一般社団法人生成 AI 活用普及協会(GUGA)主催の「GenAI HR Awards 2025」にて、カンパニー社長の白井恵里が一般社団法人 Generative AI Japanの理事として会場審査員を務めます。

【「GenAI HR Awards 2025」概要】

<エントリー概要>

■エントリー対象:各部⾨の要件を満たす企業や教育機関、公共機関
■エントリー費⽤:無料
■エントリー期間:2025年7⽉1⽇(⽕)〜7⽉31⽇(⽊)
■詳細:GenAI HR Awards 2025 公式Webサイト

<会場審査概要>

■開催日時:2025 年 10月 9日(木)12:00-18:00
■会場 :幕張メッセ(NexTech Week 2025【秋】第 6 回 AI・人工知能 EXPO 内)

審査員紹介

白井 恵里(しらい えり)

株式会社メンバーズ 執行役員
兼 メンバーズデータアドベンチャーカンパニー社長

東京大学を卒業後、株式会社メンバーズへ入社。
大手企業のオウンドメディア運用、UXデザイン手法での制作や、デジタル広告の企画運用に従事したのち、2018年11月に社内公募にてメンバーズの子会社(現、社内カンパニー)社長として株式会社メンバーズデータアドベンチャーを立ち上げ。
データアナリスト、データサイエンティスト、データエンジニアなどデータ領域のプロフェッショナルの常駐により企業のデータ活用を支援し、顧客ビジネス成果に貢献するサービスを提供。
2020年10月から株式会社メンバーズ執行役員兼務。現在カンパニーに所属するデータ分析のプロフェッショナルは約150名。
2024年、一般社団法人Generative AI Japan立ち上げに伴い、理事就任。
X @EriShirai

DXを推進する企業にとって「内製化」は避けて通れないテーマです。本記事では、DX内製化のメリット・デメリット、具体的な実践ステップ、成功のための戦略、そして実例を通じて、競争力強化のための道筋を示します。特に、弊社(メンバーズデータアドベンチャー)での社内DX推進の取り組みをベースとした事例を紹介しています。

執筆者のご紹介

名前:山本 和音
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャー サービス開発室
業務内容:データストラテジストとして、データ基盤の開発や生成AIの業務適用に注力。ビッグデータ解析、レポーティング、自動化ツールの開発を担当。最近は生成AIを活用した業務効率化とデータ利活用の新たな可能性を探求中。

「データはあるのに、活かせない」を解決しませんか?

多くの企業がDXを掲げる一方、「データをどう事業成果に繋げるか」という最も重要な壁に直面しています。データ基盤を整えても、そこからビジネス価値を生み出せなければ意味がありません。
弊社は、データ領域のプロフェッショナル人材の提供により、お客さまのステージに合ったデータ活用~定着を継続的に支援します。
関連資料:DX×データ活用で組織と事業を推進!

01.なぜ今、DXの内製化が重要なのか?

 01-1.DXの内製化とは?

DX内製化とは、外部ベンダーに依存せず、企業自らがデジタル技術を活用して業務やサービスを変革する体制を築くことです。これにより迅速な意思決定と柔軟な対応が可能になります。

 01-2.ベンダーロックインの課題とDXの内製化の必要性

ベンダーロックインとは、一度導入した外部システムやサービスに依存し、抜け出せなくなる状態です。このような状況では、追加開発や仕様変更にコストや時間がかかるうえ、柔軟な改善ができず、競争環境の変化に対応しきれなくなるリスクも生じます。内製化を進めることにより、技術や運用ノウハウを社内に蓄積し、外部依存から脱却することが競争力の維持・強化に直結します。

02.DXの内製化のメリット・デメリット

 02-1.メリット

 02-2.デメリット

03.DXの内製化を成功させるための実践ステップ

 03-1.目的の明確化と仮説設定

まず最初に行うべきは、内製化を進める「目的」と「背景」の明確化です。単なるコスト削減だけでなく、業務効率化、スピードの向上、データ活用力の強化など、企業ごとの課題に即した動機付けが必要です。
次に、経営層の合意形成を図るため、目的に基づく仮説を立て、成果目標やKPIを設計します。ここで重要なのは、業務プロセスや組織構造を俯瞰した上で、内製化によってどのような変化が起きるのかを見通すことです。これがプロジェクトの道しるべとなります。

 03-2.スモールスタートと成功事例の積み重ね

いきなり全社展開を目指すのではなく、小さく始めてスピーディに成果を出す「スモールスタート」が鉄則です。たとえば、社内に散在するExcel業務の自動化、定型レポートのBI化といった、インパクトが大きく実現可能性の高い領域から着手します。
初期フェーズでは、「早く・小さく・効果的に」結果を出し、社内の信頼を得ることが大切です。その上で、得られた成功事例を社内へ展開し、ナレッジとして共有します。これが組織的な内製文化の醸成に寄与します。

 03-3.外部パートナーとの連携

内製化とはいえ、すべてを社内で完結する必要はありません。むしろ、初期段階では外部の知見を取り入れた方がスムーズに進むケースも多くあります。
内製化可能な領域と外注すべき領域を明確に分け、無理なく着実に内製化を推進できます。また、現場メンバーへのスキルトランスファーを通じ、将来的に自走可能なチーム体制を構築することも可能です。

 03-4.効果測定と改善

最後に欠かせないのが、継続的な効果測定と改善です。定期的にKPIをモニタリングし、成果を可視化することで、経営層への報告や現場のモチベーション維持に役立ちます。
また、PDCAサイクルを回すことで、課題の早期発見と改善が図れ、プロジェクトの品質とスピードを両立できます。単なる一時的な取り組みで終わらせず、「継続的な内製化文化」を企業に根付かせることが重要です。

04.DXの内製化を成功させるための戦略とポイント

DX内製化を企業に根付かせるには、「人材」「技術」「組織」という三位一体の戦略が欠かせません。それぞれの視点から、実効性のある取り組みポイントを整理します。

 04-1.人材戦略:スキルとマインドを持った人を育てる

内製化の第一歩は「人材」の確保と育成です。外部ベンダーに頼らず、自社でプロジェクトを遂行できるスキルを持ったメンバーの存在が不可欠です。
まず、データ分析やシステム開発、クラウド、AIなどのスキルを持つ人材を採用するとともに、既存社員への教育・育成体制にも力をいれることが重要です。OJTや社内勉強会、社外研修などを活用し、「学びながら実践する」文化を醸成します。
また、内製化にはマインドも重要です。自ら学び、課題を主体的に解決していく姿勢を持ったメンバーが活躍します。内製化を担う人材が孤立しないように、チーム化してノウハウを共有する体制を整えましょう。

 04-2.技術戦略:拡張性・保守性の高いアーキテクチャ設計

次に必要なのは「技術戦略」です。単なるツール導入ではなく、将来的な拡張性と保守性を見据えた技術選定とアーキテクチャ設計が求められます。
たとえば、ローコード/ノーコードツールやGCP、AWS、Azureなどのクラウド基盤は、コストや開発速度の面で優位です。重要なのは「どの技術を選ぶか」だけでなく、「誰が使えるか」「誰が保守できるか」です。
さらに、セキュリティやガバナンス、データ品質など、運用フェーズを意識した技術設計が必要です。内製化が進むほど、開発の自由度は上がる反面、標準化・ルール化しなければ属人化のリスクが増大します。

 04-3. 組織戦略:経営層の支援と文化づくり

最後に重要なのが「組織戦略」です。どれだけ優秀な人材や技術があっても、組織がそれを後押ししなければ内製化は定着しません。
経営層が内製化の意義を理解し、継続的な支援を約束すること。さらに、現場主導の自走を促すための権限委譲と失敗を許容する文化づくりが重要です。
また、横断的な情報共有の仕組み(ナレッジ共有、振り返り、失敗事例の共有など)を整備することで、組織内に内製文化を根付かせることができます。

05.完全内製化に成功した弊社事例:人材リソース可視化基盤の構築

<背景と課題>

弊社では、社内の人材情報とマーケティング情報が複数のスプレッドシートに散在しており、統一されたデータ管理が行えないという課題を抱えていました。部署ごとに管理が分かれ、情報の整合性を取るのに多大な時間がかかっていたほか、現場からは「全体を俯瞰したい」「更新のたびに連携ミスが起きる」といった声も上がっていました。

<プロジェクトの特徴>

このプロジェクトは、弊社サービス開発室のメンバーのみで構成され、完全に内製で進行された点が最大の特長です。さらに、特定の外部可視化サービスや高額なSaaSに依存することなく、汎用性の高いGoogleCloudと無償・社内リソース中心の技術スタックを用いて構築されました。

<取り組み内容>

以下の構成に基づき、Googleスプレッドシート → GoogleCloud → Looker Studioという一連の流れを自動化し、日々の業務で使えるダッシュボードとして運用可能にしました。

<成果と効果>

<今後の展望>

この仕組みは、現在別部署や他プロジェクトへの横展開が進められており、「社内DXの共通基盤」としての可能性を広げています。今後は、生成AIの活用やより高度な分析機能の内製追加など、さらなる進化を視野に入れています。

まとめ

DXの内製化は、コスト削減やノウハウ蓄積に加え、外部依存からの脱却によって企業の競争力を高めるための有効な手段です。ただしその実現には、人材確保や体制構築など、計画的な取り組みが必要です。本記事で紹介したステップと戦略を参考に、自社に合った内製化の道筋を描き、必要に応じて外部の力も借りながら取り組むことが成功への鍵となるでしょう。
「内製化を進めたいがどこから手を付けてよいか分からない」──そんなお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。貴社のフェーズやリソース状況に応じて、最適な伴走支援をご提案いたします。
メンバーズデータアドベンチャーでは、こうした内製化の推進を伴走型で支援するサービスをご提供しています。データ活用基盤の構築から、実践的なスキルトランスファーによる人材育成支援まで、貴社の課題に応じた最適な支援体制を構築します。まずはお気軽にご相談ください。
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ベネッセ、メンバーズ、生成AI活用の先駆者が語るデータマネジメントの重要性と未来

部門ごとに情報が分断され、必要なデータがすぐに見つからない。そんな「情報のサイロ化」は、今や多くの企業で深刻な課題です。この記事では、データの利活用をどのように加速させていくのかを、情報の一元化という観点からお伝えします。データの利活用においては、ただデータを用意し分析するだけではなく、活用しやすい環境を整備することも重要な要素です。

執筆者のご紹介

名前:阿曽
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アカウントマネジメント室
普段は主にデータ分析基盤の開発・運用を行っています。最近は、データマネジメントの視点から、メタデータ整備のためのデータカタログシステムの導入にも従事し、分析担当者のデータ利活用をサポートしています。

「データはあるのに、活かせない」を解決しませんか?

多くの企業がDXを掲げる一方、「データをどう事業成果に繋げるか」という最も重要な壁に直面しています。データ基盤を整えても、そこからビジネス価値を生み出せなければ意味がありません。
弊社は、データ領域のプロフェッショナル人材の提供により、お客さまのステージに合ったデータ活用~定着を継続的に支援します。
関連資料:DX×データ活用で組織と事業を推進!

01.情報のサイロ化と一元化とは?

 01-1.情報のサイロ化の定義と具体例

情報のサイロ化とは、組織内の各部門やチームが持っているデータが他部門と共有されていない状態を指します。例えば以下のようなケースでは情報のサイロ化が発生しているといえます。

 01-2.組織における情報のサイロ化の弊害

このような情報のサイロ化は、知っていれば未然に防げたトラブルによって手戻りが発生してしまったり、社内での情報収集に時間がかかってしまったりなど、業務効率の低下につながります。業務効率の低下はそのままプロジェクトの進捗や意思決定を遅らせてしまい、ビジネスへの悪影響を及ぼします。
また、データ活用においても、情報のサイロ化は以下のような理由から障壁となってしまいます。

 01-3.なぜ情報のサイロ化が起きるのか

情報のサイロ化が起きてしまう要因としては、主に組織構造によるものとシステム設計によるものの2つが挙げられます。

部門間で連携がうまく取れていないと情報のサイロ化が発生しやすくなります。
これは縦割り組織のような構造の中で連携がうまく取れていないケースや、「この部門にお願いしてもきちんと対応してくれない」など部門間の関係性に起因する場合もあります。

各部門が別々のシステムを導入している場合、それらのシステムは各部門に最適化されています。
これによりデータ自体も各部門およびシステム向けにカスタマイズされていることが多く、仕様もバラバラとなり共有することが難しくなってしまいます。

 01-4.情報の一元化とは?

組織の情報を部門やチームを問わず、1箇所に集約・管理する「情報の一元化」を行うことで、これらの課題を解決することが可能です。
情報の一元化とは、全員が同じ場所から同じ情報を利用できるようにすることを指します。これにより組織内での情報の所在が明確になり、サイロ化の防止、業務効率化やデータ利活用の促進につながります。

02.情報の一元化で得られるメリット

 02-1.脱サイロ化による部門間連携の強化

情報の一元化を行うと、各部門が同じ情報を通じて業務を進められるため、認識齟齬やそれによる手戻りが減少します。共通認識のもと迅速な協働が可能になり、部門間のコミュニケーションの促進も期待できます。
例えば営業、マーケティング、商品開発の部署がリアルタイムに顧客情報を共有することでサービス品質の向上がスムーズに行われるようになります。複数の部門を横断したプロジェクトにおいても情報が1箇所に集約されるため連携体制が強固になり、プロジェクトの成功に大きく貢献します。

 02-2.情報共有のスピードアップと質向上

情報源が一つに集約されていることで、必要な情報の所在が明確になり、情報探しや確認作業にかかる時間が削減されます。また、一元管理された情報に対して責任を明確化し、定期的にメンテナンスすることで、常に最新かつ正確な情報が共有されるようになります。これにより、古い情報や誤った情報による混乱を防止できます。従来は情報を更新した後、各部門へ展開・共有する手間がありましたが、今後は所定の箇所を更新するだけで済むようになり、メンテナンス負担の軽減も期待できます。

 02-3. データ活用による意思決定の迅速化と高度化

情報の一元化により、部門をまたいだ多角的なデータ分析が可能となります。営業成績・顧客動向・市場データなどを統合し、可視化することでトレンドや課題の早期発見につながり迅速な対応が可能となります。
従来のように情報がサイロ化されていると、各部門からの情報取得に時間がかかり、総合的な判断が難しい状況に陥りがちでしたが、一元化によりそれが解消され、迅速かつ精度の高い意思決定が実現します。
さらに分析するデータそのものに加え、データの使用や分析におけるナレッジも一元化することでデータ分析自体の高度化にもつながります。

03.一元化すべきデータ、すべきでないデータ

 03-1.一元化すべきデータ

情報の一元化は業務効率化や意思決定の迅速化にとても有効である一方、すべてのデータを一元化すればよいというわけではありません。ここではまず一元化すべきデータについてご説明します。

  1. 意思決定に関わるデータ
    経営層や管理職など、複数部門にまたがる関係者が参照する必要があるため、一元化するメリットが大きいデータです。個別管理による重複や齟齬の発生を防ぐことができます。顧客情報、製品仕様、KPI、予算、実績データなどがこれに該当します。
    ただし、各事業部ごとに売上データの閲覧範囲の制限が必要な場合もあるため、必要に応じてアクセス権による制御が求められるケースも存在します。

  2. ナレッジやドキュメント
    これらの情報を一元化することで再利用性や学習効果を高め、全社的な業務効率化につながります。マニュアルや社内規定、QAなどがこれに該当します。

 03-2.一元化すべきでないデータ

一方で以下のような個人的なデータや、秘匿性の高いデータは一元化すべきではないものとして挙げられます。

  1. 個人のメモや一時的な作業用ファイル
    これらのデータを一元化に含めてしまうとノイズが増え、情報の検索性が低下してしまう恐れがあります。下書きメモや個人のTODO、個人用に作成したテーブルなどがこれに該当します。

  2. プライバシー保護の観点から機密性の高いデータ
    限られた人しか閲覧すべきでない情報や、漏洩リスクの高いデータの一元化には慎重さが必要です。一元化する場合は厳格なアクセス権の設計が不可欠です。人事評価、給与情報、顧客の個人情報などが該当します。

  3. 法的に公開してはいけないデータ
    法令や契約上の制約により、社内全体で共有できないデータも存在します。このようなデータは一元化せず、限られた範囲での管理が求められます。顧客との契約情報や法務対応に関する文書などがこれに該当します。

     03-3.データ特性に応じた管理方法

    一元化を進める際は、データの特性に応じた適切な管理が不可欠です。
    社内で広く共有すべき情報がある一方で、機密性の高い情報や法的制約のある情報も存在するため、アクセス権の設計が重要なポイントになります。これにより情報の一元化のメリットを享受しつつ情報公開によるリスクを最小限に抑えることが可能です。

    04.情報の一元化を実現するためのステップ

     04-1.具体的な手順

    ここでは、情報の一元化によってデータの利活用を促進するためのアプローチについて解説します。
    一元化には主に以下の3ステップでの段階的な進め方が効果的です。

    1. 現状把握と方針の明確化
      まず、各部署で扱っているデータについての棚卸を行い、「どのデータが、どこに、どのような形式で存在しているのか」を整理します。複数の部門での利用や重複を確認するとともに、データの用途や分析目的を明確化しましょう。各部門の主要KPIや分析の切り口(部門別、取引先別など)を明確化すると、今後の設計がスムーズになります。

    2. ツール選定と基盤構築
      次に情報を一元管理・共有するためのツールを選定し、データを集約する基盤を構築します。
      ステップ1で策定した方針に沿って、ツールを選定しましょう。様々なデータソースから取得したデータを1箇所に集約し、分析用途のデータは、このタイミングで最低限のデータクレンジング(欠損値の補完や単位や型の統一)を行うと、その後の広い活用に効果的です。可視化ツールも統一することで、組織全体で同じ指標に基づいて意思決定を行えるようになります。更新頻度やアクセス権限などの運用ルールについても併せて整備します。

    3. PDCAを回す
      最後に、継続的な活用と改善サイクルを構築します。
      まずは、一部の部門からスモールスタートを行うなどして、利用状況の確認や利用者からのフィードバックをもらいましょう。そこで得られた課題を改善するとともに徐々に組織全体に拡大させることで一元化を進めましょう。一度一元化をしたら終わりではなく、データの管理方法や運用ルールの見直しを継続的に実施することで情報の一元化の恩恵を最大限に活かすことができます。

     04-2. ツール選定のポイント

    1. データの統合のしやすさ
      様々なデータソース(CRMシステム、MAツール、データベース、ドキュメント)と連携ができるかどうかは、ツール選びで重要なポイントとなります。複数の部門で分断されているデータの一元化には、柔軟な接続性が求められます。

    2. スケーラビリティ
      現時点のデータ量だけでなく、今後の拡張にも対応できるかを見極めましょう。特に大量データを扱う場合には、クラウド型のデータウェアハウス(例:BigQuery、Snowflakeなど)の活用が効果的です。自動でリソースを拡張でき、パフォーマンスの低下を防げます。

    3. アクセス制御とセキュリティ
      誰がどのデータにアクセス・編集できるかを細かく管理できる機能が必須です。アクセスログの取得やデータの暗号化に加え、社内の認証基盤と連携したSSO(シングルサインオン)対応も重要な検討要素となります。

    4. 操作性・使いやすさ
      情報の一元化は全社的な活用を前提とするため、直感的に操作できるかどうか、学習コストが低いかといった視点も重要です。高機能なツールであっても、現場で使われなければ意味がありません。自社のリテラシーレベルに合ったツールを選ぶことが成功の鍵です。

    5. コストおよび導入・運用負荷
      初期導入にかかる費用や運用コスト(月額課金やユーザー数や処理スペックによる従量課金などの価格体系)が適正かどうかも重要なポイントです。一元化されたデータの管理を社内で行うのか社外に依頼するかも判断が必要になる場合があります。費用対効果を意識して取り組まなければ継続的な取り組みが行えなくなってしまうというリスクがあるのでしっかりと確認しましょう。

    05.弊社における情報の一元化の取り組み事例

     05-1.【食品業界】複数事業会社におけるデータマネジメントの一元化支援

     05-2.【アパレル業界】データを一元化し顧客ニーズの把握が可能に

    弊社事例について詳しく知りたい方はこちら導入事例 | メンバーズデータアドベンチャー

    【プレスリリース】データ活用における生成AI導入・活用支援サービスを提供開始 データ抽出・集計・本番移行の作業時間を8割削減

    データ活用における生成AI導入・活用支援サービスを提供開始 データ抽出・集計・本番移行の作業時間を8割削減

    弊社にて、SQLによるデータ抽出・集計・本番移行作業に生成AIを導入したところ、一連の作業にかかる時間が月120時間から月24時間にまで短縮され、作業時間を8割削減できたという結果が出ています。
    サービスの提供を通じて、企業のデータ活用における業務効率化と高度化、内製化の実現に向けた支援を加速させていきます。

    プレスリリースの詳細についてはこちらから

    まとめ

    この記事では、データの利活用を加速させる手段として「情報の一元化」について解説しました。情報のサイロ化は、組織内のデータが部門間で共有されず、業務効率や意思決定に悪影響を及ぼします。社内でのデータ活用をより促進していく環境を整えるために、情報の一元化は効果的な手段となりえます。一元化により、部門間連携が強化され、情報共有のスピードと質が向上し、迅速かつ高度な意思決定が可能になります。顧客情報や製品情報など一元化すべきデータがある一方で、個人情報や機密情報は慎重に扱う必要があります。現状把握、ツール選定、PDCAサイクルの確立を行うことで情報の一元化を実現し、組織の全体の業務効率化だけではなくデータの活用を通して高度な意思決定ができれば大きな成果となるでしょう。

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    なぜ多くの企業がデータ分析に失敗するのか?成功の鍵とその対策

    近年、マーケティング環境は急速に変化・複雑化しており、企業にとってはデータを活用した迅速な意思決定が不可欠となっています。
    こうした背景の中で注目されているのが「BIツール(ビジネス・インテリジェンスツール)」です。
    本記事では、マーケティング分野におけるBIツールの導入メリットや活用方法に焦点をあて、施策の効果を最大化するためのポイントを解説します。

    執筆者のご紹介

    名前:大塚
    所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アカウントマネジメント室
    業務内容:現在製薬会社に常駐し、数十個あるTableauレポートの保守・運用や新規レポート開発業務を担当。
    経歴:新卒で株式会社メンバーズに入社後、ディレクターとしてLP設計、メルマガ作成などのマーケティング業務に従事。
    2年目半ばにデータアドベンチャーカンパニーへ異動し、BIツールを中心に学習を実施。スポット案件を経て現在の業務に至る。

    BIツールがうまくいかない原因、実は「データ」そのものかも

    【マネージャー・リーダー向け】"業務に活きる"BIツール活用術-データ分析の全体像-

    TableauやPower BIは強力なツールですが、
    「元のデータ」が整理されていなければ真価を発揮できません。
    ✔️綺麗なグラフが作れない」
    ✔️「分析が次に繋がらない」
    といった課題の根本原因と解決策を、
    本動画で現役データサイエンティストが体系的に解説します。

     無料で動画を視聴する ⏯ 

    01.BIツールがマーケティングを変える?

     01-1.BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールとは

    BIとは、「Business Inteligence(ビジネス・インテリジェンス)」の略で、企業や組織が持つ膨大かつ多様なデータを、収集・蓄積・加工・可視化・分析し、データに基づいた意思決定を行うことを指します。
    BIツールとは、このプロセスを支援するために活用されるITツールであり、特にデータの可視化やレポーティング、ダッシュボード化に優れています。マーケティング分野においても、施策の効果を定量的に把握し、迅速な改善に繋げるための基盤として、BIツールの重要性が高まっています。

     01-2.近年のマーケティング環境の変化とBIツールの必要性

    1. 消費者ニーズの多様化・高度化
      多くの市場において製品やサービスが成熟し、消費者は価格や品質だけでなく自身の感性に合うかどうかなど、従来品に更なる価値を求め、多様化・高度化しています。また、年齢・性別・ライフスタイルはもちろんのこと、特定の消費者の中でも生活の場面ごとにニーズは変化します。
      結果として企業間では競争が激化し、価格競争や顧客への対応などにおいてスピード感をもった施策運用と、その結果の可視化・改善がより強く求められています。

    2. 社会構造の変化
      少子高齢化、人口減少、地方格差の拡大、働き方改革、サステナビリティ志向の加速など、社会構造の変化が近年急激に進んでいます。こうした変化の中では、これまでにない課題に直面する機会が増え、こうした変化に柔軟に対応するには、過去の経験だけでなく、データに基づいた予測と即応性が不可欠です。

    3. IT技術の進化
      クラウドやIoTなどの発展により、企業が扱うデータ量は飛躍的に増加しました。
      「ビッグデータ」を処理するための様々なツールやサービスの性能も向上しており、現在・過去における顧客の傾向だけではなく、未来の顧客に対する予測も可能です。「ビッグデータ」の活用によるマーケティング戦略の策定や分析が不可欠と言える時代に突入しています。

     01-3.参考:MA(マーケティングオートメーション)ツールとの違い

    BIツールは、社内外のデータを統合・分析し、ビジネス全体の現状把握や意思決定を支援します。過去のデータから「何が起きたか」を分析し、経営戦略に役立てるツールです。

    一方、MA(マーケティングオートメーション)ツールは、見込み客の獲得から育成まで、マーケティング活動を自動化・効率化することに特化しています。「誰に、いつ、何を」送るべきかをデータに基づいて判断し、実行するツールです。

    簡単に言えば、BIツールは「分析して判断」、MAツールは「分析結果で自動実行」と役割が異なります。

    02.マーケティングにおけるBIツール導入のメリット

     02-1.顧客体験のパーソナライズ高度化

    顧客関係システムであるCRMツールやGA4などのアクセス解析ツール、営業関連のSFAツールなど、様々なシステムに散在している顧客関連のデータをBIツールを用いて1か所にまとめることで、より詳細に顧客の動向や興味関心などを分析することができます。
    こうすることで、より正確かつ詳細に顧客をセグメンテーションすることができ、各セグメントに合わせたマーケティング施策を実行した際に、顧客体験の向上が見込めます。

    例としては、CRMツールが持つ顧客のデモグラフィック情報とアクセス解析ツールが持つサイト上での行動情報を収集し組み合わせることで、顧客の属性と行動パターンの両面からのセグメンテーションが可能になり、顧客ごとの関心や購買意欲に応じたコミュニケーション施策を設計できる、といったことが挙げられます。

     02-2.予測分析によるマーケティング戦略の最適化

    BIツールの中には、AIなどを用いた予測分析機能を備えているものも多くあります。こうした機能を用いることで、これまでの傾向から導かれる将来予測を可視化、分析することができます。
    また、高度な機能としてBIツールにPythonなどのプログラミング言語を読み込ませることができるものも存在し、機械学習を用いたより複雑で精緻な予測を実行して可視化することも可能です。
    こうした機能により、売上の将来予測や顧客のLTV(顧客生涯価値)の算出などが可能となります。
    未来を見据えながら事前に様々な戦略や施策を打つことで、マーケティング戦略の成果最大化に寄与します。

     02-3. 意思決定の迅速化

    BIツール導入の大きなメリットとして、分析業務の簡略化・効率化による意思決定プロセスの迅速化が挙げられます。
    BIツールは様々なデータを収集することができ、従来複数の部署によってそれぞれ管理されていたデータをまとめることで、データが必要なときにすぐアクセスできるようになります。
    そして、BIツールで可視化された情報は、直感的に現状を把握し、トレンドや異常値といった情報収集を素早く行うことを可能にします。
    さらに、可視化したレポートの更新や共有は自動化することができるため、工数の削減や意思決定者への情報共有も即座に行うことができます。
    このように、データの収集~分析・意思決定までのプロセスを効率化することで、マーケティングにおけるPDCAの高速化も可能とし、流れの早いマーケティング環境における柔軟な対応に貢献します。

    03.BIツール活用のステップ

     03-1.目的と課題を明確にする

    BIツールを活用するにあたっては、まず現状の業務上の課題と目標を整理し、明確にする必要があります。
    この部分が曖昧なままでは、適切なBIツールの選定・運用ができず、余分な費用や工数がかかってしまうリスクがあります。
    例えば、「BIツールを使ってデータドリブンな戦略策定を行う」といったようなBIツールを使うこと自体が目的化した曖昧な状態のまま導入を進めてしまうと、実際に施策を実行する担当部署へのヒアリングが不十分のままとなってしまい、結果的に課題を解決できなかったり、使われなくなってしまったりといった結末もありえます。
    そのため、「〇〇のKPIの確認がいつも遅くなり、次の施策決定に時間がかかってしまうため、この指標をリアルタイムで確認できるようにしたい」といったように、きちんと業務上の課題を定義した上で、BIツールの活用により達成したい目的・目標を設定することが重要です。

     03-2.自社に合ったBIツールを選定する

    BIツールによって得意とする部分はそれぞれ異なります。
    そのため、BIツールの選定の際には、前述した目標を明確化することに加えて、予算やユーザーとなる担当者の使いやすさ、活用したいデータが現在どのように管理されているかといった現状をしっかりと把握することが重要です。
    例えば、現状のデータが主にExcelなどで管理されており、SharepointなどのOffice製品と接続して可視化を行いたい場合には、同じMicrosoft製品であるPowerBIが第一候補になるでしょう。一方、多様なデータソースに接続しつつ、分かりやすく多彩な表現を行いたい場合には、Tableauが候補となるかもしれません。
    それぞれのBIツールの強みや活用方法については、下記でも詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

    関連:データを可視化!BIツール導入によるデータドリブンの促進

     03-3.データ基盤を整備する

    使用したいデータが多岐にわたる場合には、データ基盤の整備も検討することをおすすめします。
    BIツール単体でも複数のデータソースからデータを収集することは可能ですが、データソースの種類が多くなるとデータの粒度や定義の違いが出てきてしまい、データの品質を担保することが難しくなります。
    そこで、データ基盤を整備して、必要なデータを事前に統合・集約しておくことで、共通の定義の下でデータを扱えるようになり、整合性や品質を担保しやすくなります。
    また、必要なデータだけを一元的に管理することで、BIツールのパフォーマンスが安定化するといったメリットもあります。
    結果的に分析や意思決定の基盤としての信頼性向上にもつながるので、データ基盤の整備は重要となります。

     03-4.スモールスタートで導入し、徐々に拡大する

    BIツール活用の初期段階では、いきなり全社展開するのではなく、特定のプロジェクトなどの小規模単位からスタートするのが効果的です。
    BIツールを全社や部門全体でいきなり使い始めると、成功事例が確立されていない中での運用となるため、上手く業務と適合せず使われなかったり、費用対効果が見合わなかったりといった結果になりやすいです。
    そのため、まずは特定のプロジェクトでスタートし、仮説ベースで設計を行い、細かく検証と改善を繰り返して完成度を高めつつ、小さな成功・成果を積み重ねます。その後培ったノウハウを展開しながら他のプロジェクトや部門にも拡げていく、というプロセスを取ることをお勧めします。

     03-5.データ分析スキルを持つ人材を育成する

    BIツールを用いて可視化するレポートは、誰が見ても分かりやすいものを目指しますが、その構築や活用には、BIツールの操作はもちろんのこと、データの構造やその表現方法について熟知した人材の育成が不可欠となります。
    社内全体のリテラシーを向上させたいのであれば、講師となる専門家を招き社内研修を行うことも有効です。
    また、特定の担当者を任命してそのスキルを向上させる場合は、外部研修に赴かせたり、書籍や資格取得などを通じたインプットを行い、その後上述したようなスモールスタートでのプロジェクトでアウトプットを行いながら実践的なスキルを養成していくような流れも考えられます。
    こうして育成した人材を中心に社内のリテラシーを向上させることで、より自社の環境や文化に寄り添いながら、分析人材を拡充することもできるでしょう。

    04.【成功事例】マーケティングにおけるBIツール活用

     04-1.【スポーツ業界】CDPマーケによるデータライフサイクルの仕組み化

     04-2.【サービス提供企業】マーケット分析や販売の方針策定へ貢献するBIツール導入

     04-3. 【小売企業】新規出店のための商圏分析

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    まとめ

    データの可視化と多角的な分析を通じて、マーケティング戦略の精度とスピードを高めるBIツールは、変化の激しい市場環境において、企業の競争力と持続的成長を支える重要なインフラです。
    ただし、その導入は一朝一夕で成功するというものではありません。現状の課題とボトルネックを整理し、明確な目標を設定したうえで、自社の業務に適したツールを選定し、段階的に展開していくことが、成功への近道です。
    今後データ利活用の重要性がますます高まっていく中で、適切なBIツールの活用もまたマーケティングをしていく中で“当たり前の基盤”となっていくことでしょう。確かな準備と運用体制の構築を通じて、データドリブンなマーケティングを着実に実現していくことが求められています。

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    データを可視化!BIツール導入によるデータドリブンの促進

    2025年8月27日(水)~28日(木)に開催される、株式会社アイスマイリー主催『AI博覧会 Summer 2025』にカンパニー社長の白井恵里が登壇します。

    登壇概要

    【AI博覧会 Summer 2025概要】

    ■登壇セッション:生成AI活用の展望と、ROIが出る業務実装のポイント
    ■セッション概要:生成AI・AIがこれからのビジネスにどう関わってくるのか、どのように業務への実装を進めるべきかポイントと事例をご紹介。

    ■日時:2025年8月28日(木)15:00~15:40
    ■場所:東京国際フォーラム ホールE
    ■参加費:無料 ※要参加登録
    ■詳細:AI博覧会Summer2025

    登壇者紹介

    白井 恵里(しらい えり)

    株式会社メンバーズ 執行役員
    兼 メンバーズデータアドベンチャーカンパニー社長

    東京大学を卒業後、株式会社メンバーズへ入社。
    大手企業のオウンドメディア運用、UXデザイン手法での制作や、デジタル広告の企画運用に従事したのち、2018年11月に社内公募にてメンバーズの子会社(現、社内カンパニー)社長として株式会社メンバーズデータアドベンチャーを立ち上げ。
    データアナリスト、データサイエンティスト、データエンジニアなどデータ領域のプロフェッショナルの常駐により企業のデータ活用を支援し、顧客ビジネス成果に貢献するサービスを提供。
    2020年10月から株式会社メンバーズ執行役員兼務。現在カンパニーに所属するデータ分析のプロフェッショナルは約150名。
    2024年、一般社団法人Generative AI Japan立ち上げに伴い、理事就任。
    X @EriShirai

    この記事では、企業活動におけるビッグデータを用いたDXがなぜ重要視されているのか、DXとビッグデータの概要も踏まえ、以下のステップで解説します。

    執筆者のご紹介

    名前:高田 明志
    所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アカウントマネジメント室
    業務内容:大手通信サービス企業に常駐。スマホアプリの新機能評価の為の分析要件に沿った分析ログの設計、データマートの作成やLooker用可視化クエリ(LookML)の作成。
    経歴:独立系SIer企業にて損害保険会社の契約管理システムの保守開発業務に従事。2023年7月よりメンバーズ株式会社に入社。

     

     

    「データはあるのに、活かせない」を解決しませんか?

    多くの企業がDXを掲げる一方、「データをどう事業成果に繋げるか」という最も重要な壁に直面しています。データ基盤を整えても、そこからビジネス価値を生み出せなければ意味がありません。
    弊社は、データ領域のプロフェッショナル人材の提供により、お客さまのステージに合ったデータ活用~定着を継続的に支援します。
    関連資料:DX×データ活用で組織と事業を推進!

     

    01.DXとビッグデータの概要

     

     01-1.DXとは?

    「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセス、文化等を変革することを指します。例えば、従来の紙ベースの業務をデジタル化して業務効率を向上させたり、顧客体験を向上させたりします。DXは、単なるITツールや技術の導入にとどまらず、企業全体の価値を高めるための戦略的な取り組みです。今の時代、競争が激化している中で、DXを進めることは企業の成長にとって不可欠です。

     

     01-2.ビッグデータとは?

    ビッグデータとは、従来のデータベース管理ソフトウェアやデータ処理ツールでは扱うのが難しい、大規模で多様性に富んだデータの集合を指します。具体的には、企業が日常的に生成する取引データ、顧客の行動データ、SNS上の投稿、IoTデバイスからのセンサー情報、さらには動画や音声データなど、多岐にわたります。
    データの形式は多様で、行と列で整理された構造化データに加え、テキスト・画像・動画といった非構造化データも含まれます。特に非構造化データは全体の大半を占めており、これを活用するための技術や体制の整備が、企業にとっての新たな課題となっています。

     

     01-3.ビッグデータの5つのVとは?

    ビッグデータにはVolume(量)、Velocity(速度)、Variety(多様性)、Veracity(正確性)、Value(価値)の5つの特性があると言われています。

    1. Volume(量): ビッグデータは膨大な量のデータを扱います。これにより、企業はより多くの情報を分析し、意思決定の質を向上させることができます。
    2. Velocity(速度): データはリアルタイムで生成され、流れています。例えば、SNSの投稿やトランザクションデータは瞬時に生成されるため、迅速な分析が求められます。
    3. Variety(多様性): ビッグデータは多様なソースから集まります。構造化データ、非構造化データ、半構造化データなど、様々な形式のデータを統合して分析する必要があります。
    4. Veracity(正確性): ビッグデータの正確性や品質の管理は簡単ではありません。誤ったデータに基づく判断は、企業にとって重大なリスクをもたらすことがあります。
    5. Value(価値): ビッグデータは分析することで新たな価値を生み出します。顧客のニーズを把握し、マーケティング戦略を最適化することで、ビジネスの成長に貢献します。

     

    02.DX×ビッグデータのメリット

     

     02-1.データドリブン経営:データ活用がもたらす意思決定の変革

    ビッグデータを用いたデータドリブン経営の実現により、企業はデータに基づいた迅速かつ正確な意思決定が可能になり、競争優位性を高めることができます。例えば、リアルタイムでの売上や顧客の行動データを分析することで、マーケティングキャンペーンの効果を即座に評価し、戦略を見直すことができます。ある小売業者では、データ分析を活用して在庫管理を最適化し、売れ筋商品を迅速に補充することに成功しました。このように、データに基づく意思決定は、企業の運営効率を向上させるだけでなく、変化する市場環境への迅速な適応を可能にします。

     

     02-2.顧客体験の革新:パーソナライズ、CX向上

    ビッグデータを活用することで、企業は顧客に対してパーソナライズされた体験を提供できるようになります。顧客の購買履歴や嗜好を分析することで、個々のニーズに応じた商品やサービスを提案することが可能です。例えば、あるECサイトでは、ユーザーの閲覧履歴に基づいてレコメンド商品を提示し、クリック率や購買率の向上につなげています。こうした取り組みは、顧客満足度を高めるだけでなく、リピート率や顧客ロイヤルティの向上にも寄与し、LTV(顧客生涯価値)の最大化に直結します。

     

     02-3.新たな価値提供

    ビッグデータ分析によって、新たなビジネス機会を創出することができます。企業は市場のトレンドや顧客のニーズを深く理解することで、新規サービスの開発や既存サービスの改善を行い、競合優位性を確立できます。例えば、あるフィンテック企業は、顧客の取引データを分析して新しい金融商品を開発し、従来の金融機関に対抗することに成功しました。このように、ビッグデータを活用することで、企業は市場の変化に迅速に対応し、革新的なサービスを提供することもできます。

     

     02-4.業務効率化:自動化、最適化

    業務プロセスの自動化もビッグデータの活用によって促進することができます。例えば、製造業においては、機械の稼働データや生産データをリアルタイムで監視し、異常を早期に検知することで、メンテナンスのタイミングを最適化できます。これにより、ダウンタイムを最小限に抑え、生産効率を向上させることができます。また人事や財務などの管理部門での例として、従業員のパフォーマンスデータを分析することで、適切な人材配置や育成プランを立てることができ、業務の効率化が進みます。さらに、経費データを分析することで、コスト削減の機会を見出し、無駄を排除する施策を実行することも可能です。

     

    03.DX×ビッグデータの成功事例

     

     03-1.【EC事業】事業部全体にデータドリブンな意思決定プロセスの定着を支援

    1. データ分析基盤を利用する際にデータ基盤チームを間に挟むことが多く、データ活用までのリードタイムが長い。
    2. データ活用需要や事例は高まり続けるも、事業部全体の意思決定をデータドリブンなものとするに至っていない。
    1. 蓄積したユースケースを分析し、データ分析基盤の見直しと非データ人材がSQLなしにデータ集計・利用を可能にする仕組みを開発する。
    2. 事業部全体のKGI設計、KPI設計を事業企画部と共同で実施。その内容を元に感度分析、予測モデルを開発し注力指標を特定。予算配分や施策優先度決定に利用できるようにする。
    1. データ基盤チームのリソースに依存せずデータが利用できるため、関係者全ての工数が削減された。また、この成功事例を元にさらなるセルフ化を進めていく方針が定まった。
    2. あらゆるアクションが事業部全体のKPIに紐づくため、施策優先度や予測モデルとの差分による実効性の把握が定量データにより評価することができるようになった。

     

     03-2.【小売業】顧客ロイヤルティの可視化

     

    04.DX×ビッグデータ推進のポイント

     

     04-1.目的の明確化と仮説設定:データ活用戦略を明確にする

    DXを推進するためには、まず目的を明確にし、現状の分析と課題の特定をすることが不可欠です。企業は自社の強みや弱みを把握し、どのようなデータを活用することで課題を解決できるのかを考えます。たとえば、売上が伸び悩んでいる企業であれば、顧客の購買データを分析し、施策を見直すことが考えられます。
    次に、データ活用戦略を策定します。この段階では、どのデータを収集し、どのように分析するのか、具体的な仮説を設定します。たとえば、「特定の商品のプロモーションを強化することで、売上が10%増加する」という仮説を立てることができます。これにより、データ収集や分析の方向性が定まります。

     

     04-2.データ基盤構築:データ収集、統合、管理の仕組み

    データを活用するには、まずデータ基盤を構築する必要があります。これには、データの収集方法を検討することが含まれます。社内で生成されるデータ(購入履歴や顧客情報など)だけでなく、外部データ(市場データや競合情報など)も活用することで、より豊富な分析が可能になります。
    次に、データを効率的に統合・管理するための基盤が必要です。データウェアハウス(DWH)やデータレイクといった技術を使うことで、大量のデータを一元管理し、分析しやすい状態に整えます。また、データセキュリティ対策も重要です。顧客情報などのセキュリティを確保するために、アクセス制御やデータ暗号化などの対策を講じる必要があります。

     

     04-3. 技術選定と導入:最適なツール、システムを選ぶ

    データ基盤が整ったら、次はデータ分析に必要なツールやシステムを選定します。ここでは、BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールやデータ分析ツールを検討します。これらのツールを使うことで、視覚的にデータを分析し、意思決定をサポートします。
    また、クラウドサービスとオンプレミス(自社サーバーでの運用)など、導入形態についても考慮します。クラウドサービスはスケーラビリティが高く、初期投資を抑えられるため、特に中小企業にとって魅力的です。
    加えて、導入前にPoC(概念実証)を実施することで、実環境での有効性やリスクを事前に検証し、より安心して導入を進めることができます。

     

     04-4. 人材育成と組織変革:データ活用人材を育成し、組織文化を変える

    ビッグデータを活用するためには、ツールだけではなく、適切な人材が不可欠で、データサイエンティストやデータエンジニア、データアナリストといった専門職人材を育成することが重要です。これらの人材は、データの分析や解釈を行い、ビジネス上の意思決定に貢献します。
    また、データ活用を促進するための組織文化の醸成も必要です。全社員がデータを活用する意識を持ち、データに基づく意思決定を行うことができる環境を整えることが求められます。定期的な研修やワークショップを通じて、データ活用の重要性を理解してもらうことが効果的です。

     

     04-5. スモールスタート:段階的に導入を進める

    DXとビッグデータの導入は、一度に全てを行うのではなく、スモールスタートで段階的に進めることが推奨されます。まずは一つの部門や業務から始め、成功体験を積むことで、他の部門への横展開を図ります。たとえば、マーケティング部門でのデータ活用を成功させた後、販売や製造部門に展開することができます。
    この段階では、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を取り入れることが重要です。データ活用の成果を定期的に評価し、必要に応じて改善策を講じることで、より効果的な分析を行うことができます。

     

    05.DX×ビッグデータの未来

     

    今後、DXとビッグデータの可能性は、IoT、AI、5Gといった先進技術との連携によってさらに広がっていくと予想されます。たとえば、IoTデバイスがリアルタイムでデータを収集し、さまざまな環境や状況を把握します。これにより、企業は顧客の行動やニーズを的確に捉え、迅速に対応できるようになります。次に、収集されたデータをAIによって解析し、パターンやトレンドを特定することで、迅速かつ精度の高い意思決定が可能になります。AIの分析結果は、マーケティング戦略や製品開発に役立つ情報を提供し、競争力を向上させます。そして、5Gの高速通信により、大量のデータが瞬時に送受信されるため、IoTとAIの連携が一層強化されます。これにより、企業はより多くのデータを活用し、効率的かつ効果的なビジネス運営が可能になります。このように、新たな技術が統合されることで、更なる顧客体験(CX)の向上や新しいビジネスモデルの創出が進むことが期待されます。

     

    まとめ

    「DX×ビッグデータ」を推進することは、企業が競争力を高めるために不可欠な要素です。データドリブン経営を実現することで、迅速かつ正確な意思決定が可能になり、顧客体験のパーソナライズや業務の効率化が進みます。DX×ビッグデータの推進するにあたり、ポイントとしては目的の明確化、データ基盤の構築、適切な技術選定、人材育成、スモールスタートによる段階的な導入が挙げられます。今後の未来においては、IoT、AI、5G等の新しい技術との連携により、リアルタイムでのデータ収集と解析が強化され、顧客ニーズに迅速に応える新たなビジネスモデルの創出が期待されています。これらの取り組みにより、企業は持続的な成長を遂げ、変化する市場環境に柔軟に対応できるようになります。

     

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    ベネッセ、メンバーズ、生成AI活用の先駆者が語るデータマネジメントの重要性と未来

    自律的に課題を解決する「AIエージェント」は、2025年の業務革新を支える存在として注目されています。本記事では、AIエージェントの定義や種類、活用事例から導入メリット、最新動向までを解説します。

    執筆者のご紹介

    名前:どい
    所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー サービス開発室 データプラットフォーム部
    過去に飲食系サービス提供会社の開発部にて、生成AIを活用した社内ナレッジ検索やアラート対応支援システムの構築を担当し、情報調査や復旧対応の効率化を行っておりました。

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    01.AIエージェントとは?

     01-1.AIエージェントの定義

    AIエージェントとは、自律的に判断・行動し、与えられた目標を達成する人工知能システムのことです。人間が設定したゴールに対して、自ら必要なデータを収集してタスクを決定し、目標達成に向けて遂行します。この際、環境からの認識に基づいて意思決定し、外部環境とのやり取りやアクションの実行まで担う点に特徴があります。

     01-2.AIエージェントの特徴

     01-3.生成AIとの違い

    生成AIとAIエージェントは、一見似ていますが目的や役割が大きく異なります。生成AIはユーザーからの指示に応じて文章・画像などコンテンツを生成するのが主な役割であるのに対し、AIエージェントは与えられた目標を達成するために自律的に一連の行動を実行する点が最大の違いです。
    AIエージェントは生成AIを内包・活用しつつ、より能動的にタスクを遂行する存在と言えます。生成AIが作り出した情報を基にさらに次のアクションまで行う点で、AIエージェントは生成AIの効果を最大化する「一歩進んだ技術」と位置付けられます。

    02.AIエージェントの種類

    ひと口に「AIエージェント」と言っても、その設計アプローチや知能の仕組みによって様々なタイプに分類できます。ここでは主に5つの代表的なエージェントのタイプについて、その定義・仕組み・メリットやデメリットを整理します。

     02-1.単純条件反射エージェント

    最もシンプルな仕組みを持つエージェントで、現在の環境から得た認識に対し事前に定めたルール(条件・行動の対応表)に従って即座に反応するものです。センサー等からの入力が特定の条件Aに合致したら予め決められた行動Bを実行する、といったルールベースの制御で動作します。

     02-2.モデルベース条件反射エージェント

    単純反射エージェントに内部状態を持たせ、過去の観測や経験も考慮して行動できるようにしたタイプです。現在の知覚情報に加えて内部のモデルや記憶されたデータを用いることで、環境の変化に対応した、より賢明なルール実行を行います。新しい情報が入ると内部モデルを更新し、次の判断に活かす点が特徴です。

     02-3.目標ベースエージェント

    特定の目標(ゴール)が与えられ、その達成に最適な行動を選択することを重視したエージェントです。現在の行動が将来どんな結果をもたらすかを予測・推論し、目標に近づくよう意思決定します。行動開始前に一連のアクションを計画し、探索によって最適解を見つけ出してから実行に移す点が特徴です。これにより、反射型エージェントでは対処しづらい複雑な問題にも柔軟に対応できます。

     02-4. 効用ベースエージェント

    単なる目標達成だけでなく、行動によって得られる効用(満足度や報酬)を最大化することまで考慮して最適な行動を選択するエージェントです。複数の選択肢がある場合に、それぞれの結果に効用値を割り当てて比較し、最も「幸せ」になれる行動を決定します。効用関数には目標達成度だけでなく時間・コスト・リスクなど様々な要素を組み込むことができ、より包括的な最適判断を下せるのが特徴です。

     02-5. 学習エージェント

    上記のいずれのエージェントも含む一般的な機能(知覚・推論・行動)に加えて、自ら学習して賢くなる能力を備えたエージェントです。新しい経験から知識ベースを拡張し、未知の環境下でも徐々に適応力を高められる点で独特です。強化学習などの手法により、試行錯誤を通じて最適な行動パターンを自律的に発見していきます。学習エージェントは、その推論方式自体は効用ベースまたは目標ベースで動作しつつ、学習機能を付加したものと位置付けられます。

    以上のように、エージェントはシンプルなものから高度なものへ段階的に発展します。システム開発時にはタスクの性質や必要な知能レベルに応じて、これらのタイプを使い分けたり組み合わせたりして設計することになります。

    03.AIエージェントの活用事例

    AIエージェントは、様々な業界・分野で活用が進んでいます。そのユースケースを大きく「ビジネス領域」「日常生活領域」「その他専門領域」に分けて紹介します。

     03-1.ビジネスにおけるAIエージェント活用

    企業では業務効率化や省人化を目的にAIエージェントの導入が進んでいます。例えばコールセンターでは、よくある問い合わせにAIが自律的に対応し、24時間体制で顧客満足度を向上させています。人事業務では、履歴書の自動スクリーニングや社内問い合わせの即時応答による負担軽減が可能です。製造現場では、設備保全や技術継承にも活用され、開発スピードの向上にも貢献しています。

     03-2.日常生活におけるAIエージェント活用

    私たちの生活の中にもAIエージェントが浸透し始めています。スマートホームでは、在室状況や時間帯に応じた自動家電制御が実現し、省エネと快適性を両立しています。また、スマートスピーカーなどのパーソナルアシスタントは、予定管理や対話からユーザーの好みを学習し、個別最適化されたサポートを提供します。他にも、自動運転車や配車サービスにも搭載され、交通効率や安全性向上に寄与しています。

     03-3.その他の領域でのAIエージェント活用例

    教育では、生徒ごとの理解度や目標に応じて問題を提示するAIチューターが個別学習を支援しています。行政でもチャットボットが住民対応を担い、業務の効率化とサービス向上に貢献しています。研究開発分野では、AIが仮説設計から実験、解析までを自動で行い、新薬開発などで成果を上げています。

    04.AIエージェント導入のメリットと注意点

     04-1.AIエージェント導入のメリット

    AIエージェントの導入によって、企業はさまざまな効果を得られます。まず人件費の削減です。AIが定型業務を代替することで、特に夜間や休日の対応など人手をかけにくい時間帯もカバーでき、コストを抑えつつサービス提供が可能になります。さらに、経理や在庫管理などの反復業務を自動化すれば、担当者は重要な業務に集中でき、生産性向上につながります。また、ヒューマンエラーの減少によって業務品質が安定し、サービス全体の信頼性も向上します。顧客体験(CX)の向上も大きな利点であり、AIは利用履歴をもとにパーソナライズ対応を実現し、リピート率や顧客満足度の向上に貢献します。さらに、自社課題の解決から得られたAIプロダクトを新規事業化できれば、競争優位の確立にもつながります。

     04-2.導入時の注意点とリスク

    AIエージェント導入には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのリスクや注意点も存在します。まず、学習データの質に強く依存するため、偏ったデータや誤情報をもとに判断すると、間違った対応をしてしまう可能性があります。また、個人情報や機密情報を扱う場合は、プライバシー保護や情報漏えい防止のため、厳格なセキュリティ管理が必要です。加えて、大規模言語モデルを用いたAIでは「ハルシネーション」と呼ばれる虚偽の情報生成リスクもあるため、AIの出力を鵜呑みにせず検証体制を整えることが重要です。さらに、ブラックボックス化による説明責任の欠如や倫理的な問題も懸念されており、企業には透明性やガバナンスの確保が求められます。他にも、設計・運用には高度なIT人材が不可欠であり、社内体制の整備や教育コストにも留意する必要があります。
    以上のようなリスクに対し、技術面・運用面の両側から対策を講じることが重要です。

    05.2025年、AIエージェントの最新動向とこれから

    2025年、AIエージェントは大きな進化を遂げています。テキストだけでなく画像・音声を理解する「マルチモーダル化」が進み、GUIや感情に対応する高度なエージェントが登場しました。また、LangGraphなどOSSの充実により、企業は複数のエージェントを連携させた自社開発も容易になっています。さらに「Agent2Agent」や「MCP」などのプロトコルによって、異なる企業のエージェント連携やLLMが外部データに接続しやすくする動きが活発化しています。
    今後のAIエージェントは、自律性・汎用性・連携性の三軸でさらなる進化が期待されます。業務ごとのエージェントが協調しながら複雑なタスクを遂行し、意思決定支援や自動実行の精度が向上します。また、標準プロトコルの普及により企業間やシステム間での連携もスムーズになり、業界全体での導入が加速すると考えられます。

    【プレスリリース】データ活用における生成AI導入・活用支援サービスを提供開始 データ抽出・集計・本番移行の作業時間を8割削減

    データ活用における生成AI導入・活用支援サービスを提供開始 データ抽出・集計・本番移行の作業時間を8割削減

    弊社にて、SQLによるデータ抽出・集計・本番移行作業に生成AIを導入したところ、一連の作業にかかる時間が月120時間から月24時間にまで短縮され、作業時間を8割削減できたという結果が出ています。
    サービスの提供を通じて、企業のデータ活用における業務効率化と高度化、内製化の実現に向けた支援を加速させていきます。

    プレスリリースの詳細についてはこちらから


    まとめ

    2025年はAIエージェント元年とも呼ばれ、単に「知っている」だけでなく実際に業務で使いこなすことが新たなスタンダードになりつつあります。AIは既に、人間と同じように目標に対して必要なプロセスを洗い出し自ら実行できるレベルまで進化しており、人と共に働く未来が現実のものとなり始めています。企業はこの流れを踏まえ、自社のDX戦略にAIエージェント活用を位置付けて競争力強化につなげていくことが重要だと考えられます。

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    ベネッセ、メンバーズ、生成AI活用の先駆者が語るデータマネジメントの重要性と未来

    本記事では以下のことをお伝えします。

     

    01.ビッグデータとは?

     

     01-1.ビッグデータの定義と特徴

    ビッグデータとは、従来の手法では処理が難しいほど膨大かつ複雑なデータの集合を指します。単に「データ量が多い」だけではなく、形式や性質の異なるデータがリアルタイムで次々と生成されるという特徴を持っています。企業や組織がビッグデータを活用することで、従来の統計分析では見逃されがちだった細かな傾向やパターンを把握できるようになります。

    ビッグデータの特徴は、主に「3V」または「5V」と呼ばれる要素で説明されます。

    Volume(量):データの量が非常に多く、ペタバイトやエクサバイトといった単位で扱われることもあります。例として、SNSの投稿データやIoT機器のログデータなどが挙げられます。
    Velocity(速度):データがリアルタイムまたはそれに近い速度で生成・更新される点が特徴です。株価やセンサーデータ、ECサイトのアクセスログなどがその例です。
    Variety(多様性):構造化データ(表形式)だけでなく、画像・動画・テキストといった非構造化データも含まれる点が特徴です。

    近年では、以下の2つを加えた「5V」で語られることも増えています。

    Veracity(正確性・信頼性):データの質や信頼性が重要視されます。誤ったデータやノイズをいかに取り除き、有用なデータを抽出できるかが課題となります。
    Value(価値):膨大なデータの中から、いかにしてビジネス価値のある洞察を導き出せるかが鍵となります。

     

     01-2.ビッグデータで何ができるようになるのか?

    ビッグデータを分析・活用することで、企業や自治体はさまざまなメリットを受けることができます。

    まず、現状の把握精度が格段に向上します。たとえば、顧客の購買履歴やWeb上の行動パターンを分析することで、「どの製品がどの層に支持されているか」「売上に貢献している要因は何か」といった情報を定量的に把握できます。これにより「なんとなく」の感覚に頼らない、データの裏付けのある戦略立案が可能になります。

    次に、業務効率の向上とコスト抑制が期待できます。製造業ではセンサーデータをもとに機器の異常を早期に検知し、適切なタイミングでメンテナンスを実施することで、稼働停止時間を減らしコスト抑制に寄与します。物流業では配送ルートの最適化や需要予測により過剰在庫や欠品リスクを抑えた効率的な在庫管理が可能となります。

    さらに、迅速かつ高精度な意思決定もビッグデータの大きな利点です。リアルタイムに収集・分析されたデータを基に、迅速に施策を打てるようになることで、競争環境における優位性を確保できます。

    このようにビッグデータの活用は、単なる分析手法にとどまらず、組織全体の高度化・最適化を支える戦略的資産と位置付けられつつあります。

     

    02.【業界別】ビッグデータ分析導入の成功事例

     

     02-1.小売・EC事業:事業部全体にデータドリブンな意思決定プロセスが定着

    小売・EC事業のお客様における課題は、データ活用の高度化に向けて、事業部全体でデータドリブンな意思決定プロセスを定着させることでした。

    具体的には、データ集計のセルフ化の推進、部門長レベルでの施策策定、アクセス解析レベル向上PJの起案・推進、データ分析レポートの作成・運営、そしてビジネスニーズに合わせたデータ基盤の継続開発といった項目が挙げられています。
    これらの課題は、組織別の業務における課題解決領域(戦略/方針設計、データマネジメント、データ分析/可視化、データエンジニアリング)と関連しています。
    特に、データ分析基盤はデータチーム業務に最適化されても組織全体で分離管理するには不十分であり、データ活用促進のためにはリードタイムを最小化する取り組みが必要でした。また、事業部全体で重要な意思決定をデータドリブンなものにするためには、部門長クラス間での共通意思決定を支える取り組みが求められていました。

    そこで実施された主な施策は以下の通りです:

    1. データ利用のスピードと生産性の向上:データチームのリソースに依存せず、関係者が自律的にデータを扱える体制を構築。これにより間接部門の作業工数を削減し、セルフ化をさらに推進しました。
    2. KPIに基づく施策実行と可視化:すべての施策をKPIに紐付ける設計に刷新し、予測モデルとの比較から実効性を評価できる仕組みに改善。データ分析基盤の再構築と、SQL不要の集計環境整備も併せて実施しました。
    3. 予測モデルによる目標設計:事業企画部と連携し、目標指標(KGI/KPI)の設計を行ったうえで、感度分析や予測モデルを構築。注力指標を設定し、施策の優先度決定や予算配分に活用しました。

    こうした施策の結果、事業部全体でデータに基づいた意思決定が日常化し、データ活用の効果が最大限引き出される体制が整いました。

     

     02-2.金融事業:BI活用のデータガバナンスを整備

    金融業界のお客様における課題は無秩序に乱立したBI環境の中で、適切な運用・管理体制が整っておらず、データガバナンスの不在が大きな課題でした。

    具体的には、高機能なTableauとコスト面に優れるDOMOという2種類のBIプラットフォームを併用しているものの、ライセンスコストの最適化やユーザーの閲覧制限、運用の属人化などが問題化していました。特に、管理部門任せの運用体制や権限設定の曖昧さが、BIの利活用を阻害していました。

    こうした状況に対して実施された施策は以下の通りです:

    1. ダッシュボードの統廃合:長期間利用されていないものやテスト用ダッシュボードの整理を実施し、不要なコンテンツを削除。
    2. コンテンツの棚卸と軽量化:システム負荷を軽減するため、データセットごとに重要度を判断し、維持すべきダッシュボードは軽量化。
    3. 更新タスクの最適化:使用実績のないダッシュボードの更新タスクを削減し、重要なダッシュボードへの更新リソースを集中。
    4. ロール設計と権限管理のルール化:アドミン権限の見直し、ユーザーアカウントの整理、新規・退職者対応のプロセスを整備し、統制を強化。

    これらの取り組みにより、お客様の定常ダッシュボード業務を止めることなく、わずか2か月という短期間でBI環境の合理化とBI活用のデータガバナンス整備を実現しました。
    本件ではBIツールの適切な運用と統制が可能となり、データ活用の効率化とセキュリティの向上が図られました。

     

     02-3.教育事業:売上向上に対する仮説を科学的に実証する分析ノウハウ定着

    教育業界では、売上向上に向けた取り組みが、経験則や主観に頼ることが多く、科学的・論理的な仮説検証が行われていないという課題がありました。

    例えば、「特定商品を好む層がいる」といった仮説がデータによる裏付けなく語られる場面が多く、分析結果が意思決定に活かされない状態でした。また、必要な分析ノウハウや再現性のあるプロセスが社内に欠如していました。
    こうした状況に対して実施された施策は以下の通りです:

    1. 仮説検証プロセスの整備と浸透:新規顧客獲得やF2転換、商材改善といったテーマに対し、仮説の立案から検証・改善までのサイクルを明確化しました。
    2. 高度な機械学習手法の導入:LightGBMやTransformerといったアルゴリズムを活用し、定量的で再現性のある分析を実施。仮説の科学的実証を推進しました。
    3. ナレッジ共有と運用体制整備:Pythonによる処理やレポート作成のテンプレート化を行い、分析ノウハウをチーム内に定着。経過や結果を定常的に報告する仕組みも構築しました。

    これらの施策を通じて、社内での仮説検証プロセスが確立され、専門性の高い分析が日常業務に組み込まれました。部門間での情報共有も円滑になり、データ活用を核とした意思決定が文化として根づいていきました。

     

    03.成功事例から学ぶ、導入成功のポイント

     

    ビッグデータ分析の導入に成功した企業に共通するのは、単なるツール導入に留まらず、戦略的視点や組織横断的な取り組みが伴っていた点です。本章では、前述の成功事例を踏まえながら、導入成功のために重要な3つのポイントを整理します。

     

     03-1.明確な目的設定と戦略の構築

    ビッグデータ分析の成功は、「なぜデータを活用するのか」という目的の明確化から始まります。小売・EC事業の事例では、「部門全体にデータドリブンな意思決定を定着させる」という明確なゴールが設定されていました。
    ただ単に可視化するのではなく、KGI/KPIの設計や施策の優先順位付け、予測モデルの活用といった具体的な戦略に落とし込まれていました。

    金融業界の事例では、BI環境が無秩序に拡大したことが課題の本質であり、「データガバナンスの整備」という明確な目的が施策の軸となっていました。教育事業の事例でも「売上向上に向けた仮説検証の科学的アプローチ定着」という目的に基づき、機械学習や自然言語処理の手法を選定・実装することで、戦略的に取り組みました。

    いずれの事例も共通して、データ活用の手段が目的化しておらず、「どのような成果を得たいのか」が明文化されていた点がポイントです。

     

     03-2.人材・ツール・インフラの最適な組み合わせ

    ビッグデータ導入・活用の成功には、目的達成に適した人材、ツール、インフラを適切に組み合わせることが不可欠です。
    小売・ECの事例では、SQLに不慣れな現場メンバーでもデータを扱えるよう、セルフサービスBIや再構築されたデータ基盤が整備されました。
    技術面でのハードルを下げることで、データチームに依存しすぎず、事業部内での自律的なデータ活用が可能になっています。

    金融業界の事例では、複数のBIツールの役割を明確化し、コスト面と統制面を両立させる運用体制を再構築。権限設定やアカウント管理の仕組みも整備されました。

    教育事業の事例では、LightGBMやTransformerなどのアルゴリズムを活用できる高度な分析人材が分析を牽引し、そのノウハウを再現性ある形で社内に浸透させる体制が構築されました。専門性を活かしつつも、再現可能な分析サイクルを整備し、属人化を防いでいる点が特筆すべきポイントです。

     

     03-3.アジャイルな開発と改善サイクル

    導入初期からすべてを完璧に設計するのではなく、実装・検証・改善を繰り返すアジャイルなアプローが、導入成功において重要な鍵となります。

    小売・EC事業の事例では、データ基盤を段階的に再構築し、初期の成果をもとにセルフ化を拡大。予測モデルの試行錯誤を通じて、意思決定精度を高めていきました。

    金融業界の事例では、既存のダッシュボード業務を止めることなく、ダッシュボードの統廃合やリソース最適化を短期間で実施。大きな混乱を伴わずに、運用の効率化と品質向上を実現しました。

    教育事業の例でも、仮説検証を単発で終わらせず、継続的な試行錯誤を重ねる姿勢が根付き、データ活用文化が社内に広がるベースを作りました。

    これらの事例が示すように、「目的が明確であること」「組織や業務に適した構成要素を整えること」「柔軟に試行錯誤を繰り返すこと」が、ビッグデータ導入を成功に導くための本質的なポイントであるということです。単なる技術導入にとどまらず、組織全体の意識と体制を伴う変革が鍵となります。

     

    04.ビッグデータ分析導入の失敗事例

     

    ビッグデータ分析は、適切に導入・運用されれば大きな成果をもたらしますが、誤った方向で進めた場合には、投資が無駄になるどころか、現場の混乱やデータリテラシーの低下を引き起こすこともあります。本章では、実際に見られた失敗事例とその原因を3つの観点から解説します。

     

     04-1.目的の不明確さによる失敗

    最も多い失敗の一つが、「何のためにデータ分析を行うのか」という目的が曖昧なまま導入を進めてしまうケースです。
    「トレンドだから」「他社が導入しているから」といった理由で分析ツールやクラウドサービスを導入したものの、活用目的が現場に共有されず、業務と結びつかないまま分析プロジェクトが頓挫することがあります。

    また、KPIが明確に設定されていないと、分析結果をどう評価し、どのような施策に活かすべきかという判断ができず、最終的にはレポートを作るだけの形骸化した作業に陥ってしまいます。こうした状況では、現場の関与意欲も低下し、せっかく構築した分析基盤が使われなくなるリスクが高まります。

    成功するためには、「業績向上」「業務効率化」「顧客満足度向上」など、ビジネス目標に基づいた明確な分析目的を関係者全員で共有し、主体的に取り組める状態を整えることが不可欠です。

     

     04-2.データ品質問題による失敗

    ビッグデータ導入において軽視されがちなのが、「データの品質」です。

    あるサービス業の企業では、複数システムから収集した顧客データを分析に活用しようとしましたが、システムごとのデータ項目の命名規則が部門ごとにバラバラで、同じ「売上」という項目でもその定義が「単価×数量」だったり、「キャンペーン適用後の金額」だったりと、定義が異なっているという問題が発生していました。

    さらに欠損データや重複データも多く、データの前処理に膨大な工数がかかってしまい、分析のたびに手作業によるクレンジングが必要となり、データ活用のスピードと正確性が大きく損なわれる事態に陥っていました。

    分析結果に対する現場の信頼性も低下し、「データ分析は当てにならない」と誤解される原因にもなってしまいました。

    このような事態を防ぐには、導入前にデータの構造・整合性・正確性を点検し、データガバナンス体制を整えておくことが重要です。特に、分析に用いるデータ項目の定義や更新ルールを標準化し、継続的にメンテナンスする仕組みが求められます。

     

     04-3.ツールへの知識不足による失敗

    最新の分析ツールを導入したにも関わらず、現場でほとんど活用されないという失敗も多くの現場で起こっています。
    ある企業では、高機能なBIツールを導入したものの、担当者が基本的な操作方法を把握しておらず、「見るだけのダッシュボード」としてしか利用されていませんでした。

    また、複雑な設定や権限管理が現場任せとなっており、重要なデータにアクセスできるのがごく一部のメンバーだけという状態になっていました。
    さらに、ツールのカスタマイズにエンジニアの工数が過度に割かれ、本来の目的である分析業務が後回しになる「ツールに使われる状態」に陥ってしまった事例もあります。

    このようなリスクを回避するには、ツール導入と並行して、ユーザー教育やマニュアル整備を行い、利用者のスキルやリテラシーを底上げする必要があります。
    また、ツール選定段階で「誰が使うのか」「どのような業務で使うのか」を明確にし、実際の現場ニーズに合った製品を選定する視点が重要です。

    ビッグデータ分析は、正しく運用すれば大きな成果をもたらしますが、導入の過程で「目的」「データ品質」「人材とスキル」という基本的な要素の整備が欠けていると、むしろマイナスの投資となるリスクをはらんでいます。
    導入に失敗した企業の多くは、この“土台”の準備を軽視していました。技術そのものよりも、運用設計・体制づくりを含めた全体戦略こそが、成功と失敗を分ける決定的な要因となります。

     

    05.失敗事例から学ぶ、導入時の注意点

     

    前章では、ビッグデータ分析の導入における代表的な失敗事例を紹介しました。本章では、それらの失敗から学ぶべき教訓を3つの視点から整理し、導入を成功に導くための注意点として解説します。

     

     05-1. データ品質の確保

    ビッグデータ分析の成否は、データの「量」だけでなく「品質」に大きく左右されます。
    前章でも述べたように、欠損値や重複、命名ルールの不統一、更新頻度の不整合といった問題を放置すると、誤った示唆やバイアスのかかった結論を導きかねません。

    このようなリスクを回避するためには、データガバナンスの整備が欠かせません。具体的には以下のような対策が求められます。

    1. データ項目の定義統一:部門をまたいで使用するデータ項目(例:売上、利益、アクティブユーザーなど)は、共通の定義で管理する。
    2. ETL処理の標準化:データの抽出・変換・格納のプロセスにおいて、異常値や欠損の補完ルールを明確に定め、自動化できる仕組みを整備する。
    3. 定期的なデータ品質チェックの体制構築:初期構築だけでなく、運用フェーズにおいても定期的に品質チェックを行う体制を整える。

    分析基盤の構築と並行して、これらの品質管理プロセスを整備し、組織内に定着させることが、長期的なデータ活用成功の鍵を握ります。

     

     05-2. 組織文化と人材育成

    ビッグデータ分析は、単なる技術導入にとどまらず、組織の意思決定プロセスや文化に変革をもたらす取り組みです。そのため、データ分析ツールやインフラの整備と同等以上に、「人と組織」の整備が重要です。

    まず、現場のデータリテラシーの底上げが欠かせません。専門部署に依存しすぎると、分析業務がボトルネックになり、データ活用のスピードが落ちてしまいます。そこで有効な取り組みは以下の通りです。

    1. レイヤー・部門ごとのデータ利活用トレーニング :職種や階層に応じたデータ利活用教育を段階的に展開。
    2. ツール活用への心理的ハードルを下げる教育体制:マニュアル整備や操作研修により抵抗感を軽減。
    3. 現場での小さな成功体験の共有:日々の業務で役立つ成功事例を積極的に共有することで、社内の活用機運を醸成。

    また、経営層やマネジメント層においても、データに基づいた意思決定の重要性を理解し、現場と連携して推進していくことが求められます。トップダウンとボトムアップの両面から、データドリブンな文化を醸成・定着させていくことが重要です。

     

     05-3. セキュリティ対策とリスク管理

    ビッグデータの活用に伴い、避けて通れないのがセキュリティとリスク管理の問題です。特に個人情報や機密データを扱う業界では、法令順守や漏洩リスクへの対策が不十分だと、企業の信頼を一瞬で失う致命的な事態になりかねません。

    導入初期から以下のような対策が求められます。

    1. アクセス権限の適正化:利用者の業務内容に応じた閲覧・編集権限を設定し、定期的に棚卸を実施。
    2. ログ管理と監査体制:誰が、いつ、どのデータにアクセス・操作したかを記録し、トレーサビリティを確保。
    3. アカウント管理の徹底:退職者や異動者に対応したアカウントの発行・削除フローを整備し、不要な権限を排除。

    また、法制度の変化にも対応できるよう、コンプライアンス部門との連携を密にし、分析基盤のセキュリティ要件を明文化しておくことも必要です。

    失敗事例に共通しているのは、「技術的な導入」だけに集中し、運用設計・人材育成・リスク管理といった周辺領域を軽視している点です。
    ビッグデータ分析は手段であり、最終的なゴールは企業の目標達成です。そのためには、技術に加えて、人・プロセス・ガバナンスを含めた総合的な設計と運用が求められます。

     

    【プレスリリース】データ活用における生成AI導入・活用支援サービスを提供開始 データ抽出・集計・本番移行の作業時間を8割削減

    データ活用における生成AI導入・活用支援サービスを提供開始 データ抽出・集計・本番移行の作業時間を8割削減

    弊社にて、SQLによるデータ抽出・集計・本番移行作業に生成AIを導入したところ、一連の作業にかかる時間が月120時間から月24時間にまで短縮され、作業時間を8割削減できたという結果が出ています。
    サービスの提供を通じて、企業のデータ活用における業務効率化と高度化、内製化の実現に向けた支援を加速させていきます。

    プレスリリースの詳細についてはこちらから


    まとめ

    本記事では、ビッグデータの基本的な概念から、実際の導入事例を通じた成功・失敗の要因、そして導入時に留意すべき点まで網羅的に解説しました。
    ビッグデータは、単なる情報の集合ではなく、的確に活用することで企業の意思決定や業務効率、さらには競争力そのものを大きく向上させる可能性を秘めています。
    しかし、その成功は偶然に得られるものではありません。「明確な目的」「高品質なデータの整備」「適切な人材と体制の構築」「アジャイルな改善プロセスの運用」など、複数の視点からの準備と運用が不可欠です。
    導入を検討する企業は、成功事例から学ぶと同時に、失敗事例から得られる教訓を活かし、自社にとって最適なデータ活用の在り方を模索していくことが重要です。

    ビッグデータは、特定の専門部門だけでなく社員みんなで使いこなしてこそ真の価値を発揮する経営資源です!その価値を最大限引き出すためにも、組織全体での活用体制づくりを意識して取り組むことが、これからの企業競争における鍵となるでしょう。

     

     

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    ■応募方法 :生成AI大賞2025サイトよりエントリー
    ■イベントの詳細やスケジュールは公式サイトで随時更新予定です。

    審査員紹介

    白井 恵里(しらい えり)

    株式会社メンバーズ 執行役員
    兼 メンバーズデータアドベンチャーカンパニー社長

    東京大学を卒業後、株式会社メンバーズへ入社。
    大手企業のオウンドメディア運用、UXデザイン手法での制作や、デジタル広告の企画運用に従事したのち、2018年11月に社内公募にてメンバーズの子会社(現、社内カンパニー)社長として株式会社メンバーズデータアドベンチャーを立ち上げ。
    データアナリスト、データサイエンティスト、データエンジニアなどデータ領域のプロフェッショナルの常駐により企業のデータ活用を支援し、顧客ビジネス成果に貢献するサービスを提供。
    2020年10月から株式会社メンバーズ執行役員兼務。現在カンパニーに所属するデータ分析のプロフェッショナルは約150名。
    2024年、一般社団法人Generative AI Japan立ち上げに伴い、理事就任。
    X @EriShirai

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