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データマーケティングとは、顧客データや行動データなどの様々なデータを収集・分析し、その結果を基にマーケティング戦略を立案・実行する手法です。企業のデータ活用においてデータ分析は不可欠であり、勘や経験に頼るのではなく、客観的な事実に基づいた意思決定を可能にします。このデータを活用したマーケティングを実践することで、企業は顧客への理解を深め、より効果的なアプローチを実現できます。本記事では、データマーケティングの基礎からメリット、具体的な実践手順までを解説します。
▶目次
01. データマーケティングの基本|データに基づいた意思決定とは
データマーケティングの根幹をなすのは、データに基づいた客観的な意思決定です。
これは、過去の実績や担当者の直感に頼るのではなく、収集した様々なデータを分析し、その結果から導き出される論理的な根拠を基に、マーケティングの戦略や施策を判断することを意味します。
データマーケティングとは、顧客の行動やニーズを正確に把握し、個々の顧客に最適化されたコミュニケーションを実現するためのアプローチであり、施策の効果を数値で測定・評価することで、継続的な改善を可能にします。
01-1. 混同しやすい「データドリブン」「デジタルマーケティング」との明確な違い
データマーケティングと混同されやすい言葉に「データドリブン」と「デジタルマーケティング」があります。
データドリブンとは、データに基づいて意思決定を行う文化や考え方そのものを指し、マーケティングだけでなく経営や営業など幅広い領域で用いられる概念です。
一方、デジタルマーケティングは、WebサイトやSNS、メール、広告といったデジタルチャネルを活用するマーケティング手法の総称を指します。
データマーケティングは、デジタルマーケティングを含むあらゆるマーケティング活動において、データドリブンなアプローチを実践する活動と位置づけられます。
つまり、チャネルを問わずデータを活用して戦略を立てるのがデータマーケティングです。
02. 活用できるデータの種類
データマーケティングで活用されるデータには多様な種類が存在します。
企業はこれらのデータを戦略的に組み合わせることで、顧客理解を深め、マーケティング施策の精度を高めることが可能です。
データは、その収集元によって自社で直接収集する「1stパーティデータ」、提携企業から提供される「2ndパーティデータ」、外部の専門企業が提供する「3rdパーティデータ」などに分類され、それぞれの特性を理解して活用することが重要になります。
02-1. 顧客データ
顧客データは顧客の基本的な属性情報や購買に関する記録を含むデータ群です。
具体的には氏名、年齢、性別、連絡先といったデモグラフィック情報や購入した商品、購入日、購入金額などの購買履歴がこれにあたります。
これらのデータは主に企業の会員登録システムやCRM(顧客関係管理)ツール、POSシステムの購買記録から収集されます。
顧客データを活用することで顧客を特定のセグメントに分類し、それぞれの層に合わせたパーソナライズされたメッセージを送ったり、優良顧客の特性を分析して育成施策を立案したりすることが可能になります。
顧客データの活用について詳しくはこちらで解説しています。
02-2. 行動データ
行動データとは、顧客がオンラインやオフラインでとった具体的なアクションに関する情報です。
Webサイト上でのページ閲覧履歴、クリックした箇所、滞在時間、検索キーワードといったオンライン上の行動や、スマートフォンの位置情報を利用した店舗への来店履歴などが含まれます。
これらのデータは、顧客が何に興味や関心を持っているのか、購買意欲がどの程度高まっているのかをリアルタイムに把握するための重要な手がかりとなります。
行動データを分析することで、顧客の興味に合わせたコンテンツの推薦や、適切なタイミングでのアプローチが実現できます。
02-3. アンケートデータ
アンケートデータは、顧客満足度調査や市場調査などを通じて、顧客から直接収集される意識や意見に関する情報です。
購入した商品の満足度や、サービスに対する要望、ブランドイメージといった、数値だけでは測れない定性的な情報を収集できる点が大きな特徴です。
Webアンケートやインタビュー、グループディスカッションなどの手法で集められます。
これらのデータは、商品やサービスの改善点を特定したり、新たなニーズを発見したりするための貴重なインプットとなり、顧客の深層心理を理解する上で非常に有用です。
02-4. アクセスログ
アクセスログは、Webサーバーに自動的に記録される、ユーザーのWebサイトへのアクセス履歴情報です。
具体的には、アクセスされた日時、ユーザーのIPアドレス、閲覧したページのURL、どのサイトから訪れたかを示すリファラー情報、使用されたブラウザやOSの種類などが記録されています。
このアクセスログを分析することで、どのページの人気が高いか、ユーザーがどのような経路でサイト内を回遊しているか、どの時間帯にアクセスが集中するかといった傾向を把握できます。
これらの分析結果は、WebサイトのUI/UX改善や、コンテンツの最適化に直接活用されます。
02-5. 広告データ
広告データは、リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告など、様々なデジタル広告媒体から得られるパフォーマンスに関する情報です。
広告が表示された回数(インプレッション)、クリックされた回数、クリック率(CTR)、コンバージョン数、コンバージョン率(CVR)、広告費用対効果(ROAS)といった指標が含まれます。
これらのデータを分析することで、各広告キャンペーンやクリエイティブの効果を客観的に評価し、どの広告が成果に結びついているかを正確に把握できます。
その結果に基づき、広告予算の最適な配分や、より効果の高い広告表現への改善を行うことが可能です。
02-6. ソーシャルデータ
ソーシャルデータとは、X(旧Twitter)やInstagram、Facebookなどのソーシャルメディア上で生成される、ユーザーの投稿や反応に関するデータです。
具体的には、特定のキーワードや自社ブランドに関する投稿内容、コメント、「いいね」やシェアの数、フォロワーの属性情報などが挙げられます。
ソーシャルデータを収集・分析することで、消費者のリアルな意見や感情(ポジティブ/ネガティブ)、口コミの広がり方、市場のトレンドなどを把握できます。
これらの情報は、ブランドイメージの測定、新商品の企画、カスタマーサポートの改善などに活用される貴重な情報源となります。
02-7. 外部データ
外部データとは、自社では直接収集できないものの、マーケティング活動において非常に有用な情報を指します。具体的には、提携する他社から共有される「2ndパーティデータ」や、データ収集を専門とする企業が匿名加工した個人属性情報やWeb閲覧履歴、興味関心データなどの「3rdパーティデータ」などが含まれます。例えば、政府が公開する統計データ(国勢調査など)や気象情報、地図情報、業界の市場調査レポートなども外部データとして活用できます。これらの外部データを自社で保有する顧客データや行動データなどと組み合わせることで、顧客の潜在的なニーズや市場全体の動向をより深く理解し、精度の高い市場予測や顧客分析を実現できます。これにより、新たなビジネスチャンスの発見や、より効果的なターゲティング戦略の策定につながります。
03. データマーケティング導入によって企業が得られる5つのメリット
データマーケティングを導入することで、企業はマーケティング活動の質を大きく向上させることができます。
勘や経験といった主観的な判断から脱却し、客観的なデータに基づいて戦略を立てることで、顧客理解の深化や施策の効率化が実現します。
ここでは、データマーケティングがもたらす具体的なメリットを5つの側面から紹介し、その有効性を明らかにします。
03-1. メリット1:顧客ニーズを的確に捉えたアプローチが実現する
データマーケティングを活用することで、顧客一人ひとりのニーズをより深く、正確に理解できます。具体的には、購買履歴やWebサイト上の行動履歴といった顧客データを分析することで、顧客がどのような商品やサービスに興味を持ち、どのような情報を求めているのかが明確になります。このインサイトに基づいて、個々の顧客に最適化された商品やサービスを推薦したり、パーソナライズされたメッセージを配信したりすることが可能です。例えば、ECサイトで過去に購入した商品や閲覧したページから、関連性の高い商品をレコメンドすることで、顧客は自身のニーズに合った商品を簡単に見つけられます。このように、画一的なアプローチではなく、顧客の状況や関心に合わせたきめ細やかなコミュニケーションを行うことで、顧客の満足度やエンゲージメントを効果的に高めることができます。
03-2. メリット2:費用対効果の高いマーケティング施策を打てる
データマーケティングは、施策の効果を客観的な数値で測定し評価することを可能にします。各広告キャンペーンのコンバージョン率やメールマガジンの開封率などを正確に把握することで、どの手法が効果的でどの施策に改善の余地があるのかを明確に判断できます。これにより、成果の低い施策への投資を削減し、効果の高い施策へリソースを集中させることが可能となります。結果としてマーケティング活動全体のROI(費用対効果)が向上し、限られた予算の中で最大の成果を生み出すための合理的な意思決定が実現します。例えば、あるWeb広告が多くのクリックを集めてもコンバージョンに繋がらない場合、その広告に投じる費用を抑え、コンバージョン率が高い別の広告や施策に予算をシフトできます。このように、データに基づいた判断は無駄なコストを削減し、効率的な投資を促進するため、企業はより少ない費用で大きなマーケティング効果を得ることが可能です。
03-3. メリット3:顧客体験価値(CX)を高めて優良顧客を育成できる
顧客の購買データや行動履歴を詳細に分析することで、企業は顧客一人ひとりの購買フェーズや興味関心に合わせた最適なタイミングで、適切なコミュニケーションを取れるようになります。例えば、特定の商品を購入した顧客に対しては、その商品の効果的な使い方やメンテナンス方法に関する情報を提供したり、関連性の高い消耗品やアップグレード商品を提案するクーポンを送付したりすることが考えられます。このような顧客のニーズに先回りした一貫性のあるきめ細やかな対応は、「自分のことをよく理解してくれている」というポジティブな印象を顧客に与えることにつながります。結果として、顧客は企業に対して信頼感を抱き、商品やブランドへの愛着が増すでしょう。優れた顧客体験価値(CX)の提供は、顧客満足度の向上に直結するだけでなく、リピート購入の促進や、ブランドの長期的なファン(優良顧客)の育成にも繋がります。優良顧客は、安定した売上を企業にもたらすだけでなく、口コミを通じて新規顧客獲得にも貢献するため、企業にとって極めて重要な存在となります。
03-4. メリット4:顧客との長期にわたる良好な関係を構築できる
データマーケティングは、一度きりの取引で終わらず、会社と顧客との継続的で良好な関係構築に大きく貢献します。CRM(顧客関係管理システム)などに蓄積されたデータを活用し、顧客の購買サイクルや興味の変化を正確に捉えることで、適切なタイミングで効果的なコミュニケーションを継続できるためです。例えば、前回の購入から一定期間が経過した顧客にリマインドメールを送ったり、誕生日や記念日に特別なオファーを提示したりするなど、顧客との関係性を維持・深化させる施策が可能です。これにより、顧客のLTV(顧客生涯価値)を最大限に引き出し、安定した収益基盤を築くことにつながります。これは多くの企業にとって重要な経営課題の一つであり、データマーケティングを通じて顧客ロイヤルティを高めることが、持続的な成長を実現するための鍵となります。
03-5. メリット5:勘や経験に依存しない再現性の高い施策が可能になる
データマーケティングを導入すると、担当者の勘や経験に頼ることなく、客観的なデータに基づいてマーケティング施策を立案し実行できます。例えば、過去のキャンペーンデータや顧客の反応を分析することで、成功に繋がる要素を具体的に特定し、そのパターンを再現することが可能になります。これにより、個人のスキルや経験に依存することなく、組織全体として一貫した質の高いマーケティング活動を継続できます。また、施策の成功要因をデータで論理的に分析し、その知見を組織のノウハウとして蓄積することで、担当者が変わってもマーケティングの質を維持・向上させることが可能です。例えば、A/Bテストの結果から最適な広告クリエイティブを特定し、そのデザインやメッセージングの要素を明確な成功パターンとして共有することで、今後の広告制作において再現性のある効果的な施策を実行できるようになります。このように、データに基づいた意思決定は、企業全体のマーケティング活動を標準化し、持続的な成果を生み出す基盤を構築することに貢献します。
04. データマーケティングを実践する5つの手順
データマーケティングを成功させるには、計画的かつ体系的なアプローチが不可欠です。
データを収集・分析するだけでなく、明確なビジネス課題の解決という目的意識を持ち、一連のプロセスを循環させることが重要となります。
ここでは、データマーケティングを実践するための基本的な流れを5つのステップに分けて具体的に解説します。
この手順を理解し、自社の状況に合わせて実行することで、効果的なデータ活用が実現します。
04-1. ステップ1:ビジネス課題から具体的な目標(KGI/KPI)を設定する
データマーケティングの最初のステップは、具体的な目的を明確にすることです。単に「売上を上げたい」といった抽象的な目標ではなく、「ECサイトの売上を前年比10%向上させる」や「新規顧客獲得数を20%増やす」といった、自社が抱えるビジネス上の課題を具体的に定義することが重要です。この明確に定義された課題に対し、最終目標としてKGI(重要目標達成指標)を設定します。さらに、KGIを達成するための中間指標となるKPI(重要業績評価指標)を具体的に定めていきます。例えば、KGIが「ECサイトの売上向上」であれば、それを構成する要素として「サイト訪問者数」「コンバージョン率」「顧客単価」などがKPIとして考えられます。これらの目標を具体的に設定することが、その後のデータ収集や分析の方向性を決定づける羅針盤となり、効率的なデータ活用を可能にします。
04-2. ステップ2:目標達成に必要となるデータを収集する
設定されたKGIやKPIを測定し、分析するために必要なデータを具体的に洗い出し、効率的な収集計画を策定します。目標達成に影響を与える要因を仮説として立て、その仮説を検証するために必要なデータを特定することが重要です。たとえば、KPIとして「コンバージョン率」を設定した場合、顧客の属性情報、Webサイトのアクセスログ、広告の接触履歴、メールの開封率、アンケート結果などのデータが必要になる場合があります。これらのデータを収集するには、社内の顧客データベース、Web解析ツール、MA(マーケティングオートメーション)ツール、CRM(顧客関係管理)システム、さらには外部のデータ提供サービスなど、多岐にわたるソースを活用します。異なる形式のデータを統合し、一元的に管理できる仕組みを構築することで、データ収集の効率化と精度の向上が実現できます。
04-3. ステップ3:データを可視化・分析し、課題の仮説を立てる
収集したデータは、そのままでは単なる数値の羅列であり、そこから直接的な意味を見出すことは困難です。そこで、BIツールなどの専門ツールを活用し、データをグラフやチャート、ダッシュボードといった視覚的に分かりやすい形式に可視化します。これにより、膨大なデータの中から傾向やパターン、異常値などを直感的に把握することが可能になります。例えば、Webサイトのアクセスデータであれば、訪問者数の推移や特定のページの離脱率が高いことなどが一目で理解できます。
この可視化されたデータをもとに、統計的な手法や機械学習といった専門的なデータ分析を行い、変数間の相関関係や因果関係を詳細に探ります。例えば、特定の広告からの流入ユーザーのコンバージョン率が低い、あるいは特定の曜日や時間帯に購入が多いといった具体的な事実をデータから導き出します。このようなデータ分析の結果から、「特定の流入経路からのユーザーはサイト内の回遊率が低く、離脱に繋がりやすい」といった、目標達成を阻害している根本的な課題に対する仮説を構築します。この仮説は、次のステップでの具体的なマーケティング戦略の策定において重要な指針となります。
04-4. ステップ4:分析結果をもとにマーケティング戦略を策定・実行する
データ分析から導き出された具体的な仮説は、データを活用したマーケティング戦略や施策を立案する上で非常に重要です。この段階は、仮説に基づいた具体的な行動計画を策定し、実行に移すデータマーケティングの中核をなします。例えば、「特定の流入経路からのユーザーは他の経路よりもサイトからの離脱率が高い」という分析結果が得られた場合、その仮説を検証するために、具体的な改善策を策定します。流入元となる広告のクリエイティブを改善してランディングページとの整合性を高めたり、該当するユーザーセグメントに対して特別にパーソナライズされたオファーやコンテンツを提供したりするなど、多角的なアプローチが考えられます。これらの施策は、あくまで仮説を検証するための実験であり、その結果からさらなる改善点を見つけ出すことが目的です。分析結果を具体的なアクションプランに落とし込み、PDCAサイクルへと繋げることで、より効果的なマーケティング活動が実現します。
04-5. ステップ5:施策の効果を検証しPDCAサイクルを回す
実行したマーケティング施策が、実際にどのような効果をもたらしたのかを検証します。事前に設定したKPIを測定し、施策実行前と後で数値がどのように変化したかを評価することが重要です。目標としていた成果が出たのか、あるいは出なかったのかを客観的に判断し、その要因を詳細に分析します。例えば、Web広告のクリック率が上がったものの、最終的なコンバージョンに繋がらなかった場合、ランディングページの内容や導線に問題があった可能性を探ります。
この検証結果をもとに、施策の良かった点は継続・発展させ、問題点は具体的な改善策を講じて次の計画に活かします。市場のトレンドや顧客のニーズは常に変化するため、一度実行して終わりではなく、PDCA(計画-実行-評価-改善)サイクルを継続的に回し、マーケティング活動を常に見直し、最適化していく姿勢が求められます。この継続的な改善プロセスを通じて、データに基づいたマーケティングの精度を高め、費用対効果の最大化を目指します。
05. データマーケティングを成功に導くための3つのポイント
データマーケティングを効果的に実践し、成果につなげるためには、単に手順を踏むだけでは不十分です。
組織体制の構築、適切なツールの選定と活用、そして専門的なスキルを持つ人材の確保という3つの重要なポイントを押さえる必要があります。
これらの要素が連携して機能することで、データマーケティングは企業にとって強力な武器となります。
ここでは、成功のために欠かせない3つのポイントについて詳しく解説します。
05-1. ポイント1:組織全体でデータを一元管理する体制を構築する
データマーケティングを成功させるためには、組織全体でデータを一元的に管理し、全部署がアクセスできる環境を構築することが不可欠です。多くの企業では、マーケティング、営業、カスタマーサポートなど、部署ごとに異なるシステムで顧客データを管理しているため、データが分断される「サイロ化」という問題が発生し、顧客の全体像を正確に把握できない状況に陥りがちです。例えば、マーケティング部門がキャンペーン効果を分析する際に、営業部門が持つ顧客の具体的な商談履歴やカスタマーサポート部門に寄せられた問い合わせ履歴を参照できないと、顧客の課題やニーズに対する深い理解に繋がりません。この課題を解決するためには、CDP(顧客データ基盤)やDMP(データマネジメントプラットフォーム)といった仕組みを導入し、各部署のデータを一つのデータベースに統合する必要があります。これにより、部署の垣根を越えたデータ活用が可能となり、顧客との接点すべてにおいて一貫性のあるアプローチを実現できます。結果として、顧客一人ひとりに最適化されたパーソナライズされた体験を提供できるようになり、顧客満足度やロイヤルティの向上に貢献します。
05-2. ポイント2:MAやBIといった専門ツールを有効活用する
データマーケティングで扱うデータは膨大かつ多様であり、手作業での処理や分析には限界があります。
そこで、専門的なツールを導入し、有効活用することが成功への鍵となります。
例えば、MA(マーケティングオートメーション)ツールは、メール配信やWeb接客といった施策の自動化と顧客行動のトラッキングを支援します。
また、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールは、収集したデータを直感的なグラフやダッシュボードで可視化し、分析作業を効率化します。
これらのツールを自社の目的に合わせて導入することで、作業の工数を削減し、担当者がより戦略的な分析や企画立案に時間を費やせるようになります。
BIツールについて詳しくはこれらの記事で解説しています。
05-3. ポイント3:データ分析のスキルを持つ人材を確保・育成する
どれだけ優れた体制やツールを整えても、それを使いこなし、データから価値ある知見を引き出せる人材がいなければデータマーケティングは機能しません。統計学の知識を持ち、分析ツールを扱えるデータアナリストやデータサイエンティストといった専門人材の確保が理想的ですが、これらの専門人材の採用は容易ではないため、社内での育成も同時に進める必要があります。データ分析に関する研修プログラムを設けたり、外部のセミナーへの参加を奨励したりすることで、従業員全体のデータリテラシーを向上させることが重要です。また、専門人材の確保が難しい場合は、データ分析の専門知識を持つ人材が常駐サービスとして提供される企業と提携することも有効な手段となります。分析スキルを持つ人材が、データをビジネス課題の解決に結びつける役割を担い、データマーケティングの成功を後押しします。
06. 【事例】データマーケティングの弊社支援事例
データマーケティングは、理論だけでなく実際のビジネスの様々な場面で活用され、具体的な成果を生み出しています。
ここではデータマーケティングの具体的な活用事例を紹介します。これらの事例を通じて、自社のビジネスにどのように応用できるかのヒントを得ていただければ幸いです。
06-1. 事例1:ECサイトの購買データ分析からリピート購買数を向上させる
ECサイトの購買データ分析からリピート購買数を向上させる支援事例では、発足間もないデータ分析チームが直面していた課題を解決しました。このチームは、KPIである「リピート購買数」向上に向けた仮説は考案していましたが、それを裏付けるデータエビデンスが不足しており、短期間での成果創出も求められていました。さらに、分析環境が未整備という状況でした。
■課題
発足間もないデータ分析チームにおいて、KPIである「リピート購買数」向上に向けた仮説はあったものの、それを裏付けるデータエビデンスが不足。また、分析環境も整備されておらず、短期間での成果創出が求められた。
■取り組み
- ・簡易的な共通分析基盤(Python、Jupyter Notebook)を整備。
- ・2ヶ月弱という短期間で、所与のデータから分析と示唆出しを実施。
- ・顧客のECサイト内行動と商品購入の関係性を分析し、購買との関連が期待できる変数を特定。
- ・ECサイトにおける商品の併買傾向をアソシエーション分析で検証し、従来の仮説の裏付けと新たな併買傾向に関する考察を展開。
■成果
ECサイトにおける消費者購買に関して、従来の仮説に対し新たな示唆を提示し、顧客の意思決定に関する判断材料を提供。
06-2. 事例2:顧客ロイヤルティを可視化
大手小売企業様では、社内における顧客ロイヤルティの定義が不明確であり、データ分析基盤は整備されているものの、リソース不足によりデータの活用ができていないという課題を抱えていました。
そこで弊社がデータアナリストとして常駐し、RFM分析を用いて顧客を5つのセグメントに分類。部門責任者との合意形成を通じてロイヤルティの定義を明確化し、LookerStudioでダッシュボードを作成して可視化しました。この取り組みにより、顧客ロイヤルティに関する社内共通認識が形成され、施策検討や効果検証の際にダッシュボードの数値を活用できるようになったことで、データに基づいた意思決定が可能になり、マーケティングコストの削減にも貢献しました。
■課題
- ・データ分析担当のリソース不足により、GCPに蓄積されたデータが活用できていない状態。
- ・顧客ロイヤルティを可視化したいものの、定義が定まっていないため、社内でターゲット顧客に関する共通認識がない。
■取り組み
- ・データアナリストが常駐し、リソース不足を解消。
- ・RFM分析により顧客をスコアリングし、5つのグループに分類。
- ・部門責任者と合意形成し、ロイヤルティの定義を明確化。
- ・LookerStudioにてダッシュボードを作成し、月次の顧客層ごとの人数、LTV、来店回数を可視化。
■成果
- ・顧客ロイヤルティについて社内で共通認識が生まれ、定義が定点観測可能に。
- ・施策検討や効果検証においてダッシュボードの数値を活用できるようになり、データに基づいた意思決定を支援。
07. まとめ
データマーケティングは、多種多様なデータを活用し、客観的な根拠に基づいてマーケティングの意思決定を行うための重要なアプローチです。
データマーケティングを導入することで、企業は顧客ニーズの的確な把握、費用対効果の向上、顧客との良好な関係構築など、数多くのメリットを享受できます。
その実践には、明確な目標設定から始まる体系的な手順を踏むこと、そして組織体制、ツール、人材という成功のポイントを押さえることが不可欠です。
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Excelを使ったデータ分析は、特別なツールを導入しなくても始められるため、初心者におすすめです。
この記事では、Excelに標準搭載されている「データ分析」ツールの設定方法から、具体的な分析のやり方までを分かりやすく解説します。
普段の業務で使い慣れたExcelを活用し、データの分析を行うことで、ビジネス上の意思決定に役立つ知見を得ることが可能です。
▶目次
01. Excelのデータ分析で何ができるのか?
Excelのデータ分析とは、Excelに標準搭載されている多様な機能を用いて、蓄積されたデータの中からビジネスに役立つ有益な情報や傾向を見つけ出す作業のことです。具体的に何ができるのかというと、まず統計分析の種類が豊富にあります。例えば、売上データから平均値や中央値といった基本的な統計量を算出し、データの全体像を把握できます。また、広告費と売上の相関関係を調べたり、過去の販売実績を基に将来の売上を予測する回帰分析を行ったりすることも可能です。
これらの機能は、専門的な統計知識がない方でも、メニューから選択するだけで高度な分析を実行できるように設計されています。例えば、t検定や分散分析といった複雑統計」手法も、簡単な操作で実施できるため、キャンペーンの効果測定や複数の施策間の比較など、幅広いビジネスシーンで活用できる機能が提供されています。Excelは、手軽にデータに基づいた意思決定を支援する強力なツールと言えるでしょう。
02. 専門ツール不要!Excelでデータ分析を行う3つのメリット
データ分析を始める際、必ずしも高価な専門ツールは必要ありません。
普段業務で使用しているExcelを活用することには、多くのメリットが存在します。
特に、追加費用が実質無料で始められる手軽さや、使い慣れた操作感で分析を進められる点は大きな魅力です。
また、分析結果をそのままグラフ化して視覚的に分かりやすく表現できるため、報告書作成などにもスムーズに連携できます。
02-1. メリット1:追加コストなしで手軽に始められる
多くの企業でMicrosoft Officeが導入されており、Excelもその一部として利用されている場合があります。この場合、既存のライセンスを活用すれば、データ分析を始めるにあたって新たなソフトウェア購入費用を抑えることが可能です。
データ分析専用のBIツールや統計解析ソフトは高機能である一方、導入にはコストがかかるケースがほとんどです。
その点、Excelであれば、既に利用可能な環境であれば、新たに予算を確保することなく分析に着手できます。データ分析の必要性を感じているものの、初期投資を抑えたい場合や、まずは小規模なデータで効果を試したい場合に、この手軽さは大きな利点となります。
02-2. メリット2:普段の業務で使い慣れた操作感で分析できる
ほとんどのビジネスパーソンは日々の業務でExcelの表計算やデータ入力に慣れ親しんでいます。
そのためデータ分析を行う際も全く新しいツールの使い方を一から学習する必要がありません。
セルの選択、数式の入力、データの並べ替えといった普段通りの操作感の延長で高度な分析機能を利用できます。
新しいソフトウェアの導入に伴う学習コストや操作方法の習得にかかる時間を大幅に削減できるため分析作業そのものに集中することが可能です。
この使い慣れたインターフェースはデータ分析初心者にとって心理的なハードルを下げスムーズな導入を後押しします。
02-3. メリット3:分析結果をグラフ化して視覚的に表現しやすい
Excelは、データ分析機能だけでなく、その結果を可視化するためのグラフ作成機能も非常に充実しています。
分析によって得られた数値の羅列や複雑な表も、わずかな手順で棒グラフや折れ線グラフ、円グラフ、散布図といった多彩な形式のグラフに変換可能です。
数値を視覚的に表現することで、データの傾向、パターン、異常値などを直感的に把握しやすくなります。
分析結果を他者に説明する際にも、グラフを用いることで説得力が増し、円滑なコミュニケーションを促進します。
分析からレポート作成までをExcel内で完結できるため、作業効率が向上する点も魅力です。
03. 【事前準備】Excelのデータ分析ツールを有効にする設定手順
Excelの高度なデータ分析機能は、分析ツールというアドインに含まれており、利用するには事前の設定で有効にする必要があります。
初期状態ではリボンに表示されないため、どこにあるか分からない、使えないと感じることがあります。
WindowsでもMacでも、Excelのオプション画面からアドイン設定を開き、分析ツールにチェックを入れるだけで、データタブにデータ分析コマンドが表示されるようになります。
Excel2016以降のバージョンであれば、この手順で有効化できないことはほとんどありません。
04. Excelの分析ツールを使った代表的なデータ分析手法5選
分析ツールを有効にしたら、早速代表的な分析方法を試してみましょう。
Excelの分析ツールには、データの基本的な特徴を掴むための統計分析から、将来を予測する回帰分析まで、ビジネスシーンで役立つ多様な手法が用意されています。
例えば、ヒストグラムの作成、指定した条件でのデータサンプリング、正規分布に従う乱数発生、時系列データの傾向を掴む移動平均や指数平滑といった分析が可能です。
ここでは、特に利用頻度の高い5つの手法を、具体的な例とともに紹介します。
04-1. 基本統計量:データ全体の平均値や中央値などを把握する
基本統計量とは、手元にあるデータ群がどのような特徴を持っているかを示す要約的な数値のことです。データ分析の第一歩として、まずこの基本統計を把握することが重要です。Excelの分析ツールを使えば、データの平均値、中央値、最頻値、データのばらつき具合を示す標準偏差、最大値、最小値といった基本的な指標を一度の操作でまとめて算出できます。一つひとつの数値を関数で計算する手間が省け、効率的にデータ全体の中心的な傾向や分布の形状を理解することが可能です。
これらの数値を把握することで、例えば営業部門では、各商品の月別売上高の基本統計を算出し、平均的な売上や最も売れた時期、売上のばらつきを把握することで、今後の販売戦略や目標設定に役立てられます。また、製造部門であれば、製品の品質検査データから不良品の発生率や平均的な製品寿命の基本統計を算出し、品質改善のための対策を検討できます。さらに人事部門では、従業員の残業時間の基本統計から、平均残業時間や残業が多い時期を特定し、労働環境改善のための施策立案に活用することも可能です。このように、基本統計量を活用することで、日々の業務における様々な課題の発見や解決に繋げられます。
04-2. 相関分析:売上と広告費など2つのデータの関連性を調べる
相関分析は、二種類のデータ間にどのような関連性があるかを調べるための統計的手法です。例えば、マーケティング施策を考える際、「広告費と売上高」や「商品価格と販売量」など、一方のデータが変化したときにもう一方のデータがどのように変化するか、その関係の強さを数値で示します。この関係の強さを表す指標が「相関係数」で、-1から1の間の値を取ります。1に近いほど強い正の相関(一方が増えればもう一方も増える)、-1に近いほど強い負の相関(一方が増えればもう一方は減る)があることを意味します。相関分析は、2つの変数がどれだけ一緒に変動するかを示す共分散を標準化したものです。Excelの分析ツールでは、複数のデータ項目間の相関や共分散を一覧で簡単に出力でき、要因分析の第一歩として活用できます。例えば、製品の品質管理において、製造ラインの温度と不良品の発生率の相関を調べることで、品質改善のための対策を検討できます。また、顧客満足度調査では、特定のサービス要素と総合的な満足度の相関を分析し、改善すべき優先順位を決定する際にも役立ちます。
04-3. 回帰分析:過去のデータから将来の売上を予測する
回帰分析は、過去のデータから将来の売上を予測するための強力な分析手法です。これは、特定の「売上」という結果に対して、「広告費」や「店舗面積」といった要因がどの程度影響を与えているのかを明らかにし、それらの関係性を数式でモデル化することで、将来の数値を予測することを可能にします。例えば、過去の販売実績とプロモーション費用に関するデータを回帰分析にかけることで、将来のマーケティング予算でどれくらいの売上が期待できるかといった具体的な予測ができます。
この分析は、普段の業務においても様々な場面で活用できます。例えば、営業部門では、顧客の属性データや過去の購買履歴から、どの顧客層が特定の商品を購入しやすいかという「傾向」を分析し、ターゲットを絞った「営業」戦略を立てるのに役立ちます。また、新製品の販売計画を立てる際にも、過去の類似商品の「販売」データと市場投入時の条件を回帰分析することで、初期の「売上」を「予測」し、適切な生産計画や在庫管理に繋げることが可能です。さらに、マーケティング部門では、広告キャンペーンの予算配分を決める際に、どの媒体にどれくらいの費用を投じれば最大の効果が得られるかを「予測」し、「マーケティング」戦略の最適化に活用できます。このように、回帰分析はデータに基づいた意思決定を支援し、業務の効率化と成果向上に大きく貢献するでしょう。
04-4. t検定:キャンペーン前後で効果があったか平均値を比較する
t検定は、2つのデータ群の平均値に統計的に意味のある差があるかどうかを判断するための分析手法です。例えば、新しい販売キャンペーンを実施した前後での売上平均値を比較し、その増加が単なる偶然なのか、キャンペーンによる効果なのかを客観的に評価する際に用います。他にも、2種類の広告デザインのクリック率や、異なる指導法を受けた2つのクラスのテストの平均点などを比較する場面で活用されます。この検定を行うことで、観測された差が誤差の範囲内なのか、それとも明確な違いと結論付けられるのかを判断するための根拠を得ることができます。
例えば、製造部門では、新旧2つの異なる製造方法で生産された製品の不良率の平均値に有意な差があるかを比較することで、新しい製造方法の導入効果を客観的に評価できます。また、人事部門では、異なる研修プログラムを受講した2つのグループの従業員の業務効率スコアの平均値を比較し、どちらの研修がより効果的であったかを検定で判断することが可能です。教育機関においては、異なる指導法を導入した2つのクラスの生徒のテストの平均点を比較し、指導法の優劣を評価する際にt検定が役立ちます。このように、t検定はさまざまな分野で具体的な意思決定をデータに基づいて行うための重要なツールとして機能します。
04-5. 分散分析:3つ以上のデータ群から有意な差を見つけ出す
分散分析は、3つ以上のグループの平均値に統計的に有意な差があるかを検証するための手法です。t検定が2つのグループ間の比較に用いられるのに対し、分散分析では、複数の条件やグループを一度に比較できます。例えば、製造部門で複数の異なる製造ラインから生産される製品の品質データに差があるかを確認したり、医療機関で複数の治療法を適用した患者グループの回復率に違いがあるかを評価したりする場合に活用できます。
Excelの分析ツールでは、比較する要因が1つ(例:店舗の場所)の場合は「一元配置」、要因が2つ(例:店舗の場所と曜日)の場合は「二元配置」といった分析が可能です。一元配置分散分析では、1つの独立変数(要因)が従属変数に与える影響を分析します。例えば、3種類の異なる教育プログラムが学生の学力向上に与える影響を比較する際などに用います。一方、二元配置分散分析では、2つの独立変数が従属変数に与える影響と、それらの独立変数間の交互作用(組み合わせ効果)を分析します。例えば、2種類の教材と3種類の指導方法を組み合わせた際の学習効果を評価する際に活用できます。これにより、どの要因が結果に影響を与えているのか、またどのグループ間に差があるのかを効率的に特定することができます。
05. Excelでのデータ分析を始める前に押さえておきたい注意点
手軽に始められるExcelでのデータ分析ですが、本格的に活用する前に知っておくべき注意点も存在します。
特に、分析手順が属人化しやすい点や、扱うデータ量が大きくなると動作が重くなる可能性があります。
また、専門的な分析手法には対応できない限界もあり、分析前には手作業でのデータ整理が必要になる場面も少なくありません。
これらの特性を事前に理解しておくことで、予期せぬエラーを防ぎ、Excelをより効果的に活用できます。
05-1. 属人化のリスクが高い
Excelファイルは手軽に作成・編集できる一方で、分析プロセスが特定の個人に依存する「属人化」のリスクが高いという側面があります。例えば、担当者が独自の判断でデータを加工したり、集計したり、グラフを作成したりすると、その具体的な手順や意図が他のチームメンバーには共有されず、ブラックボックス化してしまうことがあります。どのような元データが使われたのか、どのような計算式が適用されたのか、あるいは分析ツールの設定がどうなっているのかといった過程がファイル内に記録されにくい点が、この問題を引き起こす主な要因です。
これにより、担当者が異動したり退職したりした際に、その分析作業が適切に引き継げなくなるリスクが生じ、業務の停滞や生産性の低下を招く可能性があります。このような属人化を防ぐためには、分析の手順を詳細に記録に残したり、チーム内で定期的に情報共有の場を設けたりといった運用ルールを確立することが不可欠です。 具体的には、分析に使用したファイルにコメントを残したり、別のドキュメントで手順書を作成したりするなどの工夫が考えられます。
05-2. 大量のデータを扱うと動作が重くなる可能性がある
Excelは非常に汎用性の高いツールですが、本来は大規模なデータを扱うために設計されたものではないため、大量のデータを扱う際に動作が重くなる可能性があります。具体的には、データが数万行を超えるようなデータセットを扱う場合、ファイルの読み込みや計算処理に時間がかかり、動作が著しく重くなることがあります。例えば、10万行を超えるデータを含むファイルを開く際、数分から数十分かかるケースも珍しくありません。
特に、複雑な数式や多くの関数がシートに含まれていると、少し値を変更しただけでも再計算に時間がかかり、作業効率が大きく低下する原因となります。ある調査によると、複雑な数式を含むExcelファイルでは、1つのセルを変更するだけで数秒から数十秒の再計算時間がかかることが報告されています。最悪の場合、アプリケーションがフリーズしたり、強制終了したりするリスクも高まるため、日常的に大量のデータを扱うのであれば、専用のデータベースやBIツールの導入を検討すべきです。例えば、企業で日々発生する膨大なトランザクションデータをExcelで処理しようとすると、システムが応答しなくなり、業務に支障をきたす可能性もあります。
05-3. 複雑な分析や専門的な分析手法には対応できない
Excelの分析ツールは、基本的な統計分析には十分対応できますが、より高度で専門的な手法には限界があります。例えば、機械学習やAIを活用した複雑な予測モデルの構築、大量のテキストデータから知見を抽出するテキストマイニング、最新の統計アルゴリズムを用いた分析などは実行できません。
また、複数のデータベースと連携して動的にデータを処理するような、大規模なデータ基盤としての役割も担えません。直接的なデータベースへのアクセス機能も限定的です。最適化問題を解くソルバー機能も搭載されていますが、ごく単純な問題に限られます。より高度な分析が求められる場合は、Pythonのようなプログラミング言語や、SPSSなどの専門の分析ツールの習得が必要となります。これらのツールは、より複雑なデータ構造の管理や、多様なデータソースとの連携、そして高度な統計モデルやAIアルゴリズムを実装するための柔軟性を提供します。
05-4. 分析を始める前にはデータの整理や加工が必要になる
Excelの分析ツールを正しく機能させるためには、分析対象となるデータが整理された形式になっている必要があります。分析ツールの入力範囲として指定するデータは、1行目に項目名(ラベル)が配置され、データが途切れることなく連続した表形式(テーブル)になっていることが前提です。しかし、実際のデータには表記の揺れ、不要な空白セル、異常値などが含まれていることが多く、これらを事前に手作業や関数、マクロを用いて修正・加工しなければなりません。必要なデータの抽出や、重複の削除といった作業も発生します。
このデータの前処理は分析の精度を左右する重要な工程ですが、非常に手間と時間がかかる場合があることを念頭に置くべきです。例えば、表記の揺れがある「株式会社」と「(株)」を統一したり、誤って入力された数値を修正したりする作業は、データ量が多いほど時間を要します。また、数式やVBAマクロを使って定型的な更新作業を自動化することも可能ですが、これらを構築するにも専門知識と時間が必要です。こうした準備作業は、単にデータを集めるだけでなく、その品質を確保し、分析に適した形に整えるために不可欠であり、分析結果の信頼性を高める上で非常に重要なステップとなります。
06. Excelでのデータ分析から次のレベルに引き上げる
Excelでのデータ分析に慣れてきたら、次のステップとしてより高度な分析手法やツールへの移行を検討できます。Excel内で完結する機能としては、Power QueryとPower Pivotが強力な選択肢となります。Power Queryは、CSVファイルやデータベース、Webサイトなど多様な外部データソースからデータを取得し、整形・変換・結合といった前処理作業を自動化できるツールです。これにより、データ収集と加工の手間を大幅に削減できます。
一方、Power Pivotは、Excelの104万行という行数制限を超えて大量のデータを扱い、データモデルを構築するための機能です。複数のテーブル間のリレーションシップを確立し、DAX(Data Analysis Expressions)関数を用いて複雑な計算や分析を行うことで、より詳細なインサイトを得られます。
また、VBA(Visual Basic for Applications)を活用すれば、Excel内での定型的なデータ分析作業やレポート作成の自動化が可能です。マクロの記録機能で基本的な操作を自動化するだけでなく、VBAコードを記述することで条件分岐や繰り返し処理といった柔軟な自動化も実現できます。
さらに本格的なデータ活用を目指す場合は、専用のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの導入やプログラミング言語の学習が次の目標となります。BIツールとしては、TableauやPower BIが代表的です。これらのツールは、データの抽出・加工・分析、可視化、ダッシュボード作成、他者との共有といった機能を持ち、直感的な操作で高度な分析結果を視覚的に表現するのに優れています。
プログラミング言語では、PythonやRがデータ分析の分野で広く利用されています。Pythonは汎用性が高く、データ分析だけでなくアプリケーション開発や機械学習など幅広い用途に活用できます。 R言語は統計解析に特化しており、豊富な統計関数やデータ可視化ツールが用意されているのが特徴です。
PowerBIについて詳しくはこちらで解説しています。
まとめ
Excelは、データ分析を始める第一歩として非常に有効なツールです。
追加のコストを必要とせず、多くのビジネスパーソンが使い慣れた環境で、データの基本的な特徴把握から相関回帰分析といった予測的な手法までを実践できます。
ただし、扱えるデータ量や分析手法の専門性には限界があるため、その特性を理解した上で活用することが重要です。
まずは本記事で解説した「分析ツール」の設定を行い、手持ちのデータで実際に試してみるのが良いでしょう。
より体系的に知識を深めたい場合は、Excelのデータ分析をテーマにした専門の本を参考に学習を進めるのもおすすめです。
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2025年は、データ活用・生成AI・DXが「試すフェーズ」から「成果を出すフェーズ」へと明確に移行した年でした。
生成AI市場の急拡大、データ分析ツールの高度化、そしてDX失敗事例の蓄積。
これらが同時に進行したことで、多くの企業は、これまでの取り組みを部分的に修正するのではなく、前提そのものを問い直す必要に迫られました。
特に大きかったのは、「新しい技術を導入すれば何とかなる」という期待が薄れ、「自社のデータや業務の前提が整っていなければ、どんな技術も活きない」という認識が広がった点です。
生成AIは確かに強力な技術ですが、それは魔法ではありません。
2025年は、その現実が多くの企業にとってはっきりと突きつけられた一年だったと言えるでしょう。
これまでDXに取り組んできた企業ほど、「なぜ成果が出なかったのか」「どこで判断を誤ったのか」を振り返り始めました。
一方で、地道にデータ整備や業務整理を進めてきた企業では、生成AIをきっかけに成果が一気に顕在化するケースも見られるようになっています。
本記事では、本メディアで2025年に特に多く読まれた記事をもとに、
今年なぜ企業が動いたのか/何がトレンドになったのか/来年に向けて何を考えるべきか を整理し、2025年という転換点を多角的に振り返ります。
この記事で分かること(3点)
- ・2025年にデータ活用・AI・DXが『実装フェーズ』へ移行した本質的な理由
- ・生成AI時代に企業が直面したデータ活用・データ整備の現実的課題
- ・2026年に向けて今から着手すべきデータ活用・DXの考え方
▶目次
01. 2025年、データ活用・AI・DXで何が起きたのか【市場・全体像】
2025年は、生成AIの社会実装が一気に進み、DXは『導入』から『実装』へと軸足を移しました。
データ活用・AI・DXを巡る議論は、「導入すべきかどうか」から「どうすれば業務成果につながるのか」へと、明確にフェーズが変わっています。
生成AIの急速な普及により、業務効率化や意思決定高度化への期待は、これまでになく高まりました。
一方で、PoC(概念実証)止まりの取り組みや、現場で使われないまま放置されるツール導入への反省も、同時に表面化しました。
「技術的には可能だが、業務では回らない」
「精度は高いが、誰も使わない」
こうした声が、多くの企業で共有されるようになったのが2025年です。
その反動として、DXを現場任せにせず、経営層が主体となって全体設計を見直す動き が顕在化しました。
単なるIT投資ではなく、「どの業務を変えたいのか」「そのためにどのデータが必要なのか」「誰が責任を持つのか」といった、より本質的な議論が行われるようになったのです。
本メディアでも、生成AI市場の動向やDXの実践論に関する記事が多く読まれ、単なるトレンド紹介ではなく、「実装前提での意思決定」に関心が集まった一年だったと言えるでしょう。
- 生成AIの業務利用が現実的なテーマに
- PoC止まりのDX施策が見直された
- データの質が成果を左右する局面へ
2025年は、生成AIの業務利用が「一部の先進企業の話」ではなく、「多くの企業が避けて通れない経営テーマ」になった年でした。『業務で使えるか』『経営判断に耐えるか』という視点が重視されました。生成AI市場の全体像や最新動向については、こちらの記事で詳しく解説しています。
02. なぜ2025年は「データ活用」が再注目されたのか【基礎理解】
2025年にデータ活用が再び注目された最大の理由は、生成AIの普及によって
「データの質と構造が、企業成果を直接左右する」ことが、誰の目にも明らかになった点 にあります。
AIを導入しても、社内データが整理されていなければ、期待した効果は得られません。
むしろ、前提が曖昧なデータをAIに渡すことで、誤った示唆や判断を生むリスクすらあります。
また、BIツールや分析基盤を導入しただけではDXとは呼べない、という認識も広く共有されるようになりました。
「可視化はできているが、業務は変わっていない」
「レポートは増えたが、意思決定は変わらない」
こうした違和感が積み重なった結果、改めてデータ活用の本質が問い直されたのです。
本メディアでも、データ活用の基本や技術要素を整理した記事が高いPVを記録しており、企業が再び「足元のデータ」に目を向け始めた様子が読み取れます。
AI活用の成否を分けたのは、アルゴリズムやモデルの高度さではなく、どのようなデータを、どの状態で持っているか でした。
- 社内データの分断・定義不統一が顕在化
- BI導入=DXという誤解の是正
- データ活用の基礎理解ニーズの増加
生成AI導入が進む中、多くの企業が『AIに渡せるデータが存在しない』という壁に直面しました。
データ活用に必要な技術や考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
03. 2025年のキーワードは「AIのためのデータ整備」【最重要】
2025年のデータ活用トレンドを象徴するキーワードが、「AIのためのデータ整備」です。
生成AIや高度な分析を業務に組み込むためには、
データの定義、粒度、更新ルール、そして責任の所在が整理されていることが前提となります。
これは新しい考え方ではありませんが、生成AIの登場によって、その重要性が一気に顕在化しました。
従来は後回しにされがちだったマスタ整備やデータ設計が、DX成功の「前提条件」として再評価されたのです。
特に、「一度整えれば終わり」ではなく、「使われ続けることを前提に整える」必要がある点が、多くの企業にとって新たな課題となりました。
本メディアでも、AI活用を前提にしたデータ整備の重要性を解説した記事が多く読まれ、
企業が「AI導入前の準備」に本腰を入れ始めた様子がうかがえます。
- マスタ・定義・更新ルールの重要性
- AI活用前提でのデータ設計
- 地味だが成果に直結する領域
2025年のトレンドを象徴するのが『AIのためのデータ整備』です。
AI活用を前提としたデータ整備の進め方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
04. ツール・支援会社を慎重に選ぶ企業が増えた理由【比較・検討】
2025年は、データ分析ツールや支援会社を比較・検討する企業が、明確に増えた年でもありました。
その背景には、内製人材不足の深刻化と、過去のDX失敗経験があります。
「どのツールを使うか」よりも、「誰と、どのような体制で進めるか」を重視する企業が増えました。
また、ツールやベンダー選定においても、「最新」「高機能」といった言葉だけでは判断されなくなっています。
自社の業務やデータ成熟度に合っているか、運用し続けられるか、内製につなげられるか。
こうした現実的な観点が、選定基準の中心になりつつあります。
- 内製人材不足の深刻化
- DX失敗経験を踏まえた慎重判断
- 成果前提のパートナー選定
ツール選定については、こちらの記事で比較しています。
外部パートナー選定のポイントはこちらで詳しく解説しています。
05. 2025年に企業が本気で動いた3つの背景【経営判断】
2025年に多くの企業が本気でデータ活用・AI・DXに向き合った背景には、三つの要因があります。
第一に、生成AIによる業務変革の効果が、具体的な数値や事例として見え始めたこと。
第二に、DX失敗によるコストや機会損失が、経営課題として無視できないレベルになったこと。
第三に、データ活用の巧拙が、企業の競争優位を左右する局面に入ったことです。
- 生成AIの業務成果が可視化
- DX失敗コストの顕在化
- 競争優位を左右する経営テーマ化
これらが重なり、DXは単なるIT施策ではなく、経営判断の一部として位置づけられるテーマ になりました。
06. 2026年に向けて今考えるべきこと【次の一手】
2026年に向けて重要なのは、データ活用やAIを単発施策ではなく、「経営基盤」として設計する視点です。
ツール導入の前に、
どの業務で、どのデータを、誰が使い、誰が責任を持つのか。
この整理を怠ったままでは、同じ失敗を繰り返す可能性が高まります。
また、すべてを一気に進めるのではなく、成果が出やすい領域から段階的に進める設計も重要です。
2025年のトレンドを振り返ることは、来年以降の失敗を避けるための、最良のヒントになります。
- 業務×データ×人の整理
- 段階的なスコープ設計
- 成果が出る領域から着手
07. 編集後記|2025年の振り返り
2025年は、データ活用・AI・DXに対する「幻想」が剥がれ落ちた一年でした。
ツールを入れれば変わる、AIを使えば成果が出る。
そうした期待の先にあったのは、「これまでデータをどう扱ってきたか」という、極めて地道な問いだったように思います。
流行の技術を追いかけること自体が悪いわけではありません。
しかし、企業が継続的に成果を出すためには、自走できるデータ活用の土台づくりが不可欠です。
2025年のトレンドを振り返ることは、その原点を見つめ直す機会でもあります。
- ・流行よりも基盤整備
- ・自走できるデータ活用
- ・現場と経営をつなぐ視点
どの業界であっても、企業が自走できるデータ活用基盤の構築こそが、これからの競争力を左右すると言えるでしょう。
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