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この記事では、AI活用を始めるには2025年が重要な分岐点であることをお伝えします。

 

執筆者のご紹介

池田志穂
所属:
株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー エンジニア事業部
PM、データアナリスト、エンジニア業務を担当
経歴:
Webデザイナー、Webディレクター、コンサルティング業務に携わり、2019年3月メンバーズ再入社。顧客企業にてマーケティングに活用できるデータを可視化し、経営戦略の意思決定を支援。大規模データを利活用できる構築を行っています。現在、生成AIを学習中です。

 

目次
01.|2025年は生成AI活用の分岐点
02.|2024年の生成AI業界振り返り
   2024年の主要プレイヤーの動き
   各社の動きからわかること
03.|AI活用における現状と課題
   AI活用の現状
   AI活用の課題
04.|2025年最新業界予測
   トレンド予測①AIエージェント
   トレンド予測②AIレディなデータ
   トレンド予測③AIレディなインフラ
05.|2025年私たちが向き合うべきこと
06.|AIレディなデータを準備するために必要な手順
   AI活用ビジョンの共有
   AI導入における段階的アプローチの理解
   人材、データ、システムの準備
   データ倫理と持続的な投資
07.|弊社取り組み事例

 

生成AIを活用したデータ活用にお悩みの方へ

弊社では、データ領域のプロフェッショナル人材が企業のデータ活用において生成AIを活用し、分析プロセスの効率化・高度化をするとともに、生成AIの導入・スキルトランスファーをサポートしております。
生成AIを通してさらにデータ活用業務を効率化したいとお考えの方はぜひ以下資料をご覧ください。
関連資料:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー「生成AIを活用したデータ活用支援サービスパッケージ」のご紹介

 

01.|2025年は生成AI活用の分岐点

「2025年の崖」とは、経済産業省が警鐘を鳴らした概念で、日本企業がデジタル化や生成AIの導入に遅れを取ると、2025年以降、年間で約12兆円もの経済損失が発生すると予測されています。生成AIの活用には、高度なインフラ整備、データ基盤の構築、そしてAI技術に精通した人材が不可欠です。しかし、現在、多くの企業が従来のシステムに依存しており、生成AI導入に向けた準備が十分ではありません。
このままでは、AI活用に成功する企業とそうでない企業との差が広がり、競争に遅れを取る恐れがあります。また、生成AIの利用にはセキュリティや倫理の課題も伴い、それに対応できない企業はリスクを抱えることになります。2025年時点で、デジタル化やAI導入を進められなかった企業は、業界での競争から取り残される可能性が高いとされています。

 

02.|2024年の生成AI業界振り返り

 02-1.2024年の主要プレイヤーの動き

2024年、生成AI業界は急速に進化し、主要プレイヤーが競い合う中で大きな変革がありました。

・OpenAI
GPT-4を超えるGPT-5やマルチモーダルAI(テキスト、画像、音声の統合)が注目されました。ChatGPTやDALL·Eなどのツールの商業化が進み、多くの企業にAI技術を提供しました。また、生成AIを活用したさまざまな新製品が市場に投入され、OpenAIの企業価値は急成長しました。

・Google
生成AIの進化において重要な役割を果たしました。特に、BardというGoogle独自の生成AIが注目を集め、検索エンジンの新しい体験として提供されました。また、DeepMindによるAI研究の成果も出ており、特に医療分野での活用が進んでいます。

・Meta
生成AIを活用してソーシャルメディアの体験を強化しました。InstagramやFacebookでのコンテンツ生成や、広告ターゲティングにAIが活用されています。さらに、メタバース(仮想空間)の開発にもAI技術が使用されています。

・Amazon
生成AIを自社のサービスやプロダクトに組み込み、特にAWSにおいて、AIインフラを強化しました。AIを活用した物流や小売の効率化が進み、生成AIの商用化で株価は安定的に上昇しました。また、Amazon Prime VideoにおけるAI技術の活用(動画生成、音声合成など)も話題に。

・Apple
iPhoneやApple Watchに搭載されるAI機能が強化され、特に健康管理や生産性向上に役立つ新機能が発表されました。AI搭載のApple Vision Proや、生成AIを活用した音声アシスタントSiriの改良が話題となりました。

・Anthropic
生成AIの倫理と安全性に重点を置くスタートアップ企業として注目を集めました。AIのバイアス軽減や誤情報の防止を目指す研究が進み、AIの安全性を確保しつつ、高品質な生成AIを提供する姿勢が評価されました。

・NVIDIA
GPU(グラフィックス処理ユニット)の需要は急増し、生成AIモデルのトレーニングにはNVIDIAの技術が不可欠です。株価は2024年に大きく上昇し、業界リーダーとしての地位を確立しました。特に、AI専用チップの供給が好調でした。

・Sony
AIを活用してエンターテイメント産業(音楽、映画、ゲーム)の革新を加速しました。生成AIを活用した音楽や映像制作が注目され、AI技術をエンターテイメントコンテンツに統合する動きが強化されました。

・DeNA
生成AIを活用したゲーム開発やエンターテインメントの分野での取り組みを強化しました。AI駆動型のゲーム体験や、AIによるユーザーインタラクションを改善。AIを活用した医療分野や物流の革新にも注力しており、新たな市場開拓を進めています。

・Alibaba
中国国内で生成AIを活用したeコマースやクラウドサービスを強化しました。AI技術を活用した物流管理やデータ分析が効率化され、Alibaba Cloudを中心に企業のデジタルトランスフォーメーションを支援しています。

このように生成AI技術の進展により、各企業は競争力を強化し、業界全体の成長を牽引しました。

 02-2.各社の動きからわかること

2024年の主要プレイヤーの動向からは、生成AIの商業化が加速し、競争の激化とともに多様な産業への適用が進んでいることがわかります。また、AIに関する倫理や規制の重要性も増し、企業は技術の進化と社会的責任のバランスを取る必要があることが示唆されています。

 

03.|AI活用における現状と課題

 03-1.AI活用の現状

日本における生成AIの活用は、まだ始まったばかりの段階ですが、徐々に進展しています。特に、製造業やサービス業などで生成AIを活用したデータ解析や業務効率化が進んでいます。例えば、製造業では品質管理や生産ラインの最適化に生成AIが使われ、小売業界では顧客対応やマーケティング分析にAIツールが活用されています。また、言語モデルを活用したコンテンツ生成やカスタマーサポートの自動化も広がりを見せています。
しかし、日本はAIの導入に関して他国と比較して遅れを取っている側面もあり、特に中小企業では生成AIの活用が進んでいないケースが多く見られます。インフラ整備や専門知識を持つ人材の不足も課題となっています。

 03-2.AI活用の課題

2025年には、生成AIの技術が成熟し、企業にとって必須のツールとなる一方で、以下に挙げるようないくつかの課題が浮き彫りになると予想されています。これらの課題を解決することが、2025年のテック業界におけるAI活用の鍵となるでしょう。


人材不足:生成AIを効果的に活用するためには、高度なAI技術やデータ解析スキルを持つ人材が不可欠です。しかし、日本ではAI人材の供給が十分でなく、企業が競争力を維持するためには教育と人材採用の強化が求められます。

データ活用とプライバシー問題:生成AIの活用には大量のデータが必要ですが、データの収集と活用におけるプライバシー保護やセキュリティの問題が依然として課題です。特に、個人情報や機密情報の取り扱いに関する法規制が強化される中で、企業は新たな対応策を講じる必要があります。

レガシーシステムとの統合:多くの企業が依然として旧式のITシステムを使い続けており、生成AIを効果的に活用するためにはこれらのシステムを刷新し、AIを統合する必要があります。これには多大なコストと時間がかかります。

 

04.|2025年最新業界予測

AI活用の分野では、生成AI(例えばGPTシリーズ)や深層学習(ディープラーニング)が急速に進化し、多岐にわたる産業での応用が進んでいます。最近、注目を浴びているディープシーク(DeepSeek)が従来のGPTやBERTなどのモデルを補完し、より高速で精度の高い情報検索や生成を実現する技術となれば、その導入はAI活用の現状を大きく変える可能性があります。

 04-1.トレンド予測①AIエージェント

AIエージェントが進化し、個人アシスタントや業務自動化、パーソナライズ体験など多岐にわたる分野で活躍します。現在のSiriやGoogle Assistantよりもより深く文脈を理解し、複雑なタスクを処理できるAIエージェントが登場します。自然な対話能力を持ち、ユーザーのニーズに応じた提案やサポートを提供するでしょう。

 04-2.トレンド予測②AIレディなデータ

データの自動化とクレンジングが進み、AIモデルに適した高品質なデータ整備が迅速化します。多様なデータソース(構造化・非構造化データ)の統合、リアルタイム処理、データガバナンス強化が重要な要素となり、プライバシー保護や法規制にも対応します。さらに、業界間でのデータシェアリングが進み、AI活用が加速することが期待されています。

 04-3.トレンド予測③AIレディなインフラ

クラウドやエッジコンピューティング、分散型AIインフラが進化し、AI処理の効率化とスケーラビリティが向上します。高速なGPUやTPU、5G/6Gネットワークが活用され、リアルタイムのデータ処理が可能に。さらに、セキュリティやプライバシー保護が強化され、AI活用を支える信頼性の高いインフラが整備されることが予測されます。

 

05.|2025年私たちが向き合うべきこと

「2025年の崖」を迎える中で、生成AIの台頭により、企業が向き合わなければならない課題は多岐にわたります。まず、AIレディなデータの準備が必須です。データの収集や整備、クレンジングを進め、高品質なデータをAIに提供することが求められます。さらに、紙ベースの情報をデジタル化し、統一フォーマットで整理するデジタライゼーションが進まないと、AI活用が進まない可能性があります。AIを活用するための人材不足やスキルのギャップも大きな課題です。加えて、データのセキュリティやプライバシー保護、法規制への対応も重要です。企業にはこれらの課題をクリアし、迅速に変革を進めるための柔軟な組織文化や対応力が求められます。

 

06.|AIレディなデータを準備するために必要な手順

企業がAIを活用して業務効率化や価値創造を進めるためには、段階的な取り組みと計画が不可欠です。この点は、経団連が2019年に設定した「AI-Ready化ガイドライン」(*1)からも明らかです。各レベルで必要な行動を取ることで、AIを効果的に活用し、最終的には業界全体をリードする存在になることが可能です。


 06-1.AI活用ビジョンの共有

AIやデータ活用は単なる効率化の手段ではなく、企業の価値を向上させ、業界を革新する力を持っています。AI導入に向けた準備を整えることは、企業の競争力に直結するため、経営層と連携し、全社的なAI活用のビジョンを共有することが重要です。


 06-2.AI導入における段階的アプローチの理解

レベル1〜2:AI活用の基礎的な理解と環境整備の段階。教育や小規模な導入から始め、全社的な理解を深めます。

レベル3〜4:データ基盤の整備や業務プロセスへのAI活用、システム連携が求められる段階。この段階では、より本格的な導入と運用が始まります。

レベル5:全社的なAI活用を実現し、業界全体に影響を与える段階。AIを企業戦略の中心に据え、業界リーダーとしての地位を確立します。


 06-3.人材、データ、システムの準備

人材:経営層や技術者のAIリテラシーを高めるための教育や、適切な人材の採用が求められます。AIに精通した人材が不足している場合、外部専門家と連携することも一つの方法です。

データ:AIを活用するためには、リアルタイム性やデータ品質を重視し、データ基盤を整備する必要があります。データ収集・管理体制を見直し、分析しやすい形に整理します。

システム:業務システムと分析システムを統合し、効率的にデータを活用できる仕組みを作ることが重要です。AIの導入にはシステムの整備が不可欠で、既存のシステムと連携する方法も考慮しなければなりません。


 06-4.データ倫理と持続的な投資

AI導入は技術面だけでなく、データ倫理や社会的責任も重要な要素です。また、AI活用は長期的な投資を伴うため、持続的な成長を実現するための戦略的な投資が必要です。

AIレディ化ガイドライン

*1 出典:「AI-Ready化ガイドライン」(日本経済団体連合会)https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/013.html(2025年2月13日に利用)

 

07.|弊社取り組み事例

データアドベンチャーカンパニーは、お客さまの課題解決に向けて常駐サービスをはじめとした伴走支援を行い、データ活用の推進を図っています。その中で生成AIを活用して、コンテンツ制作の効率化、顧客対応のAIチャットボット活用、データ分析や予測モデルによるマーケティング戦略の最適化などを進めています。

例えば、ある飲食サービス提供企業では業務工数削減へ貢献する生成AIを活用したナレッジ検索ツールの構築運用をご支援しました。社内WEBアプリを通じて、検索ワードを入力するだけで検索結果・関連ドキュメントを自動生成し回答できるように実装することで、ドキュメント調査にかかる時間の大幅削減を達成しています。
その他のプロジェクトにおいてもAIを利用してパーソナライズされた広告や推奨を提供し、顧客体験を向上。また、画像やテキストの自動生成により制作業務の効率化も実現しており、AIの活用によって業務の効率化と顧客満足度の向上を図っています。

【プレスリリース】データ活用における生成AI導入・活用支援サービスを提供開始 データ抽出・集計・本番移行の作業時間を8割削減

データ活用における生成AI導入・活用支援サービスを提供開始 データ抽出・集計・本番移行の作業時間を8割削減

メンバーズにて、SQLによるデータ抽出・集計・本番移行作業に生成AIを導入したところ、一連の作業にかかる時間が月120時間から月24時間にまで短縮され、作業時間を8割削減できたという結果が出ています。
サービスの提供を通じて、企業のデータ活用における業務効率化と高度化、内製化の実現に向けた支援を加速させていきます。

プレスリリースの詳細についてはこちらから


まとめ

2025年に向けて、AI活用を成功させるためには、AIレディなデータの準備が不可欠です。まずは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤をしっかりと整えることが大切です。AIを効果的に活用するには、データの整理・整備が必要であり、DXが進んでいない企業では、AI導入が難しくなります。そのため、AI活用を始めるには2025年が重要な分岐点となり、このタイミングを逃さずに準備を進めることが求められています。

 

 

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ベネッセ、メンバーズ、生成AI活用の先駆者が語るデータマネジメントの重要性と未来

近年、多くの企業が「データを活用したビジネス」、いわゆる“データビジネス”に注目しています。顧客理解や業務効率化、さらには新しいサービス創出など、データが持つ可能性は極めて大きいものの、「何から始めればいいのか分からない」「途中で壁にぶつかって前に進めない」という声も少なくありません。本記事では、データビジネスの基礎から実践までご紹介します。

執筆者のご紹介

名前:佐々木 渉
所属:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー サービス開発室
大手小売企業にて、メタデータ管理やデータセキュリティ管理などのデータマネジメント領域の支援や、データ分析基盤のデータ連携業務を担当。
職歴:サービス業の店舗営業部にて、複数店舗のマネジメントやシステム導入の推進、データ分析から施策策定まで、幅広いビジネス業務を経験。その後メンバーズに入社、データアナリスト・プロジェクトマネージャーとして従事。

 

目次
01.|データビジネスとは?
02.|データビジネスの種類
    マーケティング活用
    分析活用
    データサービスの提供
    データの販売
03.|データのマーケティング・分析活用の基本的なステップ
    目的の明確化と仮説設計
    データの収集・加工
    データの可視化、施策立案
    効果検証・PDCA
04.|データのビジネス活用を推進するメリット
    正確な現状把握
    データに基づく将来予測
    戦略的な意思決定
05.|データのビジネス活用においてよくある課題
    目的がはっきりしていない
    社内データの整備や把握ができていない
    スキルのあるデータ人材を確保できていない
06.|データを活用したビジネスの弊社取り組み事例

 

01.|データビジネスとは?

「データビジネス」とは、その名の通りデータを軸として事業の価値を高めるビジネスモデルの総称です。具体的には、企業が自社内外に存在する膨大な情報(顧客データ・販売データ・生産データなど)を分析・活用することで、新たなサービスや製品を生み出したり、意思決定や業務効率化に役立てたりする取り組みを指します。
データビジネスは、あらゆる業界で注目されており、マーケティングや営業活動の精度向上だけでなく、予測分析による在庫・需要管理の最適化、顧客満足度の向上などにも活かされています。さらに、企業が自社で蓄積したデータを他社に提供・販売することで新たな収益源を得るケースも増えてきました。
いずれにしても、データそのものを“資産”と捉え、価値ある形に変えていくことがデータビジネスの本質と考えられます。

 

02. |データビジネスの種類

データビジネスと一口に言っても、その形態や目的は多岐にわたります。ここでは代表的な4つのパターンをご紹介します。

02-1. マーケティング活用

企業のマーケティング活動においては、顧客データのセグメント分析やWebアクセスログ解析など、データに基づく意思決定が一般的になりつつあります。ターゲット設定をより精緻に行い、最適な広告出稿やキャンペーン施策を実施することで、費用対効果の高いマーケティングが可能になります。
例えば、過去の購入履歴データと顧客属性情報を掛け合わせることで、リピーターの傾向を明らかにし、効果的なリターゲティング施策を行うといった使い方があります。結果的に顧客満足度の向上や売上拡大につながる点が大きなメリットです。


02-2. 分析活用

社内に蓄積した販売データ、業務プロセスデータ、センサーから取得した稼働データなどを活用して、ビジネス上の課題を洗い出し改善する手法です。データ分析を適切に行うことで、たとえば以下のようなインサイトを得ることができます。

こうした分析結果をもとに施策を打つことで、生産性向上やコスト削減、新商品の開発など新たな価値創造を推進することが可能となります。


02-3. データサービスの提供

企業が自社で保有する独自データを整理・分析し、それを外部に向けた「サービス」として提供するモデルです。たとえば交通系データを用いて渋滞予測サービスを提供したり、店舗の混雑状況を可視化するサービスを展開したりする事例が挙げられます。
データを「使う」だけでなく「価値あるサービス」に転換できれば、企業の新たな収益源となり、自社のビジネス領域を広げる大きなチャンスにもなります。


02-4. データの販売

自社で保有するデータ自体を商品として販売し、マネタイズするモデルです。プライバシーやセキュリティ保護の観点で慎重に検討が必要ですが、業界によっては実績を持つ事例も増えてきています。顧客購買データや位置情報データ、産業データなどを分析可能な形にして提供することで、購入側も自社ビジネスに新しい価値を加えやすくなります。

 

03. |データのマーケティング・分析活用の基本的なステップ

データビジネスを成功させるためには、闇雲にデータを収集・分析するのではなく、明確な目的とステップに基づいて進めることが重要です。ここでは一般的な流れを4つのフェーズに分けてご説明します。

03-1. 目的の明確化と仮説設計

まずは「データを使って何を達成したいのか」をはっきりさせることが出発点です。売上拡大、コスト削減、顧客満足度向上など、目的がぼんやりしていると、収集するデータや分析手法が決まらず、成果も得にくくなります。
目的を明確化したら、「どのような指標で成功を測るか」「どんなデータで検証するか」といった仮説設計を行い、プロジェクトの大枠を固めましょう。

03-2. データの収集・加工

次に、必要なデータを収集し、分析可能な形に加工するステップです。具体的には、下記のような作業が含まれます。

データの取得方法の検討: 既存の顧客データベースやPOSシステム、センサー情報、外部APIなどから収集
データのクレンジング: 重複や欠損値の補完、フォーマットの統一
データの統合: 部門やシステムでバラバラになっているデータを集約

このステップに課題を感じる企業は少なくなく、この段階でシステム間連携やデータの品質に関する問題が顕在化することがあります。

03-3. データの可視化、施策立案

収集・加工したデータを分析し、可視化ツールなどを使って現状を把握します。グラフやダッシュボードを作成することで、パッと見て分かりやすい形にするのがポイントです。
そこから「顧客満足度を上げるにはどう改善するべきか」「在庫ロスを減らすためにはどの時期にどの施策が最適か」など、具体的なアクションプランを立案します。予測分析や機械学習の活用によって、将来の変動を見通した戦略が打ちやすくなるのも大きな利点です。

03-4. 効果検証・PDCA

最後に、施策の実行後は必ず効果検証を行い、PDCAを回して改善を進めます。分析結果と現場の状況が合っているか、どこが想定外だったかを見極めることで、次回以降の施策や分析の精度が上がります。
この一連のサイクルを続けることで、データを起点としたビジネス改善が定着し、最終的には企業文化として根づいていくことが期待できます。

 

04.|データのビジネス活用を推進するメリット

データをビジネスに活用することには、以下のような大きなメリットがあります。

04-1. 正確な現状把握

定量的な数字に基づくため、社内の感覚や経験則に頼ることなく、客観的に現状を評価できます。たとえば売上データを詳細に分析することで、どの製品がいつ、どんな顧客層に売れているのかが明確になり、改善の余地が見えてきます。

04-2. データに基づく将来予測

過去のデータから傾向をつかむことで、需要予測や顧客行動の先読みが可能となり、在庫管理や人員配置などを最適化できます。機械学習やAIを活用すれば、より高度な予測モデルを構築し、大きな成果を期待できます。

04-3. 戦略的な意思決定

データを根拠とした決定は意思決定のスピードと正確性を高めます。現場の勘と合わせてデータを活用することで、リスクを下げながら大胆な施策を打ち出せるようになります。

「マーケティングデータでどんなことができるの?」「アナリティクスの手法とは?」といった具体的内容を深堀りしたい場合は、外部記事の参照や専門コンサルタントへの相談も有効です。

 

05.|データのビジネス活用においてよくある課題

多くの企業がデータ活用の重要性を認識する一方で、下記のような課題に直面し、思うように進まないケースも少なくありません。

05-1. 目的がはっきりしていない

「データを活用しなくては」という考えが先行して、具体的に何を達成したいかが曖昧なまま進めてしまうことがあります。結果として集めるデータが散乱し、分析の方向性も定まらず、プロジェクトが迷走してしまうケースも少なくありません。さらに、どのタイミングで成果を判断して次のステップに移すのかといった出口戦略が明確でないと、プロジェクト全体が長期化してしまうリスクも高まります。


05-2. 社内に蓄えるデータの整備や把握ができていない

企業内には販売管理、顧客管理、在庫管理、会計など、多種多様なデータが蓄積されていますが、部署ごと・システムごとにバラバラで一元化が困難なことがあります。また、そもそもデータの品質にばらつきがあって分析に適さないケースもあります。基礎となるデータガバナンスの構築は、データビジネス推進の第一歩です。


05-3. スキルのあるデータ人材を確保できていない

分析者やエンジニアの育成・確保を課題としている企業も少なくありません。外部リソースを活用するか、内部で教育体制を整備するか、いずれにしても専門知識と経験を持った人材がいなければ、本格的なデータ活用は難しくなります。

 

06. |データを活用したビジネスの弊社取り組み事例

データのマーケティング活用・分析活用の課題に対して、弊社で取り組んだ事例を3つ簡単にご紹介します。

06-1. マーケティング業務の迅速化とデータ基盤の強化

データ抽出作業の負担や意思決定のスピードに課題を抱えていた飲食業界チェーン企業に対して支援を実施。手動で行っていたデータ抽出を自動化し、BIツールを活用したダッシュボードを構築したことにより、必要なデータを迅速に提供できる仕組みを整備しました。タイムリーな情報共有が可能になったことで、施策実行と検証のスピードが向上し、マーケティング業務全体の効率化と精度向上を実現しています。

06-2. 分散したデータの統合と分析基盤の構築

データがブラックボックス化し、情報の抽出や活用が難しい状態にあった小売業の企業に対し、外部ベンダーへの依存を減らすため、BigQueryを用いたデータ統合基盤を構築し、必要な情報を迅速に取り出せる体制を整えました。また、BIツールでのダッシュボード構築や、マーケティングオートメーション(MA)ツールの活用を支援し、顧客データや購買データの分析環境を強化しました。
これにより、データの抽出・分析のスピードが向上し、経営層への提案や施策の改善を支える仕組みが構築されました。

06-3. データ解析によるメディアの成長支援

データを活用しきれず、アクションにつなげることに課題のあった出版社に対して、複数のメディアサイトの解析を担当し、Pythonでのデータ収集の自動化や、Google Analytics(GA)とDMPツールを活用したダッシュボード構築を支援。これにより、データの可視化が進み、より深い議論と的確な施策立案が可能になりました。

 

まとめ

データビジネスは、どの業界でも大きな可能性を秘めています。一方で、活用のためには目的設定・データの整備・専門人材の確保など、入念な準備が欠かせません。特に「自社にどのようなデータがあるのか」「それをどう活用すれば成果につながるのか」を明確にしないと、膨大な情報の前に意思決定に時間がかかったり、効果的な施策を打ち出せない可能性があります。

もし「どのようにデータ活用を進めていけばよいか分からない」「途中で壁にぶつかってしまった」というお悩みがあれば、ぜひ弊社にご相談ください。ビジネス目標とデータを結びつけ、実践的な成果につなげるための支援を通じて、データビジネスの成功を後押しいたします。

 

 

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▶こちらも要チェック

マーケティングデータでどんなことができるの?データドリブンマーケティングとは?

 

効率的なBIツール運用を目指すには、複数のツールを併用するアプローチが効果的です。特にTableauは、他のBIツールと組み合わせることで、それぞれの強みを引き出し、より柔軟で効果的な分析運用を実現します。そこで本記事では、BIツールの基本から選定のポイント、代表的なツールの比較、さらにTableauを中心に複数ツールを併用するメリットと具体的な活用例までを詳しく解説します。

 

執筆者のご紹介

-名前 坂本
-所属 株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー アナリスト事業部
-現在大手通信キャリア企業に常駐しアクセス解析視点でサービスのグロース支援を行っています。分析ツールではGA4、LookerStudio、BigQuery、Tableauを中心に扱い、データの抽出〜データの可視化/ダッシュボード作成を行っています。

 

目次
01.|BIツールとは?
   BI(ビジネス・インテリジェンス)
   BIツールでできること
02.|BIツール選定のポイント
   スピード感のある意思決定ができるか
   機能面での柔軟性や融通性はどの程度か
   使う人のレベル感やニーズに合っているか
   適切なコストか
03.|代表的なBIツールを比較
04.|複数のBIツールを併用するメリット
   コスト最適化
   効率的なデータガバナンス整備の実現
05.|複数のBIツールを併用するための3ステップ
   BIを使う目的の明確化
   扱う人材と組織の明確化
   BI利用用途と権限ロールの明確化
06.|おすすめのBIツール併用例
   「Tableau」と「LookerStudio」
   「Tableau」と「Domo」

 

01.|BIツールとは?

 01-1.BI(ビジネス・インテリジェンス)

BI(ビジネス・インテリジェンス)とは、データを効率的に収集・整理し、意思決定に役立つ形で可視化する仕組みや手法のことです。企業が膨大なデータを収集・活用できるようになった今、迅速で正確な意思決定が求められており、BIはその実現に欠かせない概念です。

 01-2.BIツールでできること

BIツールはこのBIを実現するためのソフトウェアやシステムのことで、企業データの分析や可視化を支援することができます。具体的には、複数のデータソースから情報を統合し、売上や顧客動向、在庫管理などの情報をリアルタイムで把握することが可能です。また、グラフやダッシュボードを用いて直感的にデータの可視化を実現することができ、データ分析に専門知識がなくても扱いやすい点が大きな利点です。
さらに、BIツールは意思決定を加速させるだけでなく、部署間の情報共有や業務効率の向上にも貢献します。現代の競争環境で優位性を保つためには、BIツールの活用は不可欠といえるでしょう。

サンプルデータを用いたダッシュボード例実際のダッシュボード例(サンプルデータをもとに作成)

 

02.|BIツール選定のポイント

BIツールを選ぶ際には、業務に最適なツールを選定するためのいくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。

 02-1.スピード感のある意思決定ができるか

データの処理速度やリアルタイム性が高いツールであれば、迅速な意思決定をサポートすることができます。ダッシュボードやレポートの更新頻度、データを即時に反映できる機能などが重要です。

 02-2.機能面での柔軟性や融通性はどの程度か

柔軟性や融通性とは例えば、さまざまなデータソースに対応しているか、複雑な分析やカスタムレポートを簡単に作成できるか、などです。また、API連携や拡張性があると、他システムとの統合もスムーズに行うことができます。

 02-3.使う人のレベル感やニーズに合っているか

利用者のスキルや業務内容に合ったツールであることも大切です。直感的なインターフェースを持つツールであれば、ITスキルの少ないスタッフでも扱いやすく、全社的な活用(データドリブンの浸透)が進みます。

データドリブンマーケティングについて詳しくはこちらで解説しています→マーケティングデータでどんなことができるの?データドリブンマーケティングとは?

 02-4.適切なコストか

コストパフォーマンスも無視できません。初期費用だけでなく、ライセンス料や運用コスト、将来的な拡張費用も含めて検討しましょう。コストと機能のバランスが取れたツールを選ぶことが鍵です。

これらのポイントを踏まえ、自社のニーズや目標に合致するツールを選定することで、BIの活用効果を最大化できます。

 

03.|代表的なBIツールを比較

以下の表は、BIツールを簡単に評価したものです。

BIツール比較表

このようにさまざまな特徴を持ったBIツールがありますが、ツールの強みや特徴を活かしつつ効率的な使い分けや併用を行い、業務のニーズに合ったBIツールを選ぶことが重要です。

 

04.|複数のBIツールを併用するメリット

 04-1.コスト最適化

例えば、高度なデータ分析や可視化にはコストの高いTableauなどのBIツールを導入するべきですが、データの簡易な操作や現場向けのレポート作成などには、LookerやDomoなどの低コストツールで十分なケースも多いです。
そのため、影響範囲が広い戦略的な意思決定をサポートする部署や複雑なデータ分析を必要とする部署では高コストのBIツールを活用し、最低限の機能だけでも十分な部署には低コストのBIツールを導入する、といったように、BIツールを用途に応じて使い分けることでより効率的な運用をすることができます。

 04-2.効率的なデータガバナンス整備の実現

また、複数のツールを併用することでデータガバナンスの整備も効率的に実現できます。異なるツールを活用することで、各ツールに適したデータ管理方法を適用しやすく、データの一貫性や正確性を保ちながら、セキュリティの強化も可能になります。これにより、業務の現場ごとのデータの扱いやすさが向上し、ガバナンスのルールも柔軟に適用できるため、全体のデータ活用環境が整備されやすくなります。

 

05.|複数のBIツールを併用するための3ステップ

 05-1.BIを使う目的の明確化

まず、BIツールを使用する目的をはっきりさせることが大切です。例えば、ダッシュボードやレポート作成、データ分析、グロース支援など、目的によって必要なツールや機能が異なります。目的が明確であればそれに最適なツールを選定し、どのツールがどの目的に最も適しているかを判断しやすくなります。

 05-2.扱う人材と組織の明確化

次に、BIツールを使う人材や組織の役割を明確にします。誰がどのツールを使うのか、どの部署が利用するのかを決めることで、ツール選定や導入がスムーズになります。また、使う人材のスキルやニーズに合わせてツールを選定することも、効果的な活用に繋がります。

 05-3.BI利用用途と権限ロールの明確化

最後に、BIツールの利用用途に応じて各ユーザーの権限ロールを明確に設定することが重要です。多くのBIツールには、機能ごとに異なるユーザー権限を設定できる機能があります。例えば、データを編集できる管理者権限、分析結果を閲覧するだけの閲覧者権限など、ユーザーごとに必要な権限を割り当てることができます。これにより、データのセキュリティ強化や誤操作を防ぐことができたり、各ユーザーが必要な範囲でツールを活用できるため、ツール運用が効率的かつ安全に行えます。

 

06.|おすすめのBIツール併用例

 06-1.「Tableau」と「Looker Studio」

弊社支援事例:BIツール併用導入でデータ民主化を推進(EC事業会社)
データ活用文化を根付かせるには、運用ルールやデータ基盤の整備が不可欠です。あるEC事業会社では、データの可視化やダッシュボード作成に課題を抱え、以下の問題が浮き彫りになりました。

そこで以下のような施策を実施しました。

これらの取り組みにより、データ品質の改善と分析業務の効率化が実現されました。さらにデータ民主化の基盤を整え、組織全体でのデータ活用が推進されました。

 06-2.「Tableau」と「Domo」

弊社支援事例:BI環境のスリム化とデータガバナンス強化(金融関連企業)
複数のBIプラットフォームを導入しても、運用ルールが整備されていなければ、データ活用の足かせになることがあります。とある金融関連企業では、TableauとDomoを併用していましたが、乱立したダッシュボードや重複タスクが原因で効率低下と運用負荷が発生していました。
そこで、状況を解消するため以下のような施策を実施しました。

これにより、現場の混乱を解消し、安全かつ効率的にBIツールを活用できる環境をわずか2か月で構築しました。結果、データ活用の生産性が大幅に向上し、運用の安定性も確保されています。

 

まとめ

BIツールを効率的に活用するためには、用途に応じたツールの使い分けが重要です。
Tableauをはじめとする高度な分析・可視化機能を持つツールと、Looker StudioやDomoなどの低コストで直感的なツールを組み合わせることで、コスト最適化や業務効率化を実現できます。また複数のツールを併用することで、データガバナンスの整備も進み、各部門でのデータ活用促進にもつながります。反対に、1つのツールだけを導入することが、組織のニーズにマッチしている場合もあります。
導入する際には目的を明確にし、組織のニーズに合ったツール選定と、権限管理を適切に行うことが大切です。柔軟なツールの活用を進めることで、より効果的なデータ分析環境を整備し、企業全体のデータドリブン文化を醸成することができます。

 

 

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アクセス解析とは?実際のデータ活用のステップと実例を紹介します

当サイトにて株式会社ベネッセコーポレーションさまの事例記事を公開しました。
ぜひご覧ください。

常駐メンバーの高度な技術が「Udemy」事業のさらなる成長に貢献

株式会社ベネッセコーポレーションさまは、2015年より米国Udemy社と包括的業務提携契約を結び、日本国内において、オンライン動画学習プラットフォーム「Udemy(ユーデミー)」のサービス提供を行っています。そんな「Udemy」事業にまつわるデータ分析を行うのが、同社の大学社会人カンパニー マーケティング統括部 データ戦略推進課です。そして、こちらの部署では、2024年2月からメンバーズデータアドベンチャー(以下、DA)の「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」をご活用いただいています。
今回は同課の大塚 卓さま(写真左から2人目)と水止洋孝さま(写真中央)、そしてDAの常駐メンバーである下田直一郎さん(写真右から2人目)と木下優人さん(写真左)、石田夏海さん(写真右)に集まっていただき、座談会を実施。DAのサービスを活用する狙い、業務内容などについて語っていただきました。
ベネッセさまは、学習記録データを活用して効果の高い学びを提供するなど、古くから積極的にデータを活用してきたことで知られます。データ活用に対するリテラシーが高い皆さんの目にはDAのサービスはどのようにうつっているのでしょうか。

(取材日:2024年12月9日)

 

不足する人員とケイパビリティを補うために常駐サービスを導入

―― はじめに大学社会人カンパニー マーケティング統括部 データ戦略推進課のミッションを教えてください。

大塚 卓さま(以下、敬称略) 日本において「Udemy」は、個人のお客さま向けのマーケットプレイスサービスと、法人のお客さま向けにサブスクリプションで提供する「Udemy Business」を展開しています。私たちの部署のミッションは、そんな「Udemy」事業全般のデータ戦略の推進です。具体的には、データ分析やBIツールでのデータの可視化を通じて、KPI管理や営業資料作成の支援、各事業部の施策の効果検証や、将来の戦略策定に向けた知見探索を行っています。

――DAの「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」を導入した経緯についてお聞かせください。

大塚 急成長を続けている「Udemy」事業のデータ分析ニーズは増加する一方です。そうなれば当然要員不足が大きな課題になります。この課題を解決するため、すでに弊社と取引のあったメンバーズグループ内のDAが提供する「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」の導入を決定しました。必要なタイミングで不足するケイパビリティを補強できるルートを構築する狙いもありましたね。なお、DAの常駐メンバーには、主に個人向けのマーケットプレイスサービスのデータ分析を担当していただいています。

――それでまずは2024年2月から木下さんが常駐を開始したわけですね。木下さんが担当する業務内容について、ご説明いただけますか。

木下優人(以下、木下) データアナリストとして、講座データの分析やBIツールに関連する業務を担当しています。現在、主に取り組んでいるのは、コースレビューの自由回答の分析です。自然言語処理により、文章の内容をスコアリングする仕組みを構築しています。さらにこの分析結果をどのように活用できるかについての検討もスコープの1つです。

水止洋孝さま(以下、敬称略) 新規ユーザーの獲得に注力してきた市場の急成長期を経て、現在私たちが重視しているのは既存顧客のリピート購入を増やすこと。この目的を実現する上で、木下さんにお願いしているアンケートの自由回答の分析は、これまで把握できなかったお客さまのインサイトを知ることができるので、非常に大きな意味を持ちます。実際に分析結果から得られた知見はいくつかあります。例えば、分かりやすいものとして「ユーザーがアプリなどを使って隙間時間に学習していることとリピート購入に相関がある」というものがあります。この結果を受けて、社内でアプリ活用促進に対するプライオリティが上がるようになりました。このような取り組みは、先ほど大塚が説明した知見探索に関するものです。非常に高度な技術力が求められ、社内のスキルだけで対応するのは難しいのでとても助かっています。

――下田さんは、2024年4月から常駐を始めて、プロジェクトリーダーを務めるとともに、データサイエンティストとして分析業務も行っていますね。

下田 直一郎(以下、下田) 私は、売上に直接関係する領域の分析を行うことが多いですね。例えば、「Udemy」の講座には、「システム開発」や「ビジネススキル」のほか、「デザイン」や「健康・フィットネス」など、様々なジャンルがありますが、講座の価格最適化のため、ジャンルごとに売上を最大化する講座の価格を分析しています。また、最近では「マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)」を実現するために、ある時系列モデルが成り立つかどうかを分析しました。

――将来のマーケティングの予算配分の最適化に貢献するMMM分析は、現在数多くの企業から注目を集めていますが、こちらも高度な技術力が求められる印象があります。

下田 自分では、高度なことをしている認識はありせんが、データサイエンティスト、アナリストという職種では、そういったモデリングができる人が少ないかもしれません。

――データ分析の結果を、講座の価格設定やCXの改善、マーケティングに生かしているとのことですが、その他、DAの常駐サービスを活用して実感しているメリットはありますか。

大塚 講師をはじめとする社外のステークホルダーに提案や折衝を行う際、データがあるのとないのとではやはり説得力が異なります。社内に分析結果を説明する際も、私たちが分析したというよりは、社外のデータプロフェッショナルであるDAが分析したという方が説得力が増すという場合もあるでしょうね。その際に、これまで自社内のリソースだけでは実施することが難しかった高度な分析手法も利用できるようになり、社内外の意識合わせで役に立っています。

データ分析の結果を利用する人のことを常に考えながらアウトプットを行う

――業務を遂行する上で心掛けていることがあれば教えてください。

下田 ビジネス目的を分析目的に適切に変換することを心掛けています。平たくいうと、どのようなアプローチによって、どのような分析結果を出せば、次の意思決定につながるのかを意識するということです。いくら統計的に素晴らしいアウトプットが出ても、現場で活用する方が、それを見て「へー、なるほど」で終わってしまったら意味がありませんから、この点はとても重要だと考えています。例えば、私たちは主に個人向けのマーケットプレイスサービスを対象とした分析を行っていますが、時折「Udemy Business」に関する仕事をすることもあります。その際は「Udemy Business」を活用する企業さまが最初にどのような講座を受講すれば継続的に利用していただけるかについての分析でしたが、最終的に結果を活用する法人営業の方を意識してアウトプットしました。

――これまでの業務で大変だったことはありましたか。

木下 情報セキュリティを重視しているベネッセさまでは、私たちが扱える環境では外部との通信ができないようになっています。そのような環境下でどのように分析環境を構築すればよいかについては、ずいぶん頭を悩ませました。一般的には「Python(データの収集やデータ分析領域でよく利用されるプログラミング言語)」のライブラリを適用する際には、コマンドプロンプトからインストールを実行すればよいのですが、それができない。そこで、通信可能な分析環境にアクセスできる水止さまにライブラリの導入をお願いして、ご対応いただいています。

――この課題は、密なコミュニケーションで乗り越えたということですね。

水止、木下 結局、それしかないですね(笑)。

ビジネスやサービスの深い理解が正しい分析結果を生む

――DAの常駐メンバーの仕事ぶりについて率直な感想をお聞かせください。

大塚 いま木下さんからお話あったように、弊社のセキュリティを守るうえでデータ分析環境の面でご苦労をおかけしていますが、それでも忍耐強く対応頂き、高いクオリティのアウトプットを出し続けていただいている印象です。とても頼りにしています。

水止 社内のナレッジだけでは対応できないような高度な技術力が求められる要求に応えていただけて、本当に助かっています。また、BIツールの改善点やチーム内のスキルアップを図る勉強会の開催を提案していただくなど、本来の業務以外でもアドバイスや知見をいただけるのはありがたいですね。いずれにせよ、私たちのデータセットやビジネスに対して、皆さんが深く理解いただいているので心強い限りです。例えば、同じような分析でも、分析対象となるユーザーの設定を間違えると、思ったような結果が得られないことがあるので、この点は特に重要だと考えています。

――ビジネスを深く理解しているというお話がありましたが、そのために工夫したことはありますか。

木下 私は日頃から「Udemy」を利用していたのですが、これまであまり使ったことがなかった機能を改めて1つずつ確認しました。製品を開発している部署の方とのディスカッションの場を、水止さまにご用意いただいたこともあります。おかげで、求められているアウトプットのイメージを明確にできました。

――その他に事前に準備したことはありますか。

下田 現在の分析環境はシステムが重いので、一般的に「Python」のテーブル操作を実行するライブラリである「pandas」ではなく、高速な処理が可能な「polars」を用いています。木下も含め、処理が高速なライブラリについて、事前にリサーチや学習は行いましたね。

木下 あと事前に行ったことというと、自然言語処理やマーケティング関連のタスクの学習でしょうか。書籍はもちろん、「Udemy」で学んだことも多いです。

石田夏海 私もデータアナリストとして、木下さんと一緒にデータ分析業務に携わっていますが、コーディングや統計の知識の一部は、木下さんがおすすめしてくれた「Udemy」の講座で身につけることができました。

下田 私もMMM分析の初期知識などは「Udemy」で学びましたね。

――皆さん「Udemy」で学んだ経験があるんですね。

木下 品質が高いので、「Udemy」で学んだナレッジは実際の業務にも役に立っています。

社会人の成長を支援する環境実現に向けて、さらに積極的なデータ活用を

――今後の展望についてお聞かせください。

大塚 「Udemy」事業についてはさらなる成長を目指していきます。そのためにはユーザーの皆さんに対してより細かいサポートを提供することや新規事業開発なども求められるでしょう。ユーザーのインサイトを深掘りするためのデータ分析など、より高度な技術が必要になってくると考えられます。また、最終的に私たちが目指すゴールは「Udemy」事業の成長にとどまりません。ベネッセの社会人教育は、“学び”を起点に、個人や組織の可能性を引き出し、それを生かせる社会づくりを目指しています。今後は、このビジョンを実現するために、社会人の成長を後押しする取り組みに事業をシフトしていく考えです。だとするとやるべきことはラーニングだけではありません。恐らく幅広い領域での取り組みが必要になる。そのためにも、引き続きDAにはご支援いただきたいと思います。

――今の話を聞いて、ベネッセさまの期待にどう応えていきたいですか。

木下 ご依頼いただいている業務を完璧にこなすのはもちろんですが、その他にもベネッセさまのためになることはたくさんあると思うので、積極的にご提案をしていければと思います。

下田 大塚さんがおっしゃった社会人のリスキリングを後押しする事業を展開することは、人手不足が深刻化している日本の社会課題を解決するのに大きな意義があります。そのような事業に携われることに大きなやりがいも感じています。これからもご期待にそえるような仕事をしていきたいですね。

2025年1月26日(日)に実施された、滋賀大学 データサイエンス学部開講「データサイエンス実践論B」にて、弊社社員が講師として登壇しました。

講義概要

1コマ目
講義タイトル:データを活用した都市政策への提言事例
講師:秋山 薫平

1コマ目では、彦根市のデータを利活用し公共交通と都市政策の課題解決を考える講義とワークを行いました。
講義の目的として
①課題発見力の向上
②仮説構築力の習得
③実践的な課題解決の体験
④地域社会への貢献意識の醸成
を据え、GIS(地理情報システム)・空間データ分析ツールを使ったデータ可視化事例を紹介しました。
データ利活用企画のワークでは、学生がチームに分かれ、それぞれが社会課題から具体的なテーマを設定し、課題に対する仮説を構築。構築した仮説に必要なデータを定義し、解決策とアウトプットを策定しました。解決策や課題を説明するためのデータの見せ方や分析方法を検討するなどして、データを用いた課題解決を体験しました。

講師からのコメント
公共交通や都市が抱える課題に対し、チームで話し合い様々な視点や意見、仮説が生まれました。仮説をベースにどんなデータをどのように取得するのかを考えることの大切さを実感してもらえたと思います。今後社会に出てデータ活用する際も、講義の内容を踏まえつつ当事者意識を持ちデータ利活用を考えるきっかけの一つとしてもらえればと思います。


2コマ目
講義タイトル:既存のデータだけでは物足りない貴方へ 足で稼いだデータで地域社会とその課題を可視化しよう!
講師:松本春菜

2コマ目では、「データを生み出す×地域課題の解決」をテーマに、自身でデータを作り出し、オープンデータに欠けている情報を補うことで、地域課題の解決に寄与した事例を紹介しました。
講師自らが東京の「夜のマチ」、あるいは都市の影と呼べる地域や街を舞台に、台東区上野、中央区月島、港区三田の3エリアでのフィールドワークによるデータづくり・ビジュアライズ・地域課題解決、あるいはその入り口に至るまで諸活動に取り組んだ事例を発表しました。
以上の講義から、データは地域社会や人々の生活をより良くするためのツールであること、参加した学生一人ひとりが今日学んだ「課題発見力」や「行動力」を使って地域の未来をデザインする力を持っていることを伝えました。

講師からのコメント
人間の存在というもの自体、善悪二元論では割り切れないものです。それは都市の光と影、昼の街と夜の街の対立的な関係にも当てはまります。人には必ず弱い面や隠しておきたい面があるものです。それらを受け入れる居場所づくりは、都市における多様性の担保としても、束の間の休息地としても、その意義を持ち得るだけでなく、都市デザインにおける重要な論点となるでしょう。
現在、東京では経済合理性に基づいた大規模再開発が各地で進行中です。もちろんそれらは、土地の水害リスクや火災の延焼リスクなど様々な課題の解決策として意味を持つ開発計画であることは否定しません。しかし、その開発の前後で失われていくものにもっと目を向けるべきではないでしょうか。衣食住の基本である「住」の要素を守りつつ、再開発のターゲットとなりやすい富裕層だけでない、多種多様な住民が集い、都市のどこかしらにその居場所を求めうる、そのような東京の未来を願って、私は個人的な都市デザイン活動を、これからも続けていきたいと考えています。

 

登壇者紹介

秋山 薫平(あきやま くんぺい)

株式会社メンバーズ
メンバーズデータアドベンチャーカンパニー
サービス開発室 サービス開発G
データストラテジスト

大学、大学院では産業組織論、都市経済学、計量経済学を専攻し位置情報データ、企業データ、病院データなどを用いた理論・実証分析を行った。 これまではデータサイエンティストとしてMaaS領域グロースのためのデータ分析を実施してきた。現在はMaaSや都市計画の関連領域で、GISや人流データなどのデータを用いた新規事業開発や試験研究案件の企画と案件リードを行っている。

松本 春菜(まつもと はるな)

株式会社メンバーズ
メンバーズデータアドベンチャーカンパニー
サービス開発室 サービス開発G
BIエキスパート

大学院では都市デザインを専攻し、「フィールドワーク」×「地図」に熱中する。
2020年12月DA入社。データマネジメント、データビジュアライゼーション領域を中心に、データ活用におけるコミュニケーション設計と、データ可視化による意思決定支援、データマート整備等を担当。
2022年5月、自社で初のDATA Saber認定(二つ名:Riverstream)。
DATA Saber - Bridge 2nd師匠。地図Tableauユーザ会幹事。
社内活動「ビジュアルアナリティクスラボ」幹事会代表。

メンバーズデータアドベンチャーカンパニーでは、データ活用・データサイエンスに関する講師の派遣も行っております。
下記問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。

問い合わせフォームはこちら

GO株式会社さまは、「移動で人を幸せに。」をミッションに、モビリティ領域を軸とする多様な事業・サービスを展開する企業です。同社の代表的なサービスであるタクシーアプリ『GO』は、2024年12月時点で、累計ダウンロード数2,600万を突破しています。タクシー車両のリアルタイムな位置情報と高度な配車ロジックで、タクシーに「早く乗れる」という新たな体験を提供するこのサービスを支えるデータ活用環境の構築や整備には、メンバーズデータアドベンチャー(以下、DA)の常駐サービスが活用されています。その意図について、同社プロダクトマネジメント本部データインテリジェンス部データアーキテクトグループでGMを務める孫 正勲さま(写真中央)にお話を伺いました。また、同社にデータエンジニアとして常駐する高田 明志さん(写真左)と陳 英珉さん(写真右)の2名にも加わってもらい、仕事に対するこだわりや思いについても語っていただきました。

(取材日:2024年12月3日)

 

事業成長と共に必要性が増していくデータエンジニアが見つからない

―― まずは孫さまがGMを務めるプロダクトマネジメント本部データインテリジェンス部データアーキテクトグループのミッションについて教えてください。

孫 正勲さま(以下、敬称略) 弊社は、タクシーアプリ『GO』(以下、『』付きでGOと表記している場合はアプリを指す)のほか、EV充電サービス『GO Charge』や交通事故削減を支援する次世代AIドライブレコーダーサービス『DRIVE CHART』など、様々な事業を展開しています。その中で、私たちのグループが扱っているのは、『GO』に関するデータ。アプリから取得可能なデータはもちろん、タクシー車両に搭載されている端末から発生するデータも含め、このサービスに関する全てのデータを収集し、分析環境にのせることが、私たちのミッションです。

――データエンジニアリングの領域を担当されているということですね。

孫 おっしゃる通りです。データの分析は、私たちと同じ、プロダクトマネジメント本部データインテリジェンス部に所属するデータアナリシスグループが行いますが、このグループと連携して、データ分析基盤を構築していくのです。

――データアーキテクトグループとアナリシスグループに組織を分けてデータを扱っているということを考えると、他社と比べてもかなりデータ活用が進んでいる印象があります。それだけ貴社ではデータに重きを置いているということでしょうか。

 タクシー業界にはどうしても古いイメージが付きまといます。そのようなイメージを払拭することは、弊社のミッションの1つですが、このミッションを実現させるには、データの活用が必須だと考えています。また、私たちは直接タクシーを所有しているわけでなく、あくまで配車プラットフォームを運用しているだけ。ですので、私たちがデータドリブンな環境にあることは間違いありませんが、逆にいえば、もてるものがデータしかないともいえますね。

――データアーキテクトグループでは、2023年からDAの「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」をご活用いただいていますが、サービス導入の経緯を教えてください。

 サービス開始以来、『GO』の事業は順調に成長を続けてきましたが、まだまだ成長途上です。それ故、現在、新サービスの提供なども頻繁に行っています。新サービスがリリースされれば、我々に求められるタスクが増えるのは必然。そこで、メンバーの増員を検討したのですが、必要なスキルを有するデータエンジニアが見つからない。また運よく人材を確保できたとしても、実際に弊社で活躍してもらうには、少なくとも1年程度はオンボーディングの期間が必要です。それでは求められるスピードに追い付くことができません。これらの課題を解消するために、人材の常駐サービスの活用を検討したのが、そもそもの始まりです。

――貴社がデータエンジニアに求める必要なスキルとはどのようなものでしょうか。

 弊社の環境で、データセットを扱うには、「Google Cloud Platform(以下、GCP)」のデータ ウェアハウスである「BigQuery」やデータパイプラインである「Dataform」のほか、「Looker」というBIツールを使うので、これらのツールの知識は当然求められます。さらに弊社の場合、「Looker」でデータを可視化するのに「LooKML」というプログラミング言語を使っていますが、「LookML」を使っているケースは珍しく、十分な知識をもつ方はどうしても少なくなります。そもそもデータサイエンティストなどに比べると、注目されにくいデータエンジニアの仕事に携わる人が少ないので、求める人材を見つけるのは至難の業ですね。

――DAのサービスを採用するに至った決め手について教えてください。

 以前にデータアナリシスグループでDAのサービスを活用した実績があり、とても評価が高かったことが決め手の1つです。また、DA社内で、現場で必要なスキルを補う内部研修を行っていることなども知り、組織としてのサポート体制もしっかりしている点も決定を後押しするポイントになりました。

常にユーザーの使い勝手を考え、ともに歩んでいく

――それで、まずは高田さんが常駐することになったわけですね。

高田明志(以下、高田) はい。2024年2月から常駐しています。

――具体的には、どのような業務に携わってきたのでしょうか。

高田 私が主に取り組んでいる業務は、2023年10月にリリースされた『GO』のインセンティブ機能に関するもの。『GO』で乗車したお客様が、降車後に乗務員にチップを送ることができる機能に対してアナリシスグループがデータ分析を行うために「データモデリング〜ログの設計〜データマートの作成〜ダッシュボードへの実装」という一連の作業を行います。その他、新たな要望にあわせて構築済みのプログラムを修正することもあります。

――仕事をする上で心掛けていることはありますか。

高田 アナリシスグループからのご要望に適切に応え、提供するデータの品質を上げるには、ドメイン知識が求められるのはいうまでもありません。設計やコーディングなど、自分が取り組む作業の目的を1つ1つ理解することが、分析要件とのずれをなくし、より効率的なデータモデリングを実現したりすることにつながるからです。また、この仕事は単に「コードを書いて、プログラムが動けば終わり」ではありません。お客さまと一緒に業務を進めていく気持ちを胸に日々の仕事にのぞんでいます。依頼に対して、ダッシュボードの使い勝手やメンテナンス性を考慮したり、より効率的にデータを集計するために依頼者側で当初想定していなかった方法を提案することもあります。ただ、これは私に限らず、DAのメンバーなら誰でも心がけていることではないでしょうか。

 『GO』は、2020年に前身のJapanTaxi株式会社が提供していた『JapanTaxi』と株式会社ディー・エヌ・エーがサービス展開していた『MOV』というタクシーアプリが統合して誕生しました。そのため、機能によっては複数のツールが使われているなど、システム環境が複雑な部分が残っています。だからこそ、サービスの全体像を把握するのは困難なところがあるのですが、そのような環境でも、高田さんは、PRD(プロダクト要求仕様書)を読みこんで、システムのことをしっかりと理解されている。案件によっては私たちより深く理解している点もあって、とても心強い存在ですね。

有するスキルを総動員して正確性と迅速性を両立

――陳さんが担当している業務内容を教えてください。

陳 英珉(以下、陳) 私はデータアーキテクトグループで活用しているETLツール(散在するデータを収集・加工するツール)を、既存のものからGCPに統合されたサービスである「Dataform」に移行する業務を担当しています。

――陳さんが常駐したのは、高田さんが常駐しはじめて6か月後のことですが、そもそも、なぜETLツールをリプレースする必要があったのでしょうか。

孫 かねてからデータ活用基盤としてGCPを利用していましたが、ETLツールの一部に内製したものを使っていました。ただ、このツールは、つくりが独特かつドキュメントなどもそろっていないので、慣れていない人には扱うのが難しい代物でした。そこで「Dataform」に移行して、メンテナンスなどの業務効率を上げることを検討したのです。そんな折、弊社に常駐いただいていた高田さんの働きぶりを見て、DAの常駐メンバーなら移行作業も安心してお任せできると考えて依頼しました。

――陳さんが、仕事をする上で心掛けていることはありますか。

 正確さが求められる仕事なので、コードや作業手順に問題ないかは特に注意しています。具体的には、元のツールのコードを1つ1つ再現しながら確認して、問題がなければ本番環境に移行するようにしています。

 陳さんには、かなり細かいところまでチェックしてもらっています。既存のツールに潜んでいたバグや使われてないテーブルなどを見つけて、修正や削除の提案をしてもらえるのはとても助かります。また、移行作業を進めていると、移行前と後でデータベースのテーブルの数にズレが生じることがありますが、その状況と対応策を、資料にまとめて報告してもらえることもありがたいですね。これは高田さんも同様ですが、仕事の正確性やスピード感も申し分ありません。移行対象のテーブルは20ほどありましたが、スケジュール通りに作業が進んでいるので、安心してお任せできます。

――作業を効率的に進めるために、工夫していることがありそうですね。

 「Python(データの収集やデータ分析領域でよく利用されるプログラミング言語)」を使って、データの移行作業を自動化しています。かつてイギリスの大学院で「Python」を学んだ経験が役に立ちましたね(笑)。

 移行作業を自動化してしまうのは、お見事でした。陳さんの仕事ぶりを見て、私自身もとても刺激を受けています。

常駐メンバーのスキルアップを実現させるDAのサポート体制も評価

――それぞれ常駐前に準備したことがあれば教えてください。

高田 GCPのツールやSQL(データベースを操作するためのプログラミング言語)については、常駐前に研修や書籍で改めて勉強しました。DA社内には、各ツールの使い方に関する資料が豊富なので、そのような資料も活用しました。私の業務では「Looker」で可視化するためのクエリ(データベースに対する命令文のこと)を「LookML」を使って作成しますが、「LookML」に関する知識も社内研修で得ることができました。

陳 GCPに関しては、DAの社内研修で得た知識がとても役に立っています。ちなみに研修後にはGCPの資格を取得したり、データのパイプラインの構築から可視化まで実装して、DA社内でプレゼンしたりもしました。

 社内で、常駐メンバーの皆さんのスキルを上げるサポート体制が整っていることも、DAの「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」を評価していることの1つです。他の業務委託先と比べると、特に手厚い印象があるので、こちらも安心して仕事をお任せできます。

――高田さんと陳さんが携わっている業務が貴社のビジネスにどのようにつながるか、考えをお聞かせください。

孫 高田さんにお願いしているインセンティブ機能に関するところだと、データを分析することで、顧客満足度の高い乗務員の行動や習慣が明らかになります。この結果はサービスの品質向上につなげることが可能です。また、陳さんが進める業務は、内部作業の効率化を実現し、コスト削減に直結する取り組みなのはいうまでもありません。つまりお二人の仕事は、どちらも経営に与えるインパクトは大きいと考えられます。

――本日は貴重なお話をありがとうございます。それでは最後に今後の展望をお話しいただけますでしょうか。

 現在、『GO』は2,600万ダウンロードを突破していますが、1億2千万という日本の人口を考えればまだまだ伸びしろがあると考えています。さらにインバウンド需要も取り込んでいければ更なる成長が見込めます。今後も、ユーザーを理解し、新たな価値を提供しながら、事業の成長を実現し続けていくためにも、DAとは長期的なお付き合いをお願いしたいところです。

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