2024年7月23日(火)に開催される、 Marketing Native編集部主催『Marketing Native Fes 2024 Summer』にカンパニー社長の白井が登壇します。
登壇概要
Marketing Native Fes 2024 Summer
登壇セッション:データから事業上の成果を生むためにデータ分析の前にやるべきこと
セッション概要:BtoBビジネスにおいても、データやAIの活用が進む中、多くの企業がデータサイエンティスト育成に取り組み、分析ツールに投資しています。
一方で、組織が上手く立ち上がらず、データ分析の成果もまだ見えてないという問題に直面している企業も多いのではないでしょうか。
本セミナーでは、企業がデータを「役立つ」レベルまで活用するために重要な「分析する前」に焦点を当て、組織のつくり方や業務フローについて解説いたします。
データを組織内で効率的に活用する方法を摸索している方に必聴の内容をお届けします。
日時:2024年7月23日(火)14:30~14:50
場所:オンライン
参加費:無料
詳細:https://marketingnative.jp/mnfes03
登壇者紹介
白井 恵里(しらい えり)
株式会社メンバーズ 執行役員
兼 メンバーズデータアドベンチャーカンパニー社長
東京大学を卒業後、株式会社メンバーズへ入社。
大手企業のオウンドメディア運用、UXデザイン手法での制作や、デジタル広告の企画運用に従事したのち、2018年11月に社内公募にてメンバーズの子会社(現、社内カンパニー)社長として株式会社メンバーズデータアドベンチャーを立ち上げ。
データアナリスト、データサイエンティスト、データエンジニアなどデータ領域のプロフェッショナルの常駐により企業のデータ活用を支援し、顧客ビジネス成果に貢献するサービスを提供。
2020年10月から株式会社メンバーズ執行役員兼務。現在カンパニーに所属するデータ分析のプロフェッショナルは約150名。
2024年、一般社団法人Generative AI Japan立ち上げに伴い、理事就任。
X @EriShirai
当サイトにて『メディア』ページをリリースしました。
データ活用に役立つ記事をご覧いただけますので、ぜひご利用ください。
こんにちは。データアドベンチャーの北島です。
今回は、データ活用を「これからはじめよう」または「はじめているが自分たちのやっていることが正しいのか不安を感じている・・」そんなみなさまへお伝えしたい内容です。
執筆者のご紹介
北島史徒
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャー サービス開発室 所属
戦略プランナー
データ活用におけるお客様の課題に対して高付加価値のサービスを提供する「エキスパートサービス」の開発や、実際にお客様へ課題のヒアリング~提案業務を行っています。
経歴:2019年 株式会社メンバーズ入社。顧客専任のデジタルマーケティング運用支援チームのマネージャーとして顧客のデジタルトランスフォーメーション(以下DX)やカスタマーサクセスの推進を支援。2023年からデータアドベンチャーのサービス開発室へジョインし、データをキーに顧客のDX、カスタマーサクセスの推進をサービス開発という立場から後方支援しています。
目次
01.| データ活用、何からはじめる?
02.| とりあえず社内ではじめてみた、でも不安・・
03.| データ活用に必要なプロセスとは?
04.| データ活用に必要な環境とは?
05.| データ有識者をお客様のすぐそばに
データ活用、何からはじめる?
①そもそもデータ活用とは?
企業が業務で発生する情報をデータとして収集・蓄積したり、または分析することで、社内の生産性向上や売上向上などをビジネスに役立てることを目指す取り組みです。
②データ活用のメリットは?
データは1つ1つに意味があり重要な資産ですが、そのデータをどう読み解いてビジネスに役立てるかがビジネス成果を目指す上で重要になってきます。データに関する理解度や読み解くスキル、データによる意思決定を定着させる社内の組織的な文化の醸成が大変重要になってきます。
③お客様のよくあるお困りごととは?
ふだん私たちがお客様との対話の中で、よくお聞きする内容です。
データ活用がこれからのお客様のお悩み
※当社サービス資料より引用
経営層などから中期経営計画でDXの推進といった戦略が掲げられ、取り組む方針も漠然と抽象度の高い状態で与えられるケースが一般的です。
戦略や方針が落ちてきても次の具体的なアクションについて「何をどのように進めたらいいのかわからない・・」そのような声をよくお聞きしてきました。
とりあえず社内ではじめてみた、でも不安・・
ふだん私たちがお客様との対話の中で、よくお聞きする内容です。
データ活用を進めているお客様のお悩み
※当社サービス資料より引用
これらの背景としては、社内人材のデータに関する知見・ノウハウ不足が挙げられることが多いです。
- データ活用を推進したいが、データに詳しい特化人材がいない
- 本業と兼務し片手間でデータ分析をしている
- データ人材を育成しよう!といっても、そのノウハウが社内に無い
データ活用に必要なプロセスとは?
データアドベンチャーでは、データ活用を大きく3つのフェーズ、8つのステップに分類することで、お客様がどのプロセスでお困りごとがあるのかをお伺いしています。
データ活用のプロセス
※当社サービス資料より引用
3つのフェーズ
- データ分析・活用構想:データ活用の戦略や目的を策定するフェーズ
- データ分析基盤構築・運用:データ分析環境を作り、導入するフェーズ
- データ活用・定着:データによる意思決定サイクルを回し定着させるフェーズ
8つのステップ
- 戦略策定
- 方針策定
- 連携
- 蓄積
- 加工
- 可視化
- 分析
- 運用
データ活用に必要な環境とは?
データアドベンチャーではデータ活用に必要な環境を、「データ分析基盤」と呼んでいます。
この基盤は以下の役割を担っています。
①データ分析基盤の役割
- データを収集する
- データを蓄積する
- データを加工する
- データを可視化する
- データを分析する
ひと昔前は、データをCSVに吐き出して、エクセルなどで手作業で集計や分析を行う方法がありました。昨今は扱うデータ量が多くなり、SaaSと呼ばれるデータ分析ツールを導入するお客様が増えてきた印象です。
②SaaS導入のメリット
SaaSとは?
Software as a Serviceの略称で「サービスとしてのソフトウェア」を言います。ことデータ活用の世界では「データの収集と分析を支援するクラウドサービス」を主に一般的に利用することが多いです。
SaaSのメリット
データ分析基盤には、SaaS(クラウドサービス)とオンプレミス(on-premises)環境の2つがあります。
オンプレミスは、サーバーやソフトウェアなどの情報システムを企業の設備内に現物を設置し運用することを指しますが、企業専用に環境をオーダーメイドするため、イニシャルコストが大きく導入期間も長くなる傾向にあります。
※データ量が莫大に多く、SaaSの機能ではカバーできない場合はオンプレミスを選択する必要が出てきます。
これに対しSaaSはクラウドサービスで用意された機能を予算に応じてお好みに選ぶことができます。サービス利用は従量課金制のためイニシャルコストを抑え小さく早く始められるのがオンプレミスと比較した場合のメリットです。
また、SaaSのサービスは必要な機能を必要な時に追加することができるため、環境面でもお客様のビジネスの変化に応じて柔軟に対応することが比較的容易です。
SaaSの分類と代表例
データ分析基盤の役割において、SaaSの担う範囲を整理すると、以下のように大きく3つの分類にわけることができます。
※データの収集はデータ環境によってSaaSの導入が必要な場合と不要な場合があるため本編では割愛します
※データ分析においてデータの前処理・加工を施すETL(Extract Transform Load)と呼ばれるプロセスが入りますが、本編ではETLの話題は割愛します
SaaS導入でありがちなこと
「①データの蓄積」や「②データ分析」のツール選定と導入においては専門的な知識が必要なため、お客様側で気軽に導入することが難しい傾向にあります。
一方で「③可視化」は、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールがよく用いられます。可視化の表現はグラフや図、表など様々です。これらの情報をまとめてダッシュボードに情報を構築することで素早く社内で意思決定できるようにします。
BIツールはGUI(グラフィックインターフェース)で直感的なマウス操作で設定が可能なため、専門知識のないユーザー自身で分析やレポート作成ができるのが特長の1つです。
そのためこれからデータ活用をしていこうとするお客様にあたっては、まずは「可視化」を優先しBIツールを初めに導入される企業が多い傾向にあります。
そして、手探りながらも可視化をしてみたデータ活用を推進しているメンバーに新たな壁が立ち塞がります。
たとえば、
- その可視化したデータが正しい情報なのか?といったお悩み
- そもそも可視化によってどのような示唆や行動を社内に促したいのか?が不明確
そのようなメンバーの漠然とした心配が徐々に蓄積し、「可視化しても社員は見るだけで終わり、あるいは誰も見てくれない」といった問題がいよいよ表面化し、何とか対策を講じないといけない・・・といったことが往々にして起こります。
このようにせっかくコストをかけてSaaSのツールを導入したものの、使いこなせない、使われない状態では非常にもったいない話ですよね。
データ有識者をお客様のすぐそばに
データ活用を絵に描いた餅にしないために
ツールが先か?戦略が先か?という議論は尽きない話題ですが、DXをいち早く推進しなければならない時代背景もあるので、現実は小さく導入できるところからする、走りながら考える、といった企業が多いのではないでしょうか。
通常よくある話では、データ活用の戦略ではコンサル事業ベンダーが担当し、施策実行になると派遣・施策実行ベンダーが担当することで、この両者の役割の違いからGAPが生まれ、戦略で描いた施策が思うように進まずに絵に描いた餅になる、といったことを耳にすることがよくあります。
データアドベンチャーの強みは「伴走型支援」
データアドベンチャーではこのようなベンダーの分断を無くし、上流から下流工程までお客様のデータ活用の「伴走型支援」に強みを持っています。
※当社サービス資料より引用
大きな特長として、
- お客様のオフィスに常駐しコミュニケーションを密にする
- お客様のビジネス理解を深め「あたかも社員」のようにご支援する
- お客様のビジネスフェーズやニーズにあわせて最適な人材を提供する
- データ業務のプロセスや仕組みを平準化し、お客様の内製化をご支援する
といったことが挙げられます。
指示待ちの受け身型ではなく、カスタマーサクセス思考の強い自走自立型のクリエイターをご提供することをモットーとしています。
データアドベンチャーのサービスご紹介
データアドベンチャーではお客様のデータ活用フェーズに応じたサービスメニューや人材をご用意しております。
※当社サービス資料より引用
※当社サービス資料より引用
詳細をまとめた資料をダウンロード頂けますのでぜひご活用ください。
またデータ活用に関する困りごとやご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
\ データ活用についてのご相談はメンバーズデータアドベンチャーまで /
\ 相談する前に資料を見たいという方はこちら /
本記事では以下の3点について実際の事例を元にお伝えします。
- データ活用は事業全体での取り組みであること
- データ活用はビジネスの実情に合わせつつ成長・変革を先導していくこと
- データチームはその中心で活躍し周囲を巻き込むこと
執筆者のご紹介
吉川寛
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー サービス開発室 室長
企業のデータ活用を強力に進めるために不可欠なスキルやジョブを定義しそれらを提供するためのサービスの開発を担当
データサイエンティストとして顧客企業に常駐し、現在はWebサイト訪問時の購入予測モデルの構築や、サービスの需要予測モデルのチューニングを担当
経歴
人事コンサルタント、事業会社での経営企画を経て2020年2月にメンバーズ入社
顧客企業にデータサイエンティストとして常駐しデータチームの立上げとグロース、施策効果検証や需要予測分析、社内データ活用レベルの向上を狙った勉強会を開催してきました。2023年から現職。
目次
01.| 組織編制において留意すべき前提条件
02.| 今回のポイント
03.| 黎明期
04.| 成長期
05.| 成熟期
06.|まとめ
組織編制において留意すべき前提条件
データ活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にあたり、分析組織を立ち上げる際には、いくつかの前提条件を理解しておくことが重要です。これらの前提条件を無視すると、組織としてのデータ活用の取り組みがうまく機能せず、期待する成果が得られない可能性があります。
組織文化の理解
まず、企業や組織の文化を理解し、それに適応したデータ活用の方針を立てることが必要です。従来のビジネス慣行や意思決定プロセスに依存している企業では、データを活用した意思決定への抵抗感があるかもしれません。そのため、文化的な変化を促進するための戦略を立てることが必要です。
インフラの整備
データを効果的に活用するためには、まず適切な技術基盤が必要です。データを収集し、保存し、分析するためのツールやプラットフォームの選定、さらにはセキュリティやデータ保護の体制が整っていることを確認する必要があります。クラウドプラットフォームの導入や、適切なデータベース管理システムの選定がこのステップに含まれます。
組織内コミュニケーションの強化
データ活用を進めるためには、分析担当者だけでなく、経営層や他部門との協力が不可欠です。データ分析の結果がビジネス戦略にどのように影響を与えるかを理解してもらうために、定期的なコミュニケーションや教育が必要です。また、データ分析部門が他部門と連携して、ビジネスの重要な意思決定にどのように貢献できるかを明確にすることが大切です。
今回のポイント
ここでのポイントは、データ分析組織を立ち上げる際に考慮すべき、成長段階に応じた取り組みの違いです。組織はその成熟度に応じて異なる課題に直面します。それぞれのフェーズにおいて、組織がどのようにデータ活用を進めるかが成功の鍵となります。
組織の成長フェーズの理解
データ分析組織は「黎明期」「成長期」「成熟期」の3つのフェーズを経て成長します。それぞれのフェーズには異なる課題と目標が存在し、戦略的な取り組みが求められます。
黎明期では基盤の整備、成長期ではスケールアップと効果の最大化、そして成熟期では分析結果をビジネスの意思決定に一層深く組み込むことが重要です。
※当社セミナー資料より引用
黎明期
データ分析組織の立ち上げ段階、すなわち黎明期は、組織としてのデータ活用の基盤を作り上げる時期です。この時期には、主に以下のステップを踏んでいきます。
ステップ1:目的とビジョンの明確化
最初に行うべきは、データ分析を行う目的を明確にすることです。どのようなビジネス上の課題を解決したいのか、データから何を得たいのかをはっきりさせ、組織全体で共有します。このビジョンがないと、データ分析が単なる技術的な作業に終わってしまい、ビジネスに貢献できなくなる可能性があります。
ステップ2:小規模な分析プロジェクトの実施
黎明期では、いきなり大規模なプロジェクトに取り組むのではなく、小規模で明確なゴールを持つ分析プロジェクトを実施します。これにより、組織内でデータ分析の価値を実感し、徐々にデータ活用に対する理解と信頼を築いていくことができます。例えば、顧客データを用いて購買行動の分析を行い、次のマーケティング施策に活かすことなどが考えられます。
ステップ3:初期のデータ収集体制の整備
データ活用の基盤を整えるためには、まずはデータ収集の体制を整えます。企業が扱うデータには、多様な種類があります。たとえば、販売データ、顧客データ、業務データなどが含まれ、これらのデータをどのように収集し、どこに保存するかを決定します。
データ収集ツールの導入や、社内でのデータフローの整理が必要となります。特に、データの正確性や一貫性を確保するためには、データのクリーニング(欠損値の補完や重複データの除去)を実施することが求められます。
※当社セミナー資料より引用
成長期
成長期は、データ分析組織が本格的に運用を開始し、スケールアップしていく段階です。このフェーズでは、分析結果を業務に本格的に活用し、組織全体にデータドリブンな文化を根付かせることが求められます。
ステップ1:データ活用の拡張
成長期に入ると、データの活用範囲が広がります。これまでの黎明期における小規模な分析プロジェクトの成果を基に、より多くのデータソースを統合し、分析を深めることが可能になります。顧客データだけでなく、外部の市場データやサプライチェーンデータなど、より多角的なデータを組み合わせることで、企業全体の意思決定を支える強力な分析基盤が構築されます。
ステップ2:自動化と効率化の推進
成長期においては、データ分析の効率を向上させるために、業務の一部を自動化することが求められます。データの収集やクリーニング、レポート作成などのルーチン作業は自動化ツールを導入することで省力化し、分析担当者はより高度な業務に集中できるようになります。また、分析モデルの定期的なアップデートも自動化し、常に最新のデータに基づいた分析を提供できる体制を整えます。
ステップ3:分析スキルの社内浸透
成長期においては、データ分析スキルを持つ人材を増やすことも重要です。データ分析は専門家だけでなく、各部署の担当者も基本的な分析スキルを身に付けることで、組織全体でのデータ活用が促進されます。社内研修やeラーニングを通じて、データリテラシーを高め、データに基づいた意思決定を促す文化を醸成します。
※当社セミナー資料より引用
成熟期
データ分析組織が成熟期に達すると、データ活用のレベルが一層高まり、企業全体でデータに基づく意思決定が定着します。この段階では、より高度な分析手法を用い、データを活用して新たなイノベーションを生み出すことが求められます。
ステップ1:高度なデータ分析の活用
成熟期に入ると、企業はより高度なデータ分析手法を活用して、従来の分析では捉えきれなかった複雑なパターンや予測を行うことができます。特に、機械学習やAI(人工知能)を取り入れた分析手法は、企業の競争力をさらに高めるための強力なツールです。
機械学習とAIの応用
機械学習やAIを活用することで、顧客行動の予測や需要予測、最適なリソース配分のシミュレーションが可能になります。例えば、過去の購買データを基にして、どの顧客がリピートする可能性が高いかを予測したり、季節ごとの需要を自動的に予測して在庫管理を効率化したりします。
また、AIによる自動化された意思決定支援は、従来の分析をさらに強化し、意思決定のスピードと精度を向上させます。これにより、迅速な市場変化に対応できるようになり、ビジネスチャンスを逃すリスクを低減することが可能です。
ステップ2:データガバナンスとセキュリティの強化
成熟期においては、データガバナンスとセキュリティの確保が一層重要になります。データの規模が拡大する中で、データの整合性を保ちつつ、企業全体でデータを安全に管理することが求められます。これには、データの正確性を保証するデータクオリティ管理や、データのアクセス権限の適切な設定、データの暗号化といったセキュリティ対策が含まれます。
また、データガバナンス体制を強化することで、組織全体でデータを一貫して利用し、データの分散や重複を防ぐことができます。これにより、データの透明性が高まり、効率的なデータ活用が可能となります。
ステップ3:データ駆動型文化の定着
データ分析組織が成熟期に達すると、組織全体がデータ駆動型の文化を確立し、日常的な業務にデータが浸透していることが理想的です。この段階では、経営層から現場の従業員に至るまで、データに基づく意思決定が行われるようになり、データ活用が企業の競争力強化に直結します。
社内での定期的なトレーニングやデータリテラシー向上の取り組みを通じて、社員全員がデータの読み取りや分析に慣れ、データを活用して具体的なアクションを取る文化が醸成されます。また、データに基づいた意思決定が日常的に行われるようになると、全体の業務効率が向上し、さらに高いパフォーマンスを発揮することが期待されます。
※当社セミナー資料より引用
まとめ
データ活用とDX推進を進めるための分析組織の立ち上げは、企業の成長において重要なステップです。黎明期、成長期、成熟期という3つのフェーズを通じて、データの活用範囲が広がり、組織としてのデータリテラシーが向上していきます。初期段階では、基盤整備と小規模なプロジェクトからスタートし、成長期においてはデータの活用を拡大させ、効率化を図ることが必要です。成熟期では、より高度な分析手法を導入し、組織全体にデータ駆動型の文化を根付かせることが求められます。
データガバナンスの強化やセキュリティ対策をしっかりと行い、データ活用のプロセスを確立することで、企業は競争力を強化し、持続的な成長を実現できるようになります。今後も、データ活用とDX推進を積極的に進め、企業の価値創造を加速させるための取り組みが重要です。
この記事は、データ活用初心者にも理解しやすいように、各フェーズごとの取り組みや具体的なステップを詳細に解説しています。組織の成長とともに、データ分析の手法を段階的に進化させ、データドリブンな組織作りを目指すための手引きとしてご活用ください。
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データアドベンチャーのサービスご紹介
この記事では、クラウドデータプラットフォームの理解促進のため以下の点についてお伝えします。
- クラウドデータプラットフォームとは何か?
- クラウドデータプラットフォームのメリットについて
- 導入の際に気を付けるべき点や導入後に躓きやすい点
クラウドデータプラットフォームのメリットをお伝えするのはもちろん、導入時に気を付けるべき点・考えるべき点をお伝えします。
執筆者のご紹介
小野琢也
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニーアナリスト事業部
現在の担当業務:私の現在の職務といたしましては、ホールディングス会社において各事業会社のデータのAWSクラウドデータプラットフォームへの一元化を行っています。
各社の持つデータをAWSに連携し、データの収集から分析・可視化を行える環境作りを行っています。
経歴:小売り事業の需要予測、Webマーケティングのデータ分析など、データ界隈の業務を行ってきました。
現在は、深層学習分野の学習を行っております。
目次
01.|クラウドデータプラットフォームとは?
クラウドの役割とデータプラットフォーム
クラウドデータプラットフォームの特徴
02.|データプラットフォームのメリット
データの一元管理による効率化
柔軟なスケーラビリティ
リアルタイム分析の可能性
コスト削減
セキュリティの向上
03.|導入の際に気を付けるべき点
データ移行の計画
セキュリティとコンプライアンス
コスト管理の最適化
システム統合の課題
04.|導入後に躓きやすい点
データのガバナンス不足
社内でのデータリテラシー不足
自動化とリアルタイム分析の難しさ
クラウド依存とコスト管理の課題
05.|まとめ
クラウドデータプラットフォームとは?
クラウドデータプラットフォームとは、企業が持つ膨大なデータを一元管理し、クラウド上で保存、分析、活用するための仕組みです。従来、データは企業のサーバーやローカルシステムに分散して保存されていましたが、クラウドデータプラットフォームを利用することで、これらのデータを安全かつ効率的にクラウド上で集中管理できるようになります。
クラウド技術は、従来のオンプレミス型のデータ管理とは異なり、インターネットを介してどこからでもデータにアクセスできる利便性を提供します。クラウドデータプラットフォームでは、これに加え、データの保存、処理、分析を効率的に行えるさまざまなツールやサービスが一元化されて提供されます。
代表的なクラウドデータプラットフォームには、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)などがあります。これらのプラットフォームは、データの保存・管理だけでなく、ビッグデータの処理、機械学習、リアルタイム分析といった高度な機能もサポートしています。
クラウドデータプラットフォームには、以下のような主な特徴があります:
- スケーラビリティ:必要に応じてリソースを動的に増減できるため、データ量の急増にも対応可能。
- セキュリティ:クラウドプロバイダーが提供する最新のセキュリティ対策が適用され、データ保護が強化されます。
- 可用性:インターネット接続があれば、どこからでもデータにアクセス可能。
- コスト効率:初期投資が不要で、使用した分だけ課金されるため、コスト管理が容易。
データプラットフォームのメリット
クラウドデータプラットフォームを導入することで、企業はさまざまなメリットを享受できます。以下に、その主なメリットを説明します。
クラウドデータプラットフォームを導入する最大の利点は、データを一元管理できる点です。従来、部門ごとやプロジェクトごとに分散して保存されていたデータが、クラウド上で統合され、すべてのデータにアクセスできる環境が整います。これにより、データの検索、取り出し、更新が迅速に行えるようになり、業務の効率が大幅に向上します。
企業が成長するにつれてデータ量も急激に増加します。クラウドデータプラットフォームは、スケーラビリティの面で優れており、データ量に応じてストレージや処理能力を柔軟に拡張することができます。これにより、データ量の変動に対して柔軟に対応できるため、将来的な拡張性を確保できます。
クラウドデータプラットフォームを使用することで、リアルタイムでデータを処理し、分析することが可能です。これにより、最新のデータに基づいた意思決定ができるようになります。たとえば、顧客の購買行動をリアルタイムで把握し、それに基づいてパーソナライズされたオファーを即座に提供することが可能になります。
クラウドデータプラットフォームは、オンプレミスのシステムとは異なり、初期投資が大きくかかることがありません。クラウドは、使った分だけ課金されるため、リソースの無駄を省きながらコストを最適化できます。また、メンテナンスやハードウェアの管理も不要となるため、総コストの削減に貢献します。
クラウドサービスプロバイダーは、最新のセキュリティ技術を提供し、データの保護を強化しています。データの暗号化やアクセス制御、多層的なセキュリティ対策により、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを最小限に抑えます。
導入の際に気を付けるべき点
クラウドデータプラットフォームの導入は多くのメリットがありますが、いくつかの注意点もあります。導入時にはこれらの点に留意し、適切な対策を講じることが重要です。
既存のシステムからクラウドプラットフォームへデータを移行する際には、データの移行計画が不可欠です。大量のデータを移行する際、データの整合性を保ちながら、エラーなく移行するための準備を行う必要があります。また、ダウンタイムを最小限に抑えるために、移行作業は計画的に実施されるべきです。
クラウドプラットフォームは強力なセキュリティを提供しますが、企業側もデータ保護やコンプライアンスに関して責任を持つ必要があります。特に、GDPRやHIPAAなどの規制に準拠するために、データの保存場所やアクセス権限の管理が厳密に行われるべきです。
クラウドは使った分だけ課金されるため、コストの管理が容易ですが、リソースの過剰利用によって予想以上の費用が発生することもあります。したがって、リソース使用のモニタリングや適切な使用制限を設定し、コストが膨れ上がらないように管理することが重要です。
既存のシステムやアプリケーションとの統合は、クラウド導入の際に直面する大きな課題の一つです。オンプレミスのシステムとクラウドプラットフォームをスムーズに連携させるためには、APIの整備やデータフォーマットの互換性を確認する必要があります。また、統合がうまくいかない場合、業務プロセスに支障が出る可能性があります。
導入後に躓きやすい点
クラウドデータプラットフォームの導入が完了した後も、企業は引き続きさまざまな課題に直面することがあります。以下は、導入後に特に注意すべきポイントです。
クラウドデータプラットフォームを導入するだけで、全ての問題が解決するわけではありません。特に、データの管理体制(ガバナンス) に注意が必要です。データの一元管理が可能となるクラウド環境でも、データの品質や整合性が維持されない限り、活用の効果は限られます。
ガバナンス体制の重要性
データが増加するにつれ、データのクレンジング(不要データの削除や重複の整理)が重要になります。企業は、データの管理者を配置し、定期的なデータ整備やガバナンスのプロセスを構築する必要があります。
データの権限管理
さらに、誰がどのデータにアクセスできるかを厳密に制御するために、アクセス権限管理 も徹底しましょう。これにより、データの誤用や漏洩リスクを減らすことが可能になります。
クラウドデータプラットフォームが導入された後、そのメリットを最大限に活用できるかどうかは、社内のデータリテラシー に大きく依存します。データリテラシーとは、データを読み取り、分析し、活用する能力のことです。
社員のトレーニング
多くの企業では、データの活用を推進しようとする一方で、実際には社員がデータ分析の基本的なスキルを持たないことがあります。このような問題を避けるためには、トレーニングや研修プログラム を通じて社員のデータリテラシーを向上させる取り組みが不可欠です。分析結果をどのように解釈し、意思決定に反映させるかを理解する社員が増えることで、データプラットフォームの効果はより高まります。
データ文化の醸成
データリテラシー向上の取り組みに加え、社内にデータドリブンな文化 を根付かせることが重要です。データに基づいて意思決定を行う文化を醸成することで、部門間の協力やデータの共有が進み、全体の業務効率が向上します。
クラウドデータプラットフォームでは、自動化やリアルタイムのデータ分析が強力なツールとなりますが、その導入には特定のハードルがあります。データの自動化 には、適切なインフラやツールの選定が不可欠であり、特に企業のニーズに合ったソリューションを選ぶことが重要です。
自動化の過程での課題
自動化を進める中で、全てのデータフローや業務プロセスが自動化に適しているわけではないということも課題となります。システム間の連携が不十分だと、自動化されたプロセスが停止したり、エラーが頻発するリスクがあります。これを回避するためには、事前に十分なテストと確認 を行い、システム間の互換性を確認する必要があります。
リアルタイム分析の要件
また、リアルタイム分析を実現するには、リアルタイムデータの処理能力 を備えたプラットフォームやツールが必要です。しかし、これには高い計算能力とリソースを必要とし、導入初期にはコストやパフォーマンスに関する調整が必要です。リアルタイム分析を効率的に行うための適切なツール選定やインフラの強化は、長期的な成長を支える重要な要素です。
クラウド環境ではリソースの柔軟な拡張が可能ですが、リソースの過剰利用 によるコスト増加には注意が必要です。従量課金制のクラウドサービスでは、無計画なリソース使用が予想外のコスト増加を引き起こす可能性があります。
コスト最適化の必要性
コスト管理のためには、リソースのモニタリング や、リソース使用状況に応じた最適なプランの選択が必要です。定期的にコストパフォーマンスを見直し、無駄なリソースが使用されていないかを確認するプロセスを設けましょう。
まとめ
クラウドデータプラットフォームの導入は、データの一元管理や業務の効率化に大きなメリットをもたらします。しかし、導入後には、ガバナンス体制の確立、社内でのデータリテラシーの向上、コスト管理、自動化の適切な運用など、いくつかの課題にも直面します。
成功の鍵は、適切な導入計画と、導入後の継続的な改善プロセスにあります。データのガバナンス体制を強化し、社内全体でデータを活用できる文化を育てることで、クラウドデータプラットフォームの真の価値を引き出すことができます。
今後の企業の競争力を高めるためには、データの一元管理が不可欠です。クラウドデータプラットフォームを活用して、データ活用の効果を最大化し、ビジネスの成功を目指しましょう。
\ データ活用についてのご相談はメンバーズデータアドベンチャーまで /
▶こちらも要チェック
データアドベンチャーのサービスご紹介
この記事ではデータ活用の一つであるデータ分析について、データ分析をするとわかること・データ分析の進め方・具体的な手法の一例をお伝えします。データを何かに使えないか、分析したいけどあまりイメージがわかないような方の参考にしていただけると嬉しいです。
執筆者のご紹介
加藤洋介
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アナリスト事業部 データアナリスト
常駐による顧客企業のデータ分析支援を行いWebサービスやアプリのユーザー・PVの向上のための意思決定に貢献し、現在はデータマネジメントやダッシュボードの学習中。
経歴
中古自動車のオークション運営会社、健康保険組合の運営支援会社を経て2021年8月にメンバーズ入社
顧客企業にデータ分析者として常駐し要因分析・効果検証による効果的なコンテンツ制作の意思決定の支援を実施。ただ分析するのではなく、課題や分析の目的を整理して、意思決定を支援するデータ分析をしてきました。
目次
01.| データ活用とデータ分析
02.| データ分析をするとわかること
現状把握
効果検証
顧客ニーズの把握
03.| データ分析の進め方
課題を設定する
その課題に対してどのような意思決定をするかを想定しておく
何がわかると意思決定できそうかを考える
分析設計を考える
分析をする
分析結果をまとめる
レポートを作成する
意思決定者に報告をしてフィードバックをもらう
04.| 具体的な分析手法
施策の効果検証
テキストアナリティクス
機械学習による意思決定支援
アンケート分析
05.|まとめ
データ活用とデータ分析
近年、デジタルデータを中心に多くのデータが取得可能になりました。そのため、ビジネスや日常生活においてデータ活用の機会が飛躍的に増え、データ活用が身近になっていると思います。ビジネスにおけるデータ活用ではレコメンドシステム・業務自動化と効率化・意思決定支援のためのデータ分析、日常生活でも天気予報やゴールデンウイークの高速道路渋滞予測、またスマートウォッチによる脈拍の異常検知など、データ活用の恩恵が浸透しています。
このようにデータ活用の用途は多くありますが、ビジネスにおいて最も重要な活用方法の一つは、意思決定支援のためのデータ分析です。データ分析とは、収集されたデータを整理・加工をして、統計学や機械学習を用いて規則性・傾向・違い・相関関係を明らかにし、因果関係を推定することで、意思決定に役立つ知識を提供することです。例えば、市場動向の把握、顧客ニーズの理解、商品開発、マーケティング戦略の立案、リスク管理などに役立ち、様々な意思決定を支援します。
データ分析は、これまでわからなかった新しい知見や興味深い発見も重要ですが、それだけではビジネス課題の解決には不十分です。 データ分析は、意思決定の判断の1つにデータ分析の結果が活用され、ビジネスにおける課題が解決されることが重要です。以前はデータ分析を活用せずに課題を解決してきたことも多いと思います。しかし、近年では複雑な問題も増えています。 例えば、 顧客ニーズの多様化です。顧客のライフスタイルや価値観が多様化し、画一的なマーケティング戦略ではなく、顧客一人ひとりに最適化された商品やサービスを提供する必要性が高まっています。また、気候変動や資源枯渇などの環境問題は企業にとってリスクであり、持続可能な社会の実現に向けて環境に配慮したサービスが求められています。こうした状況下では、データ分析を用いて、より迅速かつ効果的に課題を解決することが必要となります。データ分析は、ビジネス課題の解決と意思決定の質向上に不可欠なツールです。 適切な活用によって、企業の競争力強化に大きく貢献することができます。
データ分析をするとわかること
データ分析をすることでわかることはたくさんあります。今回は現状把握・効果検証・顧客ニーズの把握の3つをご紹介します。
現状把握
- 顧客の属性や行動パターン
年齢、性別、地域、購買回数や購入商品の種類などの購入履歴、Webサイトやアプリの閲覧履歴など、顧客に関する様々なデータを分析することで、顧客像を明らかにすることができます。顧客像を把握することで、より効果的なマーケティング施策を立案することができます。 - 商品・サービスの売れ行き
商品ごとの売れ行き、利益率、在庫状況などを分析することで、人気商品や不人気商品を特定することができます。また、季節や天候、イベントなどの影響も分析することができます。これらの分析結果を踏まえて、商品開発や販促活動に活かすことができます。 - Webサイトのアクセス状況
アクセス数、PV数、平均滞在時間、離脱率などを分析することで、Webサイトの利用状況を把握することができます。また、どのページが人気なのか、どこでユーザーが離脱しているのかなどを分析することができます。これらの分析結果を踏まえて、Webサイトの改善に活かすことができます。 - コールセンターの利用状況
コール件数、平均通話時間、解決率などを分析することで、コールセンターの利用状況を把握することができます。また、顧客からの問い合わせ内容を分析することで、顧客満足度や製品・サービスの課題を特定することができます。これらの分析結果を踏まえて、コールセンターの運営効率化や顧客満足度向上に活かすことができます。
特に現状把握では、関係者間の齟齬をなくすために、用語の定義と共通認識の醸成が不可欠です。例えば、アクセス数やページビュー数においては、対象となるURLと対象外となるURLを明確に定義し、関係者全員が共通認識を持つことで、データ分析の信頼性と整合性を高めることができます。具体的には、〇〇ページを除外する、△△ページのみを対象とするなど、具体的な基準を設けることが重要です。
施策の効果検証
施策の効果検証をすることで、施策が当初の目的を達成できたかどうか、どの程度達成できたのか、達成できていない場合はその原因が何かを明らかにすることにつながります。効果検証を実施するメリットとして、効果的な施策立案や経営資源をより効果的に配分することができます。
効果検証に求められるもっとも重要な性質の1つは再現性です。施策の効果検証をした結果、このような効果があると結論付けても、実際に実行した際に同じような効果が再現されなければビジネス課題の解決と意思決定の質向上に貢献することはできません。再現性のある効果検証を行うためには適切な比較をすることが重要です。
顧客ニーズの把握
- アンケートの分析
アンケートをすることで、顧客の要望や意見を把握することができます。アンケートではWebやはがき、電話などの方法があります。アンケートを実施することで、「なぜこの顧客層は購入しないのか」といった購入しない理由や、「購入した顧客はなぜ購入したのか」といった購入した理由を把握することができます。商品のパッケージや価格、アプリのUIや機能など、どこに課題がありどこが良いかなどを把握することが可能です。結果をクロス集計することでどの商品がどの性年代で満足度が高いか低いかなどを把握することができます。また、NPSという指標をアンケートで測ることで、顧客満足度を調査することができます。 - 顧客によるレビューの分析
ECサイトや様々なプラットホームには顧客によるレビューがあります。このレビューをテキスト分析することでどのようなキーワードが多く使われているか、関連性の高い単語は何かを明らかにすることができます。
またソーシャルメディアにもレビューがあります。ソーシャルメディアの分析では、どのようなトレンドが生まれているか、どのような商品やサービスが人気を集めているかを把握することができます。
これらを活用することにより、顧客の要望や意見を把握することで、顧客満足度を向上させるための商品やサービスを開発することができます。 - 顧客の履歴の分析
顧客の購買履歴やWebサイト閲覧履歴などを分析することで、顧客が顕在化させていない潜在的なニーズを把握することができます。例えば、バスケット分析では、顧客が一緒に購入する商品を分析して、関連する商品を発見し顧客が潜在的に必要としている商品を発見することができます。これにより、関連商品のレコメンド・商品セット販売・関連商品の購入促進のためのクーポン発行などに役立ちます。
データ分析の進め方
データ分析をビジネスに活かすためには、どのようにデータ分析を進めればよいでしょうか。理想にはなりますが、下記の順番で進めるのがよいのではないかと考えています。
課題を設定する
まずは課題を設定する必要があります。できれば具体的な課題を設定するとよいです。例えば、「施策の効果がわからない」よりも「施策実行によるDAU・PVへの影響がわからない」、「予算削減により施策のターゲットを絞りたいが、施策の最も効果的なターゲットの集団がわからない」などできるだけ課題を詳細にする必要があります。
課題設定にあたっては、以下の5W1Hを意識すると効果的なケースもあります。
- What: 何が課題なのか
- Why: なぜそれが課題なのか
- Who: 誰にとって課題なのか
- When: いつ課題が発生しているのか
- Where: どこで課題が発生しているのか
- How: どのように課題を解決すればよいのか
その課題に対してどのような意思決定をするかを想定しておく
意思決定は非常に複雑で様々な要因に鑑みて総合的にすることが多いと思います。そのため、様々な角度からデータ分析を行い結果が出そろってからどのような意思決定をしようか考えたくなります。しかし、データ分析は時間もコストもかかります。そのため、どのような意思決定をするかをあらかじめ想定しておくことが重要です。例えば、施策を実行してもDAU・PVが予算に対して目標を達成していない場合は中止する、またはより効果的な施策の改善案を考えるなどです。
何がわかると意思決定できそうかを考える
より早くより適切なデータ分析をするためには「何がわかると意思決定できそうか」を設定する必要があります。「今まで分析したことがない」や「興味がある」などは面白いかもしれませんが、それを知っても意思決定ができない場合はビジネス課題を解決することはできません。例えば、アプリのユニークユーザ数の向上がビジネス課題を例に考えてみます。ユーザの性別毎のユニークユーザ数を分析した結果、男性3割・女性7割であることが分かったとしても、施策やUIの変更につなげる意思決定をすることができず、ビジネス課題を解決できなければ、データ分析が役割を果たしたとは言えません。また、意思決定者がユニークユーザの性別の割合がどのような結果であっても、それによって何かしらの意思決定をするつもりがなければ分析をしても意思決定には貢献することは少ないです。そのため、データ分析を進める間に「何がわかると意思決定できそうか」を考える必要があります。
分析設計を考える
「何がわかると意思決定できそうか」を考えた後は、どのような分析をしたら知りたいことが適切にわかるかを考えます。これは「適切な分析設計を考える」と同じ意味です。分析設計は重要です。分析設計は、分析結果の妥当性と再現性に影響を与えます。詳細については良書がたくさんありますのでそちらを参考にしてください。また、分析結果を関係者が理解できるかも考慮して分析設計を考える必要があります。難しい分析手法で解釈が難しい場合は関係者が分析結果を正しく解釈できない可能性があります。また、難しい分析手法が優れているわけではなく、簡単な分析手法でも意思決定をするうえで十分であり、ビジネスの課題が解決されれば問題ありません。
分析設計を考える際には取得可能なデータについて調査する必要があります。適切な分析設計を考えても、取得不可能なデータがあり適切な分析設計ができない場合は、別の分析設計を考える必要があります。必要な期間・種類のデータが取得できるかを調査します。また、欠損が多いと分析結果と解釈に大きな影響を与えます。データがあると思っていても欠損が多く分析に耐えられないこともあるので注意が必要です。
分析をする
分析に使うツールは実施予定の分析手法・スケジュール・分析者のスキル・データ量などを考慮して決めると良いです。
代表的な分析ツールの特徴をご紹介します。
Excel:汎用性の高い表計算ソフト。データ集計、グラフ作成・基本的な統計手法を用いるときなどに適しています。Excelは広く利用されており、多くの人との共有が容易です。データ量が多くなると処理速度が遅くなり、複雑な分析が難しいことがあります。
Python:汎用性の高いプログラミング言語。データ加工・データ分析・機械学習などに適しています。プログラミング言語であるため習得までに時間がかかり、利用するために環境を構築する必要があるため、初心者にとってはハードルが高い場合があります。しかし、一度習得して、環境構築もできるようになれば、データ分析専用のライブラリが豊富に揃っており、高度な分析や機械学習にも対応できます。
SQL:大規模なデータセットを扱う場合にも高速・効率的にデータを処理することが可能です。データ量が多くなり、データベース言語といわれるデータベースを操作するためのクエリを記述する必要があり習得まで時間がかかることがあります。Pythonと比較すると習得しやすいと思います。分析対象となるデータがリレーショナルデータベースに格納されている必要があります。
R言語:統計分析に特化したライブラリが豊富で、統計モデリングの構築・評価が容易に行えます。また、活発な統計分析コミュニティが存在し、情報収集や問題解決に役立ちます。R言語を習得する必要があるため、初心者にとってはハードルが高い場合があります。
分析結果をまとめる
分析を実行した後は、結果をわかりやすくまとめます。わかりやすくまとめるためには、簡潔な文章で事実を記載することが重要です。冗長な表現や回りくどい言い回しを避ける、二重否定を使わないようにします。また、相手の専門知識や理解度を考慮することも重要です。結果を表やグラフにまとめることでより理解しやすくなります。グラフを作成するときは認知負荷が低くなるように不要な要素を取りのぞく必要があります。また、相手に伝わりやすい表現を選択することも重要です。円グラフや第2縦軸は認知負荷が高いので選択しないほうが良いです。
レポートを作成する
結果を出しただけでは意思決定はできません。結果から推察や洞察を加えて意思決定に役立つレベルにまで高めたレポートを作成する必要があります。レポートを活用するのは意思決定者です。意思決定者がどのようなことを考えているか、組織の目的や基本戦略を理解して、どのような意思決定をしようとしているかを理解する必要があります。これは、意思決定者の望む結果に沿ったレポートを作成するということではありません。実行可能で組織の目的と基本戦略に合うレポートを作成するというものです。実行不可能なアクションを提案することや基本戦略に合わない結論では意思決定を支援することは難しいです。普段から意思決定者と密にコミュニケーションを取り、組織の目的や基本戦略を理解しておくことが重要です。
また、データ分析の結果を飛躍して解釈しないことも重要です。ビジネスでは様々な制限の中でデータ分析をすることが多いと思います。その制限が意思決定に大きな影響を与えると判断すれば、実施したデータ分析にはどのような制限があるか、その制限が具体的にどのようなことなのかを意思決定者に伝える必要があります。分析に用いるデータの種類が少ないことや偏りのあるデータであること、使用した分析手法の特性や限界点、分析を行った際の前提条件を明確にして条件が変化した場合の影響について意思決定者に伝える必要があります。結果から飛躍した解釈をしないように誠実にデータ分析の結果と向き合う必要があります。
意思決定者に報告をしてフィードバックをもらう
意思決定者など関係者に報告をします。報告の際に気を付けることの1つに「分析結果に対する説明を十分に行う」があると考えます。分析の目的と背景の明確化、分析手法とデータソースの明記などです。特に分析手法は専門的な内容になり、使用した手法の基本的な考え方や仕組みを簡潔に説明することや、分析対象にその手法が適切であることを説明する必要があります。
また、報告で終わるのではなく、意思決定者や現場の方から分析のフィードバックをもらうことが重要です。レポートは実際に役に立ったのか、役に立たなかった場合はなぜなのか、どのような分析をしたら役に立ったのかをヒアリングします。良かった点、悪かった点をまとめて、もう一度修正して分析をする、または次回の分析に活かすことが重要です。
具体的な分析手法
データ分析をビジネスに活用するためには、適切な分析手法を選択する必要があります。一例にはなりますが、代表的な分析手法について紹介します。
施策の効果検証
キャンペーンなどの施策の効果検証にはA/Bテスト・回帰分析・傾向スコアを用いた分析・差分の差分法・回帰不連続デザインなどがあります。これらは正しい比較をするうえで、何が妨げになっているかによって使い分けます。適切な効果検証の分析手法を用いることで施策の効果を適切に評価することができます。
テキストアナリティクス
VOCやサービスの口コミなど文章で記載されているデータに対する分析がテキストアナリティクスです。テキストアナリティクスを用いることで顧客のニーズや要望をより理解することができ、サービス向上やマーケティングの意思決定に貢献します。
機械学習による意思決定支援
施策を行う上で十分な予算があれば良いですが、限られた予算の中で施策を実施することが多いと思います。そのため限られた予算の中で効果の高いと予測されたお客様を優先して施策を実施したいときは、機械学習と呼ばれる手法を用いることで実現できます。また、施策がなければ購入するが、施策を実施すると購入しなくなるお客様もいます。このようなお客様の特徴を明らかにすることも機械学習を用いることで実現できます。
アンケート分析
アンケート調査で得られた回答データを分析し、調査対象となる集団の特徴や傾向を明らかにすることを目的に行われます。市場調査、マーケティング、顧客満足度調査、社内アンケートなど様々な場面で用いられます。
アンケート分析には様々な分析手法があります。代表的な手法をいくつか紹介します。
- 単純集計
各質問項目に対する回答の頻度や割合を集計します。回答者の人数、回答割合も重要な算出項目です。 - クロス集計
複数の質問項目を組み合わせた分析を行います。例えば「年代別と性別ごとの購入頻度」をクロス集計することで年代や性別による購入頻度の違いを分析することができます。単純集計ではわからない、属性や別の質問項目との関連を分析することが可能です。 - クラスター分析
回答者をいくつかのクラスター(グループ)に分類して、各クラスターの特徴を分析します。分類方法として階層型クラスター分析やKMeans法などの非階層型クラスター分析があります。
まとめ
データ活用の一つであるデータ分析について、メリット・進め方・具体的な手法の一例をお伝えしました。
データ分析をビジネスに活用するためにはビジネス課題は何か・どのような意思決定をしたいかを考えて、適切な分析手法を選択し、結果から推察や洞察を加えて意思決定に役立つレベルにまで高めたレポートを意思決定者に提供することが重要です。
データアドベンチャーカンパニーは、ビジネス課題を解決するという強い気持ちをもってデータ分析をするデータアナリスト・データサイエンティストが在籍しています。もし、データ収集~分析~活用までお困りごとやご相談などあればデータアドベンチャーカンパニーにご相談ください。
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データ分析と聞くと高度な計算や知識が必要と身構えてしまいます。多少の知識は必要になりますが、”手早く簡単に数字の動向を調べたい” など目的によっては特別な分析ツールや知識を大量に要せずとも可能な場合が多くあります。
多くの方になじみのあるExcelでも可能な分析もまた、多くあります。普段使いの延長で操作可能なものが多いため、普段データに触れない方でも比較的簡単に分析できるかと思います。以降Excelを使った分析のメリット・デメリット、できることや機能の紹介をしていきたいと思います。
執筆者のご紹介
くりた
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アナリスト事業部 データアナリスト
データアナリストとしてメーカーや、スーパーなどの小売業の分析を行っています。具体的には売上の分析、施策の効果検証や設計に携わっています。
分析ツールの一つである Tableau を中心に扱い、膨大なデータから目的となるデータの抽出・分析、可視化やダッシュボード化を行っています。
その他ツールではExcelやPythonを状況に応じて活用しています。
経歴
メーカーの営業を経て2023年にメンバーズ入社
顧客企業にデータアナリストとして常駐し施策効果検証や顧客分析、データ活用の内製化を支援。
目次
01.| そもそもExcelでデータ活用は可能なのか?
02.| Excelで分析を行う際のメリットとデメリット
メリット
デメリット
03.| Excelでデータの活用を行う場合のポイント
04.| データ活用の際備えておくべきExcelの基礎知識とは
05.|売上データ分析をExcelで行う際の方法は?
分析のためのデータ加工
Excelで代表的な分析
06.|Excelでは難しいデータ分析はある?
複雑な分析の実施
データ量の制限
07.|まとめ
そもそもExcelでデータ活用は可能なのか?
売上データ分析において、Excelは最も手軽に使用できるツールの一つです。Excelは、企業や個人がデータの集計や分析を行うために日常的に使用しており、基本的なデータ入力や簡単な計算、グラフ作成ができるため、データ活用初心者にとって非常に親しみやすいソフトです。
ただし、Excelでのデータ分析には限界があります。Excelは基本的な売上データの集計や分析に十分対応しますが、データ量が多くなったり、複雑な分析が必要な場合には性能や機能の限界が生じることもあります。たとえば、Excelにはデータの行数に制限があり、大規模なデータセットを扱う場合には、他のツールとの併用が必要になることがあります。
では、Excelを使って売上データを分析する場合のメリットとデメリットを見てみましょう。
Excelで分析を行う際のメリットとデメリット
- 広く使われているツール:Excelは多くの企業や組織で日常的に使用されており、ユーザー同士での共有が容易です。また、インターフェースが直感的であるため、初心者でも簡単に操作できます。
- 基本的な集計・分析が容易:Excelの基本機能だけでも、SUMやAVERAGEといった基本的な関数を使って簡単にデータを集計したり、売上の推移を可視化するグラフを作成できます。これにより、基本的な売上分析をすぐに行うことが可能です。
- ピボットテーブルによるデータ操作:Excelのピボットテーブル機能を使えば、売上データを条件ごとに柔軟に集計することができます。例えば、商品カテゴリーや地域ごとの売上を簡単に集計し、異なる切り口でデータを分析できます。
- コスト効率が高い:Excelは多くの企業ですでに導入されているため、新たにツールを購入する必要がありません。初期投資が少なく、データ分析を始めるには手頃なソフトウェアです。
- データ量の制限:Excelは大量のデータを扱う際にパフォーマンスが低下することがあります。特に行数や列数が増えると、ファイルが重くなり、操作が遅くなる場合があります。大規模データの処理には、他の専門的なツールを検討する必要があります。
- 複雑な分析には不向き:Excelでは、基本的な集計やグラフ作成には適していますが、機械学習や統計的な回帰分析などの高度な分析には向いていません。このような場合、PythonやRといったデータ分析に特化したプログラミング言語が必要になることがあります。
- 共同作業が難しい:リアルタイムでの共同編集は、Googleスプレッドシートのようなクラウドベースのツールと比較してExcelでは制限があります。複数の人が同時に編集する場合、データのバージョン管理が課題になることがあります。
Excelでデータの活用を行う場合のポイント
Excelで売上データを効果的に活用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。これにより、データ分析をスムーズに進めることができます。
1. データの整備
まず、データが正確に整備されていることが重要です。データの不整合や誤入力があると、正しい分析結果を得ることができません。例えば、日付形式や通貨の表示形式を統一することで、エラーを防ぎ、正確な集計が可能になります。
2. 関数の使いこなし
Excelの強力な機能の一つが関数です。売上データを分析する際には、SUM、AVERAGE、COUNT、IF、VLOOKUPなどの基本的な関数を使いこなすことが重要です。これらの関数を使えば、簡単に売上合計や平均値を計算したり、特定の条件に基づいてデータを抽出することができます。
3. ピボットテーブルの活用
ピボットテーブルは、Excelのデータ分析において非常に便利な機能です。大量の売上データを瞬時に集計・分析することができ、条件を変更してさまざまな視点からデータを分析することが可能です。売上データを効率的に整理し、月別、商品別、地域別の売上推移を簡単に確認できるため、マーケティングや営業戦略に活用できます。
4. データの可視化
データを視覚的に表現することで、トレンドや異常値を一目で把握できるようになります。Excelのグラフ機能を使えば、売上の変動や比較を視覚化でき、経営層やチームメンバーに分かりやすくプレゼンテーションすることが可能です。たとえば、折れ線グラフを使って月別売上の推移を視覚化したり、棒グラフで商品別の売上を比較することができます。
データ活用の際備えておくべきExcelの基礎知識とは
Excelを最大限に活用して売上データを分析するためには、いくつかの基本的な機能を理解しておく必要があります。
1. ピボットテーブルの基本操作
ピボットテーブルは、データを集計・分析するための強力なツールです。例えば、商品カテゴリー別の売上をまとめたり、月別売上の推移を分析する際に非常に役立ちます。ピボットテーブルを使えば、元のデータを変更することなく、瞬時に結果を表示させることができ、分析の効率が格段に向上します。
2. 関数の組み合わせ
Excelでは、複数の関数を組み合わせることで、より複雑なデータ処理が可能です。たとえば、IF関数とSUMIF関数を組み合わせて、特定の条件に基づいて売上の合計を求めることができます。複数の条件を設定して集計や分析を行うことで、より詳細なデータ分析が可能になります。
3. 条件付き書式の活用
条件付き書式を使えば、特定の条件に一致するデータに対して自動的にフォーマット(色付けやフォント変更)を適用することができます。これにより、売上が一定の基準を超えた商品や、逆に売上が低迷している商品を一目で確認することができます。視覚的に重要なデータを強調することで、データ分析のスピードを上げることができます。
売上データ分析をExcelで行う際の方法は?
Excelを使って売上データを分析する際には、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、データ加工の方法から具体的な分析手法までを詳しく解説します。
分析のためのデータ加工
売上データの分析を行う前に、データを整備・加工することが重要です。データが正確で整理されていなければ、分析の結果も正しくありません。以下のポイントを押さえながらデータの準備を行いましょう。
- 重複データの削除:複数回同じ取引が記録されている場合、分析結果が不正確になります。重複しているデータを削除する作業は基本中の基本です。
- 欠損データの確認と補完:売上データの中には、空白や異常値が含まれていることがあります。こうしたデータは適切に補完(または除外)しなければ、分析の精度が落ちてしまいます。適切な補完方法を考え、整備を行うことが大切です。
データの形式統一:日付や金額の表記がバラバラだと、Excelの関数やピボットテーブルで正確に集計することが難しくなります。日付形式や通貨の表示形式を一貫させることで、後の分析作業がスムーズになります。
Excelで代表的な分析
Excelを活用して売上データを分析する際、以下の代表的な手法を使って効率的にデータを読み解いていくことができます。
売上推移の可視化
売上の推移を可視化することで、季節ごとのトレンドや全体の成長率を把握できます。月別、四半期ごとの売上を棒グラフや折れ線グラフで表示することで、過去のパフォーマンスと比較した上で将来の予測が可能になります。具体的な手順としては、以下のようになります。
- 売上データを時系列で並べ替えます。
- 時系列ごとにデータを選択し、「挿入」タブから適切なグラフ(棒グラフ、折れ線グラフなど)を選択。
- グラフの見やすさを調整し、必要に応じてタイトルやラベルを追加。
このように、売上の時系列データを可視化することで、ビジネスの傾向を一目で把握することができます。
ABC分析
ABC分析は、売上データを基に商品や顧客をA、B、Cの3つのカテゴリに分類し、最も重要な商品や顧客に注力する方法です。例えば、総売上の80%を占める商品を「Aランク」、次の15%を「Bランク」、残りを「Cランク」に分類することで、どの商品が売上に貢献しているかを視覚的に理解することができます。Excelでは以下の手順で行います。
- 商品ごとの売上金額を計算。
- 売上が高い順に並べ替え、各商品の割合を算出。
- 累積売上に基づいて、A、B、Cのランクを割り当てる。
ABC分析により、リソースを集中させるべき商品や顧客を特定することができます。
売上予測
Excelの「移動平均」や「回帰分析」機能を使用して、過去の売上データに基づいた将来の売上予測を行うことも可能です。予測分析を行うことで、将来の売上動向を把握し、効果的なマーケティング戦略や在庫管理を計画できます。
- 過去の売上データを選択。
- 「データ分析」ツールを使い、「移動平均」または「回帰分析」を適用。
- 結果をグラフにして、予測される売上推移を可視化。
これにより、データに基づいた将来の売上予測が可能となります。
Excelでは難しいデータ分析はある?
Excelは非常に多機能なツールですが、全てのデータ分析に対応できるわけではありません。特にデータ量が多い場合や、高度な統計分析、機械学習モデルの実行などではExcelに限界があります。
Excelでは基本的な統計分析や売上予測が可能ですが、複雑な分析には不向きです。特に多次元データや非線形なパターンを扱う場合、Excelの機能だけでは対応が難しいです。こういった場合には、PythonやRなどのデータ分析専用ツールが役立ちます。例えば、回帰分析やクラスター分析をより精度の高いモデルで実行するには、より高度なプラットフォームを利用する方が効率的です。
Excelはデータ量が多い場合、その処理能力に限界が生じます。Excelには1シートあたりの行数が104万8576行までという制約があり、これを超えるデータを扱う場合には、処理速度が遅くなるだけでなく、クラッシュするリスクも高くなります。大量の売上データを分析する際には、BigQueryやTableauといったBI(ビジネスインテリジェンス)ツールやデータベースと組み合わせることが推奨されます。
まとめ
Excelは売上データの基本的な分析に非常に役立つツールです。特に、ピボットテーブルやグラフ機能を使えば、売上推移や顧客の傾向を視覚的に把握することができ、経営判断に必要なインサイトを短時間で得ることができます。さらに、関数を駆使すれば、日常的な売上データの集計・分析を効率よく行うことが可能です。
しかし、データ量が膨大になったり、複雑な分析が必要な場合には、Excelの限界が見えてきます。こうした場合には、Excelと他のBIツールや専用のデータ分析ツールを組み合わせることで、より高度な分析が実現できるでしょう。
データ活用初心者にとって、まずはExcelで基本を学び、売上分析の基礎を固めることが大切です。その上で、さらに高度な分析が必要な場合には、適切なツールを選択し、Excelと併用する形でデータの可能性を最大限に引き出していくことが理想です。まずは小さなデータから始め、徐々にスキルを高めていきましょう。
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