データ活用とは?14の業界別ビジネスデータの活用事例と共に進め方や注意点を徹底解説

生成AIの台頭やDX化の浸透により、自社データの活用が注目されています。
データ活用はビジネス成長を加速させる鍵になります。
この記事では、データ活用を専門とするメンバーズデータアドベンチャーカンパニーが、実際の成功事例を交えつつ、データ活用の進め方や注意点を徹底解説します。 少しでもお役に立てれば幸いです。
▶目次
企業におけるデータ活用とは、日々のビジネス活動で収集したデータを加工・分析し、ビジネス戦略や意思決定に役立てるプロセスです。
顧客やユーザーのオンライン化が進む現代では、適切なデータ活用による戦略的な意思決定が重要視されています。
データ分析というよく似た言葉がありますが、これはデータ活用プロセスのひとつに過ぎません。
よくこのような方がいらっしゃいます。
「データ分析をしようとツールを導入したはいいが、うまく意思決定に繋がらない」
これは適切なデータ活用のプロセスを、意図せず無視してしまっている可能性があります。
分析や意思決定に至るまでにも重要なプロセスがいくつもあり、
これらを適切に実行することで、組織や企業が保有しているデータは強力な要素となり得ます。
単なるデータ分析からデータ活用にステップアップするためのノウハウはこちらの記事で詳しく説明しています
▶︎データ可視化はどうして大事なのか? データの単なる分析から、データの活用へステップアップするために
データ活用は組織や企業に何をもたらすのでしょうか。
それは正確な現状把握による業務効率の向上と高精度な意思決定、つまり組織全体の長期的なパフォーマンス向上です。具体的には以下の3つが挙げられます。
- ・正確な現状把握
- ・迅速且つ高精度な意思決定
- ・業務効率の向上とコストの削減
数値に基づいた効率的な意思決定や議論が可能になると言えます。
これまでもデータ活用は重要視されていましたが、近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)の波は、データ活用の必要性をさらに高めています。
経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」では、DX推進がなければ2025年から多額の経済損失が発生すると指摘されており、これを「2025年の崖」と表現しています。さらに、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」(*1)では、DXは次のように定義されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
*1 出典:「デジタルガバナンス・コード2.0」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf(2025年1月30日に利用)
つまり、競争上の優位性を確立することが目的であり、データやデジタル技術は手段でしかありません。
デジタル社会である現代では、このデータとデジタル技術を最大限活用し、変革することが、DXにおいて重要です。
企業が競争上の優位性を確立するためには、今すぐにビッグデータ活用に取り組み、近年のDX化や生成AI技術の進展に乗り遅れない必要があると言えます。
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▶︎【2025最新版】2024年の生成AI市場の最新動向と2025年の成功に向けたステップ
メンバーズデータアドベンチャーカンパニーは、お客さまの課題解決に向けて常駐サービスをはじめとした伴走支援を行い、データ活用の推進を図っています。本セクションでは、さまざまな業界での具体的なデータ活用事例を紹介し、その課題と取組内容、得られた成果を紹介します。これらの事例を通じて、データ活用の可能性を感じていただければ幸いです。
①【株式会社ベネッセコーポレーションさま】オンライン動画学習プラットフォームにおけるデータ分析
常駐メンバーの高度な技術が「Udemy」事業のさらなる成長に貢献
- ・課題
- 事業のデータ分析ニーズが増加していたが、人員不足やスキル不足が大きな課題になっていた。 - ・取組内容
- データアナリストとして講座データの分析を担当し、コースレビューの自由回答の分析を実施。自然言語処理により、文章の内容をスコアリングする仕組みを構築。また、講座価格最適化のため、「システム開発」や「健康・フィットネス」などジャンルごとに売上を最大化する講座価格の分析を実施。 - ・成果
- 分析結果からリピート購入と相関関係にある値を発見。他にも分析結果からいくつかの知見を獲得し、事業のさらなる成長に貢献。
事例について詳しくはこちら
▶︎常駐メンバーの高度な技術が「Udemy」事業のさらなる成長に貢献
ベネッセコーポレーション データソリューション部の部長を務める國吉 啓介氏と弊社データアドベンチャーカンパニー社長 白井 恵里の対談記事
▶︎ベネッセ、メンバーズ、生成AI活用の先駆者が語るデータマネジメントの重要性と未来
②【大手学校法人】ツールの導入やデータ整備による組織的なデータ活用推進
- ・課題
- 校舎や部署が縦割りでデータの共有がなされず、全社的なデータ活用が進まない。 - ・取組内容
- データレイク・ウェアハウスツールを用いたデータ基盤を構築。Tableauの導入も進め、講座申込情報、生徒情報、模試成績、HPのアクセスデータなどのデータを用いた分析が可能に。また、事例の全社周知やマニュアルドキュメントの作成も実施。 - ・成果
- プロジェクト開始時には1部署への対応のみだったのに対し、終了時には6部署1校舎を巻き込んだデータ活用プロジェクトに。
③【株式会社丸亀製麺さま】マーケティングの高速化
データのプロがジョインすることでチームの機能が高まり、マーケティングがより高速に。
- ・課題
- KANDOを意思決定の軸とするKANDOドリブンマーケティングを進める上で、分析、戦略策定、実行までのスピード感をより高めたい。 - ・取組内容
- 手動で行われていたデータの抽出作業を自動化。また、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)をはじめとする分析に必要なデータの新規取得や、日々のトレンド変化を追うためのアウトプット作成を担当。 - ・成果
- データのプロがジョインすることで全体的に業務のスピードと質が飛躍的に向上。
事例について詳しくはこちら
▶︎データのプロがジョインすることでチームの機能が高まり、マーケティングがより高速に。
④【飲食サービス提供企業】業務工数削減へ貢献する生成AIを活用したナレッジ検索ツールの構築運用
- ・課題
- 社内に蓄積された膨大なナレッジやドキュメントを調査する工数が増大していた。 - ・取組内容
- クライアントのセキュリティ体制に合わせてAWSとGCPのマルチクラウド体制で、生成AI環境の新しいアーキテクチャを設計。社内WEBアプリを通じて検索ワードを入力するだけで検索結果・関連ドキュメントを自動生成し回答できるように実装。 - ・成果
- ドキュメント調査にかかる時間の大幅削減を達成。(平均10分→2,3分)
⑤【EC事業会社】BtoB卸EC事業におけるGTMタグの最適化と管理手法の確立
- ・課題
- アクセス解析を行う際、GTMタグの重複などにより、どのタグがどう使われているか、必要なタグがどれかわからない状況だった。 - ・取組内容
- 現状把握から行い、GTMタグの命名規則設計を実施。また、現状の組織が無理なく運用を続けられるように、運用管理手法の策定と管理シートの設計を実施。 - ・成果
- GTMのコンテナの大きさが最適化前の半分に減少(52%→26%)。この結果に付随してページ読み込み時間が減少し、サイトの評価向上にも繋がった。
⑥【EC事業会社】EC消費者購買に関する科学的アプローチでの仮説検証と示唆出し
- ・課題
- KPI「リピート購買数」の向上・改善に向けた仮説を補強するエビデンスを示唆する必要があったが、分析環境がほぼゼロに等しかった。 - ・取組内容
- 簡易的なスタッフ共通の分析基盤を整備。また、顧客のサイト内行動に関する変数群と購買の相関行列と、機械学習の分類器にデータを学習させた際の変数説明度を展開し、購買との関係が期待できる変数の示唆出しを実施。 - ・成果
- ECの消費者購買に関して社内で保有していた説明変数や仮説に対する新たな示唆を提示することで、意思決定に関する判断材料を提供できた。
⑦【株式会社AOKIホールディングスさま】会社全体がデータに注目する文化作り
データ活用は、AOKIホールディングスの経営をどう変えたのか?
- ・課題
- データはどこにあるのか、どこに集約して分析するのか、管理できておらず、データがブラックボックス化していた。 - ・取組内容
- マーケティングオートメーション(MA)ツールだけでは時間がかかるデータの管理や抽出をBigQueryを用いて実行し、ダッシュボードも作成。定量情報だけでは見落としていたエンドユーザーの声を拾った提案を、データをもとに実施。 - ・成果
- 会社全体がデータに注目するようになり、「分析できないだろう」と思っていたデータも「実は分析できるのではないか」という思考が生まれるようになった。
事例について詳しくはこちら
▶︎データ活用は、AOKIホールディングスの経営をどう変えたのか?
⑧【株式会社トラストバンクさま】分析から、データに関わる組織設計まで支援
分析から、データに関わる組織設計まで支援。
- ・課題
- 膨大なマーケティングデータをアウトプットに活かしきれていなかった。 - ・取組内容
- データ抽出前の基盤整理から取り組み、いろいろな部門のマーケティングの需給予測やデータ基盤の整理を実施。また、Tableauの導入を通して、データの見える化を実施。 - ・成果
- ユーザー属性とあわせた需給予測など、緻密な分析の見える化が可能になった。
事例について詳しくはこちら
▶︎分析から、データに関わる組織設計まで支援。
⑨【IT事業会社】ダッシュボードの構築業務の標準化による業務効率化
- ・課題
- システムベンダー経由で、イベント運営を行っているエンドクライアントよりダッシュボードの作成依頼があったが、既存のダッシュボードは利便性に欠けていた。 - ・取組内容
- チケットデータやユーザーデータ、決済・請求データなどイベント運営におけるデータを活用し、汎用性・利便性の高いダッシュボードを構築。また、属人化の排除と将来的な利活用、保守業務の保全を目的とした仕様書を作成。 - ・成果
- 3クリック必要だったフィルタリング操作が1クリックで可能になるなど、ダッシュボードの確認・構築にかかるコストが減少。
⑩【KDDI株式会社さま】コロナ禍で増えたWEBにおける利用者データの活用促進
コロナ後の「auでんき」のDXを推進
- ・課題
- GA上でドメイン間のデータが分断され、ユーザーの流入からCVまでの行動データが取れていなかった。また、WEB改善のPDCAサイクルを回す体制がなかった。 - ・取組内容
- 2つのドメイン間でクロスドメイン設定を実施。また、リアルタイム解析を可能にするため、Googleデータポータル(現、Looker Studio)を構築。さらに、組織内で共通言語を持っておく必要があったため、ツールレクチャーを3ヶ月で計10回実施。 - ・成果
- ユーザーの一連の行動データを取得可能になり、部署全体でデータへの意識が変わり、遷移率や離脱率まで関心を示す担当者が増加。
事例について詳しくはこちら
▶︎コロナ後の「auでんき」のDXを推進
⑪【大手通信会社】SMS配信フロー改善とマニュアル作成による属人化解消
- ・課題
- SMS配信において作業件数が多く業務の効率化が求められていた。また、マーケティング担当者の業務が属人化していた。 - ・取組内容
- SMS配信の既存業務フローを分析し、Pythonを用いて作業の効率化を図った。また、配信フローの改善と新たなマニュアル作成を行い、業務を可視化。 - ・成果
- 月に600分かかっていた作業時間を150分(75%減)まで短縮させ、既存担当以外でもSMS配信が可能になった。
⑫ 【株式会社クレディセゾンさま】与信ロジックの精度向上のための機械学習モデル構築
クレディセゾンで活躍 本気のビジネス課題解決にデータのプロフェッショナル人材「常駐サービス」の薦め
- ・課題
- 与信ロジックの精度向上のための機械学習(以下、ML)モデル構築を目指していたがスキルのある社員が少なかった。 - ・取組内容
- 入力するデータ項目など試行錯誤を繰り返し、与信審査業務のためのMLモデルを作成。また、データ整備や分析、データ観点のシステム設計支援なども担当。 - ・成果
- リリース前日のアクシデントも乗り越え、与信審査業務のためのMLモデルのリリースに至った。
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▶︎クレディセゾンで活躍 本気のビジネス課題解決にデータのプロフェッショナル人材「常駐サービス」の薦め
⑬【株式会社マネーフォワードさま】パートナーとして金融業界のデータ活用に貢献
マネーフォワードのパートナーとして、金融業界のデータ活用に貢献。
- ・課題
- 事業拡大に伴い、アプリのリリース後に、ユーザーの行動データを見ながら改善していくグロースハックプロジェクトを、社内の人間だけで回していくことが難しくなった。 - ・取組内容
- ユーザー分析やダッシュボードの作成、定例ミーティングの資料作成など、目的を理解した上で分析アクションの提案までを実施。 - ・成果
- マネーフォワードさまのクライアントからも「やりたいことをぼんやり伝えれば、何を分析すべきか考えてくれる人」としてクライアントからの信頼を獲得。
事例について詳しくはこちら
▶︎マネーフォワードのパートナーとして、金融業界のデータ活用に貢献。
⑭【ネット銀行事業会社】定期預金獲得増加に向けたアクセス解析
- ・課題
- WEB上での資金調達申し込み数を増加させる必要があったが、分析や施策が不十分だった。 - ・取組内容
- Adobe Analyticsを用いて新たなCV指標を設定し、WEB申し込み数と予測入力率を計測。月次実績確認ができるワークスペースを構築し、入力ページから申込フォームまでの遷移率を測定してCVRを明示化。さらに、金融情報の追加や新規申込ページの導入を提案。 - ・成果
- 施策の効果を定量的に把握できるようになり、日別の進捗管理やKPI設定が可能となった。その結果、申込ページのCVRが0.9%改善し、目標達成に寄与した。
⑮【製造業企業】業務効率化PJのアプリ開発・導入支援
- ・課題
- 業務の効率化とDX推進が求められていたが、手作業のプロセスや旧来のシステムが障害となり、業務の平準化やコスト削減が進まなかった。 - ・取組内容
- GCPを活用して、配送実績データや出荷実績データ、衛生管理データなどの社内データを整理し、業務効率化と自動化を実現。また、AppSheetを導入して他サービスの機能を置き換え、業務プロセスを見直すパイプラインを構築。 - ・成果
- 年間120万円のコスト削減を達成。データの可視化やダッシュボード作成が容易になり、全体的な業務効率が大幅に向上した。
⑯【スポーツ団体企業】CDPマーケによるデータライフサイクルの仕組み
- ・課題
- データ基盤の整備が進んでいない中で、人材不足やIT・マーケティングに関する知識の欠如が存在し、データ活用が停滞していた。 - ・取組内容
- CDPを中心にデータライフサイクルを構築する施策を実施。具体的には、ファンデータを蓄積したデータ基盤をS3からSnowflakeへ移行し、マーケティングクラウドやデータ分析ツールの導入を促進。また、顧客体験の最大化を図るため、各種システムとの連携を強化。 - ・成果
- 短期間で顧客データに基づくアプローチが可能となり、データライフサイクルの仕組みが整備された。これにより、業務効率が向上し、顧客理解が深まる結果を得られた。
⑰【森ビル株式会社さま】都市OS「ヒルズネットワーク」の構築を推進
都市OS「ヒルズネットワーク」の構築を推進。
- ・課題
- より便利で、より豊かな都市生活・顧客体験を実現するためのデジタルプラットフォームである「ヒルズネットワーク」の構築を進める中で、膨大なデータの整理が必要だった。 - ・取組内容
- 各部署が扱いやすいように保持されている各事業領域のデータを、統合して活用するために、バラバラなデータのフォーマットを整理。必要なデータを持ってきて見える化を実施。また、データ分析をもとに仮説や施策に落とし込んで社内提案を実施。 - ・成果
- データの見える化が進んだおかげで、データをメインに取り扱う部門以外でも当たり前のようにBIを見る習慣が生まれた。
事例について詳しくはこちら
▶︎都市OS「ヒルズネットワーク」の構築を推進。
⑱【株式会社集英社さま】PV数を約5倍に伸ばすまでの取り組み
集英社が、データと過ごした1年半。PV数を約5倍に伸ばすまでの取り組みとは
- ・課題
- 活用すべきデータは存在したが、データ解析の専門家が少なく、アクションまでうまく繋がっていなかった。 - ・取組内容
- 担当した4サイトのレポーティングを実施。また、PythonでAPIを叩いて数値を抽出し、エクセルに落とし込むなど、データ取得の自動化を実装。 - ・成果
- WEBサイト、SNS、SEOなどデジタル施策全般について多面的に見られるようになった。また、データ分析も含め、さまざまな要因が重なった結果としてPV数を5倍まで引き上げることに成功した。
事例について詳しくはこちら
▶︎集英社が、データと過ごした1年半。PV数を約5倍に伸ばすまでの取り組みとは
⑲【GO株式会社さま】タクシーアプリに関するデータの分析
データ領域プロフェッショナル常駐サービスで人材不足を解消し、事業成長の礎をつくる。
- ・課題
- 事業成長と共に必要性が増していくデータエンジニアが見つからなかった。 - ・取組内容
- タクシーアプリ『GO』のインセンティブ機能に関して、データモデリングからログの設計、データマートの作成、ダッシュボードへの実装までを担当。また、既存のETLツール(散在するデータを収集・加工するツール)から新しいツールへの移行を実施。 - ・成果
- データを分析することで、顧客満足度の高い乗務員の行動や習慣が明らかになり、サービスの品質向上につなげることが可能になった。
事例について詳しくはこちら
▶︎データ領域プロフェッショナル常駐サービスで人材不足を解消し、事業成長の礎をつくる。
⑳【商店組合】フィールド調査で歓楽街の再生課題を可視化
- ・課題
- 東京都内の飲食街再生に向けた取り組みが進まない中、怖い、汚い、安全でないというイメージが定着し、顧客の流入が減少している現状があった。 - ・取組内容
- フィールド調査を通じて、地域の文化や歴史的背景を収集し、飲食街における利用者の安全で楽しい体験を提供するための情報をマッピング。また、夜の街の価値を再提案するため、地域の特性やニーズを可視化を実施。 - ・成果
- 地域の歴史や店舗の特徴が明示化された。これにより、利用者に安心感を提供し、安全で魅力的な飲食街の再生に向けた基盤が整った。
✔️採用にコストをかけず実現するプロの伴走支援
✔️データ整備から内製化までの一貫サポート
サービスの詳細、支援内容、導入事例は下記ページで公開しています。
▶︎サービス内容:データ領域 プロフェッショナル常駐サービス
▶︎導入事例:導入事例 | メンバーズデータアドベンチャー
\ データ活用についてのご相談はメンバーズデータアドベンチャーまで /
ここまでデータアドベンチャーカンパニーが実際に取り組んできた事例について解説しましたが、これらは全て、データ活用のプロセスの一部もしくはその全てにおける取り組みです。
本セクションでは、一般的に企業のデータ活用はどのようなプロセスを必要とするのか、順番に解説します。
ファーストステップは目的の明確化と仮説設定です。
データ活用において最も重要なステップといっても過言ではありません。目的が不明確なままデータを収集しても、得られるインサイトは限られたものになってしまいます。
したがって、ビジネス上の課題や目標を明確にし、その達成のための仮説を設定することが必要です。たとえば、「売上を10%向上させるためにはどのような施策が有効か?」という具体的な問いを立てることが重要です。この目的と仮説次第で、人材の確保や活用するデータ、分析ツールなど、これからのステップが大きく変わります。
次に、目的に基づいて必要なデータを収集し、蓄積します。具体的には以下のようなデータがあります。
- ・内部データ
- 顧客データ:性別や年齢、取引先情報など企業が収集している全ての顧客データ
- 販売データ:小売店における時間帯別売上などPOSシステムやERPシステムから得られる売上記録や取引履歴
- 業務プロセスデータ:人事情報や作業時間データなど製造ラインや業務オペレーションから収集されるデータ - ・外部データ
- 市場データ:市場規模や成長率、競合情報など業界全体の動向を示すデータ
- ソーシャルデータ:SNSやブログにおける口コミ、ユーザーからの評価などオンラインプラットフォームで収集されるデータ
これらのデータを収集・蓄積するために、企業はデータ収集インフラの整備と管理、収集に利用するツールの選定を実施する必要があります。また、データを収集する際には、データの品質は確保されているのか、法令を遵守できているかなど、注意すべき点がいくつかあります。
詳しいデータの収集方法や注意点、対策についてはこちらで解説しています
▶︎データ収集の基礎知識!メリットや実践ステップ・注意点を徹底解説
データを収集し分析に移る前にデータ処理・加工フェーズがあります。収集したデータは、そのままでは使えないことが多いからです。データを分析可能な形に整えるためには、処理や加工が必要です。一般的に使用されるツールには、Excel、Python、R、Tableauなどがあります。これらのツールを使って、データクリーニングやフィルタリングを行い、分析に向けた準備を整えます。
データの準備が整えば可視化フェーズに移ります。ダッシュボードを作成し可視化することで、複数の指標を一元管理し、リアルタイムでデータの傾向やパターンを把握可能になります。可視化にはBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールを使用します。具体的には、Tableau、Power BI、Looker Studioなどがあり、これらを利用することで直感的にデータを理解できるようになります。
図:実際のダッシュボード(サンプルデータをもとにTableauを用いて作成)
BIツールの使い方について詳しくはこちらで解説しています
▶︎データを可視化!BIツール導入によるデータドリブンの促進
データの可視化が完了したら、次は具体的な分析を行います。この段階では、設定した仮説を検証し、意思決定に繋がるインサイトを抽出することが重要です。データ活用においては、課題設定からデータ収集、分析、意思決定支援までの一連の流れが不可欠です。必要に応じて、統計的手法や機械学習を活用することで、より深い洞察を得ることができます。
分析結果をもとに意思決定を行った後、その決定が適切であったかどうかを検証します。このプロセスはPDCAサイクルに基づいており、実行した施策の効果を測定し、必要に応じて修正を行います。効果検証を行うことで、次回のデータ活用に向けた改善点が明確になり、持続的な成果を上げることが可能になります。可視化・分析フェーズで使用したダッシュボードは効果検証にも役立ちます。
必要に応じてデータ活用プロセス自体を最適化することも検討しましょう。新たなツールの導入やAI技術の活用は、データ分析の精度や効率を向上させることに繋がります。
データ活用のステップに関連する記事はこちら
▶︎マーケティング×データ活用で事業の成長を最大化!初心者でもわかるステップと実践事例
▶︎データ活用におけるデータ分析|課題設定からデータ収集と分析、意思決定支援までの進め方
▶︎アクセス解析とは?実際のデータ活用のステップと実例を紹介します
データ活用の推進はビジネスの成功に大きく貢献しますが、必ずしも順調に進むわけではありません。本セクションでは、データ活用におけるよくある課題や失敗例を挙げ、それに対する解決策を紹介します。
- ・社内で賛同が得られず思うようにデータ活用が進まない。
- 要因
「現状のままでも業務がなんとなく回っていること」が原因で従来の手法を重視し、データ活用の重要性が経営層や各部門に理解されていないと考えられます。
- 対策
まずはスモールスタートでデータ活用の成功事例を示し、全社的なメリットを理解してもらうことが重要です。
- ・分析ツールを導入したはいいものの思うようにデータ活用が進まない。
- 要因
目的や仮説が不明瞭で、分析をすることが目的になってしまっていることが要因だと考えられます。
- 対策
プロジェクトの全体像を見直し、具体的なビジネスゴールを設定し、それに基づいてデータ収集と分析を行うことが成功への鍵となります。
- ・自社内に部門ごとにデータが分散している。
- 要因
IT領域で部門ごとに異なる基準や方法でデータが管理されている可能性が考えられます。
- 対策
データ統合プラットフォームの導入や、データの正規化を進めることで、分析に必要なデータの収集、加工、可視化を行う環境を整備することが必要です。
よくある課題や対策、失敗しないためのSaaSツール導入について詳しくはこちらで解説しています
▶︎なぜ多くの企業がデータ分析に失敗するのか?成功の鍵とその対策
▶︎データ分析を失敗しないためのSaaSツール導入:選定基準と活用法
- ・せっかく作成したダッシュボードが目的と大きくはずれていた。
依頼を受けダッシュボードを作成したはいいものの「本当に見たかったデータが見られない」という指摘を受けてしまった事例です。要因としては、 - - 要件定義の際にヒアリングを十分にできていなかった
- - 分析の目的を理解できていなかった
- - 値の概念と算出方法を理解できていなかった
以上のことが挙げられます。データ活用において目的の明確化がどれほど重要であるかがわかる事例です。要件定義の段階で目的や仮説を明らかにし、分析に移る前にビジネスへの理解を深めておく必要があります。
- ・多額の請求が知らぬ間に。
BigQueryとLooker Studioを用いてクエリ処理を実行していたところ、意図せず大量のデータ量を消費し、多額の請求金額になってしまった事例です。要因としては、 - - ツールの仕様を十分に理解せず繰り返しクエリを実行してしまっていた
- - Looker Studioが重い処理が苦手であることを理解していなかった
以上のことが挙げられます。データ活用においてデータ分析の手法だけでなく、ツールへの理解も重要であることがわかる事例です。
- ・出るはずのない数値がなぜか出てしまう。
あるイベントにおける分析で、入場者数と退場者数を集計していたところ、入場者よりも退場者数の方がなぜか多くなってしまっていた事例です。
この時は現地で対応していたスタッフが、扱うQRスキャナを間違えていたことが原因でした。
事前に当日のスタッフの動きまで把握できていれば未然に防げた問題でもありました。
このようにデータ活用を推進しようとしても、そもそもの生データが間違っていることもよくあります。本当にそのデータが正しいのか、信頼性があるのかを事前に確認する必要があります。
では、企業のデータ活用を促進させる組織やチームは、どのように組成できるのでしょうか? さらに、組織の組成だけでなく、適切な人材を確保することもデータ活用には欠かせません。このセクションでは、具体的な人材要件、育成や採用の特徴、そして組織の立ち上げについて解説します。
適切なデータ活用組織の組成には、大まかには以下の3つのステップが重要です。
- ・目指す姿・役割・価値設計
- データチームの目指す姿を明確に定義します。
- 経営と現場との関わりを整理し、データ活用の価値を全社に認識させます。 - ・ 業務・人材スキル・マネジメント決定
- チームが担う業務を特定します。
- 必要なスキルや人材調達方針(自社採用またはアウトソーシング)を決定します。
- データ人材のキャリアパスや評価基準を設計し、モチベーションを高めます。 - ・組織組成
- 上記の設計を基にデータチームを実際に構築します。
- 必要な仕組みや制度を整えます。
これらのステップを踏み、まずはスモールスタートで始めることをおすすめします。
大規模なプロジェクトではなく、小さな成果を積み重ねることで、現場の理解を深め、データチームの存在価値を認識させることが重要です。
このアプローチにより、徐々に大きな成果へと繋げることが可能となります。
ここでは解説しきれなかったデータ活用組織の組成について、詳しくはこちらで解説しています
▶︎データ分析の前にやるべきこととは?データ利活用で事業上の成果を生むための考え方
▶︎データ活用・DX推進を推進する分析組織の立上げ方法
また、データ活用組織マネジメントについて「若手人材のマネジメント方法大放出!データ人材使いこなしセミナー」にて株式会社トラストバンク(以下トラストバンク)データマネジメントグループマネージャーの町田様へご講演いただきました内容を記事にてお伝えしております
▶︎データ組織のチーム・人材マネジメントの手法を解説
では具体的にデータ活用にはどのようなスキルが必要とされているでしょうか。具体的な職種とともに解説します。
- ・プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトマネージャーは名前の通りプロジェクトをマネジメントする人材を指します。プロジェクトの責任者として、全体的な方向性と実行を管理します。特に、QCDと呼ばれる成果物の品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の管理が重要です。
PMの育成や調達について詳しくはこちらで解説しています
▶︎データ活用を推進するプロジェクトのPM(プロジェクトマネージャー)の調達方法
- ・データアナリスト
データアナリストは、主にデータの収集、処理、分析、解釈、可視化など、一連のデータ分析プロセスを担当します。企業が持つ大量のデータから引き出した情報をもとに示唆を出し、ビジネス課題の解決や意思決定の支援を行います。 - ・データエンジニア
データエンジニアは、データを活用するためのインフラを設計・構築し、データの収集・加工・分析を行うための基盤を作る専門家です。 - ・データサイエンティスト
データサイエンティストは、「高度に情報化された社会において、日々複雑化及び増大化(ビッグデータ化)するデータを、利用者の利用目的に応じて情報を収集・分析する技術を有し、ビジネスにおいて実行可能な情報を作ることができる者」(*1)を指します。
*1 出典:「定款」(一般社団法人データサイエンティスト協会)
https://www.datascientist.or.jp/aboutus/statute/(2025年2月14日に利用)
データサイエンス、データサイエンティストの定義についてはこちらで詳しく解説しています
▶︎データサイエンスとは?定義やスキルセットについて解説
データ活用を推進しようとする多くの企業はまず人材の採用を検討するでしょう。
データ活用に必要なスキルセットを持った人材の採用には以下のようなメリットやデメリットがあります。
- ・メリット
- 即戦力の確保
経験豊富な人材を採用することで、即座にプロジェクトに貢献できる人材を確保できます。特に、特化したスキルを持つ人材を採用することで、短期間で業務を進めることが可能です。 - ・デメリット
- 高コスト
人材の採用は、給与や手当などのコストが高くなる可能性があります。また、採用プロセスにかかる時間やリソースも無視できません。
- ミスマッチのリスク
応募者のスキルや文化的フィットが実際の業務に合わない場合、早期の離職や低い業務効率に繋がるリスクがあります。
人材の採用にはリスクがあり、そもそも市場においてデータ活用人材は常に不足している状態が続いています。そのため自社でデータ活用人材を育成するのも1つの手段として検討すべきでしょう。
- ・メリット
- 社内文化の強化
社内で育成を実施することで、企業文化や価値観を理解した人材を育成でき、チームの一体感向上が期待できます。
- 金銭的コストが低い
外部からの人材採用に比べると、育成は比較的コストが低く抑えられます。 - ・デメリット
- 時間がかかる
新たにスキルを習得するためには時間が必要です。即戦力としては使えない期間が長くなる可能性があります。また、育成の進捗状況に応じて、業務の遅延が発生することもあります。
- 専門知識の不足
内部での育成には、指導者やメンターが必要ですが、十分な専門知識を持った社員がいない場合、育成の質が低下するリスクがあります。
データ活用人材の採用や育成にはそれぞれメリットやデメリットがあり、組織の状況によって使い分けることが重要です。また、データアドベンチャーカンパニーのような常駐型支援サービスを利用するのも最適な手段の1つと言えます。
市場におけるデータ活用人材の不足度や育成のポイントなど、人材の採用や育成について詳しくはこちらで解説しています
▶︎データ活用人材の育成方法とは?組織の人材不足は育成で解決できる
ビジネスの現場では、超急速に成長を続ける生成AIが注目を集めています。中でもLLM(大規模言語モデル)やSLM(小規模言語モデル)を用いた、顧客サポートの自動化、コンテンツ生成、データ分析の補助など、多岐にわたるビジネスシーンでの応用が進んでいます。
しかし、AI活用には一筋縄ではいかない側面もあります。企業が保有するデータをAIに学習させるためには、定性的なデータをAIに理解してもらう必要があるのです。例えば、顧客のフィードバックや製品レビュー、過去の意思決定やその裏にある思考などの数値に表しづらいデータです。これらの定性的なデータを「AIレディ」に整備することが、多くの企業の課題となっています。
LLMについて詳しくはこちらで解説しています
▶︎ビジネスに役立つLLM(大規模言語モデル)とは?ChatGPTや生成AIとの違いも詳しく解説
生成AI活用におけるデータの整備や管理について詳しくはこちらで解説しています
▶︎企業の生成AI活用で成果を出すデータマネジメント
まとめ
データ活用の重要性が高まる中、企業が自社データを効果的に活用することが求められています。
この記事では、14の業界別データ活用事例を通じて、データ活用の基本概念や進め方、注意点を解説しました。教育、飲食、小売、IT、金融、製造などの多様な業界における具体的なデータ活用事例はいかがでしたでしょうか。
データ活用は、今後のビジネス成長に不可欠な要素であるため、ぜひ実践に移していただきたいと思います。
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▶こちらも要チェック
【2025最新版】2024年の生成AI市場の最新動向と2025年の成功に向けたステップ