り入れた方がスムーズに進むケースも多くあります。
内製化可能な領域と外注すべき領域を明確に分け、無理なく着実に内製化を推進できます。また、現場メンバーへのスキルトランスファーを通じ、将来的に自走可能なチーム体制を構築することも可能です。

 03-4.効果測定と改善

最後に欠かせないのが、継続的な効果測定と改善です。定期的にKPIをモニタリングし、成果を可視化することで、経営層への報告や現場のモチベーション維持に役立ちます。
また、PDCAサイクルを回すことで、課題の早期発見と改善が図れ、プロジェクトの品質とスピードを両立できます。単なる一時的な取り組みで終わらせず、「継続的な内製化文化」を企業に根付かせることが重要です。

04.DXの内製化を成功させるための戦略とポイント

DX内製化を企業に根付かせるには、「人材」「技術」「組織」という三位一体の戦略が欠かせません。それぞれの視点から、実効性のある取り組みポイントを整理します。

 04-1.人材戦略:スキルとマインドを持った人を育てる

内製化の第一歩は「人材」の確保と育成です。外部ベンダーに頼らず、自社でプロジェクトを遂行できるスキルを持ったメンバーの存在が不可欠です。
まず、データ分析やシステム開発、クラウド、AIなどのスキルを持つ人材を採用するとともに、既存社員への教育・育成体制にも力をいれることが重要です。OJTや社内勉強会、社外研修などを活用し、「学びながら実践する」文化を醸成します。
また、内製化にはマインドも重要です。自ら学び、課題を主体的に解決していく姿勢を持ったメンバーが活躍します。内製化を担う人材が孤立しないように、チーム化してノウハウを共有する体制を整えましょう。

 04-2.技術戦略:拡張性・保守性の高いアーキテクチャ設計

次に必要なのは「技術戦略」です。単なるツール導入ではなく、将来的な拡張性と保守性を見据えた技術選定とアーキテクチャ設計が求められます。
たとえば、ローコード/ノーコードツールやGCP、AWS、Azureなどのクラウド基盤は、コストや開発速度の面で優位です。重要なのは「どの技術を選ぶか」だけでなく、「誰が使えるか」「誰が保守できるか」です。
さらに、セキュリティやガバナンス、データ品質など、運用フェーズを意識した技術設計が必要です。内製化が進むほど、開発の自由度は上がる反面、標準化・ルール化しなければ属人化のリスクが増大します。

 04-3. 組織戦略:経営層の支援と文化づくり

最後に重要なのが「組織戦略」です。どれだけ優秀な人材や技術があっても、組織がそれを後押ししなければ内製化は定着しません。
経営層が内製化の意義を理解し、継続的な支援を約束すること。さらに、現場主導の自走を促すための権限委譲と失敗を許容する文化づくりが重要です。
また、横断的な情報共有の仕組み(ナレッジ共有、振り返り、失敗事例の共有など)を整備することで、組織内に内製文化を根付かせることができます。

05.完全内製化に成功した弊社事例:人材リソース可視化基盤の構築

<背景と課題>

弊社では、社内の人材情報とマーケティング情報が複数のスプレッドシートに散在しており、統一されたデータ管理が行えないという課題を抱えていました。部署ごとに管理が分かれ、情報の整合性を取るのに多大な時間がかかっていたほか、現場からは「全体を俯瞰したい」「更新のたびに連携ミスが起きる」といった声も上がっていました。

<プロジェクトの特徴>

このプロジェクトは、弊社サービス開発室のメンバーのみで構成され、完全に内製で進行された点が最大の特長です。さらに、特定の外部可視化サービスや高額なSaaSに依存することなく、汎用性の高いGoogleCloudと無償・社内リソース中心の技術スタックを用いて構築されました。

<取り組み内容>

以下の構成に基づき、Googleスプレッドシート → GoogleCloud → Looker Studioという一連の流れを自動化し、日々の業務で使えるダッシュボードとして運用可能にしました。

<成果と効果>

<今後の展望>

この仕組みは、現在別部署や他プロジェクトへの横展開が進められており、「社内DXの共通基盤」としての可能性を広げています。今後は、生成AIの活用やより高度な分析機能の内製追加など、さらなる進化を視野に入れています。

まとめ

DXの内製化は、コスト削減やノウハウ蓄積に加え、外部依存からの脱却によって企業の競争力を高めるための有効な手段です。ただしその実現には、人材確保や体制構築など、計画的な取り組みが必要です。本記事で紹介したステップと戦略を参考に、自社に合った内製化の道筋を描き、必要に応じて外部の力も借りながら取り組むことが成功への鍵となるでしょう。
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ベネッセ、メンバーズ、生成AI活用の先駆者が語るデータマネジメントの重要性と未来

部門ごとに情報が分断され、必要なデータがすぐに見つからない。そんな「情報のサイロ化」は、今や多くの企業で深刻な課題です。この記事では、データの利活用をどのように加速させていくのかを、情報の一元化という観点からお伝えします。データの利活用においては、ただデータを用意し分析するだけではなく、活用しやすい環境を整備することも重要な要素です。

執筆者のご紹介

名前:阿曽
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アカウントマネジメント室
普段は主にデータ分析基盤の開発・運用を行っています。最近は、データマネジメントの視点から、メタデータ整備のためのデータカタログシステムの導入にも従事し、分析担当者のデータ利活用をサポートしています。

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01.情報のサイロ化と一元化とは?

 01-1.情報のサイロ化の定義と具体例

情報のサイロ化とは、組織内の各部門やチームが持っているデータが他部門と共有されていない状態を指します。例えば以下のようなケースでは情報のサイロ化が発生しているといえます。

 01-2.組織における情報のサイロ化の弊害

このような情報のサイロ化は、知っていれば未然に防げたトラブルによって手戻りが発生してしまったり、社内での情報収集に時間がかかってしまったりなど、業務効率の低下につながります。業務効率の低下はそのままプロジェクトの進捗や意思決定を遅らせてしまい、ビジネスへの悪影響を及ぼします。
また、データ活用においても、情報のサイロ化は以下のような理由から障壁となってしまいます。

 01-3.なぜ情報のサイロ化が起きるのか

情報のサイロ化が起きてしまう要因としては、主に組織構造によるものとシステム設計によるものの2つが挙げられます。

部門間で連携がうまく取れていないと情報のサイロ化が発生しやすくなります。
これは縦割り組織のような構造の中で連携がうまく取れていないケースや、「この部門にお願いしてもきちんと対応してくれない」など部門間の関係性に起因する場合もあります。

各部門が別々のシステムを導入している場合、それらのシステムは各部門に最適化されています。
これによりデータ自体も各部門およびシステム向けにカスタマイズされていることが多く、仕様もバラバラとなり共有することが難しくなってしまいます。

 01-4.情報の一元化とは?

組織の情報を部門やチームを問わず、1箇所に集約・管理する「情報の一元化」を行うことで、これらの課題を解決することが可能です。
情報の一元化とは、全員が同じ場所から同じ情報を利用できるようにすることを指します。これにより組織内での情報の所在が明確になり、サイロ化の防止、業務効率化やデータ利活用の促進につながります。

02.情報の一元化で得られるメリット

 02-1.脱サイロ化による部門間連携の強化

情報の一元化を行うと、各部門が同じ情報を通じて業務を進められるため、認識齟齬やそれによる手戻りが減少します。共通認識のもと迅速な協働が可能になり、部門間のコミュニケーションの促進も期待できます。
例えば営業、マーケティング、商品開発の部署がリアルタイムに顧客情報を共有することでサービス品質の向上がスムーズに行われるようになります。複数の部門を横断したプロジェクトにおいても情報が1箇所に集約されるため連携体制が強固になり、プロジェクトの成功に大きく貢献します。

 02-2.情報共有のスピードアップと質向上

情報源が一つに集約されていることで、必要な情報の所在が明確になり、情報探しや確認作業にかかる時間が削減されます。また、一元管理された情報に対して責任を明確化し、定期的にメンテナンスすることで、常に最新かつ正確な情報が共有されるようになります。これにより、古い情報や誤った情報による混乱を防止できます。従来は情報を更新した後、各部門へ展開・共有する手間がありましたが、今後は所定の箇所を更新するだけで済むようになり、メンテナンス負担の軽減も期待できます。

 02-3. データ活用による意思決定の迅速化と高度化

情報の一元化により、部門をまたいだ多角的なデータ分析が可能となります。営業成績・顧客動向・市場データなどを統合し、可視化することでトレンドや課題の早期発見につながり迅速な対応が可能となります。
従来のように情報がサイロ化されていると、各部門からの情報取得に時間がかかり、総合的な判断が難しい状況に陥りがちでしたが、一元化によりそれが解消され、迅速かつ精度の高い意思決定が実現します。
さらに分析するデータそのものに加え、データの使用や分析におけるナレッジも一元化することでデータ分析自体の高度化にもつながります。

03.一元化すべきデータ、すべきでないデータ

 03-1.一元化すべきデータ

情報の一元化は業務効率化や意思決定の迅速化にとても有効である一方、すべてのデータを一元化すればよいというわけではありません。ここではまず一元化すべきデータについてご説明します。

  1. 意思決定に関わるデータ
    経営層や管理職など、複数部門にまたがる関係者が参照する必要があるため、一元化するメリットが大きいデータです。個別管理による重複や齟齬の発生を防ぐことができます。顧客情報、製品仕様、KPI、予算、実績データなどがこれに該当します。
    ただし、各事業部ごとに売上データの閲覧範囲の制限が必要な場合もあるため、必要に応じてアクセス権による制御が求められるケースも存在します。

  2. ナレッジやドキュメント
    これらの情報を一元化することで再利用性や学習効果を高め、全社的な業務効率化につながります。マニュアルや社内規定、QAなどがこれに該当します。

 03-2.一元化すべきでないデータ

一方で以下のような個人的なデータや、秘匿性の高いデータは一元化すべきではないものとして挙げられます。

  1. 個人のメモや一時的な作業用ファイル
    これらのデータを一元化に含めてしまうとノイズが増え、情報の検索性が低下してしまう恐れがあります。下書きメモや個人のTODO、個人用に作成したテーブルなどがこれに該当します。

  2. プライバシー保護の観点から機密性の高いデータ
    限られた人しか閲覧すべきでない情報や、漏洩リスクの高いデータの一元化には慎重さが必要です。一元化する場合は厳格なアクセス権の設計が不可欠です。人事評価、給与情報、顧客の個人情報などが該当します。

  3. 法的に公開してはいけないデータ
    法令や契約上の制約により、社内全体で共有できないデータも存在します。このようなデータは一元化せず、限られた範囲での管理が求められます。顧客との契約情報や法務対応に関する文書などがこれに該当します。

     03-3.データ特性に応じた管理方法

    一元化を進める際は、データの特性に応じた適切な管理が不可欠です。
    社内で広く共有すべき情報がある一方で、機密性の高い情報や法的制約のある情報も存在するため、アクセス権の設計が重要なポイントになります。これにより情報の一元化のメリットを享受しつつ情報公開によるリスクを最小限に抑えることが可能です。

    04.情報の一元化を実現するためのステップ

     04-1.具体的な手順

    ここでは、情報の一元化によってデータの利活用を促進するためのアプローチについて解説します。
    一元化には主に以下の3ステップでの段階的な進め方が効果的です。

    1. 現状把握と方針の明確化
      まず、各部署で扱っているデータについての棚卸を行い、「どのデータが、どこに、どのような形式で存在しているのか」を整理します。複数の部門での利用や重複を確認するとともに、データの用途や分析目的を明確化しましょう。各部門の主要KPIや分析の切り口(部門別、取引先別など)を明確化すると、今後の設計がスムーズになります。

    2. ツール選定と基盤構築
      次に情報を一元管理・共有するためのツールを選定し、データを集約する基盤を構築します。
      ステップ1で策定した方針に沿って、ツールを選定しましょう。様々なデータソースから取得したデータを1箇所に集約し、分析用途のデータは、このタイミングで最低限のデータクレンジング(欠損値の補完や単位や型の統一)を行うと、その後の広い活用に効果的です。可視化ツールも統一することで、組織全体で同じ指標に基づいて意思決定を行えるようになります。更新頻度やアクセス権限などの運用ルールについても併せて整備します。

    3. PDCAを回す
      最後に、継続的な活用と改善サイクルを構築します。
      まずは、一部の部門からスモールスタートを行うなどして、利用状況の確認や利用者からのフィードバックをもらいましょう。そこで得られた課題を改善するとともに徐々に組織全体に拡大させることで一元化を進めましょう。一度一元化をしたら終わりではなく、データの管理方法や運用ルールの見直しを継続的に実施することで情報の一元化の恩恵を最大限に活かすことができます。

     04-2. ツール選定のポイント

    1. データの統合のしやすさ
      様々なデータソース(CRMシステム、MAツール、データベース、ドキュメント)と連携ができるかどうかは、ツール選びで重要なポイントとなります。複数の部門で分断されているデータの一元化には、柔軟な接続性が求められます。

    2. スケーラビリティ
      現時点のデータ量だけでなく、今後の拡張にも対応できるかを見極めましょう。特に大量データを扱う場合には、クラウド型のデータウェアハウス(例:BigQuery、Snowflakeなど)の活用が効果的です。自動でリソースを拡張でき、パフォーマンスの低下を防げます。

    3. アクセス制御とセキュリティ
      誰がどのデータにアクセス・編集できるかを細かく管理できる機能が必須です。アクセスログの取得やデータの暗号化に加え、社内の認証基盤と連携したSSO(シングルサインオン)対応も重要な検討要素となります。

    4. 操作性・使いやすさ
      情報の一元化は全社的な活用を前提とするため、直感的に操作できるかどうか、学習コストが低いかといった視点も重要です。高機能なツールであっても、現場で使われなければ意味がありません。自社のリテラシーレベルに合ったツールを選ぶことが成功の鍵です。

    5. コストおよび導入・運用負荷
      初期導入にかかる費用や運用コスト(月額課金やユーザー数や処理スペックによる従量課金などの価格体系)が適正かどうかも重要なポイントです。一元化されたデータの管理を社内で行うのか社外に依頼するかも判断が必要になる場合があります。費用対効果を意識して取り組まなければ継続的な取り組みが行えなくなってしまうというリスクがあるのでしっかりと確認しましょう。

    05.弊社における情報の一元化の取り組み事例

     05-1.【食品業界】複数事業会社におけるデータマネジメントの一元化支援

     05-2.【アパレル業界】データを一元化し顧客ニーズの把握が可能に

    弊社事例について詳しく知りたい方はこちら導入事例 | メンバーズデータアドベンチャー

    【プレスリリース】データ活用における生成AI導入・活用支援サービスを提供開始 データ抽出・集計・本番移行の作業時間を8割削減

    データ活用における生成AI導入・活用支援サービスを提供開始 データ抽出・集計・本番移行の作業時間を8割削減

    弊社にて、SQLによるデータ抽出・集計・本番移行作業に生成AIを導入したところ、一連の作業にかかる時間が月120時間から月24時間にまで短縮され、作業時間を8割削減できたという結果が出ています。
    サービスの提供を通じて、企業のデータ活用における業務効率化と高度化、内製化の実現に向けた支援を加速させていきます。

    プレスリリースの詳細についてはこちらから

    まとめ

    この記事では、データの利活用を加速させる手段として「情報の一元化」について解説しました。情報のサイロ化は、組織内のデータが部門間で共有されず、業務効率や意思決定に悪影響を及ぼします。社内でのデータ活用をより促進していく環境を整えるために、情報の一元化は効果的な手段となりえます。一元化により、部門間連携が強化され、情報共有のスピードと質が向上し、迅速かつ高度な意思決定が可能になります。顧客情報や製品情報など一元化すべきデータがある一方で、個人情報や機密情報は慎重に扱う必要があります。現状把握、ツール選定、PDCAサイクルの確立を行うことで情報の一元化を実現し、組織の全体の業務効率化だけではなくデータの活用を通して高度な意思決定ができれば大きな成果となるでしょう。

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