~データ専門人材がマーケティングとITの架け橋となり
マーケティングオペレーションにおけるデータ活用領域をトータルサポート~
DX現場支援で顧客と共に社会変革をリードする株式会社メンバーズ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:髙野 明彦、東証プライム:2130、以下「メンバーズ」)のデータ領域プロフェッショナル常駐サービスを展開する専門組織、メンバーズデータアドベンチャーカンパニー(カンパニー社長:白井 恵里、以下「データアドベンチャー」)は、マーケティングオペレーション(MOps)におけるデータ活用領域のサポートを行う「MOps支援サービス」の提供を開始します。本サービスは、データ専門人材が企業のMOpsにおけるデータ活用領域の設計から運用改善までトータルでサポートすることで、データドリブンなマーケティング活動を実現します。
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背景
テクノロジーの発達、企業のDX投資の増加によりマーケティング領域における先端テクノロジーの導入が拡大しています。このような要因によりマーケティング活動は複雑化し、最適なマーケティングを実施するためには先端テクノロジーや高度なデータ活用に関する専門知識が不可欠です。
これらの専門性をもってマーケティング活動を推進する役割を果たすのがMOpsです。MOpsは、マーケティング組織のデータやシステムの活用を推進するために、マーケティングとIT(テクノロジーやデータ)の架け橋となり、マーケティング活動の効率と成果を高めます。
MOpsにおけるデータ領域では、マーケティングチームが扱う膨大で多様なデータを専門的な知識を持って効果的に活用します。これにより、マーケティング活動をデータドリブンに進化させ、効率と成果を向上させます。しかし、データ領域は専門性が高く、かつマーケティング領域における知見を有する人材の確保・育成は難しいのが現状です。
「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」を提供するデータアドベンチャーでは、データ専門人材によるマーケティング領域のデータ活用支援に関する多くの実績があります。この度、これらの実績を活用し、データ専門人材がMOpsにおけるデータ活用領域の設計から運用改善までトータルでサポートする「MOps支援サービス」の提供を開始します。本サービスによりマーケティング活動をデータドリブンし、効率化することで、企業のマーケティングチームが顧客や市場と向き合い、成果を出すことに専念できる環境を作ります。
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MOps支援サービスについて
MOpsにおける調査・構想、構築、運用改善フェーズでそれぞれ必要なチーム体制を提案し、必要なフェーズに必要な専門人材をアサインすることで、企業のマーケティングチームメンバーが顧客理解や施策考案などマーケティングのコア業務に専念できる環境を作ります。
(1)特徴
【提供価値】
・マーケティングに関するデータ活用を統合的に運用管理可能な状態を生み出すことで、マーケティング業務の効率化、専業化を推進します。
・マーケティングに関するデータ活用の全体像を捉えながらデータ活用を推進することで、全体最適かつビジネスの変化に対して柔軟性のあるデータ活用環境を構築します。
・企業のマーケターは新しいテクノロジーやツールについて最低限度のキャッチアップで、顧客理解・施策企画や実行部分にリソースを集中することができるようになります。
・データ運用と分析/レポートの統合環境を構築することで、データに基づいたエビデンスベースドマーケティングの実行が可能となります。
【データアドベンチャーの強み】
①利用者ファーストのデータ活用環境構築
・採用率1%の厳選採用。業務推進力のあるデータ専門人材が伴走します。
・顧客課題/利用者属性に合わせた環境開発を得意としています。
②多職種の専門データ人材による支援
・アナリスト/エンジニアの両側面からオールインワンで支援します。
・マーケター/システム部の橋渡し・翻訳家として業務を推進します。
③豊富なデジタルマーケティング支援実績
・大手企業のマーケティング支援実績を持つメンバーズグループのノウハウがあります。
・データ基盤構築から分析、効果検証まで様々な支援実績があります。
(2)支援領域
ビジネスの成長を前提に、MOpsにおけるデータ活用領域の設計から運用改善までトータルでサポートいたします。
(3)支援イメージ
- ・プロジェクトマネジメント
現状把握や各種ツールの活用状況・環境調査などを実施。マーケティング戦略・戦術を理解し、その戦術に見合ったスケジュール・ツール選定/導入/環境構築を包括したプロジェクトを企画推進します。
- ・データ連携基盤運用
DMP/CDPの設計・構築、MAツールで活用するデータ設計、生成AI環境の構築、各種システム間のデータ連携などITシステム部門との窓口となりデータ活用を高速化する土台を構築します。
- ・データマネジメント
DMP/CDP/MAツール/BIツールなどマーケティングテクノロジーで活用するデータの整合性や安全性を担保し、利用者が安全に正確に素早くデータを活用できる環境を構築・維持します。
- ・データ分析施策フィードバック
データサイエンスを活用し施策の効果検証のために施策設計段階から伴走。データ取得設計/分析設計・実行/可視化/ダッシュボード・レポート作成/示唆出しを行うことで、より良い意思決定を支援します。
- ・CRM基盤の強化
・データ統合や機械学習を用いた顧客セグメントの創出を可能にします。
・分析スキル不要のダッシュボードを構築しPDCAサイクルを支援します。
- ・マーケターの創造性向上
・システム/データ方面の業務軽減によりメインタスクに集中できるようにします。
・データからの示唆により生活者や市場の変化を把握できるようにします。
- ・データ活用による施策デザイン
・動的セグメントを活用したMA、Web接客の運用強化が可能になります。
・外部データ、アンケートなどのデータを組合せた市場理解が可能になります。
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サービスに関するお問い合わせ
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MOps支援サービスの導入に関する費用、流れ、詳細については、下記メールアドレスへご連絡ください。。
・お問い合わせ先:data_sales@members.co.jp
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株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー
- メンバーズデータアドベンチャーカンパニーについて
株式会社メンバーズの社内カンパニー。正社員として在籍しているデータアナリスト、データサイエンティスト、データエンジニアなどデータ領域のプロフェッショナルを取引先企業へ常駐することで企業のデータ活用を支援し、顧客のビジネス成果に貢献するサービスを提供しています。
・所在地:東京都中央区晴海一丁目8番10号
晴海アイランド トリトンスクエアオフィスタワーX 37階(受付35階)
・代表者:カンパニー社長 白井 恵里
・Webサイト:https://www.dataadventure.co.jp/
・Facebook:https://www.facebook.com/Membersda
・X(旧:Twitter):https://twitter.com/Members_da
- 「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」について
データアドベンチャーでは、データ活用戦略の策定から分析基盤や運用体制の構築、内製化までを支援する「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」を提供しています。
顧客のデータ利活用施策に合わせて、データアナリスト・データエンジニア・データサイエンティストからチームを編成し、常駐させることで、データ活用における人材不足を解消することができます。
また、データ活用人材不足を解消するだけではなく、顧客先でのデータ分析勉強会や運用体制の構築も行う伴走型支援により、組織全体のデータリテラシーを高め内製化を推進することも可能です。
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株式会社メンバーズ
- 株式会社メンバーズについて
メンバーズは、VISION2030として「日本中のクリエイターの力で、気候変動・人口減少を中心とした社会課題解決へ貢献し、持続可能社会への変革をリードする」ことを掲げ、デジタル人材の伴走によるDX現場支援で顧客と共に社会変革をリードしてゆきます。
・所在地:東京都中央区晴海一丁目8番10号
晴海アイランド トリトンスクエアオフィスタワーX 37階(受付35階)
・代表者:代表取締役社長 髙野 明彦
・資本金:1,057百万円(2024年3月末時点)
・Webサイト:https://www.members.co.jp/
・Facebook:https://www.facebook.com/Memberscorp
・X(旧:Twitter):https://twitter.com/Members_corp
- メンバーズの専門カンパニーについて
取引先企業のビジネス変革・内製化DXの推進を支援するため、高付加価値なモダン技術領域に特化した社内専門組織の拡大を推進しています。2025年2月1日現在、AI、データ活用、Web3、SaaS活用、脱炭素DXTMなど、多種多様なDX領域において20社が事業を展開し、DX現場支援により企業のDX投資のROI最大化実現を目指しています。
カンパニー一覧:https://www.members.co.jp/company/groups.html
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本リリースに関するお問い合わせ
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー
広報担当 小池 育弥
mail:m_da_pr_prg@members.co.jp
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この記事では、「データ」と「情報」の違いに焦点を当て、データを効果的に情報化する重要性を紹介します。
正しく情報化されたデータは、企業の意思決定や業務改善に不可欠な要素です。
具体的な事例を通じて、データを情報として活用するメリットや注意点について触れます。
情報化によってデータの力を引き出し、企業競争力の向上や業務効率化を実現するためのヒントとなれば幸いです。
執筆者のご紹介
續 航平(つづき こうへい)
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部
業務内容:データエンジニアとして、クラウドやSaaSを活用し、データ基盤の設計・構築、データパイプラインの開発など、データ駆動型の意思決定を支援する業務に従事。
経歴:情報系高等専門学校を卒業後、2023年に株式会社メンバーズに入社。
2024年9月までイベントプラットフォーム運用企業にてデータ関連業務の支援を行う。
現在は大手自動車関連メーカーにてマーケティング施策の効果検証に用いるデータ基盤を構築中。
保有資格:情報処理安全確保支援士 など
目次
01.|データと情報の違い
データ(data)とは
情報(information)とは
企業における分かりやすい例
02.|データを情報として活用するメリット
正確な現状把握
業務効率の向上とコストの削減
迅速かつ高精度な意思決定
03.|データの情報として活用する際の注意点
導入目的の明確化
適切なツールの選定
社内体制の整備
04.|データを情報化するには?
生成AIの活用
分析ツールの導入
外注サービスの活用
05.|実際の情報化事例
【大手通信企業】情報化による施策改善とコンバージョン率の向上
【飲食サービス提供企業】 社員の業務工数削減へ貢献する生成AIの活用
01.|データと情報の違い
01-1.データ(data)とは
「データ」とは、
「観察や計測によって得られた生の事実を、数値や文字、記号などで表現したもの」
を指します。
例えば、温度、売上金額、顧客の名前などがデータの例です。
データは通常、文脈を持たず、単なる数字や文字列として存在します。
特に、ITの世界では主にコンピューターに適した形式(データベースやスプレッドシートなど)で保存されることが一般的です。
01-2.情報(information)とは
一方で「情報」とは、
「データに文脈や意味が付加され、理解可能な形で整理されたもの」
を指します。
データが加工され、分析されることで、特定の目的に応じた知識や洞察を提供するものが情報です。
情報は、データの背後にあるトレンドやパターンを明らかにすることによって、意思決定や戦略の策定において重要な役割を果たします。
また、情報は様々な形式で存在し、報告書やプレゼンテーション、データビジュアライゼーションなどを通じて他者に伝達されることが一般的です。
01-3.企業における分かりやすい例
企業活動において、データと情報の違いを理解することは非常に重要です。
例えば、ある店舗の売上データが日別に記録されている場合、この「データ」は単なる数値の羅列に過ぎません。しかし、これを分析すると以下のような「情報」を得ることができます。
- 曜日ごとの売上傾向
- 特定商品の人気推移
- 季節ごとの売上パターン
これらの情報を基に、在庫管理や販売戦略を最適化することが可能になります。
図:データと情報のイメージ
このように、「データ」を適切に分析・解釈して「情報化」することで、初めて意思決定の有効な材料となります。単に数値を並べるだけでなく、その背後にある意味や傾向を読み解くことが重要です。
02.|データを情報として活用するメリット
データを情報として活用することで、以下のようなメリットが得られます。
02-1.正確な現状把握
データを情報化することで、現状を正確に把握することが可能になります。
例えば、前節で示した通り、売上データを分析することでどの商品がどの時期に売れているのかを明確に理解でき、マーケティングにおける現状の課題や強みを把握する助けとなります。
02-2.業務効率の向上とコストの削減
情報化されたデータは、業務プロセスの効率化やコスト削減にも寄与します。
例えば、散在している自社内のドキュメントを情報化しておく事で、目的の情報に迅速にアクセスする事が可能になるなど、業務の自動化や効率化を進めるための基盤として活用できます。他にも、在庫データを分析して需要予測を行うことで、過剰在庫や欠品を防ぎ、無駄なコストを削減することなども可能です。
02-3.迅速かつ高精度な意思決定
情報は、迅速かつ高精度な意思決定も支援します。
例えば、リアルタイムの売上データを基にした情報は、即座に販売戦略を変更するといった迅速な対応を可能にします。これにより、競争の激しい市場環境においても柔軟に対応することができます。
03.|データの情報として活用する際の注意点
データを情報として活用する際には、以下の点に注意する必要があります。
03-1. 導入目的の明確化
データを情報化する際には、まずその目的を明確にすることが重要です。
目的が曖昧なままでは、収集したデータが適切に活用されず、意思決定に関係のないデータを収集してしまうなど、無駄なコストや労力が発生する可能性があります。
例えば、「売上を増加させるためにどの商品の販売を強化すべきか」といった具体的な目的を設定し、それに関連するデータはどれなのかを適切に判断することが重要です。
03-2. 適切なツールの選定
データを情報化するためには、適切なツールを選定することも必要です。
例えば、データ分析ツールやデータ加工ツールを活用することで、ニーズに合った最適なデータの可視化や分析が効率的に行えます。連携する他ツールとの相性や対応するデータ形式など、ツールによって機能は様々ですので、選定の際には企業の規模や目的に合ったものを選ぶことが重要です。
03-3. 社内体制の整備
データを情報として活用するためには、社内体制の整備も欠かせません。
データの収集・分析を行う専門チームの設置や、社員への教育を通じて、データ活用の文化を醸成することが求められます。また、データの所在やデータ連携先などのメタデータの管理といった、データの品質を保つための管理体制も重要です。
04.|データを情報化するには?
04-1.生成AIの活用
生成AIを活用することで、迅速に有用な情報を引き出すことが可能です。
例えば、社内に蓄積されたナレッジや資料というデータから、生成AIを活用した検索ツールを導入することで、従業員が迅速かつ効率的に目的の情報にアクセスすることが可能となります。
04-2.分析ツールの導入
BI(Business Intelligence)ツールなどの分析ツールを導入することで、データを視覚化し、意思決定に役立つ情報を抽出できます。
これらのツールは、データをグラフやチャート、ダッシュボードといった視覚的に分かりやすい形式で表示し、データの傾向やパターンを簡単に把握することが可能です。また、複数のデータソースを統合して分析することができ、部門間でのデータ共有や連携を強化する役割も果たします。これにより、業務効率の向上やコスト削減にもつながります。
関連記事:BIツール併用でデータ分析を効率化!Tableau×他BIツール併用のメリットとは
04-3.外注サービスの活用
データ分析の専門知識が社内に不足している場合、外部の専門サービスを活用するのも有効な手段です。データ分析を専門とする企業やコンサルティング会社は、高度な分析技術やノウハウを持っており、複雑なデータ分析を迅速かつ正確に行うことができます。
例えば、顧客データを基にしたセグメンテーション分析やAIを活用した予測分析など、専門的なスキルが求められる作業を外注することで、より精度の高い結果を得ることが可能です。
外注サービスを利用することで、社内リソースを効率的に活用し、従業員が本来の業務に集中できる環境を整えることができます。
05.|実際の情報化事例
05-1.【大手通信企業】情報化による施策改善とコンバージョン率の向上
ある大手通信企業では、WEBサイトにGoogle Analytics(GA)などの分析ツールが導入されていましたが、スキルや時間の不足からデータの活用や情報化が進んでいないという課題がありました。この課題を解決するために、ダッシュボードの構築が行われ、データを活用した施策の効果検証と改善を実施しました。
この取り組みの成果として、GAのデータを活用した施策が実行され、ファネルを可視化することでボトルネックとなるページを特定できました。ページ要素の絞り込みによって、コンバージョン率(CVR)が10ポイント向上しました。また、効果検証が適切に行えるようになり、追加したアンカーリンクによってエンゲージメント率が5ポイント向上したことも確認されました。
このように、正しく収集したデータを活用することで、データドリブンな施策検討が実現され、改善活動が他部署にも波及する結果となりました。
データと情報の違いを理解し、データを効果的に情報化することで、意思決定に必要な材料を整える重要性が示された事例です。
05-2.【飲食サービス提供企業】社員の業務工数削減へ貢献する生成AIの活用
ある飲食サービス提供企業では、社内に蓄積された膨大なナレッジやドキュメントへのアクセスの効率化を目指し、生成AIを活用した検索ツールの導入プロジェクトが始まりました。このプロジェクトは、従業員が必要な情報に迅速かつ効率的にアクセスできるようにすることを目的としています。
企業内には、Confluence上に多くのドキュメントが存在していましたが、その量が膨大であるため、従業員は「どこに」「どのような」ドキュメントがあるのかを調査するのに多くの時間を費やしていました。
このような課題に対処するため、生成AIを使った検索ツールを開発し、ユーザーからの質問に対してAIが回答と関連ドキュメントを提示するWebアプリを構築しました。このツールは、社内の情報を効率的に検索できる機能を提供し、検索ワードを入力することで自動的に検索結果を生成します。また、従業員がWeb画面から質問できるインターフェースも実装されています。
この取り組みの成果として、ドキュメント調査にかかる工数が大幅に削減されました。これにより、従業員はより迅速に必要な情報にアクセスできるようになり、業務効率が向上しています。
図:生成AI活用事例のイメージ
まとめ
データと情報の違いを理解することは、ビジネスにおいて重要です。
「データ」は未加工の数値や記号であり、それを分析・整理することで初めて「情報」として価値を持ちます。情報化されたデータは、現状把握の精度を高め、業務効率の向上や迅速な意思決定を可能にします。
適切に活用するためには、目的を明確にし、分析ツールやAIを導入するなどの手法が有効です。また、データ活用のための社内体制の整備も重要なポイントです。さらに、社内に専門知識が不足している場合は、外部サービスを活用することで高度な分析を実現できます。
データを適切に情報化し、活用することで、より迅速で戦略的なビジネス判断が可能となるでしょう。
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なぜ多くの企業がデータ分析に失敗するのか?成功の鍵とその対策
この記事では、データ活用人材の採用と育成プログラムの設計に必要なポイントをお伝えします。
執筆者のご紹介
名前:工藤佳奈子
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アナリスト事業部HRグループ
担当:データアナリストの採用業務および育成業務を担当。入社~常駐開始までの期間のチームメンバーマネジメントも兼任にて担当。
経歴:非IT業界にて営業事務や総務を経験。2019年にメンバーズに入社。メンバーズに入社時からデータ活用人材の採用に関する業務全般を担当。
目次
01. |データ活用と人材不足
データ活用が企業に与える影響
人材不足に直面する企業の現状
02. |データ活用人材とは?
データ活用人材の定義
必要なスキルと役割
03. |データ活用人材を確保するときのよくある失敗
自社採用しようとしたがうまくいかなかった
担当社員を育成・採用したがワークしない
04. |データ活用人材育成の必要性
採用だけでは解決できない理由
育成が企業の競争力向上に寄与する
05. |データ活用人材育成のポイント
データ活用の目的を明確化
必要なスキルセットの定義
効果的な育成プログラムの設計
06. |データアドベンチャーの研修体制
データアドベンチャーが実施している研修の内容
毎年数十名をデータプロフェッショナルに育成する実績
01.|データ活用と人材不足
01-1. データ活用が企業に与える影響
<そもそも、データ活用とは?>
データ活用とは、企業が業務で発生するデータを収集・蓄積・分析することで、ビジネス戦略や意思決定に役立てる取り組みです。
データを適切に活用することで、社内の業務効率化やコスト削減、顧客満足度の向上、売上の向上を図ることができます。
01-2. 人材不足に直面する企業の現状
<深刻な人材不足>
データ活用を含む専門的なデジタル人材は現在市場全体で不足しています。
増え続ける需要に対し、供給が追い付かない状況となっているためです。
総務省令和6年版「情報通信白書」(*1)には以下のような記載があります。
「デジタル化に関して現在認識している、もしくは今後想定される課題や障壁として、日本企業は「人材不足(42.1%)」の回答割合が最も大きく、他国企業と比較して圧倒的に高い割合となった。」
「日本企業においては特にUI・UXに係るデザイナーや、AI・デジタル解析の専門家が他国に比べて少ない点が顕著である。UI・UXに係るデザイナーが「在籍している」と回答した割合は、日本企業では18.3%に対して他国企業では約60%から約70%であり、AI・デジタル解析の専門家が「在籍している」と回答した割合は、日本企業では18.8%に対して他国企業では約60%から約80%であった」
*1 出典:「令和6年版 情報通信白書」(総務省)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd21b210.html(2025年2月14日に利用)
図1 専門的なデジタル人材の在籍状況
図1 出典:「令和6年版 情報通信白書」(総務省)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd21b210.html(2025年2月14日に利用)
<人材の不足による課題>
デジタル人材の不足により、社内のDX化が進められない・DX化を進めたものの思うような成果が得られないなどが課題になっていると考えられます。
関連記事:データ分析・活用で採用に関するお悩みを解決するには?
02.|データ活用人材とは?
02-1. データ活用人材の定義
データ活用人材とは大量のデータを収集・分析し、仮説立案から戦略設計・意志決定までを行うことができる人材のことです。
簡単に言えば、データをビジネスに活かせる人材です。
02-2. 必要なスキルと役割
<データ活用における代表的な職種>
データ活用人材には、様々な職種があります。
その中でも代表的な3つの職種における必要なスキルと役割をご紹介します。
・データアナリスト
データアナリストは、主にデータの収集、処理、分析、解釈、可視化など、データを用いてビジネス課題を特定し施策につながる示唆を出し、施策を評価するというPDCAサイクルを回して、ビジネス成果に貢献します。
・データエンジニア
データエンジニアは、データパイプラインの設計と構築などデータを活用するためのインフラを設計・構築し、データの収集・加工・分析を行うための基盤を作る専門家です。
・データサイエンティスト
データサイエンティストは、「高度に情報化された社会において、日々複雑化及び増大化(ビッグデータ化)するデータを、利用者の利用目的に応じて情報を収集・分析する技術を有し、ビジネスにおいて実行可能な情報を作ることができる者」(*2)を指します。
*2 出典:「定款」(一般社団法人データサイエンティスト協会)
https://www.datascientist.or.jp/aboutus/statute/(2025年2月14日に利用)
関連記事:データ活用人材ってどうやって育成するの?
03.|データ活用人材を確保するときのよくある失敗
03-1. 自社採用しようとしたがうまくいかなかった
データ活用人材は、デジタル化の需要にともない今後ますます需要が高まると予想されます。その流れに合わせて、データ活用人材の自社採用を考える企業も多いのではないでしょうか。
しかし、いざ求人を掲載しても応募者の中に条件に当てはまる人材がいないという話をよく聞きます。結果として、求人掲載はしたものの求めていた人材からの応募がなく採用ができなかったというケースです。
03-2. 担当社員を育成・採用したがワークしない
データ活用推進部署を新設するため、担当者が必要になり急いで採用したが、想定していた成果が出なかったという話を聞くことがあります。社内で事前に十分なヒアリングができておらず、採用した人材のスキルと任せたい業務がマッチしていないという例です。
データ活用と一言で言っても、社内の状況やデータ活用の目的、出したい成果が明らかになっていないと本当に必要な人材を採用できず、結果として失敗してしまう可能性が高いと言えます。
また、育成のノウハウがなければその失敗をリカバリーすることも難しくなってしまいます。
関連記事:データ活用人材が必要な企業必見!~データアナリスト・データエンジニアを採用する時のポイント
04.|データ活用人材育成の必要性
04-1. 採用だけでは解決できない理由
データ活用人材の採用がうまくいかない理由としては、企業が求める人材と、市場にいる人材にギャップがあることが考えられます。そもそも、企業が求める条件には「データ分析経験〇年以上」など経験者を想定したものが多くあります。
市場全体でデータ活用人材が不足していることを踏まえると、データ活用経験のある即戦力人材を採用するのは容易ではありません。
また、企業での採用においてはスキルだけではなく企業文化に合った人材を採用する必要があります。少ない人材の中から、ビジネスモデルやカルチャーに合った人材を探すのはさらに困難です。
04-2. 育成が企業の競争力向上に寄与する
先述の通り、スキルやカルチャーマッチなど、求めるすべてに当てはまる人材を採用するのは厳しいというのが現状です。
そこで、必要になるのがデータ活用人材を育成する体制です。
市場には求めるスキルや経験に当てはまる人材が少ないことを前提とし、社内にてスキル育成のカリキュラムを確立させます。それにより、採用数を増やすことができ人材の不足を補えるため、企業の競争力向上につながります。
また、育成の取り組みのひとつとして、社員同士のナレッジシェアなど学びあう文化を醸成することにより社内全体のスキルレベルが上がり、企業の長期的な成長につながります。
05.|データ活用人材育成のポイント
05-1. データ活用の目的を明確化
人材育成プログラムを設計するにあたり、データ活用の目的や業務に沿った内容にする必要があります。
<データ活用の目的とは?>
データ活用の目的は、「データをビジネスに活かす」ことです。
社内の業務効率化や売上向上などの目的や課題に対し、何を解決し何を達成したいのかを明確にしておくことが大切です。
その内容によって、求められるスキルやアプローチが異なるため、必要とされるスキルに特化した人材育成に焦点をあてるのがよいでしょう。
05-2. 必要なスキルセットの定義
次に、データ活用の目的を達成するために必要なスキルを定義していきます。
<データ活用人材に求められる3つのスキル>
データ活用を実現するために必要な、3つのスキルをご紹介します。
・ビジネス力
データ活用人材には、一般的なビジネススキルが求められます。データ分析の結果を元にしてプロジェクトを推進するためのコミュニケーション能力や、進捗管理能力など、データ活用実現のために関係者を巻き込みながら業務に取り組む必要があるためです。
また、ビジネス課題の解決や目的の達成など、成果を生み出すためのフローや方法を考える力も必要です。
・データエンジニア力
データやデータベースに関する基礎知識、分析を行うためのデータ基盤構築や整備、収集・分析に必要なExcel、SQL、Pythonなどのスキルが求められます。
また、BIツールなどのツールを用いたダッシュボードの構築・可視化といったデータを展開する力も必要です。
・データサイエンス力
データサイエンス力とは、大量のデータを分析し、企業のビジネス課題に対する適切なアクションを情報科学理論に基づいて導く力です。
統計学の知識、近年では生成AIに関する知識・経験も求められています。
参考:「2023年度版データサイエンティスト スキルチェックリストver.5」(データサイエンティスト協会)https://www.datascientist.or.jp/news/n-pressrelease/post-1757/(2025年2月14日に利用)を参考に作成
<目的に合わせたスキルセットの定義>
1つのスキルではデータ活用の実現はできません。
一方で、達成したい目標や解決したい課題によっては、アプローチ方法が変わります。状況により、先述した3つのスキルのすべてを必要としない可能性もあります。
どのような目的でデータを活用したいのかを十分に整理したうえで、業務に合わせたスキルセットを定義することが大切です。
05-3. 効果的な育成プログラムの設計
ここまで、育成のポイントとしてデータ活用の目的と必要なスキルセットを明らかにしてきました。
より効果的な育成のポイントとして、採用した人材のスキルレベルに合わせた学習計画を立てることができる育成プログラムの設計をするのがよいでしょう。
人材のスキルレベルに合わせた学習計画ではない場合、習得に時間がかかってしまったり、途中で挫折してしまう可能性があります。
それぞれに必要な学習内容を洗い出し、学習計画のゴール設計をしていきましょう。
関連記事:データ活用人材ってどうやって育成するの?
06.|弊社の研修体制
弊社(メンバーズデータアドベンチャーカンパニー)では毎年数十名のデータ活用人材を育成し輩出しています。そこで実際に実施している研修の内容を簡単にご紹介します。ご参考になれば幸いです。
06-1. 弊社が実施している研修の内容
<研修の流れ>
育成したい人材のスキルを洗い出し、学習計画を立てていきます。
職種やお任せするデータ活用業務を踏まえてゴールを設定し、必要なスキルを優先して学べるようにスケジュールを調整します。
また、ここまでの流れは研修担当が一方的に進めるのではなく、本人が自分でゴール設定できるようサポートしていきます。目的に対してどのようなスキルが必要かを考え、計画を立て自ら進捗管理する力も、データ活用業務において欠かせないスキルのひとつです。
<研修の内容>
弊社では、以下のプログラムを用意しています。
この中から、職種やお任せするデータ活用業務に合わせて必要なスキルを4つ程度組み合わせて学んでいただきます。
・データプロフェッショナルスキル
ビジネスにおける論理とデータの重要性を理解したデータプロフェッショナルとして業務遂行できるレベル
・SQL
SQLのクエリ操作とBigQueryの機能理解・ツール操作が可能なレベル
・アクセス解析
Googleアナリティクスの機能・用語を理解し、要件に対して分析レポートが作成可能なレベル
・BIツール
BIツールの機能・必要性を理解し、ツール操作が可能なレベル
・GCP
データエンジニアリングに関連するリソースの理解と基本的な操作が可能なレベル
・AWS
データエンジニアリングに関連するリソースの理解と基本的な操作が可能なレベル
・データ分析基盤構築
データ収集・ETL・データ基盤構築・可視化のプロセスを含む初歩的なシステム構築ができるレベル
06-2. 毎年数十名をデータプロフェッショナルに育成する実績
弊社では、毎年数十名のデータ活用人材を育成し輩出しています。
新卒社員だけではなく、中途社員も多く所属しています。その中には前職がデータ活用やデータ分析の専門職ではない社員も多くいます。
実務の経験がなくても、学ぶ意欲があればデータ活用のプロフェッショナルとして活躍していただくことが可能になる環境をご用意しております。
まとめ
この記事では不足するデータ活用人材を採用し育成するときのポイントをお伝えしてきました。
人材が不足している現状を踏まえ、社内で育成プログラムを用意することが競争力向上につながります。
育成プログラムを用意するには、データ活用の目的に沿った研修内容を用意し、個人のスキルレベルに合わせた育成プログラムの設計をするのがよいでしょう。
また、データ活用人材を初めて採用する企業や、時間をかけずに人材を確保したい企業では、弊社のようなデータ活用専門の人材事業会社から外部調達することを検討してはいかがでしょうか?
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【2025最新版】2024年の生成AI市場の最新動向と2025年の成功に向けたステップ
この記事では、企業のデータ活用における技術や最新技術について、データ活用の基本概念やメリットも踏まえて、以下のステップで解説します。
- データ活用の基本概念
- データ活用のメリット
- データ活用における5つのフェーズに必要な技術
- データ活用における最新技術
執筆者のご紹介
名前:柏木啓良
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部
お客さま企業に常駐し、アナリストが分析に使用するデータマートの作成・保守や機械学習モデル構築のためのデータ作成・整備を担当しています。
安定的なデータ品質や効率的な処理の実装・改善に奮闘しています。
最近は、Apache IcebergやDelta Lakeといったオープンテーブルフォーマットに関する技術や活用に興味があります。
経歴:生命保険会社のシステム開発部門にて、保守・運用を担い、2023年3月にメンバーズに入社
目次
01.|データ活用の基本概念
データ活用とは
活用できるデータの種類
データ活用の主な目的
02.|データ活用のメリット
業務効率の向上
正確な現状把握と将来予測
迅速かつ戦略的な意思決定
03.|データ活用における5つのフェーズに必要な技術
データ収集技術
データストレージ技術
データ処理技術
データ分析技術
データ可視化技術
04.|データ活用における最新技術
AIや機械学習モデルの活用
クラウドコンピューディングの利用
05.|弊社取組事例
01.|データ活用の基本概念
01-1.データ活用とは
データ活用とは、企業や組織がこれまでに蓄積してきたあらゆるデータを、業務効率の向上や市場分析、迅速な意思決定をサポートすること等を目的として行うプロセスのことです。
似たような言葉で、データ分析という言葉がありますが、これはデータ活用のプロセスの一つです。
近年の急速な技術進歩と情報化社会の中では、日々生成される膨大なデータを正確に処理し、そこから有用な知見を抽出することが、企業の成長を大きく左右するものとなっています。
01-2.活用できるデータの種類
このデータ活用を行う上で対象となるデータは、大きく分けて「構造化データ」、「半構造化データ」、「非構造化データ」の三種類に分類されます。
構造化データは、リレーショナルデータベースに格納される売上情報や顧客データなど、決められたフォーマットに沿って整理されたデータです。
半構造化データは、XMLやJSONといった形式で表現され、一定の規則性を持ちながらも柔軟性を備えており、ログやセンサーなどのデータのことです。
非構造化データは、テキスト、画像、動画などのように、形式が固定されていない情報であり、SNS投稿やカスタマーサポートの記録など、多種多様なソースから生成されるデータのことです。
これまで企業は、構造化データを中心としたデータ活用を行なっていたが、近年の技術進歩により、半構造化・非構造化データの処理・蓄積・活用が可能となったことで、企業のあらゆるデータがデータ活用の対象となっています。
01-3.データ活用の主な目的
データ活用の目的は多岐にわたりますが、主に業務効率の向上、市場理解と顧客分析、迅速な意思決定の支援などが挙げられます。
業務効率の向上では、データに基づいたプロセスの自動化や最適化を進めることで、従来の手作業によるエラーや無駄なコストを大幅に削減できるようになります。
市場や顧客に関するデータを分析することで、企業はより正確な現状把握と、将来予測が可能となります。
これをもとに、リスクへの対応や新たなビジネスへの投資といった、従来意思決定に至るまでに多くの時間を費やしていた事項に対しても、迅速に対応することが可能となっています。
02.|データ活用のメリット
02-1.業務効率の向上
データ活用は、業務プロセスの自動化と最適化を通じて、従来の手作業に伴うエラーや遅延、暗黙知での業務遂行といったことが解消され、リソースを効果的に配分することが可能になります。
特に自動化によって、定型業務は正確かつ迅速に自動で処理され、人はこれまで以上にクリエイティブな業務に専念することが可能となり、業務効率が飛躍的に向上します。
02-2.正確な現状把握と将来予測
大量のデータを収集・分析することで、企業は現状の業務や市場の動向を正確に把握することができます。
さらに、統計解析や機械学習を活用して将来のトレンドやリスクを予測するモデルを構築することで、これまでより失敗確率の低い、将来予測が可能となります。
その結果、迅速なリスク対応や効果的な投資判断が可能となり、透明性のある企業の成長が期待できます。
02-3.迅速かつ戦略的な意思決定
蓄積されたデータやリアルタイムで取得されるデータを活用することで、市場や社内の変化に対して、敏感に反応することが可能となり、迅速な意思決定が可能になります。
これにより、企業は顧客や株主などステークホルダーからも信頼性のある判断に繋げることができます。
これまでの直感や経験のみでの判断より、データに基づく意思決定は確実性が高く、企業にとって、データ活用はこれまで以上に重要な経営資源となります。
03.|データ活用における5つのフェーズに必要な技術
03-1.データ収集技術
データ収集は、データ活用プロセスの第一歩であり、IoTセンサー、Webスクレイピング、各種API連携などの技術を活用して、オンラインとオフラインのあらゆるデータソースから必要な情報を集める手法になります。
このデータ収集技術がなければ、これ以降のプロセスへ繋がらないため、データ収集はデータ活用のプロセス全体でも重要なポイントとなります。
関連記事:データ収集の基礎知識!メリットや実践ステップ・注意点を徹底解説
03-2.データストレージ技術
収集したデータを安全かつ効率的に保存するためには、ストレージを使用することになります。
リレーショナルデータベース、NoSQL、さらには分散型ファイルシステムといった技術が挙げられます。
これらの技術は、データの高速な読み書きや大容量データのスケーラビリティを可能にし、後続の処理や分析においてもスムーズなデータアクセスを担保します。
03-3.データ処理技術
データの抽出、変換、ロード(ETL)といったデータ処理のプロセスは、データ活用の中核となるプロセスです。
Apache SparkやHadoop、AWS Glueなどのツールを利用することで、膨大なデータを効率的に抽出し、統一された形式に変換することが可能となります。
これにより、次の分析プロセスで高品質なデータの利用に繋がります。
03-4.データ分析技術
データ分析は、収集された情報から意味ある情報を抽出するためのプロセスです。
統計解析、機械学習、データマイニングなどの手法を用いて、データ内に潜むパターンやトレンドを見出します。
Python、R、TensorFlow、scikit-learnといったツールやライブラリが、その実現を支える技術として活用されています。
03-5.データ可視化技術
分析結果を効果的に伝えるためには、データを直感的に理解できる形で可視化することが重要です。
Tableau、Power BIなどのツールを用いることで、複雑なデータをグラフやチャート、ダッシュボードとして表現し、関係者全員が迅速に情報を視覚的に把握することができます。
これにより、データにより意思決定の説得力・納得感を得ることに繋がります。
04.|データ活用における最新技術
04-1.AIや機械学習の活用
近年、AIや機械学習の分野では、ディープラーニング、強化学習、自然言語処理(NLP)など、技術的にも急速な発展をとげています。
これらの技術は、医療診断、自動運転、需要予測など、幅広い応用分野で実社会でも利用され始め、データから抽出されるインサイトの精度と効率を飛躍的に向上させています。
企業は、これらの先進的技術を取り入れることで、これまでより高精度な予測や分析が可能となり、競争力のあるデータ活用が可能となります。
04-2.クラウドコンピューティングの利用
クラウドコンピューティングは、スケーラブルで柔軟なインフラストラクチャを提供し、企業が必要なリソースを迅速に確保できる環境を提供します。
AWS、Azure、Google Cloud Platformなどのクラウドサービスを活用することで、ストレージの確保からデータパイプラインの構築、サーバーレスアーキテクチャの導入が容易になり、効率的なデータ処理とコスト最適化が可能となります。
これにより、これまでよりも短期間かつ最新トレンドを踏まえた環境の提供を可能としています。
04-3.オープンテーブルフォーマットの活用
オープンテーブルフォーマットの採用は、データの共有と相互運用性を向上させる重要な取り組みです。
標準化されたデータフォーマットを利用することで、異なるシステム間でのデータ交換が容易になり、オープンデータやAPI連携を通じて、さまざまなエコシステムが拡大していきます。
これにより、企業は自社にあるさまざまなデータソースの自社でのシームレスな利用や自社のデータ自身を外部のパートナーや市場とシームレスに連携させることができ、イノベーションを促進する環境が整えられます。
05.|弊社取組事例
最後に最新技術を使用したデータ活用に関して、弊社の取組事例を紹介します。
1つめは、機械学習を活用した事例、2つめは、生成AIを活用した事例を紹介します。
1つめに、機械学習を活用した事例として、教育事業企業様への支援があります。
教育事業の売上改善や向上に関して、なんとなくの「仮説」はあったが、立証するためのノウハウが不十分でした。そこでさまざまな手法の機械学習ノウハウを用いた分析手法の開発やアウトプットを実行し、分析結果の示唆出しを行ったことで、支援企業様のデータ活用プレゼンスの拡大へと貢献しました。
2つめに、生成AIを活用した事例として、飲食サービス提供企業様への支援をご紹介します。
ドキュメントによるナレッジは蓄積されているものの数が膨大で、調査工数も膨大。システム異常におけるアラートへの対応も属人化されているといった課題がありました。
この課題に対して、生成AIを用いて、検索機能の構築とアラートの仕組みの構築を実施しました。
検索機能の構築では、検索するだけではなく、ユーザーがリアルタイムで質問できる機能も実装し、ドキュメント調査にかかる時間の削減にも貢献しました。
アラートの仕組みの構築では、エラーメッセージの通知とともに、対応方法を関連付けた内容を連携することで、誰でも対応できる仕組みを構築し、属人化解消へ貢献しました。
まとめ
データ活用は、昨今の技術進歩により、企業にとって重要な取り組みとなっています。データ活用の基本的なフェーズとしては、データ収集、データストレージ、データ処理、データ分析、データ可視化の5つのステップがあります。
この基本的な5つのステップをベースに、AIや機械学習といった最新技術を活用することで、企業独自の取り組みをより高度に実施し、競争優位性を確保することが可能となります。
より高度なデータ活用をクライアントとともに実施できるメンバーが、メンバーズデータアドベンチャーには揃っています。
この記事をご覧になって気になることがございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
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ベネッセ、メンバーズ、生成AI活用の先駆者が語るデータマネジメントの重要性と未来
近年、企業活動においてデータの利活用が経営の意思決定や企業の競争力に大きく寄与する要素として重要視されています。
本記事では、企業が保有する多種多様のデータを適切に分析・可視化を行うために活用される「BIツール」について、概要やツールの種類、導入メリットや注意点などを解説します。
執筆者のご紹介
氏名:谷 寧々
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アナリスト事業部
経歴:4年制大学(経済学部)を卒業後、2022年に株式会社メンバーズに入社。
新卒から約2年間メガバンクに常駐し、Tableauによるデータの利活用推進による業務効率化をサポート。お客さまに対しTableauリテラシー向上のために研修の企画運営やスキルトランスファーを実施。
目次
01. |BIツールとは
BI(ビジネス・インテリジェンス)
BIツールでできること
ExcelやETLなど類似ツールとの違い
02. |主要なBIツールの例
Tableau
PowerBI
Looker Studio
Domo
Amazon QuickSight
03. |自社導入のメリット
意思決定の迅速化
業務効率化
競争優位性の確立
04. |自社導入に際する注意点
明確な目的を持ったツール選定
データの整備とクリーニング
従業員の教育とトレーニング
05. |BIツールの最新動向
AIの活用
複数のBIツールの併用
06. |BIツールの導入事例
01.|BIツールとは
01-1. BI(ビジネス・インテリジェンス)
BIとは「Business Inteligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略称です。
ビジネスにおける知能となる企業内外の様々なデータを収集し分析や可視化を行い、客観的にビジネスの意思決定を行うことを指します。
01-2. BIツールでできること
一般的に企業活動により日常的に蓄積されるデータは「ビッグデータ」とも呼ばれ、企業内外複数のシステムに横断して蓄積されています。
BIツールは、それら複数のシステムからデータの集計・分析・可視化を一元的に行うことで客観的な意思決定を可能とします。
BIツールはデータ分析プロセスの中でも可視化を得意とし、帳票型のような羅列したデータをグラフや図としてビジュアライゼーションすることで、視覚的にデータを捉えることが可能です。データが可視化されることで、データに精通していない人であっても、直観的に課題や事象の発生を分析でき、ネクストアクションとなる意思決定を迅速に行うことができます。
そのためBIツールをうまく活用することで、企業活動のあらゆる場面でデータに基づいた意思決定が可能になり「データドリブン経営」の実現を推進することができます。
BIツールの代表的な機能を4つに分類し紹介します。
・レポーティング
業務上追うべきKPIや実績などの数値をリアルタイムで取得し可視化することで、KPIの進捗や全体的なトレンド、課題の早期発見など数値の羅列では読み取りにくい情報を直感的に把握することが可能です。
加えて、月次報告や四半期報告といった定期報告資料の作成にかかる負担を大幅に軽減できます。データの更新を行うだけで自動的に最新データをグラフや表に反映することができ、定例作業の削減や業務効率向上が期待できます。
・OLAP分析(オンライン分析処理)
データが可視化されることで顕著になった問題や事象に対して、要因を深掘りして分析・検証を可能とします。エンドユーザーは多角的に柔軟性をもって分析を行うことができます。
・データマイニング
マイニングは「発掘・採掘」という意味の単語で、複数のデータや蓄積されたデータに対して統計的な処理(相関分析やクラスター分析など)を行い、新たな角度からの調査を可能とすることで、データの関係性や傾向を分析します。
・プランニング
蓄積された過去実績のデータやシミュレーションのデータから予測数値の算出を行います。例えば予算編成や次年度等の経営計画、売上や在庫の予測の根拠などを示すことが可能になります。
実際のダッシュボード例(サンプルデータをもとにTableauを用いて作成)
01-3. ExcelやETLなど類似ツールとの違い
BIツールと類似として認識されるものにExcelやELT・DWHがあります。
ご存じの通りExcelでも、ピポットや関数、グラフの挿入などの機能を用いることでデータの集計や分析、可視化が可能です。
しかし、BIツール・Excel・ELT・DWHでは本来主軸機能として持つ役割や強みが異なります。
そのためそれぞれの特徴を理解し、Excelや既存のツールで苦手とする部分を、BIツールの強みで補うことで、よりよいアウトプットや業務改善が可能になります。
それぞれの強みと役割は以下の通りです。
<BIツール>
BIツールはビッグデータを集計し分析・可視化を行うことを目的としたツールです。
多様なデータソースからデータを組み合わせた分析を可能とするため、複数のデータから自由度高く多角的な分析や可視化を実現できます。
<Excel>
上述の通りExcelは多機能なツールですが、本来は「表計算ソフト」であり、データの入力や蓄積などのインプット・数値の集計を得意とします。一方でグラフによるデータの可視化や分析に特化したツールではないため、ビッグデータを扱うにはデータ量への制限があり作業コストやパフォーマンスの低下が懸念されます。
また、他者への共有という観点では、ExcelファイルをメールやGoogleドライブ内に添付したり、PowerPointにグラフをコピーして報告書を作成したりなど、他のツールとの併用が必要となるケースがあります。
<ELT>
ELTとは「Extract(抽出)Transform(変換)Load(書き出し)」の略称で、企業の基幹システムなど企業内外に分散された複数のシステムからデータを抽出し、適した形に加工し、DWHやデータベースに受け渡すためのツールです。そのためデータの可視化や分析の役割はありません。
<DWH>
DWH(データウェアハウス)は、ELTが抽出したデータを保管・蓄積する役割を担います。DWH自体に抽出機能や可視化の機能が備わっているわけではありません。
上記の通り、各ツールにより役割が異なるため、それぞれの強みや役割を理解し、特徴を生かしたデータ活用が必要となります。
02.|主要なBIツールの例
ここでは主要なBIツールを紹介し、それぞれの特徴を記します。
02-1. Tableau
・提供企業:Salesforce
・特徴:導入シェア率がトップレベルで高く、国内でもTableau導入企業事例が多くBIツールの代表的製品の一つです。ノーコードかつドラッグアンドドロップを主にした簡易的な操作によってデザイン性の高いデータのビジュアライゼーションが可能です。BIツールの代名詞ともいわれるほどメジャーで初心者向けのツールとなっています。
また、約100種類のデータソースに接続可能で、膨大なデータ量でも高速に処理することを得意とします。その他機能として、データのリアルタイム更新や自動更新が可能なため、最新のデータへのアクセスすることも容易です。
・公式サイト:Tableau (タブロー) | BIと分析のためのソフトウェア
02-2. PowerBI
・提供企業:Microsoft
・特徴:約120種類のデータソースに接続でき、中でもMicrosoft 製品であるExcelやWordなどのOffice365サービスへの連携を得意とします。グラフの描画はチャートタイプを選択したのちにデータを貼り付ける仕様のため、柔軟性にはやや欠けますが、画面設計が決まっている場合や、ベーシックなチャートによる分析であれば簡易な操作のみで使用できます。また費用も比較的廉価なのも魅力の一つです。
・公式サイト:Power BI - データの視覚化 | Microsoft Power Platform
02-3. Looker Studio
・提供企業:Google
・特徴:Googleアカウントを持つ誰もが利用できるGoogle Cloudサービスです。Google提供サービスであるスプレッドシートやアナリティクス、BigQueryとの連携を得意とし、Googleサービスを活用するユーザーに最も有効なツールとなっています。平均や中央値、標準偏差など基本的な記述統計の算出と可視化が可能な一方、高度な統計分析には制限があります。また、膨大なデータの処理はブラウザを含むパフォーマンス負荷が大きいため注意が必要です。
・公式サイト:Looker Studio: ビジネス分析情報の可視化 | Google Cloud
02-4. Domo
・提供企業:ドーモ株式会社
・特徴:1000を超えるデータコネクタによる豊富なデータベースへの接続が可能なため、Webアプリケーションなどへの連携やビジネスデータに直接接続してデータを分析することが得意です。閲覧者が自由にデータを分析できる探索的な分析より、作成者の主張を伝えるための説明的なダッシュボードを作成するときに便利なツールとなっています。また、共同作業を可能にするコラボレーション機能やアラート機能、メール通知機能が備わっているためインサイトを迅速に共有することが可能です。
・公式サイト:Domo - データ活用プラットフォーム
02-5. Amazon QuickSight
・提供企業:Amazon
・特徴:AWS(Amazon Web Services)のプラットフォームの傘下にある BIツールということが最大の特徴です。また、AWS独自開発のSPICE(Super-fast, Parallel, In-memory Calculation Engine/超高速・並列型インメモリ計算エンジン)を搭載していることで大規模なデータ分析においても高いパフォーマンスを発揮します。費用は従量課金制で、使用した分のコストが発生するため利用規模などを考慮することが必要です。
・公式サイト:Amazon QuickSight(あらゆるデバイスからアクセス可能な高速BIサービス)
03.|自社導入のメリット
03-1. 意思決定の迅速化
BIツールを導入することで、企業内外の膨大なデータをスピーディーに収集・分析・可視化することができ、企業活動における経営や人事、予算管理や販売・購買・在庫管理などあらゆる場面で、迅速な意思決定が可能となります。顕在化したデータの把握のみでなく潜在的なニーズやリスクなどの早期発見も期待できます。
また、従来の「KKD(勘・経験・度胸)」と呼ばれる主観的な判断に頼ることのない、客観的な判断と意思決定が実現されます。
03-2. 業務効率化
従来多くの企業で散見されたデータ分析の手法は、「Excelでデータを収集し加工・分析を手作業で行う」ものでした。しかし、Excelの手作業では時間も手間もかかる上、担当者のスキルレベルや経験に依存した作業となり、ミスが生じやすく引継ぎやメンテナンスの負荷が高くなる傾向にあります。
BIツールでは形式の異なる複数データの集計や統合を行い、さらには自動化により最新のデータを即座に反映することができ、大幅な作業工数の削減と質の高いパフォーマンスが実現できます。
IoT技術やAIの活用などテクノロジーの進歩により収集されるデータ量が莫大に増加する中、長期的に見て効率化を求める場合にBIツールは有効であるといえます。
03-3. 競争優位性の確立
デジタル化・IT化が著しく発達する中で企業が長く生き残るためには、データをいかに有意義に活用し経営に役立てられるかが重要なポイントです。
そのため従来の方法のままでは、市場や社会の急速な変化について行けず「昨日正しいとされた手法が今日は使えない」状況が発生し、データドリブン経営を実現している他社に後れを取り、競争優位性を失う可能性があります。
そこで、タイムリーなデータをもとに迅速かつ容易にデータ分析を可能にするBIツールの活用が競争優位性の確立に大きく貢献します。多様化する顧客ニーズや消費者行動を捉え、自社課題に対して迅速に意思決定することが企業の成長と存続につながります。
04.|自社導入に際する注意点
これまでBIツールのメリットや製品について記述してきましたが、BIツールを無闇に導入するのではなく、きちんと自社が抱えている課題を把握し、自社に適したBIツールを導入することが大切です。
自社の状況や課題、目的によってはBIツールを導入しない方がいい場合もあるので以下を参考に導入の検討を行いましょう。
04-1. 明確な目的を持ったツール選定
BIツールを導入する前に自社の課題やデータ周りの環境、目的を明確にする必要があります。
まず自社のシステムやデータ環境を理解し、誰が、どのようなデータを、誰に、どう活用してほしいのか、またそこからどのような効果をもたらせたいのかという目的を明確にすることが大切です。
また、予算と各ツールの費用を利用する規模などを想定して比較検討を進めることも必要となります。同業の企業で導入されているツールを把握することも検討の際、参考になるはずです。
04-2. データの整備とクリーニング
自社の持つデータをうまく活用するには既存のデータがシステム連携できるかを確認する必要があります。クラウド環境なのかローカル環境なのかといった違いをはじめ、BIツールに連携する前に、自社のデータが適したデータの持ち方(縦持ち、横持ちなど)に整形する必要があるのかなどを確かめることで導入前後のミスマッチを防ぎ、自社に適したツールの選定が行えます。自社の持つデータやシステム環境を理解することが、導入にあたって失敗を避けるために必要なポイントです。
04-3. 従業員の教育とトレーニング
BIツールを導入後、「そもそも使用方法がわからない」「導入設定ができずデータを連携できない」などの問題に直面するケースも少なくありません。BIツールの中にはSQLなど一定のプログラミングスキルを要するものもあれば、ノーコードで使用できるものもあります。使用する従業員のスキルレベルやリテラシーがどれくらいあるのかを把握することも、失敗を回避するポイントの一つです。
自社内で課題が解決できない場合はBIツールの知識が豊富な導入支援企業からの支援を受けることも検討にいれることで導入コストを無駄にすることなく、有意義な活用が可能になるでしょう。
また、自社従業員へ運用方法のレクチャーや基礎研修などによるスキルトランスファーなどの実施も、BIツールを活用していくうえで有効です。
これらの運用支援は弊社にて承っておりますので、興味のある方はぜひお気軽にご連絡ください。
05.|BIツールの最新動向
05-1. AIの活用
上記で紹介してきたBI ツールですが、「AI(人工知能)」と組み合わせて活用することで、担当者の分析スキルに依存しない精度の高い分析や意思決定が可能です。
そもそもAIは、膨大な量のデータの処理や機械学習など高度な情報処理能力があり、データの集計だけでなく、蓄積されたデータから類似パターンや相関関係などを分析し、示唆出しなど分析結果をもとにした施策の判断や実行までを可能とします。
BIツールの中にはAI機能が搭載されたものもあり、例えばデータセットの中から異常値や急激なトレンドの変化などを自動的に検出しリアルタイムでアラートを発信する「異常検知機能」や、過去の売上データから購買パターンを予測したり、事務量データから予算を予測するなどの「予測機能」の活用が可能です。
05-2. 複数のBIツールの併用
既にBIツールを導入しているものの、既存ツールのみでは対応しきれないアウトプットや活用しきれないデータが生じる場合も想定されます。
その場合は複数のBIツールを併用することで企業内外のビックデータに対し網羅的にデータ活用を促進することができます。
どのツールを併用するかは自社のデータ環境や活用の目的と意図を明確にし、既存のツールの不足部分をきちんと補えるよう補完的な観点から導入を進める必要があります。
併用についての関連記事はこちらにありますのでご参考になれば幸いです→BIツール併用でデータ分析を効率化!Tableau×他BIツール併用のメリットとは
06.|BIツールの導入事例
以下では弊社が運用支援を行ったBIツールの導入事例を紹介します。
・導入企業:金融関連企業
・ツール:Tableau、Domo
・業務課題:BIプラットフォームの整備による全社的なデータ活用推進
・支援内容:顧客のビジネス要求を整理し、環境に応じて機能に優れているもののライセンス料が高価なTableauと、多くの社員がダッシュボードを閲覧できる環境を比較的安価に構築できるDomoを併用することで、既存のデータ環境を保持したまま、わずか2か月でBI環境の整備とユースケースに応じたデータガバナンスの整備を実現。
・成果:企業内データの抽出〜可視化までの業務プロセスが整理され、全社的なデータ活用を円滑化。
まとめ
急速に変化するビジネス社会において、BIツールは、企業の多様なデータを迅速的に収集・集計・分析・可視化することを可能とし、経営や事業活動の意思決定を行う際に多くのメリットをもたらします。
また、導入に際し、自社のデータ環境やシステム連携への理解、業務課題の整理と目的の明確化が、適切なツールの選定を行う上で失敗しないための重要なポイントとなります。
あくまで導入することがゴールではなく、導入後の活用・運用を成果に繋げることが目的です。
データ活用による業務効率化はもちろんのこと、BIプラットフォームのスリム化や、社員向けの研修やマニュアル整備、スキルトランスファーによるリテラシーの向上が、持続的なデータドリブン文化の定着を実現します。
BIツールを効果的に選定・活用することが、長きにわたる企業活動や成長にとって重要なカギとなることでしょう。
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BIツール併用でデータ分析を効率化!Tableau×他BIツール併用のメリットとは
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この記事では、AI活用を始めるには2025年が重要な分岐点であることをお伝えします。
執筆者のご紹介
池田志穂
所属:
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部
PM、データアナリスト、エンジニア業務を担当
経歴:
Webデザイナー、Webディレクター、コンサルティング業務に携わり、2019年3月メンバーズ再入社。顧客企業にてマーケティングに活用できるデータを可視化し、経営戦略の意思決定を支援。大規模データを利活用できる構築を行っています。現在、生成AIを学習中です。
▶目次
生成AI活用で最も専門性が求められる「データ整備」。
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人材不足を即解消する、新しい選択肢を以下の資料でご紹介しています。
「2025年の崖」とは、経済産業省が警鐘を鳴らした概念で、日本企業がデジタル化や生成AIの導入に遅れを取ると、2025年以降、年間で約12兆円もの経済損失が発生すると予測されています。生成AIの活用には、高度なインフラ整備、データ基盤の構築、そしてAI技術に精通した人材が不可欠です。しかし、現在、多くの企業が従来のシステムに依存しており、生成AI導入に向けた準備が十分ではありません。
このままでは、AI活用に成功する企業とそうでない企業との差が広がり、競争に遅れを取る恐れがあります。また、生成AIの利用にはセキュリティや倫理の課題も伴い、それに対応できない企業はリスクを抱えることになります。2025年時点で、デジタル化やAI導入を進められなかった企業は、業界での競争から取り残される可能性が高いとされています。
2024年、生成AI業界は急速に進化し、主要プレイヤーが競い合う中で大きな変革がありました。
- ・OpenAI
GPT-4を超えるGPT-5やマルチモーダルAI(テキスト、画像、音声の統合)が注目されました。ChatGPTやDALL·Eなどのツールの商業化が進み、多くの企業にAI技術を提供しました。また、生成AIを活用したさまざまな新製品が市場に投入され、OpenAIの企業価値は急成長しました。
- ・Google
生成AIの進化において重要な役割を果たしました。特に、BardというGoogle独自の生成AIが注目を集め、検索エンジンの新しい体験として提供されました。また、DeepMindによるAI研究の成果も出ており、特に医療分野での活用が進んでいます。
- ・Meta
生成AIを活用してソーシャルメディアの体験を強化しました。InstagramやFacebookでのコンテンツ生成や、広告ターゲティングにAIが活用されています。さらに、メタバース(仮想空間)の開発にもAI技術が使用されています。
- ・Amazon
生成AIを自社のサービスやプロダクトに組み込み、特にAWSにおいて、AIインフラを強化しました。AIを活用した物流や小売の効率化が進み、生成AIの商用化で株価は安定的に上昇しました。また、Amazon Prime VideoにおけるAI技術の活用(動画生成、音声合成など)も話題に。
- ・Apple
iPhoneやApple Watchに搭載されるAI機能が強化され、特に健康管理や生産性向上に役立つ新機能が発表されました。AI搭載のApple Vision Proや、生成AIを活用した音声アシスタントSiriの改良が話題となりました。
- ・Anthropic
生成AIの倫理と安全性に重点を置くスタートアップ企業として注目を集めました。AIのバイアス軽減や誤情報の防止を目指す研究が進み、AIの安全性を確保しつつ、高品質な生成AIを提供する姿勢が評価されました。
- ・NVIDIA
GPU(グラフィックス処理ユニット)の需要は急増し、生成AIモデルのトレーニングにはNVIDIAの技術が不可欠です。株価は2024年に大きく上昇し、業界リーダーとしての地位を確立しました。特に、AI専用チップの供給が好調でした。
- ・Sony
AIを活用してエンターテイメント産業(音楽、映画、ゲーム)の革新を加速しました。生成AIを活用した音楽や映像制作が注目され、AI技術をエンターテイメントコンテンツに統合する動きが強化されました。
- ・DeNA
生成AIを活用したゲーム開発やエンターテインメントの分野での取り組みを強化しました。AI駆動型のゲーム体験や、AIによるユーザーインタラクションを改善。AIを活用した医療分野や物流の革新にも注力しており、新たな市場開拓を進めています。
- ・Alibaba
中国国内で生成AIを活用したeコマースやクラウドサービスを強化しました。AI技術を活用した物流管理やデータ分析が効率化され、Alibaba Cloudを中心に企業のデジタルトランスフォーメーションを支援しています。
このように生成AI技術の進展により、各企業は競争力を強化し、業界全体の成長を牽引しました。
2024年の主要プレイヤーの動向からは、生成AIの商業化が加速し、競争の激化とともに多様な産業への適用が進んでいることがわかります。また、AIに関する倫理や規制の重要性も増し、企業は技術の進化と社会的責任のバランスを取る必要があることが示唆されています。
日本における生成AIの活用は、まだ始まったばかりの段階ですが、徐々に進展しています。特に、製造業やサービス業などで生成AIを活用したデータ解析や業務効率化が進んでいます。例えば、製造業では品質管理や生産ラインの最適化に生成AIが使われ、小売業界では顧客対応やマーケティング分析にAIツールが活用されています。また、言語モデルを活用したコンテンツ生成やカスタマーサポートの自動化も広がりを見せています。
しかし、日本はAIの導入に関して他国と比較して遅れを取っている側面もあり、特に中小企業では生成AIの活用が進んでいないケースが多く見られます。インフラ整備や専門知識を持つ人材の不足も課題となっています。
2025年には、生成AIの技術が成熟し、企業にとって必須のツールとなる一方で、以下に挙げるようないくつかの課題が浮き彫りになると予想されています。これらの課題を解決することが、2025年のテック業界におけるAI活用の鍵となるでしょう。
- ・人材不足:生成AIを効果的に活用するためには、高度なAI技術やデータ解析スキルを持つ人材が不可欠です。しかし、日本ではAI人材の供給が十分でなく、企業が競争力を維持するためには教育と人材採用の強化が求められます。
- ・データ活用とプライバシー問題:生成AIの活用には大量のデータが必要ですが、データの収集と活用におけるプライバシー保護やセキュリティの問題が依然として課題です。特に、個人情報や機密情報の取り扱いに関する法規制が強化される中で、企業は新たな対応策を講じる必要があります。
- ・レガシーシステムとの統合:多くの企業が依然として旧式のITシステムを使い続けており、生成AIを効果的に活用するためにはこれらのシステムを刷新し、AIを統合する必要があります。これには多大なコストと時間がかかります。
AI活用の分野では、生成AI(例えばGPTシリーズ)や深層学習(ディープラーニング)が急速に進化し、多岐にわたる産業での応用が進んでいます。最近、注目を浴びているディープシーク(DeepSeek)が従来のGPTやBERTなどのモデルを補完し、より高速で精度の高い情報検索や生成を実現する技術となれば、その導入はAI活用の現状を大きく変える可能性があります。
AIエージェントが進化し、個人アシスタントや業務自動化、パーソナライズ体験など多岐にわたる分野で活躍します。現在のSiriやGoogle Assistantよりもより深く文脈を理解し、複雑なタスクを処理できるAIエージェントが登場します。自然な対話能力を持ち、ユーザーのニーズに応じた提案やサポートを提供するでしょう。
データの自動化とクレンジングが進み、AIモデルに適した高品質なデータ整備が迅速化します。多様なデータソース(構造化・非構造化データ)の統合、リアルタイム処理、データガバナンス強化が重要な要素となり、プライバシー保護や法規制にも対応します。さらに、業界間でのデータシェアリングが進み、AI活用が加速することが期待されています。
クラウドやエッジコンピューティング、分散型AIインフラが進化し、AI処理の効率化とスケーラビリティが向上します。高速なGPUやTPU、5G/6Gネットワークが活用され、リアルタイムのデータ処理が可能に。さらに、セキュリティやプライバシー保護が強化され、AI活用を支える信頼性の高いインフラが整備されることが予測されます。
「2025年の崖」を迎える中で、生成AIの台頭により、企業が向き合わなければならない課題は多岐にわたります。まず、AIレディなデータの準備が必須です。データの収集や整備、クレンジングを進め、高品質なデータをAIに提供することが求められます。さらに、紙ベースの情報をデジタル化し、統一フォーマットで整理するデジタライゼーションが進まないと、AI活用が進まない可能性があります。AIを活用するための人材不足やスキルのギャップも大きな課題です。加えて、データのセキュリティやプライバシー保護、法規制への対応も重要です。企業にはこれらの課題をクリアし、迅速に変革を進めるための柔軟な組織文化や対応力が求められます。
企業がAIを活用して業務効率化や価値創造を進めるためには、段階的な取り組みと計画が不可欠です。この点は、経団連が2019年に設定した「AI-Ready化ガイドライン」(*1)からも明らかです。各レベルで必要な行動を取ることで、AIを効果的に活用し、最終的には業界全体をリードする存在になることが可能です。
AIやデータ活用は単なる効率化の手段ではなく、企業の価値を向上させ、業界を革新する力を持っています。AI導入に向けた準備を整えることは、企業の競争力に直結するため、経営層と連携し、全社的なAI活用のビジョンを共有することが重要です。
- ・レベル1〜2:AI活用の基礎的な理解と環境整備の段階。教育や小規模な導入から始め、全社的な理解を深めます。
- ・レベル3〜4:データ基盤の整備や業務プロセスへのAI活用、システム連携が求められる段階。この段階では、より本格的な導入と運用が始まります。
- ・レベル5:全社的なAI活用を実現し、業界全体に影響を与える段階。AIを企業戦略の中心に据え、業界リーダーとしての地位を確立します。
- ・人材:経営層や技術者のAIリテラシーを高めるための教育や、適切な人材の採用が求められます。AIに精通した人材が不足している場合、外部専門家と連携することも一つの方法です。
- ・データ:AIを活用するためには、リアルタイム性やデータ品質を重視し、データ基盤を整備する必要があります。データ収集・管理体制を見直し、分析しやすい形に整理します。
- ・システム:業務システムと分析システムを統合し、効率的にデータを活用できる仕組みを作ることが重要です。AIの導入にはシステムの整備が不可欠で、既存のシステムと連携する方法も考慮しなければなりません。
AI導入は技術面だけでなく、データ倫理や社会的責任も重要な要素です。また、AI活用は長期的な投資を伴うため、持続的な成長を実現するための戦略的な投資が必要です。
*1 出典:「AI-Ready化ガイドライン」(日本経済団体連合会)https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/013.html(2025年2月13日に利用)
データアドベンチャーカンパニーは、お客さまの課題解決に向けて常駐サービスをはじめとした伴走支援を行い、データ活用の推進を図っています。その中で生成AIを活用して、コンテンツ制作の効率化、顧客対応のAIチャットボット活用、データ分析や予測モデルによるマーケティング戦略の最適化などを進めています。
例えば、ある飲食サービス提供企業では業務工数削減へ貢献する生成AIを活用したナレッジ検索ツールの構築運用をご支援しました。社内WEBアプリを通じて、検索ワードを入力するだけで検索結果・関連ドキュメントを自動生成し回答できるように実装することで、ドキュメント調査にかかる時間の大幅削減を達成しています。
その他のプロジェクトにおいてもAIを利用してパーソナライズされた広告や推奨を提供し、顧客体験を向上。また、画像やテキストの自動生成により制作業務の効率化も実現しており、AIの活用によって業務の効率化と顧客満足度の向上を図っています。
【プレスリリース】データ活用における生成AI導入・活用支援サービスを提供開始 データ抽出・集計・本番移行の作業時間を8割削減

メンバーズにて、SQLによるデータ抽出・集計・本番移行作業に生成AIを導入したところ、一連の作業にかかる時間が月120時間から月24時間にまで短縮され、作業時間を8割削減できたという結果が出ています。
サービスの提供を通じて、企業のデータ活用における業務効率化と高度化、内製化の実現に向けた支援を加速させていきます。
プレスリリースの詳細についてはこちらから
まとめ
2025年に向けて、AI活用を成功させるためには、AIレディなデータの準備が不可欠です。まずは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤をしっかりと整えることが大切です。AIを効果的に活用するには、データの整理・整備が必要であり、DXが進んでいない企業では、AI導入が難しくなります。そのため、AI活用を始めるには2025年が重要な分岐点となり、このタイミングを逃さずに準備を進めることが求められています。
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ベネッセ、メンバーズ、生成AI活用の先駆者が語るデータマネジメントの重要性と未来
近年、多くの企業が「データを活用したビジネス」、いわゆる“データビジネス”に注目しています。顧客理解や業務効率化、さらには新しいサービス創出など、データが持つ可能性は極めて大きいものの、「何から始めればいいのか分からない」「途中で壁にぶつかって前に進めない」という声も少なくありません。本記事では、データビジネスの基礎から実践までご紹介します。
執筆者のご紹介
名前:佐々木 渉
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー サービス開発室
大手小売企業のクライアント様にて、メタデータ管理やデータセキュリティ管理などのデータマネジメント領域の支援や、データ分析基盤のデータ連携業務を担当。
職歴:サービス業の店舗営業部にて、複数店舗のマネジメントやシステム導入の推進、データ分析から施策策定まで、幅広いビジネス業務を経験。その後メンバーズに入社、データアナリスト・プロジェクトマネージャーとして従事。
▶目次
✔️採用にコストをかけず実現するプロの伴走支援
✔️データ整備から内製化までの一貫サポート
サービスの詳細、支援内容、導入事例は下記ページで公開しています。
▶︎サービス内容:データ領域 プロフェッショナル常駐サービス
▶︎導入事例:導入事例 | メンバーズデータアドベンチャー
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「データビジネス」とは、その名の通りデータを軸として事業の価値を高めるビジネスモデルの総称です。具体的には、企業が自社内外に存在する膨大な情報(顧客データ・販売データ・生産データなど)を分析・活用することで、新たなサービスや製品を生み出したり、意思決定や業務効率化に役立てたりする取り組みを指します。
データビジネスは、あらゆる業界で注目されており、マーケティングや営業活動の精度向上だけでなく、予測分析による在庫・需要管理の最適化、顧客満足度の向上などにも活かされています。さらに、企業が自社で蓄積したデータを他社に提供・販売することで新たな収益源を得るケースも増えてきました。
いずれにしても、データそのものを“資産”と捉え、価値ある形に変えていくことがデータビジネスの本質と考えられます。
データビジネスと一口に言っても、その形態や目的は多岐にわたります。ここでは代表的な4つのパターンをご紹介します。
企業のマーケティング活動においては、顧客データのセグメント分析やWebアクセスログ解析など、データに基づく意思決定が一般的になりつつあります。ターゲット設定をより精緻に行い、最適な広告出稿やキャンペーン施策を実施することで、費用対効果の高いマーケティングが可能になります。
例えば、過去の購入履歴データと顧客属性情報を掛け合わせることで、リピーターの傾向を明らかにし、効果的なリターゲティング施策を行うといった使い方があります。結果的に顧客満足度の向上や売上拡大につながる点が大きなメリットです。
社内に蓄積した販売データ、業務プロセスデータ、センサーから取得した稼働データなどを活用して、ビジネス上の課題を洗い出し改善する手法です。データ分析を適切に行うことで、たとえば以下のようなインサイトを得ることができます。
- ・販売ピークや在庫回転率の予測
- ・不良品の発生原因の特定
- ・顧客クレームの傾向把握
こうした分析結果をもとに施策を打つことで、生産性向上やコスト削減、新商品の開発など新たな価値創造を推進することが可能となります。
企業が自社で保有する独自データを整理・分析し、それを外部に向けた「サービス」として提供するモデルです。たとえば交通系データを用いて渋滞予測サービスを提供したり、店舗の混雑状況を可視化するサービスを展開したりする事例が挙げられます。
データを「使う」だけでなく「価値あるサービス」に転換できれば、企業の新たな収益源となり、自社のビジネス領域を広げる大きなチャンスにもなります。
自社で保有するデータ自体を商品として販売し、マネタイズするモデルです。プライバシーやセキュリティ保護の観点で慎重に検討が必要ですが、業界によっては実績を持つ事例も増えてきています。顧客購買データや位置情報データ、産業データなどを分析可能な形にして提供することで、購入側も自社ビジネスに新しい価値を加えやすくなります。
データビジネスを成功させるためには、闇雲にデータを収集・分析するのではなく、明確な目的とステップに基づいて進めることが重要です。ここでは一般的な流れを4つのフェーズに分けてご説明します。
まずは「データを使って何を達成したいのか」をはっきりさせることが出発点です。売上拡大、コスト削減、顧客満足度向上など、目的がぼんやりしていると、収集するデータや分析手法が決まらず、成果も得にくくなります。
目的を明確化したら、「どのような指標で成功を測るか」「どんなデータで検証するか」といった仮説設計を行い、プロジェクトの大枠を固めましょう。
次に、必要なデータを収集し、分析可能な形に加工するステップです。具体的には、下記のような作業が含まれます。
- ・データの取得方法の検討: 既存の顧客データベースやPOSシステム、センサー情報、外部APIなどから収集
- ・データのクレンジング: 重複や欠損値の補完、フォーマットの統一
- ・データの統合: 部門やシステムでバラバラになっているデータを集約
このステップに課題を感じる企業は少なくなく、この段階でシステム間連携やデータの品質に関する問題が顕在化することがあります。
収集・加工したデータを分析し、可視化ツールなどを使って現状を把握します。グラフやダッシュボードを作成することで、パッと見て分かりやすい形にするのがポイントです。
そこから「顧客満足度を上げるにはどう改善するべきか」「在庫ロスを減らすためにはどの時期にどの施策が最適か」など、具体的なアクションプランを立案します。予測分析や機械学習の活用によって、将来の変動を見通した戦略が打ちやすくなるのも大きな利点です。
最後に、施策の実行後は必ず効果検証を行い、PDCAを回して改善を進めます。分析結果と現場の状況が合っているか、どこが想定外だったかを見極めることで、次回以降の施策や分析の精度が上がります。
この一連のサイクルを続けることで、データを起点としたビジネス改善が定着し、最終的には企業文化として根づいていくことが期待できます。
データをビジネスに活用することには、以下のような大きなメリットがあります。
定量的な数字に基づくため、社内の感覚や経験則に頼ることなく、客観的に現状を評価できます。たとえば売上データを詳細に分析することで、どの製品がいつ、どんな顧客層に売れているのかが明確になり、改善の余地が見えてきます。
過去のデータから傾向をつかむことで、需要予測や顧客行動の先読みが可能となり、在庫管理や人員配置などを最適化できます。機械学習やAIを活用すれば、より高度な予測モデルを構築し、大きな成果を期待できます。
データを根拠とした決定は意思決定のスピードと正確性を高めます。現場の勘と合わせてデータを活用することで、リスクを下げながら大胆な施策を打ち出せるようになります。
「マーケティングデータでどんなことができるの?」「アナリティクスの手法とは?」といった具体的内容を深堀りしたい場合は、外部記事の参照や専門コンサルタントへの相談も有効です。
多くの企業がデータ活用の重要性を認識する一方で、下記のような課題に直面し、思うように進まないケースも少なくありません。
「データを活用しなくては」という考えが先行して、具体的に何を達成したいかが曖昧なまま進めてしまうことがあります。結果として集めるデータが散乱し、分析の方向性も定まらず、プロジェクトが迷走してしまうケースも少なくありません。さらに、どのタイミングで成果を判断して次のステップに移すのかといった出口戦略が明確でないと、プロジェクト全体が長期化してしまうリスクも高まります。
企業内には販売管理、顧客管理、在庫管理、会計など、多種多様なデータが蓄積されていますが、部署ごと・システムごとにバラバラで一元化が困難なことがあります。また、そもそもデータの品質にばらつきがあって分析に適さないケースもあります。基礎となるデータガバナンスの構築は、データビジネス推進の第一歩です。
分析者やエンジニアの育成・確保を課題としている企業も少なくありません。外部リソースを活用するか、内部で教育体制を整備するか、いずれにしても専門知識と経験を持った人材がいなければ、本格的なデータ活用は難しくなります。
データのマーケティング活用・分析活用の課題に対して、弊社で取り組んだ事例を3つ簡単にご紹介します。
データ抽出作業の負担や意思決定のスピードに課題を抱えていた飲食業界チェーン企業に対して支援を実施。手動で行っていたデータ抽出を自動化し、BIツールを活用したダッシュボードを構築したことにより、必要なデータを迅速に提供できる仕組みを整備しました。タイムリーな情報共有が可能になったことで、施策実行と検証のスピードが向上し、マーケティング業務全体の効率化と精度向上を実現しています。
データがブラックボックス化し、情報の抽出や活用が難しい状態にあった小売業の企業に対し、外部ベンダーへの依存を減らすため、BigQueryを用いたデータ統合基盤を構築し、必要な情報を迅速に取り出せる体制を整えました。また、BIツールでのダッシュボード構築や、マーケティングオートメーション(MA)ツールの活用を支援し、顧客データや購買データの分析環境を強化しました。
これにより、データの抽出・分析のスピードが向上し、経営層への提案や施策の改善を支える仕組みが構築されました。
データを活用しきれず、アクションにつなげることに課題のあった出版社に対して、複数のメディアサイトの解析を担当し、Pythonでのデータ収集の自動化や、Google Analytics(GA)とDMPツールを活用したダッシュボード構築を支援。これにより、データの可視化が進み、より深い議論と的確な施策立案が可能になりました。
まとめ
データビジネスは、どの業界でも大きな可能性を秘めています。一方で、活用のためには目的設定・データの整備・専門人材の確保など、入念な準備が欠かせません。特に「自社にどのようなデータがあるのか」「それをどう活用すれば成果につながるのか」を明確にしないと、膨大な情報の前に意思決定に時間がかかったり、効果的な施策を打ち出せない可能性があります。
もし「どのようにデータ活用を進めていけばよいか分からない」「途中で壁にぶつかってしまった」というお悩みがあれば、ぜひ弊社にご相談ください。ビジネス目標とデータを結びつけ、実践的な成果につなげるための支援を通じて、データビジネス成功を後押しいたします。
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マーケティングデータでどんなことができるの?データドリブンマーケティングとは?
効率的なBIツール運用を目指すには、複数のツールを併用するアプローチが効果的です。特にTableauは、他のBIツールと組み合わせることで、それぞれの強みを引き出し、より柔軟で効果的な分析運用を実現します。そこで本記事では、BIツールの基本から選定のポイント、代表的なツールの比較、さらにTableauを中心に複数ツールを併用するメリットと具体的な活用例までを詳しく解説します。
執筆者のご紹介
-名前 坂本
-所属 株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アナリスト事業部
-現在大手通信キャリア企業に常駐しアクセス解析視点でサービスのグロース支援を行っています。分析ツールではGA4、LookerStudio、BigQuery、Tableauを中心に扱い、データの抽出〜データの可視化/ダッシュボード作成を行っています。
目次
01.|BIツールとは?
BI(ビジネス・インテリジェンス)
BIツールでできること
02.|BIツール選定のポイント
スピード感のある意思決定ができるか
機能面での柔軟性や融通性はどの程度か
使う人のレベル感やニーズに合っているか
適切なコストか
03.|代表的なBIツールを比較
04.|複数のBIツールを併用するメリット
コスト最適化
効率的なデータガバナンス整備の実現
05.|複数のBIツールを併用するための3ステップ
BIを使う目的の明確化
扱う人材と組織の明確化
BI利用用途と権限ロールの明確化
06.|おすすめのBIツール併用例
「Tableau」と「LookerStudio」
「Tableau」と「Domo」
01.|BIツールとは?
01-1.BI(ビジネス・インテリジェンス)
BI(ビジネス・インテリジェンス)とは、データを効率的に収集・整理し、意思決定に役立つ形で可視化する仕組みや手法のことです。企業が膨大なデータを収集・活用できるようになった今、迅速で正確な意思決定が求められており、BIはその実現に欠かせない概念です。
01-2.BIツールでできること
BIツールはこのBIを実現するためのソフトウェアやシステムのことで、企業データの分析や可視化を支援することができます。具体的には、複数のデータソースから情報を統合し、売上や顧客動向、在庫管理などの情報をリアルタイムで把握することが可能です。また、グラフやダッシュボードを用いて直感的にデータの可視化を実現することができ、データ分析に専門知識がなくても扱いやすい点が大きな利点です。
さらに、BIツールは意思決定を加速させるだけでなく、部署間の情報共有や業務効率の向上にも貢献します。現代の競争環境で優位性を保つためには、BIツールの活用は不可欠といえるでしょう。
実際のダッシュボード例(サンプルデータをもとに作成)
02.|BIツール選定のポイント
BIツールを選ぶ際には、業務に最適なツールを選定するためのいくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。
02-1.スピード感のある意思決定ができるか
データの処理速度やリアルタイム性が高いツールであれば、迅速な意思決定をサポートすることができます。ダッシュボードやレポートの更新頻度、データを即時に反映できる機能などが重要です。
02-2.機能面での柔軟性や融通性はどの程度か
柔軟性や融通性とは例えば、さまざまなデータソースに対応しているか、複雑な分析やカスタムレポートを簡単に作成できるか、などです。また、API連携や拡張性があると、他システムとの統合もスムーズに行うことができます。
02-3.使う人のレベル感やニーズに合っているか
利用者のスキルや業務内容に合ったツールであることも大切です。直感的なインターフェースを持つツールであれば、ITスキルの少ないスタッフでも扱いやすく、全社的な活用(データドリブンの浸透)が進みます。
データドリブンマーケティングについて詳しくはこちらで解説しています→マーケティングデータでどんなことができるの?データドリブンマーケティングとは?
02-4.適切なコストか
コストパフォーマンスも無視できません。初期費用だけでなく、ライセンス料や運用コスト、将来的な拡張費用も含めて検討しましょう。コストと機能のバランスが取れたツールを選ぶことが鍵です。
これらのポイントを踏まえ、自社のニーズや目標に合致するツールを選定することで、BIの活用効果を最大化できます。
03.|代表的なBIツールを比較
以下の表は、BIツールを簡単に評価したものです。
このようにさまざまな特徴を持ったBIツールがありますが、ツールの強みや特徴を活かしつつ効率的な使い分けや併用を行い、業務のニーズに合ったBIツールを選ぶことが重要です。
04.|複数のBIツールを併用するメリット
04-1.コスト最適化
例えば、高度なデータ分析や可視化にはコストの高いTableauなどのBIツールを導入するべきですが、データの簡易な操作や現場向けのレポート作成などには、LookerやDomoなどの低コストツールで十分なケースも多いです。
そのため、影響範囲が広い戦略的な意思決定をサポートする部署や複雑なデータ分析を必要とする部署では高コストのBIツールを活用し、最低限の機能だけでも十分な部署には低コストのBIツールを導入する、といったように、BIツールを用途に応じて使い分けることでより効率的な運用をすることができます。
04-2.効率的なデータガバナンス整備の実現
また、複数のツールを併用することでデータガバナンスの整備も効率的に実現できます。異なるツールを活用することで、各ツールに適したデータ管理方法を適用しやすく、データの一貫性や正確性を保ちながら、セキュリティの強化も可能になります。これにより、業務の現場ごとのデータの扱いやすさが向上し、ガバナンスのルールも柔軟に適用できるため、全体のデータ活用環境が整備されやすくなります。
05.|複数のBIツールを併用するための3ステップ
05-1.BIを使う目的の明確化
まず、BIツールを使用する目的をはっきりさせることが大切です。例えば、ダッシュボードやレポート作成、データ分析、グロース支援など、目的によって必要なツールや機能が異なります。目的が明確であればそれに最適なツールを選定し、どのツールがどの目的に最も適しているかを判断しやすくなります。
05-2.扱う人材と組織の明確化
次に、BIツールを使う人材や組織の役割を明確にします。誰がどのツールを使うのか、どの部署が利用するのかを決めることで、ツール選定や導入がスムーズになります。また、使う人材のスキルやニーズに合わせてツールを選定することも、効果的な活用に繋がります。
05-3.BI利用用途と権限ロールの明確化
最後に、BIツールの利用用途に応じて各ユーザーの権限ロールを明確に設定することが重要です。多くのBIツールには、機能ごとに異なるユーザー権限を設定できる機能があります。例えば、データを編集できる管理者権限、分析結果を閲覧するだけの閲覧者権限など、ユーザーごとに必要な権限を割り当てることができます。これにより、データのセキュリティ強化や誤操作を防ぐことができたり、各ユーザーが必要な範囲でツールを活用できるため、ツール運用が効率的かつ安全に行えます。
06.|おすすめのBIツール併用例
06-1.「Tableau」と「Looker Studio」
弊社支援事例:BIツール併用導入でデータ民主化を推進(EC事業会社)
データ活用文化を根付かせるには、運用ルールやデータ基盤の整備が不可欠です。あるEC事業会社では、データの可視化やダッシュボード作成に課題を抱え、以下の問題が浮き彫りになりました。
- 各部門で独自のデータ管理が行われていることによる統一性の欠如
- データの質が十分に担保されていないことによる分析精度への影響
- ツール導入の教育不足による運用効率の低下
そこで以下のような施策を実施しました。
- 組織運営の見直し:データ管理体制を再構築し、経営視点での指標統一することで、組織全体でのデータ活用方針を明確化。
- BIツールの活用推進:Looker Studioでは日常業務の分析を行い、Tableauでは高度な可視化を提供するというように、データ可視化の目的別にツールの役割分担を行い、分析体制を整備。
- 教育と運用の効率化:利用者向けに運用ルールを明確化し、ツール利用のトレーニングを実施。各部門が自律的にデータを活用できる環境を構築。
これらの取り組みにより、データ品質の改善と分析業務の効率化が実現されました。さらにデータ民主化の基盤を整え、組織全体でのデータ活用が推進されました。
06-2.「Tableau」と「Domo」
弊社支援事例:BI環境のスリム化とデータガバナンス強化(金融関連企業)
複数のBIプラットフォームを導入しても、運用ルールが整備されていなければ、データ活用の足かせになることがあります。とある金融関連企業では、TableauとDomoを併用していましたが、乱立したダッシュボードや重複タスクが原因で効率低下と運用負荷が発生していました。
そこで、状況を解消するため以下のような施策を実施しました。
- 乱立したダッシュボードの整理:不要なダッシュボードを削除し、パフォーマンス性を向上。
- タスクの効率化:タスクの棚卸をし、運用負荷を軽減。
- 権限管理の一元化:利用者ごとに適切なアクセス権を設定し、セキュリティを強化。
これにより、現場の混乱を解消し、安全かつ効率的にBIツールを活用できる環境をわずか2か月で構築しました。結果、データ活用の生産性が大幅に向上し、運用の安定性も確保されています。
まとめ
BIツールを効率的に活用するためには、用途に応じたツールの使い分けが重要です。
Tableauをはじめとする高度な分析・可視化機能を持つツールと、Looker StudioやDomoなどの低コストで直感的なツールを組み合わせることで、コスト最適化や業務効率化を実現できます。また複数のツールを併用することで、データガバナンスの整備も進み、各部門でのデータ活用促進にもつながります。反対に、1つのツールだけを導入することが、組織のニーズにマッチしている場合もあります。
導入する際には目的を明確にし、組織のニーズに合ったツール選定と、権限管理を適切に行うことが大切です。柔軟なツールの活用を進めることで、より効果的なデータ分析環境を整備し、企業全体のデータドリブン文化を醸成することができます。
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アクセス解析とは?実際のデータ活用のステップと実例を紹介します