2024年9月9日より公開される、Bizcrew主催の『ビジネス課題解決オンラインセミナー』にカンパニー社長の白井が登壇します。

登壇概要

登壇セッション名:【AI導入推進ウェビナー】生成AI導入を阻む5つのハードルとは
日時:2024年9月9日(月)~10月4日(金)
場所:オンライン
参加費:無料
視聴はこちら:https://expo.bizcrew.jp/event/10959/module/booth/273673/251548
※会員登録が必要です

 

登壇者紹介

白井 恵里(しらい えり)

株式会社メンバーズ 執行役員
兼 メンバーズデータアドベンチャーカンパニー社長

東京大学を卒業後、株式会社メンバーズへ入社。
大手企業のオウンドメディア運用、UXデザイン手法での制作や、デジタル広告の企画運用に従事したのち、2018年11月に社内公募にてメンバーズの子会社(現、社内カンパニー)社長として株式会社メンバーズデータアドベンチャーを立ち上げ。
データアナリスト、データサイエンティスト、データエンジニアなどデータ領域のプロフェッショナルの常駐により企業のデータ活用を支援し、顧客ビジネス成果に貢献するサービスを提供。
2020年10月から株式会社メンバーズ執行役員兼務。現在カンパニーに所属するデータ分析のプロフェッショナルは約150名。
2024年、一般社団法人Generative AI Japan立ち上げに伴い、理事就任。
X @EriShirai

本記事では、採用業務にフォーカスしたデータ活用をテーマに、具体例を交えながら以下についてお伝えします。

 

執筆者のご紹介

西條達也
所属:
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部
データエンジニアとして顧客企業に常駐し、現在はCRMで取集したデータの利活用推進を担当。
経歴:
システムエンジニアとして顧客企業のシステム開発に数年携わった後、顧客企業のダイレクトリクルーティング支援を担当。
社内データを活用し、採用担当者に施策提案などを行う。
2024年4月にメンバーズに入社し、現職。

 

目次

01.|多くの企業で人材は充足していない
02.|採用業務でもデータ活用は有効か
03.|採用業務でのデータ活用術
04.|自社でのデータ活用が難しい場合は

 

多くの企業で人材は充足していない

 

人手不足が深刻です。株式会社帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)」によると、

以下引用

『正社員が不足している企業の割合は 51.0%で、前年同月比-0.4ptとなったものの 5 割を超えて高止まり傾向が続いている。業種別では、IT エンジニア不足が顕著な「情報サービス」が 71.7%でトップ。』

であり、主に IT 企業を指す「情報サービス」の人手不足割合は18 カ月連続で70%を超えており、慢性的な「ITエンジニア不足」となっています。

表1

表2

*表1.2出典:「人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)」(株式会社帝国データバンク)https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240501.pdf(2024年8月8日に利用)

また、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)のDX白書2023 エグゼクティブサマリー 」によると、DXを推進する人材の確保状況が「やや不足している」、「大幅に不足している」と回答した企業は2022年度に80%を超えており、DXやDXに付随した戦略を実現するうえで欠かせない人材の確保に苦戦する企業が非常に多いことがわかります。

表3

*表3出典:「DX白書2023 エグゼクティブサマリー」(IPA)https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108048.pdf(2024年8月8日に利用)

以上のことから、企業の多くは、以下のような状況に置かれていることが推察されます。

ITエンジニアやDX推進人材をはじめ、不足している人材を確保したいとき、企業はまず「採用」を考えるでしょう。
そのため採用担当者のもとには、「なんとか人材を確保してほしい」という切実な声が各部署から寄せられます。

しかし、日々採用活動に携わる方々は、以下のようなお悩みを抱えているのではないでしょうか。

この他にも採用活動に関するお悩みは様々ですが、いずれもその原因は複雑で、改善が容易ではないことも珍しくありません。

ではどうすれば、あなたの企業の採用課題は解決できるのでしょうか?
これらの課題はもしかすると、データを活用することで解決できるかもしれません。

 

採用業務でもデータ活用は有効か

 

データの利活用は、商品企画、在庫管理、渋滞予測など、既に様々なシーンで進められています。
採用業務においてもそれは同様で、応募者の情報、求人別のデータ、採用媒体別のデータなど、無数のデータを活用することができます。

しかし、データがあってもどうすれば活用できるのか分からない...またはデータを活用するための工数や人材が確保できない...といった理由から、「うちの会社で採用データの活用は難しい」と考えている採用担当者も多いかもしれません。
もしくは、既存の採用管理ツールやExcelなどでデータを管理しているので、「今のままで問題ない」と考える方もいるかもしれません。

 
例えば、HRMOS 採用やHERP Hire などのATS(応募者追跡システム)を活用する手法であれば、採用担当者の多くが普段の業務で使用するツールを使ってデータ分析に取り組めるため、比較的手軽に実践できるかと思います。
ただし、ATSなどで既に閲覧できるデータをいきなり採用課題の解決に用いるのは、リスクが伴います。
そのためデータを活用して課題解決につなげるためには、データを活用できるようにするためのプロセスを知っておく必要があります。

※一般的なデータ活用のプロセスの詳細についてはこちらをご覧ください。

メンバーズ流 データ活用のススメ

採用業務でのデータ活用術

■データはどうすれば活用できるのか

それでは、具体的にはどのように採用データを活用し、課題を解決することができるのでしょうか。
ここでは中途採用において、内定辞退が頻発しているというケースを例にして考えてみます。

1. データ活用戦略を考える
今回は内定辞退が頻発するというケースですが、まずは具体的にいつまでに、どの程度まで辞退率を低下させることを目指すのか、あらかじめ定義します。
次に設定した目標を達成するために、どのような施策が効果的であるか仮説を立てます。
そして実行する施策の効果測定を行うために、どのようなデータを収集する必要があるかを考えます。
最後に、必要なデータを収集・分析し、採用活動に生かすためにはどのようなツールが必要かを検討します。

2.内定辞退の理由を蓄積する(データを集める)
そもそも候補者が内定辞退する理由は、なんなのでしょうか?
内定フェーズまで進んでいる候補者ですので、志望度が一定以上はあった可能性が高いでしょう。
よくあるパターンとして考えられるのは、下記のいずれかです。

どのような要素が内定辞退に直結しているのかを推定するため、まずは辞退理由を把握することが重要です。
また、集めたデータをデータレイクやデータウェアハウスなどのデータ保管庫にどのように蓄積するかを決めることも、データ活用には欠かせないプロセスとなります。

3.目的に応じて情報を整理する(データを加工する)
内定辞退の理由を集めることができたとしても、一目でどのような傾向があるのかを把握するには、データを加工する段階が欠かせません。
この工程を適切に行うことで、採用媒体ごとの費用対効果や、月別の採用進捗といった、複数の採用課題を解決するための情報を迅速に得ることができます。
個人情報を保護するためのマスキングや、目的に応じて一部のデータのみを抽出するデータマート作成などが当てはまります。

4.ダッシュボードの作成(データを可視化する)
データをビジネス課題の解決に活用するためには、可視化も重要な工程になります。
経営陣や現場部門など、他部署に対して採用に関する情報を共有するうえで、一目でわかるデータは大きな説得材料になりえます。
「内定辞退者が頻発している」という課題に対して、「他社との比較検討の結果辞退した方の半数以上が、転職検討理由でワークライフバランスをあげていた」というデータを添えることで、ネクストアクションの合意につなげられるかもしれません。

5.データ活用を最適化・自動化する(業務を改善する)
データを集める、加工する、可視化する、といった一連のプロセスを自動化することで、定常業務の工数削減や、データを使った業務の属人化解消につなげることができます。
さらに運用において、データ業務の負荷を軽減できるようなプロセス改善は、品質向上やコスト削減に直結します。

ここまで5つのステップに分けて、採用でよくあるお悩み事を例に挙げ、データ活用でどのようにアプローチできるかを掘り下げました。
採用管理ツールやExcelで対応できる部分もありますが、工数といったコスト面や、企業ごとの個別事象に対応したカスタマイズ性を考慮すると、データ分析基盤を構築し、収集→加工→可視化の一連を最適化・自動化することができる「データエンジニアリング」が有効ではないでしょうか。

 

自社でのデータ活用が難しい場合は

 

データ活用のための工数・人材確保はどうするのか

採用業務におけるデータ活用のイメージが少しずつ湧いてきましたか?
データ活用と聞くとハードルが高い印象を持たれるかもしれませんが、そのプロセスは基本的には「仮説→実行→検証」というシンプルなもので、採用活動でも広く使われる考え方と共通する部分があります。

ただ、日々多くのタスクを抱えている採用担当者が、データ活用に向けて時間を捻出し、採用課題の解決を実現することはできるのでしょうか?
恐らくリソース(工数・人材)上の問題で困難になることが多いでしょう。

では、先ほどご紹介したようなデータ活用に向けたステップは、実行に必要な社内のリソースが不足している採用現場では、実践することができないのでしょうか。
もちろんそのようなことはありません。
社内リソースが充足しない場合は、外部リソースを活用することで、データ活用を進めることができるからです。

外部リソースとして一般的な、ITベンダーに依頼した場合はどうでしょうか。
データ分析に強みを持つITベンダーであっても、先ほどの5つのステップのうち、「1. データ活用戦略を考える」、「5.データ活用を最適化・自動化する(業務を改善する)」で上手くいかないケースはしばしば発生します。

その理由は、データをどのように活用したいのか言語化が難しく、認識齟齬が発生しやすい点や、ベンダーが実業務への理解が浅く、現場に負荷のかかるオペレーションになりやすい点などが挙げられます。

データアドベンチャーの「伴走型支援」で地に足のついたデータ活用を!

当社メンバーズデータアドベンチャーでは、業務でのデータ活用を社内で進める場合、外部に委託する場合、それぞれで起こりうる問題が発生しないよう配慮されたサービスを提供しています。

データ活用の各フェーズで必要な人材によるご支援

※当社サービス資料より引用

※当社サービス資料より引用

 

その他の詳細について少しでも気になりましたら、こちらから当社サービスについて、ぜひご覧ください。

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データ活用に関するお困りごとやご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


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本記事では、ビッグデータとは何か、その特徴である5つのV(Volume、Velocity、Variety、Varacity、Value)について説明し、ビジネス活用のメリットについて説明します。
さらに、ビッグデータを取り扱うためには、ビッグデータ人材を確保することが重要であることとその理由、その手法として中途採用、既存人材の活用、新卒採用、ビッグデータ人材支援サービスなどの方法があることをお伝えしたいと思っています。

執筆者のご紹介

まえじま
所属:
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部 データエンジニア
2024年度から幅広く顧客事業に携われるようエンジニア事業部へ異動しました。
以前まではデータアナリストとして大手アパレル小売メーカーに常駐し、顧客分析や効果検証、ダッシュボード作成・運用等をおこなってきました。
経歴:
大学でデータ解析や経営工学について学び、2022年にメンバーズに新卒入社。
入社後、データアナリストとして大手アパレル小売メーカーに常駐し、データ抽出・加工・分析・可視化、ダッシュボード作成等の業務に従事。
2024年度からエンジニア事業部に異動し、データエンジニアとして業務を行っている。

目次
01.|ビッグデータとは?
02.|ビッグデータの(ビジネス活用)メリット
03.| ビッグデータの取り扱いについて
04.|ビッグデータを取り扱うために必要な人材とは
05.|データアドベンチャー内のビッグデータ取り扱い事例
06.|まとめ

 

ビッグデータとは?

 

通常のデータとどう違うのか(5つのV)

ビッグデータは一般的に

の3Vから説明されています。
近年では、3Vに加えて

の2Vが追加されて、ビッグデータについて言及されます。
では、1つ1つのVはどのような意味なのでしょうか?

 

ビッグデータの(ビジネス活用)メリット

 

5Vから説明できるビッグデータですが、ビジネス活用はどのようなメリットがあるのでしょうか?
総務省の資料ではこのように記載されています。

図1

*図1出典:「平成25年版情報通信白書」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/pdf/n1300000.pdf(2024年8月8日に利用)

今回は生産性向上の部分に注目したいと思います。


意思決定におけるデータ活用

何らかの「目標」を立てて、目標達成のために必要な複数の行動の選択肢の中から適切なものを選ぶことを意思決定といいます。
意思決定においては、数字的根拠あるエビデンスに基づく判断が必要不可欠です。
また、市場、消費者、顧客の価値観が大きく変化を遂げている近年では、スピーディーかつ正確な意思決定をする必要性が増しています。
そのために、データから正確な状況を分析・把握することが重要になっています。

 

ビッグデータの取り扱いについて

 

気を付けておくべきポイント

5Vで説明されるビッグデータ。
ビッグデータを活かし、データ分析をすることで意思決定に活かしていくことを前述させていただきましたが、ビッグデータを活用するうえで重要なポイントはどのような点でしょうか?


ビッグデータ活用するための3つのポイント

・ビッグデータを扱える人材の確保

ビッグデータを活用するには、データ分析の専門知識を持つデータアナリスト・データサイエンティスト・データエンジニアが必要となります。
これらの知識を持つ人材を自社で育成するか、外部から引き入れる必要があります。

データアナリスト・データサイエンティスト・データエンジニアには、数学・統計学・コンピューターサイエンスの知識が必要とされますが、それらのスキルを持つ人材は不足し、経済産業省は2030年までに41万~71万人のIT人材が不足する(*1)と予測しています。
*1出典:「- IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書」(経済産業省)https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf(2024年8月8日に利用)

・セキュリティ性能の担保

ビッグデータには重要な商業情報や個人情報が含まれている可能性があり、不適切に取り扱われると組織の信頼や評判を損なう可能性があります。
したがってデータの保護・プライバシーに関する法律の遵守は重要な課題となり、セキュリティ性能の担保ができない場合、専門業者へ相談することが必要です。

・プライバシー侵害を行わない

ビッグデータには、個人情報等のプライバシーにかかわる情報が含まれるケースもあります。
また情報の組み合わせによってプライバシーを侵害してしまうケースもあります。
そのため、プライバシーを侵害するリスクがないか十分に注意しないといけません。

 

ビッグデータを取り扱うために必要な人材とは

ビッグデータは膨大な量のデータです。
そんなビッグデータを取り扱う人材を有効活用すれば、ビッグデータを効果的に無駄にせず有効利用することができ、ビジネスに活用することができます。

しかし前述したように、ビッグデータを扱える人材は2030年までに不足するという予測があり、独立行政法人情報処理推進機構「DX白書2021」では、今後重要と考え育成していきたい人材の第3位がビッグデータ人材という結果が出ています。(*2)
*2 出典:「DX白書2021」(IPA)https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/qv6pgp0000000txx-att/000093706.pdf(2024年8月8日に利用)

現状・今後、ビッグデータ人材の需要は高く、今後も確保しにくい状況が続くとなるとビッグデータ人材を確保する方法を把握しておかないといけません。
ビッグデータ人材を確保する方法は下記4つが考えられ、用途やケースに合わせて柔軟に活用してみてください。

 

データアドベンチャー内のビッグデータ取り扱い事例

メンバーズデータアドベンチャーでは下記のようなビッグデータ取り扱い事例があります。

インタビュー対象者を選定するために属性データや売上データをもとにPythonでクラスター分析のモデルを作成して、顧客をクラス分け。
クラス分けした結果をもとにインタビュー対象者を選定した。

【データ内容】
1.顧客属性データ
2.売上データ
3.サイト利用データ
4.メール配信データ
【データ量】
1.約4.8GB(23,000,000レコード)
2.約10.84GB(51,000,000レコード)
3.約570GB(400,000,000レコード)
4.約126GB(1,600,000,000レコード)


アプリの新機能を評価するためのダッシュボードを作成したいという要望の元、GCPサービスのDataformでデータマートを修正し、Looker(LookML)でexploreを新規作成。
結果として、アプリの新機能の効果検証に使用した。

【データ内容】
1.サイトの利用ログ
2.スタッフ情報
3.ポイント情報
【データ量】
1.約600MB(2,400,000レコード)
2.約20MB(300,000レコード)
3.約2.6GB(5,000,000レコード)

まとめ

今回はビッグデータの概要・活用メリット・取り扱い方法・人材についてお話ししました。
ビッグデータを活用することで意思決定に大きく役立ちます。
一方でセキュリティ性能の担保・プライバシー侵害を行わない・ビッグデータを扱える人材の確保といったビッグデータを取り扱うポイントが存在します。
もし、上記ポイントなどでお悩みがあれば専門家への相談も視野に入れるとよいでしょう。


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データアドベンチャーのサービスご紹介

今回はデータ活用プロジェクトなど専門性の高いプロジェクトを推進するPM(プロジェクトマネージャー)をどのように調達するのかを以下4つの観点からお伝えします。

執筆者のご紹介

阿曽 良祐
所属:
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部
データエンジニアとして大手小売業のクライアント様に常駐。
データ分析基盤の開発・運用をするチームに所属し、チームリーダーとして技術リードやチームマネジメントを担当。
保有資格:
AWS認定 ソリューションアーキテクト プロフェッショナル
経歴:
事業会社の情報システム部門にて、業務システムの更改やデータ分析基盤構築プロジェクトなどを経験。
その後メンバーズに入社しデータエンジニアとして現職に従事。

目次
01.|PM(プロジェクトマネージャー)とは?
02.|PMが持っているスキルや対応範囲
03.|PMという役割を設置することによるメリット
04.|データ活用ではデータに特化したデータ専門のPMをおくことが望ましい
05.|自社でもPMを育成したい場合の対応方法
06.|まとめ

 

PM(プロジェクトマネージャー)とは?

 

PMとは、プロジェクトをマネジメントする人のことを指します。
ここでいうプロジェクトとは「目的・目標を設定し、それを決められた期限までに達成するための活動」を指します。
手順書があり、毎月決まって実施しなければならないような、いわゆる定型業務とは明確に区別されます。

そのプロジェクトを、進めていく際に発生する様々な事象をやりくりし、何とか期限までに目標を達成させることがPMの役割です。
様々な事象は一般的に、成果物の品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の頭文字をとって、QCDといわれます。
これら3つのバランスをとり、プロジェクトを成功に導くことがPMには求められます。

類似している職種には、プロダクトマネージャーやPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)が存在します。
前者は、「プロダクト(=特定の製品やサービス)」のマネジメントに責任を持ちます。
また後者のPMOは、プロジェクトマネジメント業務の支援や、複数のプロジェクトが同時進行しているケースにおける横断的なマネジメントを行います。
PMをサポートする役割を担うことが多いです。

 

PMが持っているスキルや対応範囲

 

プロジェクトを進めていくためにPMに求められるスキルとしては以下のようなものが挙げられます。

プロジェクトのゴール(目標)は未来にあります。そのためプロジェクトでは、未来から逆算し今後どのように進めていくか計画を立てていきます。

しかし、未来は不確実なもので、プロジェクトを進めていく中で不測の事態は避けては通れません。
その時PMには、今置かれている状況から合理的な判断を下し、臨機応変にプロジェクトの計画を調整していくことが求められます。

また、プロジェクトには、ステークホルダーと呼ばれる社内外のさまざまな関係者がいることがほとんどです。
ステークホルダーの人たちは、プロジェクトに対してそれぞれ関心を持っています。
このステークホルダーたちと適切なコミュニケーションをとることもプロジェクト成功には欠かせないものとなっています。

このようにプロジェクトを成功に導くためには、多くのことを考え、計画し、それを適切に発信することもPMには求められます。

 

PMという役割を設置することによるメリット

 

PMという役割をプロジェクトに設置することには、プロジェクト全体を俯瞰して見ることができるようになり適切な意思決定がしやすい、というメリットがあります。

先に述べたようにプロジェクトにはさまざまなステークホルダーが存在し、それぞれ異なる関心事を持っています。
社内にデータ分析基盤システムを構築するプロジェクトを例に挙げると、次のようなことが起こり得ます。

ユーザー部門は自分たちの業務がより効率的になるよう様々な要望を出してきます。
一方、経理部門や経営層は、プロジェクトにかかるコストに関心があることが多く、低コストでのプロジェクト遂行を望んでいます。
またシステム部門は、品質に関心があり、様々なテストを踏まえシステムをリリースしたいと考え、しばしばプロジェクトのスケジュールに影響を及ぼします。

このような状況下でPMは、各ステークホルダーの要望のバランスをとり、総合的な判断を行う役割を持っているので、適切な意思決定につながりやすくなります。

 

データ活用ではデータに特化したデータ専門のPMをおくことが望ましい

 

プロジェクトでは、その目的に沿った専門的な知識が必要なケースとなるケースがほとんどです。

目標設定のフェーズや、プロジェクト計画を策定する際など、プロジェクトを進めていく過程における多くの場面で求められます。
例えばデータ活用推進プロジェクトにおいては、統計や一般的なデータ分析手法に加え、データ分析基盤となるクラウドサービスやセキュリティ、ガバナンスなどの領域の知識等が挙げられます。

各領域ごとに社内の有識者をプロジェクトへ参画してもらうことで情報収集できますが、そうでない場合は、有識者を社外から調達するという選択肢も考慮に入れる必要が出てきます。
有識者とのコミュニケーションによって助言を得たり、様々な方法で過去事例の収集を行うなどもPMの重要な役割となります。

しかし、社内の有識者を探し、日々の業務の合間を縫ってプロジェクトに参画してもらうための交渉が難航したり、収集した情報の精査に時間がかかるなど、プロジェクトを進めるうえでのリスクとなる面もあります。

このリスクを回避するために、領域に特化したPMを配置するという手段があります。
前述のデータ活用推進プロジェクトの例では、データ領域専門のPMを設置するというものです。

特にデータ領域では、データ分析の知識だけでなく、データ分析基盤として用いられることの多いクラウドサービスの知識や、セキュリティなど必要な専門知識は多岐に渡ります。
データ領域特化のPMを配置することで、これらを別々のメンバーとして調達するコストを削減することができます。
加えて、コミュニケーションコストの軽減や豊富な専門知識をプロジェクト全体で活かすなどの恩恵を得ることが期待できるでしょう。

 

自社でもPMを育成したい場合の対応方法

 

PMは外部から調達することもできますが、自社でPM人材を育成したいと考えている企業も多いのではないでしょうか。
PM人材の育成には以下の2つの要素が重要だと筆者は考えています。

PM人材の育成において何から始めればいいか迷っている場合は、まずは外部からPMを調達し、社内のPM候補となる人材をプロジェクトに参画させ、経験を積んでもらうことをお勧めします。
PMとコミュニケーションをとり、ノウハウを間近で見ることで、プロジェクトの進め方のコツや、PMの思考法などを得ることができます。
その後、比較的小規模なプロジェクト(半年程度の期間のもの)から任せ、次第に規模を大きくしていくことで経験が蓄積し、PM人材として成長することができるでしょう。

加えて、プロジェクトマネジメント研修などで体系的な知識を習得することも重要です。
プロジェクトマネジメントには「ISO21500」という国際標準が定義されており、これに準拠した研修なども豊富に存在します。
プロジェクトの実務経験と研修などによる体系的なプロジェクトマネジメント知識の習得を組み合わせることで、社内でもPM人材の育成をすることができるでしょう。

しかし、そこでも注意しなければならない事項があります。
データ活用プロジェクトなど専門性の高いプロジェクトでは、プロジェクトを進める上で必要な知識が多岐にわたるため、プロジェクトの遂行と人材育成を両立させる難易度が上がります。
こういったケースでも領域特化のPMを外部から調達しプロジェクトの進行を任せることを検討するとよいでしょう。

 

まとめ

 

本記事では、PMがプロジェクトを成功に導くために必要なスキルとして、「先を見通す思考力」、「合理的思考力」、「臨機応変な対応力」、「コミュニケーション力」の4つを挙げました。
またこれら4つに加えて、プロジェクトでは専門的な知識が必要になるケースも多く、そういった場合には領域特化のPMを設置することで解決することができることを説明しました。
社内でのPM人材育成の観点では「プロジェクト経験を積ませること」「体系的なプロジェクトマネジメント知識理解」の2つが重要だと提案しました。
プロジェクトの成功、人材育成、両方の観点でも、初期段階では外部からPMを調達することで、プロジェクトを円滑に進めつつ人材育成を達成できるので検討してみてはいかがでしょうか?


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データアドベンチャーのサービスご紹介

一般社団法人Generative AI Japan主催の「生成AI大賞2024」にて、カンパニー社長の白井恵里が審査員を務めます。

 

【「生成AI大賞2024」概要】

日本における生成AIの可能性を追求し、業界横断でイノベーションの創造を目指すべく、優れた活用事例を表彰する「生成AI大賞2024」をGenAIと日経ビジネスが共同で開催いたします。ぜひ多くの皆様のご応募をお待ちしております。

■応募対象 日本国内に拠点を有する団体(企業・自治体・学校等)
■受付期間 2024年9月上旬~10月7日
■表彰 生成AI大賞2024 他、各賞を予定
■応募費用 無料
■応募方法 生成AI大賞2024サイト
https://events.nikkeibp.co.jp/event/2024/jgaia24/ )よりエントリー
■イベントの詳細やスケジュールは公式サイトで随時更新されますのでご確認ください。

審査員紹介

白井 恵里(しらい えり)

株式会社メンバーズ 執行役員
兼 メンバーズデータアドベンチャーカンパニー社長

東京大学を卒業後、株式会社メンバーズへ入社。
大手企業のオウンドメディア運用、UXデザイン手法での制作や、デジタル広告の企画運用に従事したのち、2018年11月に社内公募にてメンバーズの子会社(現、社内カンパニー)社長として株式会社メンバーズデータアドベンチャーを立ち上げ。
データアナリスト、データサイエンティスト、データエンジニアなどデータ領域のプロフェッショナルの常駐により企業のデータ活用を支援し、顧客ビジネス成果に貢献するサービスを提供。
2020年10月から株式会社メンバーズ執行役員兼務。現在カンパニーに所属するデータ分析のプロフェッショナルは約150名。
2024年、一般社団法人Generative AI Japan立ち上げに伴い、理事就任。
X @EriShirai

この記事では、データ活用人材を採用する際のポイントや陥りやすい失敗例をご紹介します。

執筆者のご紹介

森本このみ
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー 人事戦略室 室長 兼 エンジニア事業部 事業部長
メンバーズデータアドベンチャーカンパニーの人事戦略を担当。顧客の需要に応え続けるための人材の定義や育成戦略の立案を行っている。また、エンジニア事業部では事業部長を担当し、データエンジニアの組織運営を担当。
経歴:
事業会社にて新規開拓営業、営業企画、人事を経験し、2021年にメンバーズに入社
メンバーズでは、データエンジニアの採用・育成を担当し事業部の立ち上げを実施。現在は、エンジニア事業部の組織運営だけでなく、メンバーズデータアドベンチャーカンパニーの人事戦略も担当。

目次
01.| データ活用と人材不足
02.|データ活用人材を確保するには
03.|陥りやすい失敗事例
04.| 今回の記事の本題である採用時のポイント
05.|採用で失敗してしまったらどうするか
06.|データアドベンチャーカンパニーができること
07.|まとめ

データ活用と人材不足

 

DXに取り組んでいる企業は年々増加している一方で、DXを推進できる人材は不足傾向にあります(*1)。
DXに不可欠なデータ活用においても同様の状況で、弊社で実施した市場調査でもデータ活用の内製化に対する課題で「人材不足」が多くを占めました(*2)。
データ活用の内製化が進まない理由として「データ活用人材が育成できない」と回答した方の割合が最も多く、次いで「データ活用人材が採用できない」、「データ活用に人員を割くことができない」という回答が続きました。
このように、データを活用したいが人材を確保できないという課題を多くの企業が抱えていることが見えてきました。

*1 出典:「DX白書2023」(IPA)https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/eid2eo0000002cs5-att/dx-trend-2024.pdf(2024年8月8日に利用)
*2 出典:「【プレスリリース】データ活用の内製化、約6割の企業で進むも 人材育成・採用・人員確保が課題に -データ活用内製化に向けた課題を調査-」(株式会社メンバーズhttps://www.dataadventure.co.jp/post-489/(2024年8月8日に利用)

 

データ活用人材を確保するには

 

データアナリスト、データサイエンティスト、データエンジニアといったデータ活用人材を確保する方法は特殊なものではありません。
一般的な職種と同様に大きく3つの方法が考えられます。

それぞれの方法はいたって一般的ですが、採用できない、育成できない、組織を作ったが機能しない、という結果に至ってしまうこともしばしばあると思います。データ活用人材の確保に失敗する企業と成功する企業の違いは何でしょうか?

 

陥りやすい失敗事例

 

事例①自社採用しようとしたがうまくいかなかった


データ活用の人材を自社採用しようとしたが応募者でピンとくる人がいない、自社採用したがスキル不足だった、という話をよく聞きます。従来からあり馴染みのある職種であれば、どのような業務をしてもらうか、そのためにどのようなスキルが必要かがイメージできますが、データアナリストやデータエンジニアになると、具体的な業務範囲や必要なスキルのイメージが持てないことが要因として挙げられます。イメージが持てないので適任者か判断しきれず採用に至らなかったり、ポテンシャル採用したがミスマッチになってしまうという結果になることがあります。


事例②データ可視化ツールを導入&担当社員を育成しようとしたがワークしない


BIツールの導入と合わせてBIツール担当社員を育成しようと考え、BIの導入マニュアルなど使い方を社員に学んでもらったがうまく使えない、ということがあります。一言にBIツールの活用といっても、BIツールで使用するデータの準備やダッシュボードの構築ノウハウがなければBIツールはうまく活用できません。それらを教えることのできる社員や育成の仕組みがなければ失敗してしまう可能性が高いといえます。


事例③外部委託してデータ活用戦略は立てたが実行できていない


外部委託をしてデータ活用の戦略は立ったが、実行者や実行環境がいなくてとん挫したということもあります。データ活用には戦略を実行する専門スキルを持った人材と環境が必要なため、その点まで含めて人材確保ができなければ、推進することが難しくなります。

 

今回の記事の本題である採用時のポイント

 

これまでのデータ活用人材の採用経験を踏まえて採用時のポイントをご紹介します。

データ活用のための人材といっても社内のデータ活用状況によって必要な人材のタイプやレベル感が変わります。まずは、社内のデータ活用状況の把握(全く活用していない状況、一部のデータを使って活用を始めている段階、全社的に取り組んでいる段階等)を行うのがよいでしょう。

既に任せたい業務内容を担っている社員がいる場合は、その社員から業務内容や必要スキルの情報を得ることができます。一方、データ活用を担っている社員がいない場合は、どのデータを何に使いたいかを社内の関連部署にヒアリングし、任せたい業務内容を明確にしていきましょう。例えば、「マーケターがこれまでのマーケティング施策の結果を分析して、次の施策の企画・決定に使用したい」などです。この時にデータの種類やデータの保管場所、使用ツール・環境(Excel、BI、クラウドなど)もわかる範囲で整理しておきましょう。

採用要件は、言語化した業務内容や必要スキルから作成していきます。採用基準は自社の状況に応じて設定していきます。例えば、データ活用が初めての場合は、採用した人材にデータ活用をどこから始めるか、具体的にやる事を考えて欲しいということもあるでしょう。また、技術的な不明点があった際に社内に知見がある社員がおらず自力で何とかしなければならない、という場面もあり得ます。その場合、ある程度データ活用の技術に関する知見、調査方法などを知っているデータアナリストやデータエンジニア経験者であることを採用基準とする必要が出てくるかもしれません。

ここまでくれば、あとは面接で適任者かどうかを確認するだけです。簡単に書いていますが、私も非エンジニアであったため面接で経験や技術面を確認することにとても苦労しました。必要なスキルや使用するツール・環境を含んだ業務経験があるかを確認し、何を行ってどのような成果が出たかを聞いていきます。また、使ったことのないツールであれば使用イメージを持っているか、不明点はどうやってキャッチアップするかということを確認することもあります。面接を自社のエンジニアに任せる場合は、エンジニアへの面接の仕方の指導や、エンジニアにデータ経験がなければ採用したい人材に求めるスキルや技術の情報も伝えておく必要があります。

 

採用で失敗してしまったらどうするか

 

失敗してしまっても成功へつなげる方法はあります。
そもそも採用ができなかった場合は、求人内容や採用基準を見直してみるのがよいでしょう。
育成の負担軽減の観点から、任せたい業務内容に対して採用基準を高く設定していることがあるので、その採用基準が適切であるかを再考していきます。
ただし、むやみに下げてしまうとミスマッチにもつながるので、判断が難しい場合は、弊社のようなデータ活用専門の人材事業会社やセミナー等から情報収集を行うとよいでしょう。
採用できたがスキル不足の場合は、足りないスキルを洗い出して、書籍や社外研修を用いてスキルを身に着けられるように支援しましょう。
データ活用に関連する書籍は数多く出版されています。
このように自社採用が失敗してしまった場合の解決策はいろいろあるとはいえ、IT人材の有効求人倍率は高止まりしている状況で採用自体が容易ではありません。
そのため自社採用での費用対効果が見込めない場合や、自社採用しても育成に手がかかりすぎる場合は、外部委託も検討してみるのも1つの方法です。

 

データアドベンチャーカンパニーができること

 

弊社では、データ活用人材を厳選して採用し、専門の育成も行ったうえで顧客に人材を提供することが可能です。
弊社の社員は常駐型で支援するため、データ分析環境の準備から実行まで行います。
データアナリストやデータエンジニアを中心にスキルや経験が様々な人材が在籍しているため、顧客企業のデータ活用状況や任せたい業務内容にマッチした人材を提供でき、顧客企業のデータ活用フェーズに合わせて人材を変更することもできます。
これまでに弊社の社員がデータ活用チームが組織にない状態からデータ活用のための戦略策定、組織作り、データ活用の実行、顧客社員へのスキルトランスファーまで行い、データ活用チームを軌道に乗せたという事例もあります。

 

まとめ

 

この記事ではデータ活用人材を採用するときのポイントをお伝えしてきました。データ活用人材確保においても採用や育成はそのほかの職種と行うことは同じです。
成功のためには、データアナリストやデータエンジニア、データサイエンティストといったデータ活用人材の職種に関する理解、任せたい業務内容や必要なスキルの整理を行っておくとよいでしょう。
また、データ活用人材を初めて採用する企業や、時間をかけずに人材を確保したい企業では、弊社のようなデータ活用専門の人材事業会社から外部調達することを検討してはいかがでしょうか?


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データアドベンチャーのサービスご紹介

今回お伝えしたいことは、以下です。

 

執筆者のご紹介

M.H
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー
サービス開発室所属
データマネジメント、データビジュアライゼーション領域を中心に、データ活用におけるコミュニケーション設計と、データ「そのもの」の整備を担当しています。
ディレクター的な立ち回りで、データアナリストやデータサイエンティスト、データエンジニアとビジネスサイドをつなぐ役割もしばしば担います。

目次
01.|データ分析とデータ活用の違い
02.| 実はデータを適切に理解できる人は少ない?
03.|データを適切に理解し、翻訳することの重要性
04.| では適切に理解するとはどのようなことなのか
05.|データを適切に理解するために必要な工程
06.|データを読み解き、適切に示唆をだし業務に落とし込もう
07.|おわりに

 

データ分析とデータ活用の違い

 

「データ分析」と「データ活用」は、どちらもビジネスサイドが取りうる手段を示しています。
もっと言うと「データ分析」は「データ活用」の一部分を構成しています。

「データ分析」とは、データから有益な情報や洞察を引き出し、意思決定の根拠(エビデンス)を提供することです。

加工や分析解析の工程で様々な手法を駆使するため(例えばPythonやSQLを用いてデータを整形する、複数の統計手法から最適なモデルを選択するなど)、一定レベル以上の専門的、技術的な知見が求められることが多くあります。

一方、「データ活用」とは、「データ分析」から得られた示唆を基に具体的なビジネスアクションを考案し、実行することで、組織の目標達成や課題解決に役立てることです。

プログラミングや統計学の知識はさほど必要とされませんが、代わりに分析結果をビジネスサイドに落とす手腕が問われます。
そこで必要なのは、データと分析結果に対する正確な理解、分析サイド間およびビジネスサイド内でのコミュニケーション円滑化、アクション実行における業務デリバリー等です。

 

実はデータを適切に理解できる人は少ない?

 

「分析」に関してはデータサイエンティストやデータアナリストにお任せしましょう。専門知識を持つ彼らであれば、精度の高い分析レポートを提出してくれます。
しかし、いざ結果の「活用」となった段階で躓いてしまうことがしばしばあります。それはビジネスサイドが、データとその分析結果を適切に理解できていないからです。人と組織、それぞれに課題があります。

ビジネスサイドの担当者は、各々の担当領域に対しての専門知識は持ち合わせているものの、データを扱うということに関する基本的なスキルや知識を持っていないことが多く分析結果から何を読み取るべきか判断できない場合もあります。
また、データサイエンティストやデータアナリストの使う専門用語や技術的な説明がビジネスサイドには普段の業務とは馴染みがなく、理解が追い付かないこともあります。
データとその分析結果を解釈するには、ある程度のデータリテラシーが必要ですが、担当者はあくまでも各領域の専門家でありデータの専門家ではないため、そのようなスキルや知識を持ち合わせていることの方が少ないのです。

企業が、そのミッションとしてデータ活用推進を挙げていたとしても、現場の従業員向けにデータリテラシーの向上を目的とした教育プログラムを提供できる企業はまだまだ少数派です。
加えて、ビジネスサイドの社員は多忙であり、通常の業務を抱えているため、データリテラシーを高める時間的余裕がない場合もあります。

 

データを適切に理解し、翻訳することの重要性

 

データを適切に理解し、それをビジネスサイドの言語に翻訳できることはどうして重要なのでしょうか?それは要約すると、「根拠に基づく意思決定から企業としてのパフォーマンス向上につなげることができるから」です。

個人的な経験に基づくカンがすべて悪いわけではありませんが、それを他人と共有するのは困難を極めます。データに基づいた説明は具体的かつ客観的であるため、メンバー間で共通認識を得やすく、合意形成の質的向上とその高速化につながります。

メンバー間の共通認識の構築とコミュニケーションの円滑化は意思決定の高速化につながり、また「データ」によって業務フローにおけるボトルネックや非効率な部分が可視化されるため、フローの改善やリソースの最適化が試され、結果的に業務効率の改善と生産性の向上をもたらします。

これまでも自社の顧客に対して製品やサービスのアンケート調査を実施した経験のある企業担当者は多いでしょう。アンケート結果もある種の「データ」ですが、果たしてその取扱いは適切なのでしょうか?データは取り扱い次第では宝にもごみにもなり得ます。得られたデータを適切に解釈し、顧客ニーズに接近するためにも、「データをより正確にみるため」のデータリテラシーは欠かせません。

 

では適切に理解するとはどのようなことなのか

 

データを適切に理解するとは、データを単に数値や情報の羅列としてみるのではなく、その中に隠れている意味を引き出し、ビジネスにとって有意義な洞察を得ることです。
もちろん、適切に理解することは唯一絶対の真理に到達することではありません。世の中の現象には様々な解釈がありえます。
どの立場に立つかで、解釈が180度変わることも稀ではありません。
ここで大事なのは、現場のニーズ、現場のミッション・ビジョン、現実的に可能な選択肢、これら所与の要件に照らし合わせて、もっとも妥当性の高い、最も望ましい解釈をデータから引き出すことです。

 

データを適切に理解するために必要な工程

 

データを適切に理解するためには、3つの段階があると思っています。

第一段階では、分析やビジネスの目的を明確にしたうえで、必要なデータとは何かを定義します。
ある飲食店が来月の売上を予測したいとしたら、客単価と客数、営業日数のデータはもちろんのこと、もし1週間のうち金土の売上が大きいのなら来月に何回金土が含まれているのか、店舗の近くあるいは別の場所で大きなイベントが営業時間内に開催されないか、など、売上に影響してきそうな要素を残らず洗い出すべきです。

第二段階では、データの「品質」を確認します。
あなたの手元にある「データ」はどのように取得されたものですか?取得元は信頼できますか?どれくらいの頻度で、どのように更新されていますか?あなたがビジネス上において達成したい目標や課題に対して、そのデータは利用価値があるといえるでしょうか?項目の定義、とくに指標の算出方法は目的にかなっているのでしょうか?
ここでおさえなければいけないのは、そのデータが活用に値する品質を担保できているのか、という点です。

第三段階では、データから示唆を得るために最適な手法を選択します。
ここで有用なのが「可視化」という手法です。数字の羅列を見るよりも、グラフとして表現されたほうが、一般的に理解速度は上がります。
数字は「文字」でしかありませんが、グラフは、形、大きさ、高さ、色彩など様々な要素で「データ」を表現することができるからです。
データをちょっと「可視化」するだけで、データの持つパターンやトレンド、さらには異常値の混入まで一瞬で判断できるようになり、データへの理解と解釈が向上し、結果としてデータを介したコミュニケーションが改善され、意思決定が迅速化します。

「可視化」の効果を高めたいのであれば、データの種類とそこから得たい「情報」によって、最適なグラフ選択を行うと良いでしょう。
例えば、属性の時系列推移を見たいのであれば、基本的な折れ線グラフ、構成比の推移も一緒に見たいなら面グラフや棒グラフが最適です。
シンプルに売上のランキングを出したいなら棒グラフが最もわかりやすいでしょう。
二つの指標の相関関係を見たいなら、量的データどうしなら散布図、質的データどうしならヒートマップ(クロス集計表に色をつけたもの)が活用できます。
売上のばらつきを見たいならヒストグラムや箱ひげ図、地理的分布を見たいなら地図、というように。

第一段階と第二段階も「データ活用」に必要不可欠な前提ですが、「データ活用」によりフォーカスすると第三段階がメインとなってきます。「可視化」によって「データ」の適切な理解と解釈が促進されるのです。

 

データを読み解き、適切に示唆をだし業務に落とし込もう

 

前段では、「データ活用」の中心が「可視化」にあるとお話ししました。では最後に、組織内でデータ「可視化」を推進するためにはどのようなしくみが必要なのか、見ていきましょう。

これは前段の第一段階、第二段階のことです。
何のためにデータを活用するのかの前提が明確であること、および使用するデータの品質担保、この2点が揃っていることが前提として挙げられます。

エクセルやスプレッドシートでも「可視化」は可能です。しかし、「可視化」の力をフルパワーで発揮したいのなら、ぜひ「可視化」に特化したBIツールの活用をお勧めします。
代表的なBIツールは、Tableau、PowerBI、LookerStudio、DOMOなどです。無償版で性能や動作環境を試してみて、総合的に最適なBIツールを選択してみてください。

まずは、データの型と目的に応じて最適なグラフが選択できるように、基本的な可視化のお作法を学習しましょう。
次に、データを解釈し、その解釈を人に伝える「ストーリーテリング」の技術、思いついた切り口でスマートにデータを「可視化」する「インタラクティブ」な操作、これらの応用技術も習得できると望ましいでしょう。

IT部署やDX部署だけではなく、できれば営業や企画、経理、人事も含め全社横断的にBIツールを日々の業務で活用する土壌を作る、これも大事です。
全社横断的なプロジェクトとして共感を集め、仲間を増やしましょう。
また日常の業務に、どれほどBIツールを落とし込めるかが活用推進と継続のカギになります。
朝会や社内会議のパワポ資料をBIツールの画面で共有する、KPIモニタリングのエクセル帳票(VBA更新)をダッシュボード化して自動更新化する、などなど。
最初の一歩はなかなか困難ですが、それさえ踏み出すことができれば、「データドリブン文化」への道は大きく開けるのです。

 

おわりに

 

「データ分析」と「データ活用」は、ビジネスにおいて重要な手段ですが、それぞれ異なる役割を持っています。
「データ分析」は、データから価値ある情報や洞察を引き出し、意思決定の根拠を提供するプロセスです。
一方、「データ活用」では、分析から得られた示唆を基に具体的なビジネスアクションを実行し、課題解決や目標達成を図ります。
ビジネスにおいて重視するべきは分析結果を活用につなげることであり、そのためにはデータを正しく理解し、解釈するスキルが必要なのです。その中軸をなすのが「可視化」です。

「可視化」は、データを数値として見るだけでなく、その背後にある意味を引き出すために、非常に優れた手段です。
データ可視化を推進するためには、明確な目標設定やデータマネジメント体制の構築が必要です。全社でのデータ活用を促進するためには、日常業務にBIツールを取り入れ、データドリブン文化を醸成することが求められます。はじめは難しいかもしれませんが、実行に移すことで大きな成果を得ることができるでしょう。


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データアドベンチャーのサービスご紹介

本記事では、DXとデータ利活用について、以下の点をお伝えします。

DXの成果がなかなか出ず困っている方や、データ活用の状況や人材についてお悩みの方々に、少しでもお役に立てれば幸いです。

執筆者のご紹介

柏木啓良
所属:
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部 データエンジニア
顧客企業に常駐し、アナリストが分析に使用するデータマートの作成・保守や機械学習モデル構築のためのデータ作成・整備を担当しています。
安定的なデータ品質や効率的な処理の実装・改善に奮闘しています。
経歴:
生命保険会社のシステム開発部門にて、保守・運用を担い、2023年3月にメンバーズに入社

目次
01.| DXとは?
02.| DXの推進にデータ活用が必要な理由
03.| 日本のデータ活用の現状は?
04.| データ活用において必要不可欠とされているデータ人材とは?
05.|今後のデータ活用人材の需要供給予測
06.|データアドベンチャー内のデータ活用でのDX推進事例
07.|まとめ

 

DXとは?

今回のテーマであるDX(デジタルトランスフォーメーション)について、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」(*1)では、以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデ ルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
つまり、競争上の優位性を確立することが目的であり、データやデジタル技術は手段でしかない。
しかしデジタル社会である現代では、このデータとデジタル技術を最大限活用し、変革することが、DXにおいて重要です。

*1 出典:「デジタルガバナンス・コード2.0」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf(2024年8月8日に利用)

 

DXの推進にデータ活用が必要な理由

 

前章で、DXの成功にはデータとデジタル技術が重要な要素と記載しましたが、ここでは、DXの推進にデータが不可欠である点について述べていきます。

現代においてデータは、企業の意思決定を支える基盤となるだけでなく、効率的な業務プロセスの実現など、様々な場面において不可欠なものになっています。

企業の意思決定というケースにおいてわかりやすい例をあげると、例えば大規模なシステム開発プロジェクトの投資対効果を算出し投資判断を下すためには、システム別費用や工程別費用など、様々な観点の費用というデータが必要になります。
また業務プロセスの効率化を例に挙げると、どのような流れで業務が進んでいるのかを可視化することが必要になります。
しかし可視化するためにはまず、データとして落とし込む必要があります。
さらに顧客との関係構築の強化を例に挙げると、ただモノを売り込むだけでなく、顧客の属性や購買履歴などといったデータを活用することで、より効果的なアプローチが可能となります。

このようにデータ活用は、DXの推進において中心的な役割を果たすものと言えます。

 

日本のデータ活用の現状は?

 

DX推進において、中心的な役割を果たすと考えられるデータ活用ですが、ここで日本におけるデータ活用の状況がどのようになっているのかを紹介します。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の発行している「DX動向2024」(*2)から、次のことがわかります。


「全社でデータ利活用している」ならびに「事業部・部署ごとでデータ利活用している」のどちらかを回答している企業の割合は、米国と比較しても大差ありません。
これに対し「全社でデータ利活用している」と回答している割合は、日本が約10%低い状況となっています。(*2 「図表 2-1 データの利活用状況(経年変化および米国との比較)」より)


また、日本国内におけるDXの成果別にみてみると、DXの成果が出ていると回答している企業の状況は、「全社でデータ利活用している」と「事業部・部署ごとでデータ利活用している」と回答している割合が7割にのぼっています。
これに対してDXの成果が出ていないと回答している企業状況は、「全社でデータ利活用している」と「事業部・部署ごとでデータ利活用している」と回答している割合が約4割にとどまっています。(*2 「図表 2-2 データの利活用状況(DX 成果別)」より)


このように日本全体でみると、「全社でデータ利活用している」企業の割合は、米国に劣るものの、データ利活用している企業自体は遜色ないといえます。
一方で、日本国内のDXの成果との関係を踏まえると、DXの成果を出すためには、データの利活用が重要な役割を担っており、データ利活用がDXの成果の条件の一つと考えられます。

*2 出典:「DX動向2024」(IPA)https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/eid2eo0000002cs5-att/dx-trend-2024.pdf(2024年8月8日に利用)

 

データ活用において必要不可欠とされているデータ人材とは?

 

ここまで、日本におけるデータ活用の現状とDXとの関係から、データ利活用の重要性を述べてきました。この章ではそのデータ利活用を推進していくにあたり、代表的な3種類の人材について、紹介します。
メンバーズデータアドベンチャーでは、それぞれ以下の通り定義しています。

 

データアナリスト
データ分析・データ可視化・データ活用マネジメントといった内容の業務を遂行

データエンジニア
データ活用基盤構築から運用・データ活用マネジメントといった内容の業務を遂行

データサイエンティスト
データ分析に特化し、組織や企業のデータ活用レベル向上に向けた業務を遂行

 

これらのデータ人材が、組織や企業の課題やフェーズに合わせてプロジェクトに参画し、課題を解決することで、データ利活用を推進しています。

今後のデータ活用人材の需要供給予測

 

データ活用の重要性が高まる中で、データサイエンティストを含む前章にあげたようなデータ人材の需要は急速に増加しています。

全社的もしくは部署個別で、DXに取り組んでいる企業は約20%がデータサイエンティストの不足を訴えています。(*2 「図表 3-4 最も不足している人材(人材類型別)」より)
IPAの調査(*2)によると、「(データ利活用ができる)人材の確保が難しい」と回答した企業が、2022年度の調査では、約45%でした。
しかし1年後の2023年度の調査では約57%となりました。
これによりデータ利活用ができる人材の需要は上昇傾向にあり、半数以上の企業が人材確保に大きな課題を感じていることがわかります。
(*2 「図表 2-4 データ整備・管理・流通の課題(経年変化および米国との比較)」より)


このように、データ活用人材の確保において、悩んでいる企業はまだまだ多い状況であることがわかっていますが、この傾向は今後もしばらく続くと予想され、データ人材の需要はますます高まっていくことでしょう。


*2 出典:「DX動向2024」(IPA)https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/eid2eo0000002cs5-att/dx-trend-2024.pdf(2024年8月8日に利用)

 

データアドベンチャー内のデータ活用でのDX推進事例

 

ここまで述べてきたように、DXの推進においてはデータ利活用が重要な役割を担っています。
最後に、弊社が支援した、データ活用でのDX推進事例を紹介します。


金融業界における機械学習モデル構築の事例です。
データ分析環境がある程度整っている企業においては、次のフェーズとして、サービスの高度化が考えられます。
その一つとして、機械学習モデルを構築することが挙げられますが、顧客企業とメンバーズデータアドベンチャーが協力し、着実に成果を上げている事例として以下を紹介します。
下記は金融業界における機械学習モデル構築の事例です。

 

クレディセゾンで活躍 本気のビジネス課題解決にデータのプロフェッショナル人材「常駐サービス」の薦め


データ分析環境がある程度整っている企業においては、次のフェーズとして、サービスの高度化が考えられます。

このようにメンバーズデータアドベンチャーでは、データ利活用の観点から顧客のDXの推進に貢献している事例が複数あります。

 

まとめ

 

本記事では、DXとデータ利活用について、以下の点をお伝えしてきました。

DX推進において、データ利活用は重要な要素になっており、データ利活用を推進することでDXを大きく推進できると考えています。
そういったデータ人材にお悩みの方は、メンバーズデータアドベンチャーまでご相談ください。


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